●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-16.IV.4:1 ~ T-16.IV.5:9

4. Love is not an illusion. It is a fact. Where disillusionment is possible, there was not love but hate.

  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
  • disillusionment [dìsilúːʒ(ə)nmənt] : 「覚醒、幻滅」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
❖ "Love is not ~ "「(真の)愛は幻想ではない」。"It is a ~ "「愛は真実である」。真の愛は実相世界の実在であり、真実である。"Where disillusionment is ~ "「幻滅が可能な場所には、愛ではなく、憎悪がある」。幻滅が存在する場所とは、この幻想世界である。幻想世界に存在するものは、一見愛のように見えるが、実は愛ではなく、憎悪だ。むしろ、憎悪という対極概念を常に合わせ持つ愛と言った方がいい。愛が幻滅されると、その愛が持っていた対極概念の憎悪が顔を出して来るのである。可愛さ余って憎さ百倍と言うではないか。



For hate is an illusion, and what can change was never love.
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
❖ "For hate is ~ "「なぜなら、憎悪は幻想であり、変化し得るものは決して愛ではないからだ」。真実の愛は実相世界の愛であり、実相世界は永遠不変の世界である。したがって、真の愛は変化しない。



It is sure that those who select certain ones as partners in any aspect of living, and use them for any purpose which they would not share with others, are trying to live with guilt rather than die of it.
  • sure [∫úə(r)] : 「信頼できる、当てになる、確信して、確信している」
  • select [səlékt] : 「〜を選ぶ、選び出す」
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「特定の、一定の、一部の、ある種の、確実な、確かな」
  • partner [pɑ́ː(r)tnə(r)] : 「配偶者、連れ合い、パートナー」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、外観、景観」
  • living [líviŋ] : 「生きていること、生活、生き方、暮らし」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • try [trái] : 「 試す、やってみる、試みる、企てる」
  • live [lív] : 「生きる、生存する、生きている」
  • live with : 「耐える、我慢する、受け入れる、〜に甘んじる」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • die of : 「〜が原因で死ぬ」
❖ "It is sure that ~ "「that以下は確かである」。"those who select ~ "「生活のあらゆる面において、特定の人をパートナーとして選び、他者と分かち合いたいと思わないような目的のためにそのパートナーを利用しようとするような人たちは、」"are trying to live with guilt ~ "「罪の意識のために死んでしまうというよりは、罪の意識を我慢して受け入れて生きようとしている」ということは確かである。「他者と分かち合いたいと思わないような目的」とは何であろうか? 特定のパートナーと二人だけで独占したい目的という意味であろう。たとえば、自分たちだけ幸せであればよいとか、喜びを他人に奪われたくないとか、極端な例は、性愛もその一つかもしれない。いずれ、こういった特別な愛の関係性においては、他者を排他するのが常である。他者を排他した上で、関係性の内部に罪の意識を抱えたまま生活していくのである。しかし、彼らは、罪の意識と正面から向き合って罪の意識と戦い、もしかしたら戦いに敗れて死ぬかもしれないなどいう危険は決して冒さない。むしろ、精神的に半殺しの状態を甘んじて受け入れ、孤絶した生活を続けるのである。



This is the choice they see. And love, to them, is only an escape from death.
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡」
❖ "This is the choice ~ "「これが、彼らが目の当たりにする選択である」。つまり、特別な関係性の中にいる人たちは、死を回避して、罪の意識を甘んじて受け入れ生きていく選択をしている、ということ。"And love, to them ~ "「彼らにとって、愛とは、死からの回避に過ぎない」。彼らにとっての愛は、絶望や憎悪から目を逸らせるための単なる手段、道具に過ぎない。



They seek it desperately, but not in the peace in which it would gladly come quietly to them.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • desperately [désp(ə)rətli] : 「必死に、死に物狂いに、是が非でも」
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
  • quietly [kwáiətli] : 「静かに、音もなく」
❖ "They seek it ~ "「彼らは愛を必死に追い求めているが、」"but not in the peace ~ "「平和の内に求めているのではない」。"in which it would ~ "「平和の内にあるなら、愛は喜んで、静かに彼らの元へやって来るであろうに」。愛を、死からの回避の道具と考えているうちは、平和のうちに愛を招き入れることは出来ない。



And when they find the fear of death is still upon them, the love relationship loses the illusion that it is what it is not.
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、死者」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "And when they find ~ "「そして、彼らが、彼らの上になおも死の恐怖を見いだすとき、」つまり、死を恐れるとき、"the love relationship ~ "「愛の関係性は、愛が死からの回避策ではないという幻想を失うのである」。"what it is not"は「特別な関係性の愛が本来そうではないもの」、つまり、特別な関係性の愛が本来死の回避策であることの否定を表し、"loses the illusion ~ "は、偽りの愛が偽りではないと思う幻想を失う、という意味合いになる。特別な関係性の愛は、憎悪を隠し、死の恐怖を回避してくれるものであったが、そんな偽りの愛が防ぐことの出来ない憎悪や死を目の当たりにすると、そんな期待は幻想であったと知るわけである。



When the barricades against it are broken, fear rushes in and hatred triumphs.
  • barricade [bǽrəkèid] : 「バリケード、妨害するもの、障害物」
  • against [əgénst] : 「〜に対して、〜に備えて」
  • broken [bróukn] : 「breakの過去分詞形」
  • rush [rʌ́∫] : 「急襲する、突撃する、殺到する」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利を収める、成功する」
❖ 幻想が崩れると、"When the barricades against ~ "「特別な愛の関係性の周りに築かれたバリケードは崩壊し、」"fear rushes in and ~ "「憎悪がどっとなだれ込み、憎悪が勝利するのである」。愛だと思っていた感情が、憎悪に変身してしまうのである。幻想世界の愛が、憎悪という対極概念をもった二元論的愛であると言った理由がわかると思う。いつでも、対極概念に変身してしまう危険性をはらんでいるのである。



5. There are no triumphs of love. Only hate is at all concerned with the "triumph of love. "
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利、大成功、大業績、勝利の喜び、功績」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • at all : 「仮にも、いやしくも」
  • concern [kənsə́ː(r)n] : 「〜に関係する、〜と関係がある、〜を心配させる」
  • be concerned with : 「〜に関係している、携わっている、〜に関心がある」
❖ "There are no ~ "「愛には勝利というものはない」。"Only hate is at all ~ "「憎悪だけが、『愛の勝利』に関心があるのだ」。実相世界の真の愛は、憎悪という対極概念を持たないし、奪ったり奪われたたりするのではない。互いに与え合い、分かち合うのである。ところが、幻想世界の特別な愛の関係性においては、愛は憎悪という対極概念を持ち、愛は相手から奪うものである。相手から愛を奪い取ったとき、あなたは愛に勝利したと感じるのである。そして、その見せかけの愛によって、自分の心の中の憎悪が隠され、一瞬、あなたはその憎悪にも勝利したような錯覚を覚えるのだ。



The illusion of love can triumph over the illusion of hate, but always at the price of making both illusions.
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利を収める、成功する」
  • triumph over : 「打ちまかす」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • at the price of : 「〜に相当する代償を払って」
  • both [bóuθ] : 「両方の、双方の、二つともの」
❖ "The illusion of love ~ "「幻想の愛は、幻想の憎悪に勝利できるが、」"but always at the price ~ "「常に、両者を幻想とする代償を払わなくてはならない」。愛が幻想の憎悪に勝利したとしても、その愛が実相世界の真の愛になったわけではない。つまり、愛が幻想の憎悪に勝利しても、その愛は実相化されないのだ。むしろ、幻想の憎悪に勝利することで、その愛は幻想のままにとどまることになる。幻想を幻想で覆い隠すだけの行為なのだ。いつまでも、ともに幻想のままにとどまるという代価を支払うことになる。ところで、幻想の憎悪が幻想を振りほどいて、実相世界の真の存在となったらどうなるか? 実相世界には憎悪は存在しないから、幻想の憎悪が実相化されれば、当然消滅するのである。



As long as the illusion of hatred lasts, so long will love be an illusion to you.
  • As long as : 「〜である限りは、〜する以上は、〜であるならば」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • so long : 「非常に長く」
❖ "As long as the illusion ~ "「幻想の憎悪が続く限り、」"so long will love ~ "「愛はあなたにとって、いつまでも幻想のままにとどまる」。理想としては、幻想の愛が実相に目覚め、実相世界の真の愛として実相化され、同時に、幻想の憎悪が消滅するのがベストである。



And then the only choice remaining possible is which illusion you prefer.
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
❖ "And then the only ~ "「そこで、可能性を残している選択は、ただ、あなたがどちらの幻想を好むか、ということである」。幻想の愛を選択し、幻想の憎悪を隠そうとするか、幻想の憎悪を選択し、幻想の愛を否定するかの選択。どちらにしても、あなたは幻想から開放されることはない。実相世界に目覚めて、真の愛を獲得することは出来ないのだ。では、残された道は、幻想の愛を捨てることではないか。つまり、特別な愛の関係性を拒絶して、真の関係性を求めることに尽きる。



There is no conflict in the choice between truth and illusion. Seen in these terms, no one would hesitate.
  • conflict [kənflíkt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • term [tə́ː(r)m] : 「項目、条項、条件、規約」
  • hesitate [hézitèit] : 「躊躇する、遠慮する、気後れする、はばかる、迷う」
❖ "There is no conflict ~ "「真実と幻想の間の選択にはコンフリクトは存在しない」。どちらの幻想を取るかという選択にはコンフリクト(衝突)は存在するだろうが、実相と幻想という、まったく異なったレベル間では、選択にコンフリクトが生じることはない。"Seen in these ~ "「これら二つの項目をよく考えれば、誰も躊躇することはないはずだ」。誰だって、躊躇なく幻想を捨てて、実相(真実)を選択するはずである。だからこそ、あなたの特別な愛の関係性を幻想であると見抜くことが大切なのだ。幻想と見抜けさえすれば、あなたは幻想を捨てて、真の実相である純粋な愛に目覚めるだろう。



But conflict enters the instant the choice seems to be one between illusions, but this choice does not matter.
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間」
  • the instant : 「〜の瞬間に」
  • between[bitwíːn] : 「〜の間の」
  • matter [mǽtə(r)] : 「重要である、重要になる、問題である、問題となる」
❖ "But conflict enters ~ "「しかし、選択が幻想間の選択に見えた途端、コンフリクトが入り込む」。幻想の愛を選択するか、幻想の憎悪を選択するか、という問題に立ち至ったとき、その瞬間にあなたの心はコンフリクトを起こす。"but this choice ~ "「しかし、こんな選択は重要ではないのだ」。所詮幻想と幻想の間の選択であるから、実相世界にはまったく関わらない。夢の中の選択であり、夢の中のコンフリクトである。



Where one choice is as dangerous as the other, the decision must be one of despair.
  • dangerous [déin(d)ʒ(ə)rəs] : 「危険な、物騒な」
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心」
  • despair [dispéə(r)] : 「絶望、失望、落胆」
❖ "Where one choice ~ "「一方の選択が、他方の選択と同様に危険であるなら、」"the decision must be ~ "「(どちらの)決定も、一つの絶望であるに違いない」。「危険」と「絶望」という強い言葉を使っているが、「無意味」と「落胆」という言葉に置き換えれば、文章の雰囲気はつかめるだろう。つまり、「どちらを選択しようが、それは無意味であるから、どちらに決定しても、落胆だけが残る」といった感じ。
 
 
 

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