●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-22.V.3:1 ~ T-22.V.4:9

3. Yet how can peace be so fragmented? It is still whole, and nothing has been taken from it.

  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
  • still [stíl] : 「常に、いつでも」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • take from : 「〜から取る、〜を減らす、減じる」
❖ "Yet how can peace ~ "「しかし、平和は、どうしてそのように分断され得るだろうか」。ここは、前段落の「罪の意識は、あなたの平和の中からとり出した一つのブロックに彫り込まれ、あなたと、平和への回帰の間に、それは置かれる」に呼応して述べられている。全体性を保った平和から、平和の一部のブロックを取り出すことなど、平和を分断することが本当に可能か、という意味。"It is still whole ~ "「平和は常に完全であり、平和から何ものも取り除かれたりされていない」。真の平和は実相的であり、永遠不変である。不変なるものが分断によって変えられたり、何かを取り除かれたすることはない。



See how the means and the material of evil dreams are nothing.
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • material [mətíəriəl] : 「物質、原料、材料、素材、生地」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な、不吉な、不運の」
❖ "See how the means ~ "「邪悪な夢のもつ手段も素材も、いかに無であるか、よく見なさい」。"evil dreams"「邪悪な夢」とは、幻想が映し出す光景、あるいは、単にエゴが描く幻想の光景。その光景がどんなものによってどのように作られていいようが(the means and the material)、所詮、幻想は無に過ぎない。そこには何もない。そのことをしっかり認識しなさい。



In truth you and your brother stand together, with nothing in between.
  • in truth : 「実のところ、実際には」
  • stand together : 「並んで立つ、結束する、団結する」
  • in between [bitwíːn] : 「(二つのものの)間に、中間に」
❖ "In truth you and ~ "「実際、あなたとあなたの同胞は、二人の間に何も挟み込むことなく、一緒に立っているのだ」。あなたと同胞の間に幻想が介入してくることはない。これが、神聖なる関係性の性質の一つだ。対して、幻想で幻想を繋ぎ合わせた関係性が、この世界の特別な関係性である。



God holds your hands, and what can separate whom he has joined as one with him?
  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る、抱き締める」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる、つなぐ」
❖ "God holds ~ "「神が、あなたの手を握っているのだ」。"and what can separate ~ "「神が手を取って一体となった者を、いったい何が分離出来るだろう」。神と一体になった者を、だれも神から分離させることなど不可能だ。実相的現実を変えることは誰にも出来ない。ましてや、幻想に、実相的現実を変えることなど、原理的に不可能だ。



It is your Father whom you would defend against. Yet it remains impossible to keep love out.
  • defend against : 「防戦する」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
❖ "It is your Father ~ "「あなたが対抗して(自分を)守ろうとした、その相手は、あなたの父なる神である」。あなたは、神の愛を知りながら、また、心の奥底で、神を愛していることを知りながら、あなたは神の愛に対抗して、神の愛から自分を守ろうとした。あなたの罪の意識が、邪魔をしたのだ。神を裏切って神から分離したあなたは、神が罰を与えるだろうと恐れたのである。"Yet it remains ~ "「しかし、神の愛を放って置くことなど、不可能なのだ」。罪の意識が単なる幻想だと知り、実相に目覚めたあなたは、もはや神の愛を拒絶する理由はない。神は罰したりしないと知ったのだ。実相世界の神には、罰するという概念がない。だから、快く、神の愛を受け入れればいいのだ。そして、神への自分の愛を素直に認めればいい。そこがスタートラインである。ついでながら、キリスト教でいう最後の審判など、幻想世界に埋没した神の子が勝手に幻想したことである。恐れが描いた幻想だ。神もキリストも、審判などしない。そもそも、審判という概念は実相には存在しないのだ。



God rests with you in quiet, undefended and wholly undefending, for in this quiet state alone is strength and power.
  • rest [rést] : 「休む、休息する、休憩する、休養する、眠る」
  • quiet [kwáiət] : 「静けさ、静寂、静穏」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • undefended : 「擁護されていない、無防備な」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、ひっそりとした」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に、唯一」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
❖ "God rests with ~ "「神はあなたと、静寂の中に休んでいる」。"undefended and ~ "「守られることもなく、まったく守ることもなく」。その必要がないからだ。"for in this quiet ~ "「なぜなら、この静寂の状態の中にのみ、強さとパワーが存在するからだ」。真実であること自体が力でありパワーである。守られることも、守ることも必要ない。静寂とは、実相と完全に一体になった状態のことである。明鏡止水。心には、さざ波一つ立たない。神の愛に完全に抱きかかえられている状態だ。2000年前のイエスの心、そのものである。それは、理想としてではなく、現実に、あなたの心が獲得しなければならない、心の状態なのである。



Here can no weakness enter, for here is no attack and therefore no illusions. Love rests in certainty.
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、弱点、欠点」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
❖ "Here can no ~ "「ここに、どんな弱さも、入り込むことは出来ない」。弱さとは幻想であり、実相世界には、弱さという概念すらない。幻想の弱さが、実相に入り込める道理はないのだ。"for here is no attack ~ "「なぜなら、ここには、攻撃も、したがって、幻想も存在しないからだ」。攻撃も幻想であって、実相世界に攻撃という概念はない。"Love rests ~ "「愛だけが、確実に、そこにある」。神の愛であり、神への愛である。何度も言っていることだが、実相世界は一元論世界であり、対極の概念を持たない世界である。愛はあるが、対極の憎悪という概念はない。パワーはあるが弱さはない。慈しみはあるが、攻撃はない。喜びはあるが、悲しみという概念はないのだ。完全な一元論世界である。したがって、神が嫉妬することも、神が裁くことも、神が罰することも、まったくない。神は、愛し、慈しみ、抱きかかえ、いたわり、喜ぶことしかしないのだ。怒れる神、嫉妬する神、復讐する神は、旧約聖書の中の神であって、デミウルゴス、低級な神であって、まあ、どこぞも星からやってきたエイリアンと思ってもいいくらいだ。



Only uncertainty can be defensive. And all uncertainty is doubt about yourself.
  • uncertainty [ʌnsə́ːrtnti] : 「確信のなさ、不確かさ、不確実さ、不確実性」
  • defensive [difénsiv] : 「防衛的な、守備の、防御的な、防御の、守勢の」
  • doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑、懸念、心配、不安」
❖ "Only uncertainty ~ "「確実性のないものだけが、防御を必要とするのだ」。"And all uncertainty ~ "「そして、非確実性とは、あなた自身に向けられた疑いである」。自分が実相的に真実であると信じられないから、つまり、自分の実存を疑うから、存在に確実性が持てないのだ。確実性がないから、いつ攻撃されるか不安である。自分を守らなくてはならないと考えるのだ。さらに、エゴは、他者が攻撃する前に、こちらから攻撃せよ、とあなたを唆(そそのか)す。こうして、実相的に確実性を獲得するどころか、幻想の中にどんどん埋没して行くのである。ほくそ笑んでいるのはエゴだけである。そのカラクリに早く気付けと、ACIMは訴えているわけである。



4. How weak is fear; how little and how meaningless.
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な、無価値の」
❖ "How weak ~ "「恐れとは、何と弱々しいことか」。"how little and ~ "「何と小さく、何と無意味か」。恐れに限らず、幻想はすべてそうなのだ。幻想は無である。無ほど小さく弱いものはないではないか。



How insignificant before the quiet strength of those whom love has joined!
  • insignificant [ìnsiɡnífikənt] : 「重要でない、大したことがない、ちっぽけな」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして、面前で」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
❖ あなたと神の間のように"How insignificant ~ "「愛によって結ばれた者達の静かな強さの前では、恐れは、本当にちっぽけなのだ」。愛は実相である。実相的な愛の繋がりの前で、幻想の恐れは、存在さえ危うい。存在さえ出来ない恐れに対して、恐れる必要がどこにあろうか。



This is your "enemy,"--a frightened mouse that would attack the universe. How likely is it that it will succeed?
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • frightened [fráitnd] : 「脅えた、怖がって、驚いた」
  • frighten [fráitn] : 「〜を怖がらせる」
  • mouse [máus] : 「ネズミ、ハツカネズミ、憶病者」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、全世界」
  • likely [láikli] : 「ありそうな、適当な、あり得る」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "This is your ~ "「こんな恐れが、あなたの『敵』になっているのだ」。"a frightened mouse ~ "「世界と戦おうとしている脅えたネズミだ」。"How likely is ~ "「うまくいく見込みがあろうか」。実相と戦おうとしている幻想は、脅えるネズミ同然だ。



Can it be difficult to disregard its feeble squeaks that tell of its omnipotence, and would drown out the hymn of praise to its Creator that every heart throughout the universe forever sings as one?
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • disregard [dìsriɡάːrd] : 「〜を無視する、〜に注意をはらわない、〜を軽視する」
  • feeble [fíːbl] : 「体力の弱った、弱々しい、か弱い、力がない」
  • squeak [skwíːk] : 「チューチュー、キーッ」
  • tell of : 「〜について話す」
  • omnipotence [ɑmnípətəns] : 「全能」
  • drown [dráun] out : 「かき消す、押し流す、圧倒する、消し去る」
  • hymn [hím] : 「賛美歌、聖歌」
  • praise [préiz] : 「称賛、褒めること、賛美」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • heart [hάːrt] : 「心臓、胸、心」
  • throughout [θruːáut] : 「〜の至るところに、〜の隅から隅まで」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Can it be difficult to ~ "「自分は全能であると、弱々しくチューチュー鳴く声を無視することが、困難であろうか」。"and would drown out ~ "「世界中の心が、その心を一つにして永遠に歌い続ける、創造主を賛美する聖なる歌を、そのネズミは、かき消そうと躍起になっているのだ」。そんなネズミを無視することなど造作のないことだ。言うまでもないが、このネズミが、あなたの心に巣くうエゴである。ドブネズミのエゴだ、と言えば、ドブネズミに失礼であろうか。



Which is the stronger? Is it this tiny mouse or everything that God created?
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "Which is ~ "「どちらが、より強いか」。"Is it this tiny ~ "「このちっぽけなネズミか、あるいは、神の想像したあらゆるものか」。幻想と実相のどちらが強いか。幻想は実相に戦いを挑み、実相は幻想を相手にもしない。実相は実在であり、幻想は無である。実在が無と戦うはずがあろうか。



You are not joined together by this mouse, but by the Will of God. And can a mouse betray whom God has joined?
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • will [wíl] : 「意志、精神力、願望、意欲」
  • betray [bitréi] : 「裏切る、背く、敵に売る、だます」
❖ "You are not joined ~ "「あなたと同胞は、このネズミによって一緒に結ばれたわけではない」。エゴが、神の子同士を結ぶわけがない。逆に、エゴは神の子の分離を目的にしているからだ。"but by the Will ~ "「あなたと同胞は神の意思によって結ばれたのだ」。あなたと同胞が、神聖な関係性を築いて、心を固く結び合ったことは、神の意思である。"And can a mouse ~ "「神が結び合わせた者達を、ネズミが騙すことなど出来ようか」。エゴは、あなたの心に巣くっているが、あなたの心全体を占領したわけではない。あなたの心の最も純粋で神聖な部分に正気さが息づいており、ホーリー・スピリットがそこに住んでいる。キリストもまた、そこに住んでいる。この聖域だけは、ネズミのエゴには手が出せない。犯すべからざる聖域なのだ。騙すことさえ出来ない。では、あなたはネズミと暮らしたいのか、ホーリー・スピリットと暮らしたいのか。その選択を、意識的にはっきり決心しなさいと、ACIMはあなたを促(うなが)しているのである。富と安寧な暮らしを優勢して、ネズミと暮らした方が平和だと感じたなら、今すぐこのACIMを読むことを止めたほうがいい。傷つくことなく、安寧な一生を送れるだろう。しかし、ホーリー・スピリットを選択したなら、ACIMの教えに導かれて行動を取るべきだ。まずは、あなたの心に巣くうエゴというネズミと手を切るべきである。
 
 
 

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