●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-28.I.15:1 ~ T-28.II.1:8

15. What has been lost, to see the causeless not? And where is sacrifice, when memory of God has come to take the place of loss?
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • causeless [kɔ́ːzlis] : 「原因のない、原因不明の、正当な理由のない」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
❖ "What has been ~ "「原因がないものを見ないことによって、いったい、何が失われてしまうだろうか」。実体をもった原因など存在しないこの幻想世界、夢のなかの世界の出来事を見ずに、実相世界に目を向けて、いったい何が失われるだろうか。一言で言えば、幻想世界から実相世界へと目覚めても、何も失うものはない、ということ。"And where is ~ "「(幻想世界を見ないという)損失に取って代わって、神の記憶が蘇(よみがえ)るというのに、いったいどこに犠牲があるだろうか」。幻想世界から実相世界への目覚めには、何一つ犠牲は伴わない。それどころか、神の記憶の復活という贈り物がもらえるのだ。



What better way to close the little gap between illusions and reality than to allow the memory of God to flow across it, making it a bridge an instant will suffice to reach beyond? For God has closed it with Himself.
  • better [bétər] : 「より良い、より優れている、優越する」
  • close [klóuz] : 「〜を閉じる、〜を閉める、〜を閉鎖する」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、穴、途切れ」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • flow [flóu] : 「流れる、自由に動く」
  • across [əkrɑ́s] : 「〜を横切って、〜を横断して、〜を越えて、〜を渡って」
  • bridge [brídʒ] : 「橋、橋梁、桟橋」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • suffice [səfáis] : 「〜に十分である、足りる、〜を満足させる」
  • reach [ríːtʃ] : 「伸びる、向かう、及ぶ」
  • beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
❖ "What better way ~ "「幻想と実相の間の小さなギャップを閉じてしまう方法として、いったい〜よりも優れたどんな方法が、ギャップを越えて満足に向こうへ達することが出来るだろうか」。"than to allow the memory ~ "「神の記憶がギャップに流れ込むのを許し、瞬時にギャップを橋に変えてしまうこと」よりも優れたどんな方法が、いったい、ギャップを越えて満足に向こうへ達することが出来るだろうか。"For God has closed ~ "「神自らが、そのギャップを閉じてくれるのだから」。幻想世界と実相世界の間のギャップを、神の記憶が埋め尽くして、神の子はその橋を渡って安全に実相世界へと回帰出来る。



His memory has not gone by, and left a stranded Son forever on a shore where he can glimpse another shore that he can never reach.
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • go by : 「過ぎる、経過す」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • stranded [strǽndid] : 「座礁した、動けなくなった、立ち往生した」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • shore [ʃɔ́ːr] : 「岸、海岸、沿岸、陸地」 glimpse [ɡlímps] : 「ちらりと見る」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
❖ "His memory has ~ "「神の記憶は、過ぎ去ってしまったものではない」。神の記憶は、神の子の心の中に永遠に残っている。神の子が、そのことを忘れてしまっていただけだ。"and left a stranded ~ "「そして、神の子が、決してたどり着けないだろうと思っていた向こう岸をかいま見ていたこちら岸に、永遠に取り残して置くことはないのだ」。こちら岸が幻想世界であり、向こう岸が実相世界である。神の記憶が蘇ることで、神の子はこちら岸に取り残されることなく、向こう岸に渡って行けるのだ。ところで、こちら岸と向こう岸を用いた例えは、仏教の彼岸と此岸の例えと共通している。此岸が、この世俗世界であり、彼岸が極楽浄土である。その川を渡って行くためには、仏教では、般若(はんにゃ)、つまり、崇高な悟り、超越的な知恵が必要とされている。したがって、仏教の般若とは、ACIMの神の記憶のことであり、さらに、ACIMが言うところの"Knowledge"「叡智」のことだと思っていいだろう。



His Father wills that he be lifted up and gently carried over.
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • lift up : 「〜を持ち上げる」
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • carry [kǽri] : 「〜を運ぶ、〜を持ち運ぶ」
❖ "His Father wills that ~ "「父なる神は、神の子が持ち上げられ、優しく(橋を)渡らせられることを意思している」。神は、神の子が、幻想世界から実相世界へと回帰することを強く意思しているし、それを手助けしてくれる。直接手助けするのではなく、ホーリー・スピリットにその意思を託するのである。



He has built the bridge, and it is He Who will transport His Son across it.
  • built [bílt] : 「build の過去形」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する、架設する」
  • bridge [brídʒ] : 「橋、橋梁、桟橋」
  • transport [trænspɔ́ːrt] : 「〜を運ぶ、輸送する」
❖ "He has built ~ "「神は橋を造る」。"and it is He Who ~ "「神の子をして橋を渡らせるのは、他でもない神である」。神は神の子を渡らせてくれるのだが、そのためには、神の子が、その橋を渡りたいのだという意思を自由選択して神に示さなくてはならない。



Have no fear that He will fail in what He wills. Nor that you be excluded from the Will that is for you.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • fail [féil] in : 「〜に失敗する」
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を除く、除外する、抜かす、〜を排除する、締め出す」
❖ "Have no fear that ~ "「神が意思したことを、神は失敗するのではないかと、恐れることはない」。"Nor that you be ~ "「また、あなたのためを思う神の意思から、あなたが除外されることを恐れる必要もない」。神は確実に、あなたを天の王国へと連れて行ってくれる。例外はまったくない。
 
 
 
 
 
II. Reversing Effect and Cause
結果と原因の逆転
 
 
1. Without a cause there can be no effects, and yet without effects there is no cause.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "Without a cause ~ "「原因がなければ、どんな結果も存在し得ない」。"and yet without effects ~ "「しかし、結果なくして、原因も存在し得ないのだ」。文の前半はよしとして、後半に対しては、おや?と思われるかもしれない。しかし、これがACIMの因果律のとらえ方である。時間の存在しない実相世界では、原因と結果が同時に現実化し、その意味では、原因と結果は同一なのだ。原因と結果を分離し、時間を追って実現するという幻想世界の因果律とは根本的に異なるのである。



The cause a cause is made by its effects; the Father is a Father by His Son. Effects do not create their cause, but they establish its causation.
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する、確証する」
  • causation [kɔːzéiʃən] : 「原因、因果関係、原因作用」
❖ "The cause a cause ~ "「原因は、結果によって、原因とされる」。原因を決定しているのは、その結果である。それはちょうど、"the Father is a Father ~ "「父なる神は、神の子によって、父とされる」のと同一である。"Effects do not create ~ "「結果は、その原因を作り出しているのではない」。"but they establish ~ "「しかし、結果は、結果のもつ原因性を確立しているのだ」。何を言いたいのかというと、原因は可能性の集合であって、ある可能性が現実化された、その結果によって、その原因の一つが確定される、ということ。神が原因となって神の子が生み出されたのだが、神の子が結果として生み出されたことによって、神は父なる神になったのだ。つまり、父なる神に結果したのだ。神の子という結果が、父なる神という原因を確立したのである。



Thus, the Son gives Fatherhood to his Creator, and receives the gift that he has given Him. It is because he is God's Son that he must also be a father, who creates as God created him.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
  • fatherhood [fάːðərhud] : 「父であること、父権、父としての責任、父なる神」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Thus, the Son gives ~ "「このように、神の子が、その創造者である神に対して、父権を与えたのだ」。神の子が神を、父という立場に確立したのだ。"and receives ~ "「そして、神の子は、神の子が神に与えた贈り物を受け取るのだ」。つまり、神の子は神へ「父」という贈り物を与え、神から「子」という贈り物を受け取った、ということ。神が神の子を「子」として確立し、神の子が神を「父」と確立したのである。原因と結果が互いに互いを内包し、同一化しているのだ。"It is because he ~ "意訳する、「神の子が、また、父であるに違いないとは、神の子は神の息子として神によって創造されたからなのだ」。息子として創造された神の子が、神の息子である故に、神を父とし生み出した、つまり、神の父性を生み出した父ということになる。ここは、少々ややこしい箇所なので、あまり重箱の隅をほじくり出さなくていいだろう。神と神の子が互いに互いを創造し合った、という感じにとらえておけば十分だろう。



The circle of creation has no end. Its starting and its ending are the same.
  • circle [sə́ːrkl] : 「軌道、循環、輪」
  • starting [stάːrt] : 「始動、出発、始め」
  • ending [éndiŋ] : 「結末、大詰め、終わり、終了、終点」
❖ "The circle of creation ~ "「創造の輪は、終わることがない」。"Its starting and ~ "「創造の始めと終わりは同一なのだ」。真実の原因と結果は、一体となって創造されていく、ということ。



But in itself it holds the universe of all creation, without beginning and without an end.
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象、全世界」
  • creation [creation] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
❖ "But in itself it ~ "「しかし、それ自体の中に、創造の輪は、あらゆる創造物を含む宇宙を保持しており、」"without beginning ~ "「そこには、始まりもなければ、終わりもないのである」。非常に哲学的な表現で解釈に苦しむが、原因と結果が一体となって真実を連鎖的に創造する世界こそが、実相的な全宇宙の姿である、といった意味合い。その創造の連鎖には始まりもなく終わりもない。永遠に、真実の創造は拡張していくのだ。創造という連鎖の輪は永遠に廻り続け、真実は喜びをもって生み出されていく。愛と平和の光に包まれた実相宇宙なのだ。
 
 
 


Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp