11. And thus are two sons made, and both appear to walk this earth without a meeting place and no encounter.
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに、それ故に、従って」
- both [bóuθ] : 「両方、双方」
- appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
- walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
- earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上、全世界」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- meeting [míːtiŋ] : 「出会い、集合。会議、会談」
- meeting place : 「出会いの場、会合場所、集会所、待ち合わせ場所」
- encounter [inkáuntər] : 「出会い、巡り合い、遭遇、接触」
❖ "And thus are two ~ "「こうして、二人の息子が作られた」。神が神の子を創造し、神の子は肉体を偽創造した。"and both appear ~ "「そして、両者とも、出会いの場もなく、したがって、出会うこともなく、この地上を彷徨(さまよ)い歩いているように見えるのである」。神の子は神から分離し、その分離を象徴する幻想世界を偽創造したのだから、神の子自身も散り散りに分裂し、この地上で再び結合する(出会う)ことはない。一人一人が、孤独の中を彷徨う人生を送るのである。また、そんな神の子が偽創造した肉体も、分離の象徴であるがゆえに、他者の肉体と結合すること(出会う)ことはない。他者の肉体と結ばれたと錯覚する性的な結びつきは、特別な関係性の中で崩壊していき、やがて偽物の結合だとばれてしまうのである。肉体もまた、孤独のままこの地上を彷徨い、やがて朽ち果てていく。しかし、地上における現実に対する見方をこの地点で止めてしまえば、ACIMは単なる悲観論に終わってしまう。だが、ACIMはそうではない。その現実だと思われているものが実は幻想であり、夢に過ぎないと見定めることを要求するのだ。実相世界に目覚めることが出来さえすれば、分離や孤独から解放されて、真の結合へと救われるのである。
One do you perceive outside yourself, your own beloved son. - perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
- beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
❖ "One do you perceive ~ "「あなた自身の外に、あなたは一人のあなたを知覚している」。"your own ~ "「あなた自身の愛する息子である」。あなたは、あなたの心の外側に、肉体という自分を知覚する。そして、その肉体をこよなく愛しているのだ。
The rests within, his Father's Son, within your brother as he is in you. - other [ʌ́ðər] : 「もう一方の、ほかの、そのほかの、残りの」
- rest [rést] : 「ある、置かれている」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
❖ "The rests within ~ "「もう一人のあなたは、あなたの心の中にいる」。"his Father's Son ~ "「それは、父なる神の、その神の子であり、」"within your brother ~ "「神の子があなたの心の中にいるように、同胞の心の中にもいるのだ」。肉体は分離し、あなたの肉体と同胞の肉体は結合することも融合することも一体になることも不可能だ。しかし、心の中に住む神の子という実体は、あなたの心の中にも、そして、同胞の心の中にも存在し、しかも、実相的な神の子は単一存在であるから、あなたの神の子も同胞の神の子も一体なのだ。実相の、神の子というレベルであなたと同胞を考えるとき、あなたと同胞は完璧に結ばれている。単一体だから、当然なのだ。これが、自他一如、自他一元、多即一の意味である。蛇足になるが、仏教を代表とする東洋思想は、キリスト教より遥か昔、この事実に気付いていた。気付いてはいたが、少数の悟りを開いた者達を除いて、誰も理解することが出来なかったのである。いや、思想としては理解出来たが、それを生きることは至難の業であった。なぜなら、単一の神が統一する一元論世界を想定することが出来なかったからだ。したがって、論理的な言い方をすれば、キリスト教的思想に対するアンチテーゼが仏教であるなら、ACIMは、キリスト教と仏教を対立させ、止揚し、弁証法的に、とてつもない進歩、飛躍を遂(と)げているのである。それはもはや宗教ではなく、哲学でもなく、神学でもなく、まさに単純明快な真実そのものとして、はるかなる真実の地平に到達したのである。
Their difference does not lie in how they look, nor where they go, nor even what they do. They have a different purpose. - difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- look [lúk] : 「〜のように見える、〜と思われる」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "Their difference ~ "「彼らの違いは、(外見的に)どのように見えるかということにあるのではない」。"nor where they ~ "「また、彼らがどこに行くのか、何をするかということにさえ、違いがあるのではない」。"They have a different ~ "「彼らは、異なった目的を持っているのだ」。あなたと同胞の決定的な違いは、外見上にあるのではない。成すことにあるのでもない。あなたと同胞の決定的な違いは、内面的な心の志向性、その目的の違いなのである。あなたも同胞も、心に単一の神の子を抱く。しかし、幻想世界で分離しているがために、単一の神の子がもつ志向性、その目的が異なっているのだ。それが、あなたと同胞の決定的な違いである。
It is this that joins them to their like, and separates each from all aspects with a different purpose. - join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
- like [láik] : 「似たもの、同類、同等のもの」
- separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す」
- aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴、様子、外見、顔つき」
❖ "It is this that joins ~ "意訳する、「心のもつ目的性の違いが、似た者同士を結びつけるのだ」。類は友を呼ぶ。"and separates each ~ "「また、その違いが、異なった目的をもつあらゆる側面において、彼ら一人一人を分離するのである」。心のもつ目的性が異なった者同士は、出会い、集い、心と心が結合することはない。異なった目的性がもつあらゆる側面が、互いに反発し合うからだ。
The Son of God retains his Father's Will. The son of man perceives an alien will and wishes it were so. - retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する、持ち続ける」
- will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
- perceive[pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
- alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
- wish [wíʃ] : 「望む、祈る、祈念する」
❖ "The Son of God ~ "「神の子は、父なる神の意思を保持しているのだ」。具体的には、父なる神の意思をホーリー・スピリットが継承して、そのホーリー・スピリットが神の子の心の中に住んでいるのである。"The son of man ~ "意訳する、「人の子である肉体は、異質な意思を持ちながら互いにそれを知覚し、また、異質であって欲しいとさえ思っている」。人が幻想として生み出した肉体は、特別性を志向し、したがって、異質な意思を互いの中に見る。異質であり、特別であることが存在意義となり、異質や特別を第一に望むのである。
And thus does his perception serve his wish by giving it appearances of truth. - perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜に仕える、」
- wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
- appearance [əpíərəns] : 「出現、現われること、外観、外見、見掛け、容姿」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "And thus does ~ "「こうして、彼の知覚は、彼の望みに真実らしい外見を与えることで、彼の望みに仕える」。特別性や異質性を求める神の子は、その望みが現実的で真実であるように見せるために、知覚を利用し、互いに他者を肉体的存在だと見るのである。
Yet can perception serve another goal. It is not bound to specialness but by your choice. - another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
- bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
- specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "Yet can perception ~ "「しかし、知覚は、別の目的を持つことが出来る」。特別性や異質性を求めるという目的以外の目的に、知覚は利用することが出来る。"It is not bound to ~ "「そういった知覚は、特別性に縛りつけられることはないが、それはあなたによって選択されなくてはならないのだ」。特別性に束縛されない別の知覚を得るには、あなたの意思によって、それを選択しなくてはならない。棚ぼた式に、あなたに与えられるものではない。
And it is given you to make a different choice, and use perception for a different purpose. - given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- make a choice : 「選択する、選んで取る、よって取る」
- use [júːz] : 「〜を利用する、使う」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "And it is given you ~ "「その知覚は、違う選択をし、違う目的のために知覚を利用するために、あなたに与えられるのだ」。あなたが特別性とは違う選択をし、特別性とは違う目的に知覚を利用するために、その別の知覚は、あなたに選ばれて、あなたに与えられる。つまり、肉体的な知覚の代わりに、実相的なヴィジョンが与えられるのだ。神の子が単一の存在であることを知覚し、この世界が幻想であることを知覚し、目には見えない実相世界を知覚する目的のために、あなたが選択しさえすれば、実相的なヴィジョンはあなたに与えられる。
And what you see will serve that purpose well, and prove its own reality to you.- prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "And what you see ~ "「そして、あなたが見るものは、その目的に大いに仕えることになろう」。ヴィジョンを通して見れば、神の単一性、この世界の幻想性、そして、あなたが目覚めねばならない実相世界がよく見えてくるのだ。"and prove its own ~ "「そして、あなたに対して、見たこと自体の真実性を証明してくれるのである」。ヴィジョンを通して見えてくる光景こそが、幻想ではなく、真実の姿、実在する実相だと、ヴィジョン自体が証言してくれるのである。こうして、あなたが実相世界に目覚める地盤は固まることになる。あとは、ホーリー・スピリットの導きに従って、天の王国への回帰の道を楽しく、喜びをもって歩んでいけばいいのだ。