●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-24.VI.6:1 ~ T-24.VI.7:6

6. It is His sinlessness that eyes that see can look upon. It is His loveliness they see in everything.

  • sinlessness [sínlisnis] : 「特別であること、特別性」
  • look upon : 「〜を見る」
  • loveliness [lʌ́vlinis] : 「愛らしさ、素晴らしさ」
❖ "It is His sinlessness ~ "「見える目が見ることの出来るものは、神の無辜(むこ)性である」。"It is His loveliness ~ "「その目がすべてのものに対して見るものは、神の愛の深さだ」。"eyes that see"「見える目」とは、実相の真実を見極めることの出来る目のこと。ヴィジョンである。ヴィジョンをもって世界を見れば、すべてが愛らしく見え、それは神の愛の姿であり、神の無辜性の象徴なのだ。



And it is He they look for everywhere, and find no sight nor place nor time where He is not.
  • look for : 「〜を探す」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、地域、土地」
❖ "And it is He they ~ "「見える目が、あらゆる場所に探し出そうとするものは、神である」。ヴィジョンが探し求めるものは、神の姿である。"and find no sight ~ "「そして、あらゆる光景、あらゆる場所、あらゆる時、そこに神が存在しないと発見することはない」。あらゆる光景、場所、時に、ヴィジョンは神を必ず見い出す。神は世界のすべてを包摂(all-encompassing)する存在であるからだ。



Within your brother's holiness, the perfect frame for your salvation and the world's, is set the shining memory of Him in Whom your brother lives, and you along with him.
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • frame [fréim] : 「骨組み、支持構造体、枠、縁、枠組み」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • live [lív] : 「住む、居住する、暮らす、生きる、生存する」
  • along [əlɔ́ːŋ] with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」
❖ "Within your brother's ~ "「あなたの同胞の神聖さの中において、あなたの救い、世界の救いのための完璧な枠組みには、」"is set the shining ~ "「あなたの同胞が住み、あなたも同胞と共に住むという神の輝く思い出がセットされるのである」。少々ややこしい位置関係になっているのだが、あまり厳密に考える必要はないだろう。意味合いとしては、同胞の心の中の神聖さ(brother's holiness)、つまり、キリストは、あなたと世界を救う(for your salvation and the world's)という使命、完全な計画、完璧な枠組み(perfect frame)をもっている。その枠組みの中に、ちょうど額縁に絵がセットされるように、あなたも同胞も住む(your brother lives, and you along with him)天の王国にいる神の輝く思い出(the shining memory of Him)がセットされてあるのだ。つまり、心の中に住むキリストは、神の思い出を保持しており、神の子に神の思い出を語ってくれるのである。神が、あなたや同胞をいかに愛していたか、神から分離する以前の神と神の子の生活が、いかに平和で喜びに満ちていたか、その思い出を語るのである。なぜか? 神の子が天の王国へ回帰して、再び神と邂逅するためである。神は、あなたの心にキリストを住まわせたのだ。



Let not your eyes be blinded by the veil of specialness that hides the face of Christ from him, and you as well.
  • blind [bláind] : 「〜を盲目にする、〜を見えなくさせる」
  • veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • face [féis] : 「顔、顔色」
  • as well : 「おまけに、その上、なお」
❖ "Let not your eyes ~ "「あなたの目が、特別性のベールに隠されて、盲目にならないようにしなさい」。特別性という幻想によって、あなたのヴィジョンが曇らないようにしないさい。"that hides the face of ~ "「その特別性は、同胞から、また同様にあなたから、キリストの顔を隠してしまうのだから」。特別性という幻想にヴィジョンが覆い隠されてしまうと、神の子の心の中の神聖さ、純粋なキリスト性が見えなくなってしまう。もちろん、ホーリー・スピリットの導きの声も聞こえなくなってしまうのだ。そうならないようにしなさい、と諭しているのだ。



And let the fear of God no longer hold the vision you were meant to see from you.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • hold [hóuld] : 「抑える、制する、拘束する」
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、考え方」
  • meant [mént] : 「mean の過去・過去分詞形」
  • be meant to : 「〜するように意図されている、〜することになっている」
❖ "And let the fear ~ "「そして、神に対する恐れが、あなたが見ることになっているヴィジョンを、これ以上抑制しないようにしなさい」。あなたは神の子として、実相の真実を見抜くヴィジョンを継承してるのだが、罪の意識、特別性、特別な関係性、等々の幻想によって、そのヴィジョンが曇らせられてきたのだ。罪の意識、特別性、特別な関係性、等々の幻想の原因は、すべて、神の子が神から分離した過去に遡る。神の子の、神に対する恐れから、すべての幻想はスタートしているのである。その根本原因である、神への恐れを断ち切らないことには、ヴィジョンは蘇らない。つまり、神への恐れという幻想を、神への愛という実相で置換しなくてはならないのだ。



Your brother's body shows not Christ to you. He is set forth within his holiness.
  • show [ʃóu] : 「示す、表す、表示する」
  • set forth : 「説明する、示す」
  • within[wiðín] : 「〜の中に、〜の内側で」
❖ "Your brother's body ~ "「同胞の肉体は、あなたに、キリストを表してはくれない」。あなたが、幻想に過ぎない同胞の肉体を信じている限り、同胞の心の中の神聖なキリストの姿は見えてこない。"He is set forth ~ "「キリストは、同胞の神聖さの中に示されるのだ」。キリストが住む場所は、あなたを含め、同胞の心の中、神の子の心の最も神聖で純粋な部分である。そこを見抜くヴィジョンがない限り、あなたにキリストの姿は見えない。肉体の実在を信じている限り、幻想に捕らわれたあなたに、真実のキリストはその姿を現すことはない。



7. Choose, then, his body or his holiness as what you want to see, and which you choose is yours to look upon.
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • look upon : 「〜を見る」
❖ "Choose, then, his body ~ "「そこで、あなたが見たいものとして、同胞の肉体か同胞の神聖さかを選択しなさい」。"and which you choose ~ "「そすれば、あなたが選択したものを、あなたは目にすることになるのだ」。同胞の幻想を見たいと思えば、同胞の肉体しか見えず、同胞の神聖さを見たいと思えば、同胞の心の中のキリストが見えてくる。あなたの選択次第なのだ。



Yet will you choose in countless situations, and through time that seems to have no end, until the truth be your decision.
  • countless [káuntləs] : 「数えきれないほどの、無数の」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • end [énd] : 「終わり、端、最後、終局、終焉、終点、終了」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心、決議、裁決」
❖ "Yet will you choose ~ "「しかし、真実があなたの選択となるまで、終わりのないように見える時間を通して、あなたは数えきれないほどの状況を選択することになろう」。あなたが真実を選択し、同胞にキリストの姿を確認出来るようになれば、あなたは実相世界に救い出されるだろう。しかし、幻想ばかりを追いかけているなら、無数の状況下で色々な選択に迫られ、その都度、幻想だけを選択しているようでは、あなたはいつまで経っても救われることなく、無限の時間の中で彷徨(さまよ)うことになる。"through time that seems to have no end"「終わりのないように見える時間を通して」という部分が、少々不気味であろう。ここは、幾分深読みして解釈してみようではないか。
 人生は、今生一回きりではない。輪廻転生を繰り返して、何度でも、真実に目覚める試練を受けることになるのだ。あなたが真実を選択し、ホーリー・スピリットの導きに従って、天の王国へ回帰出来たとき、あなたの転生は終わる。いわゆる、輪廻の輪を抜けて、実相世界へとアセンションするのだ。
 しかし、幻想に捕らわれたまま、罪の意識を抱き続け、特別性を追いかけ、特別な関係性の中で、他者を攻撃し、他者から奪い、他者の心を殺すようなことばかりを続けている限り、真実はどんどんあなたから遠のいて、輪廻の輪を抜けるどころか、輪廻の輪に捉えられて幾多の生をくぐり抜けなくてはならない。幻想から抜けることが出来ないから、幻想の肉体からも抜けることが出来ない。肉体は幻想であるから、変化流動し、必ず、崩壊へと向かう。幻想の肉体の実在性を信じている限り、肉体的な死から逃れることは出来ないのだ。結果、無限の輪廻転生を繰り返すことになる。
 それも、良かろう。あなたがそれを望むなら、人生を何度もやり直して、肉体をもった人生を送ればいい。しかし、少なくても、あなたがこのACIMに出会ったということは、あなたは、そんな生に疑問を感じたからに違いない。あなたは、第六感で、この人生は本物ではないと感じたのだ。盲目的に本物だと信じている者には、偽のダイヤでこと足る。しかし、あなたの人生に偽のダイヤを見たなら、あなたはどうしても偽のダイヤで満足出来るだろう。たかがガラス玉にどれほどの価値があろう。あなたは本物が欲しい思い、真実を求めているのである。ならば、迷わず、真実を求め続けるべきだ。真実に目覚め、実相に目覚め、輪廻の輪から抜け出して、天の王国へアセンションすべきなのだ。永遠の命を得るとはそういう意味であって、死んだら神の元へ行って、永遠に安楽の園で暮らす、という意味ではない。
 だから、自殺という問題も、この光に照らして見れば、自ずと正体が分かってくる。自殺をすれば地獄に落ちるという既存のキリスト教徒の主張は正しくない。実在する真実は一元論であって、真実の実相世界が、対極概念の地獄をもつ道理がないのである。したがって、地獄は実在しない、単なる幻想の世界である。ACIMが、この世界を地獄と表現するのは、そういう意味なのだ。輪廻転生を繰り返す幻想世界こそが、地獄なのである。そこで、自殺をしても、業火燃え盛る地獄に落ちることは決してない。だから、もし自殺をしたかったら、どんどん自殺してもかまわないのだ。
 しかし、自殺をして肉体が崩壊したからといって、それによって単純に、実相世界の真実に目覚めるわけではないことを、しっかり、知っておかなくてはいけない。自殺をして、天の王国へアセンションすることは絶対ないのである。自殺は肉体の実在を信じ、その重みに耐えられないがための行為である。肉体という幻想から抜け出せないがために自殺をするのである。幻想から抜け出せずに自殺をして、真実の実相世界に昇天することなど、原理的に不可能ではないか。だから、一言で言って、自殺は、まったく意味がないのだ。輪廻転生の繰り返しをするばかりで、その輪から抜けることは決してない。いわば、コンピューター・ゲームで、ゲームをリセットするようなもので、ゲーム自体から抜け出すことではないのである。ゲーム中毒になるように、自殺者は、次の人生でもゲームをリセットするだろう。それが一番簡単だからだ。なぜなら、ボタンを一押しすればいいからだ。真実を見つける旅をすることがないからだ。
 この際だから、もう少し言おう。例えば、ガンに犯されて、余命幾ばくもない方もおられよう。何らかの理由で、間近に死を覚悟しなくてはならない人もおられよう。もし、そんなあなたが、あなたの運命に悲観し、死を呪い、死の感傷に浸り、滅びゆく肉体に哀れみを感じているなら、それは見当違いである。そんなエネルギーが残っているなら、残された短い人生で、必死に真実を求め、キリストの姿を見い出す努力をすべきではないだろうか。短か過ぎて、あなたの努力が実らないかも知れない。しかし、輪廻の次の輪の中で、あなたの真実への努力は必ず報われるはずなのだ。あなたは、自殺者のようにゲームを放棄して、リセット・ボタンを押したのではない。幻想の肉体が滅びゆく、この一瞬になってやっと、あなたは真実へのチャンスに巡り合ったのだ。ダイヤのような、そのチャンスを、最後の一秒まで、信じて求めて、そして、この世に宿題を残して死んで行って、それが悔いの残る人生と言えるだろうか。むしろ、最後の最後に、真実の命に辿り着く鍵を得たことの重要性の方が、遥かに重みがあると思わないか。周りの人達は、あなたの不幸な死を悲しむであろう。しかし、その中にあって、当のあなただけは、微笑みを浮かべながら静かに死んで行く、そういう死に方を、あなたは選び取れるはずなのである。あなたの死に際しても、あなたの心の中のキリストは、あなたに同伴するのだ。あなたから、決して、キリストは離れることはない。死に行く人からキリストがそっと離れるなど、神がそんなことをするわけがないではないか。あなたの心は、肉体が死んでも生き続けるのだ。生き続ける心には、必ずキリストがいる。そのキリストは、あなたが肉体的に死んでも、あなたが真実を求めて目覚めることを熱く望んでいる。ならば、その熱意を、あなたは、全身全霊で感じるべきなのだ。そのとき、あなたは決して死なないのだ。



For eternity is not regained by still one more denial of Christ in him.
  • eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
  • regain [rigéin] : 「〜を取り戻す、回復する、奪還する」
  • still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに、それでも、今後さらに」
  • one more : 「もう一つの、もう一回の」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
❖ "For eternity is not ~ "「なぜなら、永遠性は、同胞の中に、今一度キリストを否定することで取り戻すことの出来るものではないからだ」。同胞の心の中に、キリスト見いだすことを拒否し、そこに罪の意識や特別性だけを求めるようでは、実相世界の永遠性を知ることは不可能だ。真実を拒み、幻想に目を奪われているようでは、肉体的な死から逃れることは出来ない。時空を超越した実相世界への回帰など望むべくもない。永遠の命は遠のいてしまうのだ。



And where is your salvation, if he is but a body? Where is your peace but in his holiness?
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
❖ "And where is ~ "「もし、同胞が単に肉体的な存在であるなら、あなたの救いはどこにあるのか」。あなたが同胞を肉体的な存在だと信じている限り、あなたは実相に救われることはない。なぜなら、幻想好きのあなたに、誰が実相を与えて救い出してくれるだろうか。"Where is your peace ~ "「同胞の神聖さの中以外に、いったいどこにあなたの平和は存在し得ようか」。あなたが、同胞の心の中に、神聖なキリストの姿を見い出すことが出来たとき、始めてあなたの救いは可能となり、あなたの心に平和が訪れるのだ。



And where is God Himself but in that part of Him He set forever in your brother's holiness, that you might see the truth about yourself, set forth at last in terms you recognized and understood?
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • set forth : 「説明する、示す」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと、ようやく」
  • term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語、術語、表現、専門語」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "And where is God Himself ~ "「神が、あなたの同胞の神聖さの中にセットしておいた、神の一部の中以外に、いったいどこに神自身は存在出来ようか」。下手な訳で申し訳ない。神は、神の子の心の中に、神の分身であるキリストを置いたのだ、ということ。神の子が神から分離したとき、神は、神の子の心の中に、自分の分身であるキリストをそっと忍ばせておいたのだ。なぜか? 神は神の子を、それほど愛していたからだ。それ以外の理由があろうか。"that you might see ~ "ここの"that"は"so that"のことで、「〜するために、その結果」、「あなたが、あなた自身について真実を見極めることが出来、ついには、あなたが認識し理解出来る言葉で、それを示すことが出来るようにするためである」。真実への気付きのために、神はあなたの心の中にキリストを忍ばせたのだ。ならば、神の愛に応えて、あなたは真実への旅を始めるべきではないだろうか。あなたの心には、旅の伴侶となるキリストがいるのだから。
 
 
 

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