●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-28.II.8:1 ~ T-28.II.9:5

8. The separation started with the dream the Father was deprived of His Effects, and powerless to keep them since He was no longer their Creator.
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • start [stάːrt] : 「始まる、着手する、出発する」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • deprive A of B : 「AからBを奪う、AにBを与えない」
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "The separation started ~ "「分離は、〜という夢から始まった」。"the Father was ~ "「父なる神が、その影響力を奪われ、神がもはや創造者ではなくなったとして、影響力を保持出来ないほど力を落としてしまった」という夢から、分離は始まった。その昔、神の子は、ひょっとしたら、自分は神なしで神のように生きてはいけないだろうかという、小さな狂った想念(a little and mad idea)を抱いた。つまり、神なしで神のようにあらゆるものを創造する主になりたいと考えたのだ。想念は必ず現実化するので、神の子がそう心に思った次の瞬間、神の子は神から分離したのだ。神から分離し、神の影響力から離れたのである。と言うより、神の影響力から開放されたと独り合点しただけなのだ。神の子は、もはや神が創造者ではなく、自分があらゆるものを創造出来ると思い込んだ。神よりもパサーの強い存在になったのだと天狗になったのである。しかし、神の子が創造したものは、実在の世界ではなく、単なる幻想の世界、夢の世界に過ぎなかったのだ。



In the dream, the dreamer made himself. But what he made has turned against him, taking on the role of its creator, as the dreamer had.
  • turn against : 「〜に敵対する、〜と反対の方向に向きを変える」
  • take on : 「引き受ける、呈する、帯びる」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
❖ "In the dream ~ "「夢の中で、夢見る者は自らを作り出す」。夢見る者(神の子)は、夢の中に、自分自身を登場させたのだ。"But what he made ~ "「しかし、夢見る者が作ったものは、彼に敵対することとなる」。"taking on the role ~ "「それは、夢見る者がそうしたように、創造者の役割を引き受けたのだ」。夢を創造した神の子は、夢の中で君主になることは出来なかった。敵対する他者を多数作り出し、世界自体が勝手に創造を繰り広げられるように、世界にパワーを与えてしまったからである。夢の幻想世界が、神の子に代わって創造者となり、宇宙を作り、生物を作り、進化を司り、破壊をもたらし、死を創造したのである。



And as he hated his Creator, so the figures in the dream have hated him.
  • hate [héit] : 「 〜を憎む、〜をひどく嫌う」
  • figure [fíɡjər] : 「姿、人影、人物」
❖ "And as he hated ~ "「そして、夢見る者が、彼の父なる神を嫌うように、」"so the figures ~ "「夢の中の登場人物達は彼を嫌うのである」。この幻想世界は、神からの分離によって偽創造された世界であるから、分離を象徴としている。神の子が自己を分裂させ、多数の神の子を創造したのだが、世界の分離を維持するためには、愛し合って統一される数よりも、憎しみ合って分離を加速する数の方を多くしなくてはならない。彼が神を嫌うように、彼が創造した他者は、お互いに嫌い合うように創造されたのだ。自分が生み出した子に嫌われるように、シナリオは進行していくのである。神と神の子、そして、神の子と彼が作り出した他者、その二者の分離という関係性、嫌悪という関係性は、奇(く)しくも保たれたのである。



His body is their slave, which they abuse because the motives he has given it have they adopted as their own.
  • slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
  • abuse [əbjúːz] : 「〜を誤用する、〜を悪用する、〜を乱用する」
  • motive [móutiv] : 「動機、主題、真意、目的、誘因」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • adopt [ədɑ́pt] : 「選ぶ、採用する、導入する」
❖ "His body is ~ "「夢見る者の肉体は、夢に登場する人物達の奴隷である」。"which they abuse ~ "「彼が肉体に与えた動機を、登場人物達も自分自身に与えるので、登場人物達は、彼の肉体を虐待するのである」。肉体は、神の子の分離と分裂の象徴として作られたものである。したがって、肉体は融和を促すものではなく、攻撃し、傷つけ、分離を促進するものという動機が与えられたのだ。夢の登場人物達も、同じ動機をもって肉体を見ているから、当然、肉体的な攻撃を優先させて、夢見る者本人の肉体をも、奴隷のように虐待するのである。もっとも、肉体が融和を促す場合もある。それは、肉体と肉体の間に愛が存在したときだけであり、愛が、肉体の融和を加速する。したがって、肉体が本来もっている分離という動機を愛が打ち消すのであり、愛は奇跡なのだ。



And hate it for the vengeance it would offer them. It is their vengeance on the body which appears to prove the dreamer could not be the maker of the dream.
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる」
❖ "And hate it for ~ "「肉体が登場人物達に差し出す報復ゆえに、夢見る者は、肉体を嫌悪する」。夢に登場する人物達によって虐待された肉体は、彼らに報復したいと、文字通り肉体をうずかせる。夢見る者は、肉体が報復の手段として、攻撃に利用されることを厭うのだ。さらに、肉体は傷つきやすく、病に犯されやすく、老いて醜く、脆弱で、死して腐敗するものに過ぎないと見る。"It is their vengeance ~ "強調構文、「肉体に加えられる登場人物達の報復は、夢見る者が、その夢の製作者ではあり得ないと証明しているかに見えるのだ」。夢を作った者が、夢の中の自分自身を報復の標的にするわけがないから、そんな夢を作ったのではないと思ってしまうのだ。しかし、夢は自分の願望を表現するものであって、夢の中の他者が攻撃するのは、自分が他者を攻撃したいと願望しているからなのだ。夢の登場人物達が肉体を攻撃して報復するのは、彼自身が登場人物達の肉体を攻撃し、報復したいと思っているからなのだ。



Effect and cause are first split off, and then reversed, so that effect becomes a cause; the cause, effect.
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • split [splít] off : 「割る、割れる、分離する、分裂する、裂く、裂ける」
  • reverse [rivə́ːrs] : 「逆にする、反対方向に向ける、逆転させる、裏返す」
  • so that : 「〜できるように、その結果」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
❖ "Effect and cause are ~ "「結果と原因が、まず初めに分裂したのである」。"and then reversed ~ "「そして、まったく逆方向に分かれてしまった」。"so that effect becomes ~ "「その結果、結果が原因になり、原因が結果になってしまったのだ」。実相世界では、この世界での素朴な因果律は成立しない。神が第一原因となって、すべての真実が結果として創造される、といった世界なのだ。しかも、それらはすべて一体であって、どこにも分離はない。したがって、原因と結果が一体であって、調和統一されているのだ。そもそも、時間というものが存在していないのだから、時間的な経過が必要な素朴な因果律は成立しようがないのだ。さて、神の子が神から分離し、分離を象徴する幻想世界を偽創造した、その世界では、原因と結果も時間を介して分裂させられ、役割の分担が決まった。ここに、お馴染の素朴な因果律が作り出されたのだ。ところで、原因が結果に、結果が原因になったと記述されているが、これは、原因が結果を生み出し、その結果がまた原因になって結果を生み出し、その結果がまた原因となって結果を生み出す、という原因と結果の連鎖が時間を軸として延々と続く、といった意味合いである。もちろん、これは、幻想世界においてそう見えるだけの話しであって、そもそも夢の世界には、確たる実体をもった原因など存在しないのだ。したがって、この世界は、何の理由もなく、結果だけが水の泡のように湧いては消えていく世界なのである。



9. This is the separation's final step, with which salvation, which proceeds to go the other way, begins.
  • final [fáinl] step : 「最終段階」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • proceed [prəsíːd : 「始める、開始する、進む、前進する」
  • the other way : 「反対に、横の方へ」
  • begin [bigín] : 「始まる、着手する」
❖ "This is the separation's ~ "「これが、分離の最終段階である」。"with which salvation ~ "「それに伴って、分離とはまったく逆方向に、救いが始まる」。分離が最終段階に達すると、今度は、分離を解消し、再び結合統一する方向に世界は動き出す。それが、幻想世界からの救いになるのだ。しかも、その救いの時代はすでに始まっている。



This final step is an effect of what has gone before, appearing as a cause.
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
❖ "This final step is ~ "「この最終段階は、以前に過ぎ去ったものの結果である」。"appearing as ~ "「しかし、あたかも、原因のように見えるのだ」。この分離の最終段階は、夢の帰結、過ぎ去ったものの結果、なのだが、分離それ自体が原因となって、さらに世界を変化流動させていくように見えるのだ。簡単に言えば、長い時間をかけて、因果の連鎖によって分離がここまで加速されきたのだが、その夢はそろそろ終わりに近づいており、因果の連鎖を断ちきらなければならない最終段階に達しているが、まだ、分離の結果が原因に見えて(appearing as a cause)、幻想世界の変化流動が続いていくように錯覚している、ということ。



The miracle is the first step in giving back to cause the function of causation, not effect.
  • give back A to B : 「BにAを返す」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • causation [kɔːzéiʃən] : 「引き起こすこと、原因作用、因果関係」
❖ "The miracle is ~ "「奇跡は、原因に対して、結果ではなく、原因自体のもつ役割を取り戻してやろうとする、最初の一歩なのだ」。分離を象徴するこの世界の原因は、夢の中の原因のように、本当は存在してはいない。存在しない原因によって、存在しない結果が生み出され、膨大な夢の歴史が続いてきたのだ。今、分離の最終段階、救いの時代にあって、そんな見かけの因果律の連鎖を断ちきらなくてはならない。それは、そもそもの原因、真実を生み出す実相的な原因に復権してもらうことなのだ。つまり、神の持つ第一原因、その原因への回帰なのである。それが、奇跡の第一歩である、というわけでだ。



For this confusion has produced the dream, and while it lasts will wakening be feared.
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混同、混乱、混乱状態、無秩序」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産出する、産む」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • wakening [wéikəniŋ] : 「目覚めること、覚醒」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "For this confusion ~ "「この混同が、夢(幻想)を生み出してしまったのだ」。原因が結果を生み、その結果が原因となってまた結果を生む、という原因と結果の混同、混乱が、延々と続く因果の夢を作り上げてきた。"and while it lasts ~ "「そして、その混同が続く限り、目覚めは恐れられるであろう」。因果の夢から目覚めてしまえば、そこは因果の存在しない静止した真っ暗な闇が待っていると思い込んで、恐れてしまうのだ。



Nor will the call to wakening be heard, because it seems to be the call to fear.
  • call [kɔ́ːl] : 「呼び声、叫び声」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "Nor will the call ~ "「しかも、目覚めの呼びかけも聞こえないだろう」。恐れているから、耳も目も閉ざしてしまうのである。ホーリー・スピリットの声は聞こえない。"because it seems to ~ "「なぜなら、それは、恐れへの呼びかけであるかのように思えるからだ」。夢から目覚めれば、因果の鎖は断ち切られ、変化流動する世界は停止してしまい、すべてが凍りついたような闇の世界になってしまうかもしれないという恐怖が先に立ってしまう。そう囁(ささや)きかけているのは、誰でもない、心に住むエゴである。エゴは分離を維持し、幻想世界を存続させたいからだ。なぜなら、エゴ自体が幻想であり夢であり、夢から目覚めたなら、エゴは夢とともに消滅してしまうからなのだ。
 
 
 



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