●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-29.I.3-1 ~ T-29.I.3:10

3. The fear of God! The greatest obstacle that peace must flow across has not yet gone.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定、静けさ、沈黙」
  • flow [flóu] : 「流れる、自由に動く、満ちる」
  • across [əkrɑ́s] : 「〜を横切って、〜を横断して」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
❖ "The fear of ~ "「神への恐れとは!」。"The greatest obstacle ~ "「平和が乗り越えなくて流れて行かねばならない最も大きな障害は、まだ去ってしまったわけではない」。真の心の平安を得るために越えなくてはならない最大の障害は、神に対する恐れである。神に対する恐れがそもそも生まれたのは、神の子が神を裏切って神から分離したことに始まる。そして、神はその裏切りに対して必ず罰するに違いないという恐れが生まれたのだ。神の子は、裏切りに対する罪の意識と神の罰への恐れに耐えきれずに、自己を乖離し、つまり、分離分裂した別人格の自分を作り出して、心の外部に投射して作り出した幻想世界にその自己を投げ出して、幻想世界に生きることにしたのである。幻想世界に、自分もまた幻想として生きることを選択したのだ。しかし、もちろん、神は、永遠に神の子を愛しているのであり、もしその愛に応えて、神の子が神を受け入れたなら、つまり、神の実相に目覚めたら、幻想に過ぎない分離分裂した自己は消滅し、同時に幻想世界も消滅する。神の至上の愛を受け入れたら、神の愛によって今の自分が崩壊し、今の生活のすべてが崩壊し消滅すると信じるあまり、神の愛を最も恐れるのである。



The rest are past, but this one still remains to block your path, and make the way to light seem dark and fearful, perilous and bleak.
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
  • past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の、これまでの」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する、依然として〜のままである」
  • block [blάk] : 「遮る、妨害する、阻む、妨げる、阻害する」
  • path [pǽθ] : 「道、小道、細道、通り道、通路、経路、進路」
  • light [láit] : 「光、ライト、明か」
  • dark [dάːrk] : []暗い、闇の、暗黒の
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • perilous [pérələs] : 「危険な、冒険的な、危険の多い」
  • bleak [blíːk] : 「荒涼とした、殺風景な、わびしい、寒々とした」
❖ "The rest are past ~ "「残りの障害は、過ぎ去ってしまったのだが、この神の愛への恐れだけは、あなたの行く手の道をブロックして居座ったままである」。"and make the way ~ "「その結果、光への道は、暗く恐ろしく、危険で荒涼たるものに見えるのである」。"the way to light"「光への道」とは、もちろん、実相世界、天の王国への道のこと。幻想世界から実相世界への目覚めの道だ。神への回帰そのもの、と思ってもいい。その旅の道は、同胞やホーリー・スピリットやキリストを道連れとした、本来は楽しいものであり、心安らぐものであるが、神の愛への恐れがそれをかき消して、道は暗く恐ろしげに見えてしまうのである。真実を知ることへの恐れであり、愛への恐れである。光に曝(さら)されるよりは、暗闇にじっとしていた方が安全だと思っているのである。真実を知るより、虚偽の中で目をつぶっていた方が安全だと考えるのである。



You had decided that your brother is your enemy. Sometimes a friend, perhaps, provided that your separate interests made your friendship possible a little while.
  • decide [disáid] : 「きっと〜だと思いこむ、〜だと確信する」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • provided [prəváidid] : 「〜という条件で、もし〜とすれば、もし〜ならば」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • interest [íntərəst] : 「興味、関心、趣味、利益、利害」
  • friendship [fréndʃip] : 「友情、友情関係」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • a little while : 「ちょっとの間、しばらくの間」
❖ "You had decided ~ "「あなたは、あなたの同胞があなたの敵であると決定した」。"Sometimes a friend, perhaps, ~ "「時には、たぶん、〜ならば、友達と決定したであろう」。"provided that your ~ "「あなたがたの別々の利害が、しばらくの間、あなたがたの友情を可能にすることがあったなら、」あなたは同胞を友達と決定したであろう。あなたと同胞が、利害関係で分離しており、対立することがなかったら、あなたは同胞を、敵と思わずに友として扱っただろう。しかし、それとても、つかの間のことである。



But not without a gap perceived between you and him, lest he turn again into an enemy.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • lest [lést] : 「〜しないように、〜するといけないから」
  • turn into : 「〜に変わる、〜に変化する」
  • again [əɡéin] : 「再び、また」
❖ "But not without a gap ~ "「しかし、同胞が再び敵に転じないようにするために、あなたと同胞の間のギャップを知覚しないでおくことは出来ない」。利害関係が対立せず、友達関係が成立したとしても、相手がいつ敵に転じるかわかったものではないので、心を許すことなく、ギャップを保って接するわけである。距離をおいた関係性を保たなくてはいけないのだ。



Let him come close to you, and you jumped back; as you approached, did he but instantly withdraw.
  • come close [klóus] to : 「〜に近づく、〜に接近する」
  • jump back : 「後方にジャンプする、体が後ろに引く、急いで戻る」
  • approach [əpróutʃ] : 「近づく、近くなる、接近する、近寄る」
  • instantly [ínstəntli] : 「すぐに、すぐさま、一瞬にして、即座に」
  • withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「手を引く、身を引く、引き下がる」
❖ "Let him come close ~ "「同胞をあなたに近づければ、あなたは後ろに飛び退(の)くだろう」。ギャップを縮めるようなことがあれば、あなたは恐れをなして身を引くだろう。"as you approached, did ~ "「あなたが近づけば、即座に、同胞は身を引くのである」。同胞も、あなたと同様の反応を示す。ところで、蛇足になるが、文章は過去形で語られているが、ACIMでは、時制はあまり気にしないこと。ここでは、気持ちとしては、過去もそうであったし、今もそうだ、といった意味合い。時間の存在しない実相においては、すべてが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。幻想世界の出来事は、過去現在未来すべて含めて、実相世界ではすでに起きてしまっている。したがって、実相的視点から眺めれば、事象を過去形で表現しようが現在形で表現しようが、そこに重大な差は生じないのだ。ACIMは、時間系列で事を論じているのではない。



A cautious friendship, and limited in scope and carefully restricted in amount, became the treaty that you had made with him.
  • cautious [kɔ́ːʃəs] : 「用心深い、注意深い、慎重な、注意する」
  • limited [límitid] : 「限られた、有限な、制限された、限定の」
  • scope [skóup] : 「余地、余裕、自由、範囲、領域」
  • carefully [kέərfəli] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • restricted [ristríktid] : 「制限された、限られた、制限的な、限局的な、狭い」
  • amount [əmáunt] : 「量、額」
  • became [bikéim] : 「become の過去形」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • treaty [tríːti] : 「条約、盟約」
❖ "A cautious friendship ~ "「慎重な友人関係、つまり、可動範囲の制限、量的制限、等々は、あなたが同胞と交わした条約となる」。あなたは同胞と友人関係を結ぶのだが、それは制限されたものであり、分離を犯すものであってはならないものとする。友人関係として、動ける範囲、関係性の密度、つまり、かかわり合いの量、等々が、微妙に制限されて、あなたと同胞の間のギャップが確実に保たれるように調整しているのだ。



Thus you and your brother but shared a qualified entente, in which a clause of separation was a point you both agreed to keep intact.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • qualified [kwɑ́ləfàid] : 「制限された、条件を満たした、適格の」
  • entente [ɑːntɑ́ːnt] : 「協商、協約」
  • clause [klɔ́ːz] : 「節、条項、箇条」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • point [pɔ́int] : 「重点、重要なこと、核心、論点、要点」
  • both [bóuθ] : 「両方ともに、双方ともに」
  • agree [əgríː] : 「同意する、合意する、賛成する、一致する」
  • intact [intǽkt] : 「損なわれていない、手を付けていない」
❖ "Thus you and your brother ~ "「こうして、あなたと同胞は、制限された条約を分かち合っており、」"in which a clause ~ "「その条約の中でも、分離という条項は、両者ともに手をつけてはならないと同意した重要なポイントである」。この分離という条項を犯すとき、あなたと同胞の制限された友人関係は破綻する。逆に、同胞と友人関係を保ちたいなら、決して分離を犯してはならない。



And violating this was thought to be a breach of treaty not to be allowed.
  • violate [váiəlèit] : 「違反する、犯す、破る」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • breach [bríːtʃ] : 「違反、破棄、不履行、侵害」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
❖ "And violating this ~ "「そして、分離を犯すべからずという条項が破られるとき、それは、許されざるべき条約違反と思われることになるのだ」。そう判断されて、即、友人関係は破綻する。結局、分離を犯すべからずという条約に制限されるような友人関係は、偽ものの友人関係であって、分離という幻想の上に咲いたあだ花に過ぎない。幻想は変化流動し、崩壊に向かわざるを得ないように、分離の友人関係も、遅かれ早かれ崩壊するのである。そして、それに懲りることなく、また新たな虚偽の友人関係を求めて、幻想世界を徘徊することになる。
 
 
 


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