11. Who can attack the Son of God and not attack his Father?
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
❖ "Who can attack ~ "「いったい誰が、神の子を攻撃しておいて、父なる神は攻撃しない、などということが出来ようか」。神の子を攻撃することは神を攻撃することである。あなたが同胞を攻撃するとき、それは、同時に、神を攻撃していることになる。なぜなら、神と神の子は分離出来ず、一体であるからだ。
How can God's Son be weak and frail and easily destroyed unless his Father is? - weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
- frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
- easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
- destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、ぶち壊す、崩壊させる」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて、もし〜でなければ」
❖ "How can God's Son ~ "「神の子は、どうすれば弱々しく、もろく、簡単に破壊され得るだろうか」。"unless his Father ~ "「神がそうでない限りにおいて」。神は弱くも、もろくも、破壊されることもない。したがって、神の子も同様に、弱くも、もろくも、破壊さえされ得ないのだ。
You do not see that every sin and every condemnation that you perceive and justify is an attack upon your Father. - sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- condemnation [kὰndemnéiʃən] : 「激しい非難、糾弾、有罪宣告」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "You do not see that ~ "「あなたは、that以下がわかってない」。"that every sin and ~ " 「あなたが知覚し正当化するあらゆる罪、あらゆる非難は、あなたの父なる神への攻撃なのだ」と、あなたはわかっていない。あなたが同胞を見て、その同胞に罪があると非難することは、神と一体である同胞を非難したことであるから、神を罪ありと非難したことになる。
And that is why it has not happened, nor could be real. - happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸」
- real [ríəl] : 「現実の、実際の、本物の、実在的な」
❖ "And that is why ~ "「それこそ、こんなことが起きようもない理由であり、現実ではあり得ない」。神は実相世界の存在であり、罪も非難も存在しない世界に住む。純粋な愛であり、純粋な喜びであり、慈悲そのものなのだ。そんな神を罪ありと宣言することは完璧な矛盾、完全な誤りなのだ。
You do not see that this is your attempt because you think the Father and the Son are separate. - attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
- separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "You do not see that ~ "「これが、あなたの試みであると、あなたはわかっていない」。"because you think ~ "「なぜなら、あなたは、父なる神と神の子は分離していると思っているからだ」。あなたにとって、同胞が非難の的になり得ると思うことは、神も非難の的になり得ると考えていることに等しい。つまり、あなた対、神という構図が描けると考えているのだ。しかし、あなたと神は分離などしていない。神はあなたであり、あなたは神である。そう言って誤解を生じるなら、あなたは完全に神に包摂されている、と言い直そうか。あなたと神は分離出来るものではないのだ。したがって、あなたが神を分離した対象として非難することは不可能であり、したがって、あなたが同胞を罪ありと非難することも、同様に不可能なのだ。それが可能だと信じているところに、あなたの幻想性が見え隠れするのである。
And you must think that they are separate, because of fear. ❖ "And you must think ~ "「あなたは、神と神の子は分離していると思っているに違いない」。"because of fear"「それは、恐れのせいなのだ」。そもそも、神の子が神と分離した後、神の子は犯した罪と、その罪に対する神の罰への恐れに耐えかねて、自己を乖離し、この幻想世界を投射したのだ。神への罪の意識と、神の罰への恐れは、あなたの無意識の一番奥底に常にうずいている。分離と恐れは表裏一体である。
For it seems safer to attack another or yourself than to attack the great Creator of the universe, Whose power you know.- safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない、無難」
- great [gréit] : 「偉大な、卓越した、巨大な」
- creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
- universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象、全世界」
❖ "For it seems safer to ~ "ここは、"it ~ to ~ "の構文、「なぜならば、世界の偉大な創造主である神を攻撃するよりは、他者を、あるいはあなた自身を攻撃した方が安全に思えるからなのだ」。"Whose power ~ "「その神のもっているパワーを、あなたは知っているからなのである」。強大なパワーをもつ神を攻撃するより、他者を、あるいは自分自身を攻撃する方が安全だと信じているのだが、それは、結果的に、神を攻撃していることと同じである。神と神の子は分離出来ないからだ。ところで、"he great Creator of the universe"「世界の偉大な創造主」とは、世界を創造した偉大な創造主ということであるが、この幻想世界を神が創造したのではない。神が創造した世界は、実相世界である。天の王国である。神は、この幻想世界と一切の関わりをもたない。
12. If you were one with God and recognized this oneness, you would know his power is yours. - recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- oneness [wʌ́nnis] : 「一体感、単一性、同一性、統一性」
❖ "If you were one ~ "仮定法過去、「もし、あなたが、神と一体であり、この一体性を認識してるなら、」"you would know ~ "「あなたは、神のパワーが、あなたのものでもあると知っていることだろう」。神は、神の子を創造するにあたり、神の属性のすべてを神の子に継承した。したがって、神のパワーも、当然、神の子に継承したのだ。しかし、神の子が神と分離した後、神の子は神の属性を捨て、あるいは忘れ去り、神のパワーを失ったと思い込んだ。しかし、それは錯覚である。神のパワーは、あなたの心の中にちゃんと存在している。眠っているのだ。
But you will not remember this while you believe attack of any kind means anything. - remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- of any kind : 「いかなる種類の」
- mean [míːn] : 「〜を意味する」
❖ "But you will not ~ "「しかし、あなたは、〜するうちは、このことを思い出すことはないであろう」。このこととは、神のパワーがあなたのものである、ということ。"while you believe ~ "「あなたが、いかなる種類の攻撃であれ、意味があると信じているうちは、」神のパワーがあなたのものであると、思い出すことはないであろう。幻想の攻撃が意味をもっていると信じているうちは、幻想の実在性を信じていることであって、そのパワーの存在も信じていることになる。真のパワーは幻想的ではなく、実相的なのだと気づいたときになって初めて、あなたは心のパワー、つまり神のパワーが自分に備わっていると知ることになるのだ。
It is unjustified in any form, because it has no meaning. - unjustified : 「不当な」
- in any form : 「いかなる種類のものであれ」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
❖ "It is unjustified ~ "「攻撃は、どんな形のものであれ、正当化出来ない」。"because it has ~ "「なぜなら、攻撃は意味がないからだ」。攻撃はエゴが唆(そそのか)す幻想である。幻想は実在しないから意味がない。意味のない夢の出来事と同じなのだ。夢は実在性をもたないから、現実的に正当化出来ない。むしろ、正当化するとかしないとかの、評価の範疇に入らないのだ。
The only way it could be justified is if each one of you were separate from the other, and all were separate from your Creator. - justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
❖ "The only way it ~ "仮定法過去、「もし、あなたがたの一人ひとりが他者から分離しており、創造主である神とも分離しているのなら、それは、攻撃が正当化され得る唯一の道であろう」。神の子も神も全部が分離しているなら、つまり、幻想が真実であるなら、幻想の攻撃も真実であり、攻撃が実在すると正当化され得るだろう。しかし、本当はそうではない。
For only then would it be possible to attack a part of the creation without the whole, the Son without the Father; and to attack another without yourself, or hurt yourself without the other feeling pain. - possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
❖ "For only then would ~ "「なぜなら、そのときに限って、創造されたものたち全体ではなく一部を攻撃することが可能であり、神をもたない神の子を攻撃することが出来るし、あなた以外の他者が痛みを感じないままに、あなた自身を傷つけることが出来るからだ」。一言で言えば、分離を基盤とした世界では、幻想の攻撃が出来るということになる。神と神の子、神の子同士が分離しているとすると、それは幻想という状況下にあり、他者と呼べる攻撃対象が存在できる状況下であるから、幻想である攻撃が可能な状態なのである。あなたは、分離した同胞を攻撃できるし(attack a part of the creation)、他者に痛みを知られることなく自分自身を傷つけることも出来る(hurt yourself without the other feeling pain)。ところが、神と神の子、神の子同士が分離していないとすると、それは実相という条件下にあり、神も神の子も一体であって、攻撃が不可能になるのだ。なぜなら、攻撃には相手、他者が必要であるが、実相下では、その相手、他者がいないからだ。相手がいないのに、つまり、主体客体が消滅している状況下なのに、どうして攻撃が可能であろうか。
And this belief you want. Yet wherein lies its value, except in the desire to attack in safety? - belief [bilíːf] : 「信じること、信念、意見、信仰、信条、信用、信頼」
- wherein [hweərín] : 「いかにして、どのようにして」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
- in safety [séifti] : 「安全に、無事に」
❖ "And this belief ~ "「あなたは、こんなことを信じたいと思っているのだ」。"Yet wherein lies ~ "「しかし、〜を除けば、その価値はどこにあろうか」。"except in the desire ~ "「安全を確保しておいて攻撃したいと望む場合を除けば、」その価値はどこにあろうか。あなたは、自分の安全を確保しておいて、その上で攻撃できると信じている。ところが、安全は確保され得ない。他者を攻撃することは自分を攻撃することであって、原理的に、自分の安全を確保できないのだ。
Attack is neither safe nor dangerous. It is impossible. And this is so because the universe is one. - neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
- safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない、無難な」
- dangerous [déindʒərəs] : 「危険な、物騒な」
- impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、宇宙、万物、森羅万象、全世界」
❖ "Attack is neither ~ "「攻撃は、安全でも危険でもない」。"It is impossible"「攻撃は不可能なのだ」。幻想の攻撃は幻想の中だけに存在する。実相的には、攻撃は存在出来ないのだ。存在すら出来ないので、攻撃は不可能であり、安全でも危険でもない。攻撃は単なる夢だ。夢の中だけしか、攻撃は存在し得ない。"And this is so ~ "「世界は一体であるから、攻撃は不可能なのだ」。実相世界は一体であり、すべてが調和協調して、融合した世界である。主体と客体も融合しており、まさに、一元論世界なのだ。主体客体が消滅した中で、攻撃は不可能となる。実相世界には攻撃という概念が存在しないのだ。
You would not choose attack on its reality if it were not essential to attack to see it separated from its maker. - choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- essential [isénʃəl] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない、必須の」
- separated : 「分離した、別々離ればなれになって」
- maker [méikər] : 「創造主、作る人、製造業者」
❖ ここは後半部分から、"if it were not essential ~ "仮定法過去、"it ~ to ~ "の構文、「もし、世界がその創造主から分離していると見るために攻撃することが必須でなかったなら、」"You would not choose ~ "「あなたは、世界の実在性を攻撃することなど選択したりはしないだろう」。非常に難解である。ここは、逆方向から考えよう。もしあなたが、唯物論を武器にして、実相世界の実在性を攻撃することを選択したとしたら、それは、実相世界が神から分離していることを証明する必要があったからなのだ。つまり、実相世界が神から分離しているなら、つまり、実相世界から神という概念を剥ぎとってしまったら、実相世界はこの物質世界、この幻想世界と同等のレベルの存在であって、唯物論による攻撃の対象になり得るのだ。そこで、唯物論は、存在するのは目に見えるこの物質世界であって、実相世界は想念の世界、つまり、単なる空想の世界に過ぎず、実在ではないと主張するのである。そして、その結果、唯物論は必然的に無神論につながるのだ。つまり、実相世界が空想に過ぎず実在しないなら、神それ自体も存在しない、神は空想であると主張するのである。ところが、もし実相世界と神とを分離することが出来なかったら、つまり、神が実相世界のすべてを包摂する存在であったら、もはや実相世界と物質世界を同じ土俵で論ずることは出来ないのだ。なぜなら、方や実相世界は、神がすべてを融合する一元論世界になり、物質世界は依然として二元論世界のままだからである。完全に次元の異なった、つまり、レベルの異なった、異質の世界同士になってしまうのである。二元論世界の唯物論が、一元論実相世界を否定することは、次元的に破綻し、論理的に不可能になる。実相世界の非存在性も、神の非存在性も、唯物論では証明できないのだ。例えば、古典物理学の世界観は時間の1次元と空間の3次元を合わせた4次元で構成されている。いわゆるニュートン力学である。その古典物理学の視野に立てば、宇宙が重力場で曲がっているなどという物理的真実は理解不可能なのだ。さらに、この宇宙は実は5次元世界であって、5次元世界の周りの膜の部分に、この4次元世界が広がっているという理論は、古典物理学ではさらに理解不可能である。さらに、超弦理論の教えるところによれば、宇宙は11次元の振動する世界であると説明する。さらにさらに、宇宙は並行する多数の宇宙を双子にもっているという。この双子の宇宙同士が衝突し合ってビッグバンが起きるという説も登場し、古典論がどう転がっても、どうあがいても、理解不可能なのだ。現代物理学の諸説の真偽はさておき、ここで何を言いたいのかというと、次元やレベルの異なる二つのものを天秤に乗せて、存在だの非存在だの、真だの偽だの、議論することは不可能だということだ。実相世界から神を分離し、取り除いて議論することは、したがって、偽りである。実相世界と幻想世界を、同じ土俵で考えることは誤りである。もちろん、幻想世界と実相世界を同じ天秤い乗せて、その重さを測り合うことも誤りである。
And thus it seems as if love could attack and become fearful.- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから、このようにして、こんなふうに」
- as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに、〜のように」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "And thus it seems ~ "「こうして、まるで愛が攻撃出来たり、愛が恐れとなったり出来るように見えるのである」。実相世界の実在性と、神の実在性を否定してしまえば、残るのは、神のいない幻想世界だけである。そんな世界は、一元論を捨てた世界であるから、愛すらも純粋性を失い、愛と憎悪の混ぜあわせた不純な愛が横行することとなる。愛は、攻撃すらするのだ。愛は恐れをも生み出したりするのである。ここで、もう少し、前文を説明したい。闇と光を想定してみよう。方や、光の存在を知らない盲目の者達が主張する闇の世界を想定しよう(ここで言う盲目とは、比喩的な盲目であり、現実の目の見えない人たちを指すものではない)。そこでは、世界は闇であり、光は想像の産物だと主張するだろう。何しろ、盲目な者達には光は見えないからだ。さて、彼らは、光の世界を論ずるとき、光を世界から分離するのだ。光の世界から光を分離してしまえば、あとに残った世界は彼らの住む闇の世界と同じレベルであり、攻撃の対象とすることが出来る。光の世界から光を分離してしまえば、残るのは闇の世界であるから、闇の世界こそが実在であり、光の世界は想像の産物だと主張するのだ。しかし、お分かりのように、真実は、光を光の世界から分離することは出来ないのである。光と世界は融合し一体であるからだ。こうなれば、闇の世界しか知らない盲目の者達は、闇の世界と光の世界を同じ天秤に架けることは不可能なのだ。光の世界は、世界に光が加わって、次元もレベルも闇の世界とは異なってしまったのだ。この議論で、闇の世界を幻想世界に、光の世界を実相世界に、そして、闇の世界の住人である盲目の者達を唯物論者に、光を神に置き換えれば、ここで言わんとすることが理解されるだろう。くどくど書いたことをお許し願いたい。