●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-28.II.10:1 ~ T-28.II.11:7

10. Like every lesson that the Holy Spirit requests you learn, the miracle is clear.
  • lesson [lésn] : 「教訓、教え、貴重な経験、実際的な知恵」
  • request [rikwést] : 「〜に〜を依頼する、〜に〜するよう頼む」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • clear [klíər] : 「明らかな、明瞭な、はっきりした、明快な」
❖ "Like every lesson ~ "「ホーリー・スピリットがあなたに学ぶように要求するあらゆるレッスン同様、奇跡は明快である」。奇跡はシンプルだ、ということ。難しい理論も、難しい訓練もいらない。



It demonstrates what He would have you learn, and shows you its effects are what you want.
  • demonstrate [démənstrèit] : 「明らかにする、明示する、実証する、実演する」
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "It demonstrates what ~ "「奇跡は、ホーリー・スピリットがあなたに学んで欲しいと思っていることを明示してくれる」。"and shows you ~ "「そして、あなたに、学びの結果があなたの望んでいることであることを示してくれるのだ」。ホーリー・スピリットがあなたに学んで欲しいと願っている真実、そして、あなたが知りたいと願っている真実を、奇跡はあなたに明示してくれる。



In His forgiving dreams are the effects of yours undone, and hated enemies perceived as friends with merciful intent.
  • forgiving [fərɡíviŋ] : 「寛大な、寛容な」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • merciful [mə́ːrsifəl] : 「慈悲深い、情け深い、情けのある、寛大な」
  • intent [intént] : 「意図、意向、意志、目的」
❖ "In His forgiving dreams ~ "「ホーリー・スピリットの寛大な夢の中で、あなたの夢の結果が取り消されるのである」。"His forgiving dreams"「ホーリー・スピリットの寛大な夢」とは、実相的な真実の夢という意味だから、本当は夢などではなく、覚醒した意識のこと。あなたの抱いている幻想、夢に対応した表現にするために、夢という言葉を使っているだけの話し。したがって、本文は、「ホーリー・スピリットの覚醒した意識によって、あなたの幻想が生んだ結果が取り消されてしまう」、という意味合いになる。より具体的に言うなら、ホーリー・スピリットの実相的な愛と導きによって、あなたが幻想を幻想として認識し、幻想を受け入れ受け流して赦すことが出来たとき、あなたの幻想は取り消され、消滅してしまう、ということ。"and hated enemies ~ "「そして、憎んでいた敵は、慈悲ある意図をもった友達として知覚される」。幻想が消滅し、幻想の憎しみや嫌悪や敵意も消滅してしまい、他者の本当の姿、慈悲に富んだ真実の姿が浮かび上がってくるのである。



Their enmity is seen as causeless now, because they did not make it.
  • enmity [énməti] : 「憎しみ、恨み、敵意、悪意、反目」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • causeless [kɔ́ːzlis] : 「原因のない、原因不明の、正当な理由のない」
❖ "Their enmity is ~ "「敵が抱いていた敵意は、今や、原因のないものだと知ることが出来る」。"because they did ~ "「なぜなら、彼らは敵意を作り出したわけではないからだ」。夜見る夢の中に登場する敵の敵意のように、実質的な原因などないのだ。憎む理由などない。では、敵意はどこから生じたのか? 肉体が分離の象徴として幻想された結果、肉体的に分離、分裂した神の子同士は、敵対せざるを得ない。なぜなら、敵対せずに和合するなら、幻想世界の分離性は解消して、肉体の持つ本体の動機、すなわち、分離を維持するという役割が消滅してしまうからだ。



And you can accept the role of maker of their hate, because you see that it has no effects.
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
  • maker [méikər] : 「作る人、製造業者、メーカー」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
❖ "And you can accept ~ "「そしてあなたは、彼らの敵意を作り出した(自分の)役割を受け入れることが出来る」。"because you see that ~ "「なぜなら、あなたは、敵意が何の結果も生みださいと分かるからだ」。あなたは、夢の中で、自分が他者に敵意を抱き、その敵意を他者に投射して、他者があなたに敵意を抱いているかように錯覚したことを受け入れることが出来るのだ。敵意を作り出したのは、外ならぬ自分だと認めることが出来るのである。なぜなら、それは自分が見ている夢の中の出来事であり、その敵意には原因も、さらにその結果も、実質的なものが何もないと知るからなのである。敵意は、流れる水の泡のように、理由もなく生まれ、理由もなく消えていく幻想なのだ。



Now are you freed from this much of the dream; the world is neutral, and the bodies that still seem to move about as separate things need not be feared. And so they are not sick.
  • be freed from : 「〜から解放される」
  • much of : 「大した〜、ひどい〜」
  • neutral [njúːtrəl] : 「中立の、無色の、中間色の」
  • move about : 「〜をあちこちに動かす、動き回る」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
❖ "Now are you freed ~ "「今やあなたは、この夢の中の夢から解放されたのだ」。"the world is ~ "「世界は中立であり、」世界はあなたに苦と悲しみを強いていると思ってきたが、今や世界は、そんなことはなく、中立であり、あなたに敵対していないことが分かり、"and the bodies that ~ "「いまだに分離して動き回っているかのように見える肉体は、恐れる必要もないものだ」と知ったのだ。"And so they are ~ "「したがって、肉体は病ではない」。世界は、あなたという肉体に敵対していないと分かったのだから、あなたの肉体を傷つけ苦しめることはない。したがって、肉体が苦しむことも病むことも、本当はないはずだ。



11. The miracle returns the cause of fear to you who made it.
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する」
❖ "The miracle returns ~ "「奇跡は、恐れを作ったあなたに、その恐れの原因を返してくれる」。「恐れの原因を返す」とは、恐れの原因が何なのか教え、その恐れを解消してくれる、という意味合い。つまり、神の子が神から分離し、神を裏切ってしまったという罪の意識を抱くと同時に、神が復讐するに違いないと恐れを抱いた。恐れの、そもそもの原因はそこにあるのだ。しかし奇跡は、それは夢の出来事であって、神の子は神を裏切ってはいないし、分離もしていないし、神がそもそも復讐するわけがないと教えてくれるのである。



But it also shows that, having no effects, it is not cause, because the function of causation is to have effects. And where effects are gone, there is no cause.
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • causation [kɔːzéiʃən] : 「因果関係、引き起こすこと、原因作用」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
❖ "But it also shows ~ "「しかし、奇跡は、that以下も示してくれる」。"that, having no ~ "「何の結果ももたいないなら、それは原因ではない」ということを示してくれる。"because the function ~ "
「なぜなら、因果律の機能とは、結果をもつことなのだから」。"And where effects ~ "「そして、結果が去ってしまったなら、そこに原因はないのだ」。因果律とは、原因と結果がワンセットで存在するのであって、原因だけ、あるいは、結果だけが単独に存在出来るものではない。結果をもたない原因は原因ではなく(having no effects, it is not cause)、原因をもたない結果も結果ではない。したがって、結果が消滅したなら(And where effects are gone)、原因もまた消滅してしまうのだ(there is no cause)。実相世界の真の因果律を考えれば、理解が深まる。神は第一原因として、あらゆる真実を生み出す。したがって、神が原因となり、神の子が結果として生み出されたのだ。これが、ワンセットでなければ存在の意味がないのだ。すなわち、原因である神にとって、結果である神の子が存在しなければ、神自体が存在しないことになってしまうのだ。言い換えれば、神と神の子は一体であり、分離も分割も出来ない存在なのである。真実のすべても同様であって、神の子が原因となって、結果、生み出された真実は、神の子と一体であって分離分割出来るものではない。したがって、神の子であるあなたと真実である愛や喜びや慈しみ、美、真理、静寂、平和、等々はまったく一体であり同体であり、同一なのである。



Thus is the body healed by miracles because they show the mind made sickness, and employed the body to be victim, or effect, of what it made.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • employ [emplɔ́i] : 「雇う、用いる、採用する、使用する」
  • victim [víktim] : 「犠牲者、被害者、被災者」
❖ "Thus is the body ~ "「こうして、奇跡が〜であると示すことで、肉体は奇跡によって癒されるのである」。"the mind made ~ "「心が病を生み出し、肉体を犠牲者として、あるいは、結果として、あるいは、心が作ったものとして、肉体を利用するのである」と、奇跡が示すことで、肉体は奇跡によって癒されるのである。心が過ちを犯すと(たとえば、憎悪、敵意、嫉妬、怒り、復讐心、悲嘆、罪の意識、等々)、心は自らの過ちを隠すために、肉体を利用して、あるいは肉体を犠牲にして、病を発症させる。関心が肉体とその病に集中し、心の過ちが表面的に隠されてしまうようにするためである。しかし、奇跡は、その心の過ちを正してくれるのである。心の過ちを取り消してくれるのだ。過ちから解放された心は、過ちを隠す必要がなくなり、肉体を解放する。こうして、肉体の病は癒されるのだ。



Yet half the lesson will not teach the whole. The miracle is useless if you learn but that the body can be healed, for this is not the lesson it was sent to teach.
  • half [hǽf] : 「半分の、半分に切った」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • useless [júːsləs] : 「使い物にならない、役に立たない、無用な」
  • sent [sént] : 「send の過去・過去分詞形」
  • send [sénd] : 「送る、派遣する、行かせる」
❖ "Yet half the lesson ~ "「しかし、半分のレッスンは、レッスン全体に触れることは出来ない」。"The miracle is ~ "「肉体が癒され得ると知っただけでは、奇跡は役に立たないのだ」。"for this is ~ "「なぜなら、奇跡は、肉体が癒され得るというレッスンだけを教えるために、送り込まれたのではないからだ」。奇跡は、神が、あるいはホーリー・スピリットが神の子に与えてくれる贈り物である。その目的は、単に、肉体が癒され得るというレッスンを神の子に与えるためだけではない。



The lesson is the mind was sick that thought the body could be sick; projecting out its guilt caused nothing, and had no effects.
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去形、過去分詞形」
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
❖ "The lesson is the mind ~ "意訳する、「奇跡が与えてくれる本当のレッスンは、肉体が病気になり得ると思う心自体が病んでいると教えることなのだ」。"projecting out its guilt ~ "「罪の意識を投射しただけのことであって、何も起きなかったし、結果ももたなかったのだ」と教えることなのだ。神を裏切ったという罪の意識を、心の外側に投射してこの幻想世界を偽創造したのだが(projecting out its guilt)、それは単なる幻想であって、つまり、夢の出来事であって、本当は何も起こらなかったのだ(caused nothing)。投射によって幻想が生まれたとしても、それは、実質的な結果ではない(and had no effects)。同様に、心が過ちを犯して、その過ちを隠すために過ちを投射して(projecting out)、肉体に病を発症させたとしても、それは幻想であって、病は実質的なものとして存在するのではない。病もまた、心が生み出した幻想であって、本当は何も起きていないのだ(caused nothing)。実質的な病という結果は存在し得ないのである(had no effects)。奇跡があなたに教えたいと思っているレッスンは、こういうことなのである。
 
 
 




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