●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.Intro.1:1 ~ T-23.Intro.2:6

 

A Course in Miracles
 

 
 
Text - Chapter 23
 

 
 
The War Against Yourself
自分自身との戦い
 
 
Introduction
 
 
1. Do you not see the opposite of frailty and weakness is sinlessness? Innocence is strength, and nothing else is strong.
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のこと、、逆の物、反対の物」
  • frailty [fréilti] : 「弱さ、もろさ、はかなさ」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
  • sinlessness [sʌ́nlisnis] : 「罪にないこと、無辜(むこ)、潔白性」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真 」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力」
  • else [éls] : 「そのほかの」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強、力がある」
❖ "Do you not see ~ "「もろさ、弱さの正反対にあるものが罪のないことだと、あなたにはわからないのだろうか」。"Innocence is ~ "「無辜(むこ)であることは強さなのだ」。"and nothing else ~ "「それ以外のものはどれも、強くはない」。ここで言っている強さとは、実相的強さのことであって、肉体的な筋力や腕力のことではない。罪がないと自覚した状態は、罪という幻想から脱却した状態であり、実相世界の実在として自分の存在を認識できたことを意味する。自分の存在の確実性を知った人間が、一番強いのだ。実存を知った心の強さである。イエス・キリストの生き方と死に方を見れば、真の強さが何を意味するか、わかるだろう。



The sinless cannot fear, for sin of any kind is weakness.
  • sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な、無辜(むこ)の」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "The sinless cannot ~ "「無辜は恐れを知らない」。"for sin of any ~ "「なぜなら、いかなる種類の罪も、それは弱さであるからだ」。罪は弱さの象徴であり、罪なきことは強さの象徴である。罪は幻想であり、したがって虚偽であり、無辜は実相であり、したがって真実である。虚偽は弱さであり、真実は強さである。ACIMの言う強さと弱さとは、したがって、真実であるか虚偽であるか、実在か非実在か、ということなのだ。したがって、言い換えれば、非実在の幻想に負けることが弱さであり、それに打ち勝つことが強さである。



The show of strength attack would use to cover frailty conceals it not, for how can the unreal be hidden?
  • show [ʃóu] : 「見せること、現れ、表現」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • cover [kʌ́vər] : 「覆う、かぶせる、覆い隠す」
  • conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
  • unreal : 「実在しない、非現実的な、実存しない、虚偽の、真実性のない」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
❖ "The show of strength ~ "「攻撃性が、もろさを隠すために利用する強さの見せびらかしは、弱さを隠し通せるものではない」。"for how can ~ "「なぜなら、非実在であるものを、どうすれば隠せるというのか」。弱さは幻想であり、非実在である。ありもしないものを隠すことなど、論理的に不可能ではないか、と言っているのだ。もちろん、ありもしない弱さを隠そうとする攻撃性も、その攻撃性が見せびらかす強さも、非実在である。幻想に過ぎない。



No one is strong who has an enemy, and no one can attack unless he thinks he has.
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
❖ "No one is strong who ~ "「敵がある者は、強くはないのだ」。"and no one can ~ "「敵があると思わない限り、誰も攻撃など出来るわけがない」。実は、敵がいるから攻撃するのではないのだ。自分の実在性(真実)を疑うところに不安が生じ、攻撃というエキサイティングな行為(幻想)を通じて自分を確認したいがために、わざわざ敵を作り出して、攻撃するのである。端的に言えば、自分の心の中の罪の意識をかき消そうと、敵を作り出して、攻撃するのだ。独り芝居をするのである。



Belief in enemies is therefore the belief in weakness, and what is weak is not the Will of God. Being opposed to it, it is God's "enemy." And God is feared as an opposing will.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
  • be opposed to : 「〜に反対している、〜に向かい合っている」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • opposing : 「対立するところの」
❖ "Belief in enemies ~ "「したがって、敵の存在を信じる心は、自分の弱さを信じることである」。自分に敵がいると思う者は、自分が弱いからだと思うべきだ。"and what is weak ~ "「そして、弱いことは、神の意思ではない」。神は、神の子が弱いものだと認識していないし、それを望んでもいない。"Being opposed to ~ "分詞構文、理由、「弱さは、神の意思に反しているから、神の『敵』なのである」。"And God is feared ~ "「そして、対立する意思として、神は恐れられるのだ」。自分の弱い意思に対して、神の意思は無限に強い。自分はややもすると幻想に打ち負けてしまうが、神が幻想に負けることはない。そこで、そんな神に守られることを素直に選べばよいのに、逆に、人は神を恐れてしまうのだ。中には、恐れるだけでなく、神を憎む者さえ現れる。極限的な強さなど存在しないと結論づけて、神の存在を否定する者も現れる。なんとも、様々な人間模様である。



2. How strange indeed becomes this war against yourself!
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • become : 「〜になる」
  • war [wɔ́ːr] : 「戦争、争い」
  • against [əɡéinst] : 「〜に逆らって、〜にそむいて、反抗して」
❖ "How strange indeed ~ "「あなた自身とのこの戦いは、何とも奇妙なものになる」。神の意思に添いたいが、つまり強くなりたいが、自分は弱い。潔白であると主張したいが、自分には罪がある。敵を作りたくないが、ついつい敵を作ってしまう。方や神に愛される自分がいて、一方に、それに近づけない自分がいる。その自分自身との戦いが、いかにも奇妙に、長引いているのだ。つまり、幻想の中の戦いから抜け出せないでいる。



You will believe that everything you use for sin can hurt you and become your enemy.
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
❖ "You will believe that ~ "「罪の(存在の)ためにあなたが利用するすべては、あなたを傷つけ得るし、あなたの敵にもなり得ると、あなたは信じるようになるだろう」。たとえば、相手があなたに対して過ちを犯したとしよう。するあなたは、悪いのはアイツで、アイツに罪がある。自分を傷つけた罪は、確かに実在するのだ。だから、アイツを攻撃していいし、攻撃することで自分の潔白を守っていい、と結論するのである。"you use for sin"「罪のために、あなたが利用するすべて」とは、したがって、「罪の存在を浮き立たせるために、あなたが行う行為のすべて」という意味合いだ。



And you will fight against it, and try to weaken it because of this; and you will think that you succeeded, and attack again.
  • fight [fáit] : 「戦う、競う、格闘する」
  • fight against : 「〜と戦う」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • weaken [wíːkn] : 「弱める、弱体化させる」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
  • again [əɡéin] : 「再び、さらに、また一方」
❖ "And you will fight ~ "「そして、この信念のゆえに、あなたは、敵と戦い、敵を弱らせようとするだろう」。罪は実在すると信じることで、あなたは敵を作り、敵と戦い、敵を弱らせようとする。しかし、弱るのは、あなた自身なのだ。なぜなら、あなたは、ありもしない幻想と戦うのだから。"and you will think ~ "「そして、あなたは、うまくいったと思い、再び、戦いに挑むのだ」。幻想の敵と戦い、戦いに勝ち、また現れた敵と戦い、・・・というように、幻想の戦いは終わりを知らない。これが、幻想世界の人間模様である。



It is as certain you will fear what you attack as it is sure that you will love what you perceive as sinless.
  • certain [sə́ːrtn] : 「確信している、確実な、確かな、確信して」
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
❖ "It is as certain you ~ "「あなたが攻撃するものを、あなたは恐れている、そのことが確かなのは、」"as it is sure that ~ "「あなたが罪なしと知覚するものを、あなたは愛している、そのことが確かなのと同様である」。恐れと攻撃が対をなしているように、無辜と愛が対をなしているのだ。そして、この二つの対のうち、どちらか一方だけを、あなたは選択出来る。両方を同時に選び取ることは出来ない。さて、あなたはどちらを選択するだろうか?



He walks in peace who travels sinlessly along the way love shows him.
  • walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
  • in peace : 「平安に、安らかに、安心して、静かに、無事に」
  • travel [trǽvl] : 「進む、歩く、走る、動く、移動する、旅する、旅行する」
  • sinlessly : 「罪なく、潔白に」
  • along [əlɔ́ːŋ] : 「〜に沿って、〜と平行に、〜に従って」
❖ "He walks in peace who ~ "「愛が示す道に沿って、罪のない身で旅する者は、平和のうちを歩むのだ」。無辜と愛が対をなすと書いたが、そこに平和が加わるわけだ。もちろん、喜びも感動も静けさも、そこに加わってくる。実相は実相を呼び、幻想は幻想を呼ぶ。実相と幻想が交じり合うことは決してない。



For love walks with him there, protecting him from fear. And he will see only the sinless, who can not attack.
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な」
❖ "For love walks with ~ "「なぜなら、罪なき身で旅する者に、愛が共に歩ゆんでくれるからだ」。だから、心は平和なのだ。"protecting him ~ "分詞構文、理由、「愛が、彼を恐れから守ってくれるからだ」。"And he will see ~ "「罪なき身で歩む者には、罪なき者だけが目に入るだろう」。"who can not ~ "「罪なき者は、攻撃することがないのだから」。罪なき者は、愛の示す道を歩むのだが、その道の通じる先には、天の王国がある。実相世界への旅なのだ。
 
 
 

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