5. The Father keeps what He created safe. You cannot touch it with the false ideas you made, because it was created not by you.
- keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
- create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
- safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない、無難な」
- touch [tʌ́tʃ] : 「触れる、作用する、衝撃を与える、影響を与える」
- false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽の」
- idea [aidíːə] : 「考え、着想、意図、狙い、目的、発想、思い付き」
- made [méid] : 「make の過去・過去分詞形」
❖ "The Father keeps ~ "「父なる神は、神が創造したものが安全であるように保ってくれる」。そのために、神はホーリー・スピリットを神の子の心の中に住まわせたのだ。ここで言う『安全』とは、肉体的な安全と考えるよりは、心の安全、つまり、心が幻想に飲み込まれてしまわないように、心の正気さを保つ、という意味に捉えた方がいいだろう。"You cannot touch ~ "「あなたは、神が創造したものに、あなたが作った誤った思いをもって影響を与えることは出来ないのだ」。"because it was ~ "「なぜなら、それは、あなたによって創造されたものではないからだ」。神が創造したものは実相世界の実在である。対して、あなたが勝手に作り出した思いとは、幻想であり錯覚である。幻想の思いをもって、実相の実在に影響を与えることは出来ない。影響を与え得ると思っているのはあなたの錯覚であって、実相の実在は永遠不変である。
Let not your foolish fancies frighten you. What is immortal cannot be attacked; what is but temporal has no effect. - foolish [fúːliʃ] : 「ばかばかしい、思慮のない、愚かな、ばかげた」
- fancy [fǽnsi] : 「空想、想像、夢、幻想」
- frighten [fráitn] : 「〜を怖がらせる、脅かして追っぱらう」
- immortal [imɔ́ːrtl] : 「死なない、不死身の、不死の、不朽の、不滅の、永久の」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- temporal [témpərəl] : 「一時的な、時の、時間の、時間的な、束の間の」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "Let not your foolish ~ "「あなたのばかばかしい空想が、あなたを脅かしたりしないようにしなさい」。愚かな空想を空回りさせて、恐れを抱く必要はない。"What is immortal ~ "「永遠であるものは、攻撃され得ないのだ」。永遠不変の実相的実在は、変化流動する幻想によって影響を受けることはない。もちろん、攻撃を受けてダメージを得ることもない。"what is but temporal ~ "「一時的なものは、(永遠なるものに対して)何の影響力も持たないのだ」。
Only the purpose that you see in it has meaning, and if that is true, its safety rests secure. If not, it has no purpose, and is means for nothing. - purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
- rest [rést] [SOC] : 「 〜のままである、依然として〜である」
- secure [sikjúər] : 「安全な、安全に保管された、安全にする、確実な」
- means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
❖ "Only the purpose that ~ "「あなたが永遠なるものの中に見る目的だけが、意味をもつのである」。"and if that is ~ "「もし、それが正しいなら、その安全性は確保されている」。永遠なるものは、文字通り永遠不変であり、何ものによっても攻撃され得ないし、破壊され得ない。永遠なるのものも、その意味も、共にその安全性は確保されているのだ。それは、永遠なるものが真実であるからに違いない。したがって、真実が永遠なるものを守っていると考えていいし、究極的に、真実である神が、永遠なるものを守っていると思っていい。つまり、この段落の最初の文、"The Father keeps what He created safe"に戻ることになる。"If not, it has ~ "「もし、それが正しくないなら、永遠なるものはまったく目的を持たず、何の手段にもなれないのだ」。もちろん、これは対比として述べているだけであって、事実はそうでない。
Whatever is perceived as means for truth shares in its holiness, and rests in light as safely as itself. Nor will that light go out when it is gone. - whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- rest [rést] : 「休む、休息する、休憩する、ある、置かれている」
- light [láit] : 「光、明るさ、光源、ライト、明かり」
- safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
- go out : 「消える、消灯する、立ち消えになる」
- gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
❖ "Whatever is perceived ~ "「真実のための手段として知覚されるものは何であっても、その神聖さを分かち合っており、」"and rests in light ~ "「それ自体が安全であるように、光の中に存在する」。"Nor will that ~ "「神聖な手段が立ち去ったとしても、光は消えることはないのだ」。非常に象徴的に記述されているので分かりにくい箇所であるが、例を出して解釈しよう。先に、ACIMは、肉体の幻想性を鋭く強調するが、決してそれを否定したりしない、と述べたことを思い出してほしい。なぜなら、幻想の肉体を、真実のための手段として(as means for truth)利用することが出来るからだ。ホーリー・スピリットは、積極的に、肉体を真実のために利用する。つまり、肉体を幻想として認識し、その事実を率直受け入れ、受け流し、赦し、幻想から実相へと目覚めるという方法をとるのである。この聖なる目的が果たせた時、単なる幻想に過ぎなかった肉体は大いなる質転換を果たし、それ自体が神聖な存在と化す。もはや、神聖さを帯びた肉体は、朽ち果てゆく肉体ではなく、肉体ならぬ肉体、神聖な光を放つ実相的肉体となるのである(rests in light as safely as itself)。もちろん、幻想としての肉体は消滅する(when it is gone)。しかし、聖なる肉体と化した肉体が放つ神聖な光は、永遠不変性を帯びて、消滅することはない(Nor will that light go out)。
Its holy purpose gave it immortality, setting another light in Heaven, where your creations recognize a gift from you, a sign that you have not forgotten them.- holy [hóuli] : 「神聖な」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- immortality [ìmɔːrtǽləti] : 「不死性、不朽、不滅、永遠」
- set light : 「火を付ける」
- creation [kriéiʃən] : 「創作物、作品、創造、創作」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、与えること」
- sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印、標示、サイン、標識」
- forgotten [fərgɑ́tn] : 「forget の過去分詞形」
- forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、見落とす」
❖ "Its holy purpose ~ "「その神聖な目的が、その光に永遠性を与える」。真実のためという神聖な目的が、その光に実相的な永遠性を与える。光は消滅しない。"setting another light ~ "「天の王国に、また別の光を灯すからである」。この世の光は、実相世界の光へと質転換する。"where your creations ~ "「その天の王国において、あなたが創造したもの達は、あなたからの贈り物を〜として、認識するのである」。"a sign that you ~ "「あなたが、創造したもの達を忘れていなかったのだという印」として、認識するのである。真実を目的とした手段が光を放って、それが天の王国へと届き、光が実相的光へと質転換するとき、かつて神の子が神と暮らしていた時に創造した愛、喜び、平和、美、等々が、神から分離した後の神の子はそれらを忘れていなかったのだという印として、その光を認識し、光を神の子からの贈り物として歓迎してくれるのである。
6. The test of everything on earth is simply this; "What is it for?" The answer makes it what it is for you. - test [tést] : 「テスト、試験、検定、検査」
- earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上、全世界」
- simply [símpli] : 「簡単に、分かりやすく、造作なく、たやすく」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする、〜になる」
❖ "The test of everything ~ "意訳する、「この地上にあるすべてのものを、真実を目的とした手段となり得るかどうかテストするには、単純に次の質問を発してみればいい」。"What is it for?" 「それは、何のためであるか」。"The answer makes ~ "「その答えが、それがあなたにとって何になるか、決めてくれるのである」。例えば、肉体は何のためにあるか、と問いを発し、攻撃対象のためだと答えたらな、肉体はあなたにとって特別性を目的とした手段ということになる。また、肉体は何のためにあるかと、と問いを発し、幻想から目覚めるためだと答えたなら、肉体はあなたにとって真実を目的とした手段ということになる。あなたの答え次第で、対象は、幻想を助長するものにも、実相に近づくものにもなり得るのである。
It has no meaning of itself, yet you can give reality to it, according to the purpose that you serve. - meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- according to : 「〜に従って、〜と一致して、〜に準じて、〜に照らして」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
❖ "It has no ~ "「それは、それ自体として意味を持つものではないのだ」。"yet you can ~ "「あなたが、それに対して、現実性を与えるのである」。"according to ~ "「それは、あなた仕える目的によって決まるのだ」。例えば、肉体は、特別性を保持する手段とか、幻想から目覚める手段とか、そのどちらか一方の意味だけを既得的にもって存在するのではない。意味は、つまり、存在意義は、目的をもったあなたが決めるのである。肉体に幻想の現実化を与えるのも、肉体に実相の現実化を与え得るのも、それに向かい合うあなた自身の目的性なのである。
Here you are but means, along with it. God is a Means as well as End. - means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
- along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜と同様に」
- A as well as B : 「Bと同様にAも、BのみならずAもまた」
- end [énd] : 「目的、目標、最後、終局、終焉」
❖ "Here you are but ~ "「ここでは、対象と共に、あなた自身も手段である」。肉体が特別性を目的とした手段となるとき、あなたの心も幻想に寄与する手段となり、心は幻想から解放されることはない。肉体が真実を目的とした手段となるとき、あなたの心は実相を求める手段となり、心は実相へと解放される。結局、手段となる対象と目的をもつ主体は分離出来ないのだ。その究極が、"God is a Means ~ "「神は、目的であり手段である」。これは誤解を生みやすいのだが、この世における目的と手段のことを言っているのではない。つまり、目的と手段が分離出来ないものだということをさらに超越して、実相世界では、目的と手段が融合して一体化することを、ここでは述べている。一元論世界では分離は意味を持たない。意味を持たない分離は解消し、融合し、一体化するのだ。そして、融合した目的と手段は、もはや目的でも手段でもなく、実在する真実と化す。これが、実相世界における創造であると思えばいいだろう。
In Heaven, means and end are one, and one with Him. This is the state of true creation, found not within time, but in eternity. - state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、実際どおりの」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
- find[fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "In Heaven, means ~ "「天の王国では、手段と目的は一体であり、神とも一体なのだ」。手段と目的は融合し、一体となり、真実へと昇華する。その真実は神と一体なのである。"This is the state of ~ "「これが、本当の創造という状態なのだ」。真実という目的に向かって手段が機能するとき、実相世界では、両者が融合して新たな真実を生む。それが創造である。"found not within ~ "「その状態は、時間という枠組みの中では見いだすことは出来ず、永遠の中においてのみ目撃されるのである」。真の創造は、実相的な永遠性を帯びるのである。
To no one here is this describable. Nor is there any way to learn what this condition means. - describable [diskráibəbl] : 「言葉で言い表せる、描写可能な」
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
- condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
- mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "To no one here ~ "「この幻想世界にあっては、誰にとっても、これは言葉で説明出来るようなものではない」。幻想世界の我々には、実相世界の真の創造を、言葉として理解することは不可能である。"Nor is there any way ~ "「また、この真の創造が行われる状況が、いったい何を意味するのか、学ぶ手だても(この世には)ない」。実相世界の真の創造は、実相世界に行かなくては学ぶことは出来ない。この幻想世界にとどまっている限り、実相的真実も、実相的創造も、知ることはもちろん、学ぶことも不可能だ。ならば、幻想世界を旅立って、実相世界へと向かうことが一番ではないか。それを、ホーリー・スピリットは我々に望んでいるのである。
Not till you go past learning to the Given; not till you make again a holy home for your creations is it understood.- till [tíl] : 「〜まで」
- not…till~ : 「〜するまで…しない、〜して初めて…する」
- past [pǽst] : 「〜を過ぎて、〜を過ぎ去って、〜を越えて」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- again [əgén] : 「再び、かさねて、この場合もやはり、さらに、また一方」
- holy[hóuli] : 「神聖な」
- understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Not till you go past ~ "「あなたが学ぶことを通り越して、与えられたるものへと行き着くまでは、」"not till you make ~ "「そして、あなたが創造したもの達のために、神聖なる住家を再び作るまでは、」"is it understood"「理解されないのだ」。非常にむずかしい言い回しをしているが、一言で言えば、あなたが天の王国へ回帰しない限り、真実も創造も理解出来ない、ということ。"learning"「学び」とは、この世での学びと考えていいだろう。この世で生きて行くこと、と思ってもいい。"the Given"「与えられたるもの」、これは、神から継承した神の属性のすべて、と考えればいいだろう。つまり、神の子としての神聖さのことである。"holy home"「神聖なる住家」とは、単純に天の王国と考えよう。"your creations"「あなたが創造したもの達」とは、神の子が神と共に暮らしていたときに創造した真実、愛、喜び、美、平和、等々のことである。そうすると全体の意味は、「あなたが、この世の学びを終えて、神から与えられた自らの神聖さに辿り着くまでは、そして、あなたが神と共に創造した、あなたの子である愛や喜びや平和に再会するべく、再び天の王国へ回帰しない限り、実相的真実も、真の創造も、この世のあなたには理解不可能なのだ」ということになる。