●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-22.IV.6:1 ~ T-22.IV.7:8

6. To all who share the Love of God the grace is given to be the givers of what they have received. And so they learn that it is theirs forever.

  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • grace [gréis] : 「品のよさ、優雅、優美、恩恵、恩寵、神の愛」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • give of : 「〜を惜しみなく与える、差し出す、ささげる」
  • giver [ɡívər] : 「与える人、贈与者、寄贈者」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "To all who share ~ "「神の愛を分かち合う者すべてに、神の恩寵が与えられ、その結果、受け取ったものを(今度は)与える者となるのだ」。少々意味が曖昧だ。"to be the givers ~ "この部分を不定詞の結果的用法と捉えて訳してみたが、「受け取ったものを(今度は)与える者となるために」と単純な副詞的用法に捉えても意味は通じる。神の愛を分かち合うとは、ここでは、救いと赦しを分かち合うと考えていいだろう。あなたと同胞が、お互いに罪を赦し合い、罪から救い合うことで、つまり、実相的な真実(神の愛)を分かち合うことで、神は両者に至上の祝福を与えてくれるのである。その結果、神の愛を受け取ったあなたは、その神の愛を、今度は他の同胞に与えることの出来る者となるのだ。つまり、キリストによって救われたあなたは、今度はキリストとなって他者を救う者となるのである。"And so they learn ~ "「そうして、彼らは、神の愛が永遠に彼らのものであると知るのである」。神の子は、神に永遠に愛され続けると知るのである。ここで、蛇足になるが一言。"to be the givers ~ "この部分は、1975年版では"to the givers ~ "となっている。これだと"To all who ~"と"to the givers ~ "の二つがダブってしまうのだ。なぜ、このような不具合が起きたのか? そもそもACIMはヘレンの内奥の声を、ヘレンが速記によって書き取り、その後、速記を普通の英語に文書化したものである。速記した時点の誤りや、清書段階での誤りも多々あるに違いないのだ。内奥の声の主(恐らくはイエス)が姿を現し、本人が机に向かってACIMを文書として書いたものではないのである。その事情を考慮した上で、ACIMを読んで行かなければなるまい。さらに、ACIMは文書として与えられたものではなく、音声として語られたものであるから、我々がACIMを声に出して読んでみる価値はあるのだ。英語の原書を、朗読する意味は確かにある。だからこそ、この精読では便利のために、単語には意味だけではなく、発音記号も書き記すことにしたのである。そこ意図を十分くみ取って、是非、声に出して読んでほしい。



All barriers disappear before their coming, as every obstacle was finally surmounted that seemed to rise and block their way before.
  • barrier [bǽriər] : 「障害物、障壁、バリア、柵、垣根」
  • disappear [dìsəpíər] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして、面前で」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
  • finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に、とうとう」
  • surmount [sərmáunt] : 「乗り越える、克服する、突破する、打ち勝つ」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
  • block [blɑ́k] : 「ふさぐ、封鎖する、遮る、妨害する、阻む、妨げる」
❖ "All barriers disappear ~ "「彼らが(その地点に)やって来る前に、すべての障害物は消滅してしまうのだ」。"as every obstacle ~ "「以前は、彼らの道の前に立ちのぼり、道を遮ったかに見えた、あらゆる障害物は、ついには突破されたからである」。あなたが実相世界に向かう、その道に立ち現れた障害物は、エゴの作った幻想である。あなたが実相世界に目覚めることを、エゴは何としてでも阻止したいのだ。しかし、あなたは、そのエゴの策略を突破することが出来たのだ。



This veil you lift together opens the way to truth to more than you.
  • veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
  • lift [líft] : 「持ち上げる、解除する、取り除く、撤廃する」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "This veil you lift ~ "「あなたが同胞と共に(幻想の)ベールを持ち上げることで、あなたと同胞だけでなく、もっと多くの者に、真実への道が開かれるのだ」。あなたが、幻想を幻想と見抜いて、その幻想を払拭することで、多くの同胞達も、真実への道を歩み始めることが出来るようになる。つまり、キリスト性を帯びたあなたは、多くの同胞を救い出すキリストその者となるのである。その第一歩が、まず自分の前の幻想というベールを消滅させることである。



Those who would let illusions be lifted from their minds are this world's saviors, walking the world with their Redeemer, and carrying his message of hope and freedom and release from suffering to everyone who needs a miracle to save him.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • redeemer [ridíːmər] : 「救い主、贖い主」
  • carry [kǽri] : 「〜を運ぶ、〜を持ち運ぶ」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、連絡事項、通信」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "Those who would ~ "「幻想を心から取り除こうと望む者は、この世界の救い主である」。"walking the world ~ "「彼らは、彼らの救い主(であるキリスト)と共にこの世界を歩み、」"and carrying his message ~ "「救いという奇跡を必要とするすべての人達に、希望と自由と、そして苦しみからの解放というキリストのメッセージを運んで行くのである」。自分の心から幻想を払拭する者は、この世界を幻想から救い出す救い主となる。キリスト性を帯びた神の子は、キリストと共にこの世界を歩み、多くの同胞を幻想という苦しみから解放するのだ。仏教で言う菩薩行であり、いわば、ここでは、キリスト行とでも呼べるだろうか。



7. How easy is it to offer this miracle to everyone! No one who has received it for himself could find it difficult.
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • find [fáind] : 「〜であることが分かる、〜に気付く、〜と思う、〜と感じる」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
❖ "How easy is it ~ "「すべての者に、この奇跡を差し出すことは、なんと容易なことであろう」。希望と自由と解放、つまり、幻想からの目覚めという奇跡は、実は容易なことなのだ。"No one who has ~ "「奇跡を自分自身のために受け取った者は誰も、奇跡が難しいと思うことはない」。奇跡には、その難易度に序列のないことを思い出そう。幻想世界から見れば、実相世界の出来事はすべて奇跡に見えるだろうが、実相世界では、それは極く当たり前の、自然な事象なのだ。奇跡はすべて容易であり、したがって、難しさの序列などない。



For by receiving it, he learned it was not given him alone.
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "For by receiving ~ "「なぜなら、奇跡を受け取ることで、」"he learned it ~ "「彼は,奇跡が彼だけに与えられたのではいと知るからだ」。希望と自由と解放の奇跡は、彼だけに特別に与えられたものではなく、多くの同胞に与えられたことを知れば,その奇跡は特別なものではなく、困難なことでもなく、奇跡を差し出しそれを受け取るという一連の行為は、実に自然な、容易なことだと理解されるのである。



Such is the function of a holy relationship; to receive together and give as you received. Standing before the veil, it still seems difficult.
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「 関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Such is the function ~ "「神聖な関係性の役割とはそういうものである」。"to receive together ~ "「つまり、共に(奇跡を)受け取り、あなたが受け取ったように与えるのである」。奇跡を分かち合うという意味合いである。幻想世界の特別な関係性にあっては、奇跡は一切起きようがない。なぜなら、奇跡は実相の出来事であり、幻想にどっぷり浸かって眠りこけている者には、実相的現象は起きようがないからだ。起きたとしても、気付きはしない。しかし、神聖な関係性では、事情が大きく異なる。あなたとパートナーが神聖な関係性を結ぶということは、共に実相と深い関わりを持つということであり、奇跡が極く自然に起き、その奇跡を共に共有することになるのだ。"Standing before ~ "「(幻想という)ベールの前に立っている限り、奇跡は困難に見えるのである」。幻想に騙されている限り、奇跡は困難だ。実相に目覚めれば,奇跡は容易である。



But hold out your joined hands and touch this heavy-seeming block, and you will learn how easily your fingers slip through its nothingness.
  • hold out : 「差し出す、提供する、提出する」
  • join [dʒɔ́in] : 「結合する、連結する、合わせる、つなぐ」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「〜に触れる、〜にさわる」
  • heavy [hévi] : 「重い、重みのある」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • finger [fíŋɡər] : 「指」
  • slip [slíp] : 「滑るように進む、気付かれずに過ぎる」
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
❖ "But hold out your ~ "「しかし、同胞と繋ぎ合った手を差し出し、この重そうに見える障害物に触ってみなさい」。"and you will learn ~ "「そうすれば、あなたは、あなたの指が、その何もない障害物を、いかに簡単にすり抜けてしまうかがわかるだろう」。障害物のベールは幻想である。そこには何もない(nothingness)のだ。あるように錯覚しているだけである。神聖な関係性の中にある二人は、実相的であるが故に、幻想に騙されることは、もうない。幻想のベールも素通り出来、そこに何もないことを知る。知ることで、幻想は消滅してしまうのである。



It is no solid wall. And only an illusion stands between you and the holy self you share.
  • solid [sɑ́ləd] : 「硬い、頑丈な、中身の詰まった、中空でない」
  • wall [wɔ́ːl] : 「障壁、城壁、内壁、塀、壁」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "It is no solid ~ "「それは、固い壁などではない」。"And only an illusion stands ~ "「ただ、幻想が、あなたと、あなたが(同胞と)分かち合う神聖な自己との間に立ちはだかっているだけなのだ」。"the holy self you share"「あなたが分かち合う神聖な自己」とは、あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分、つまり、あなたのキリスト性と見ていい。幻想世界にあっては、あなたの意識は、その心のキリスト性に気付いてはいない。幻想のベールが、その間に立ちはだかっているからだ。しかし、それは固い壁ではない。単なる錯覚であり、そこには何もないのだ。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター