●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.VI.4:1 ~ T-16.VI.5:8

4. The special relationship is totally meaningless without a body.

  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • body [bɑ́di] : 「体、身体、人体、肉体」
❖ "The special relationship ~ "「特別な関係性は、肉体なしには全く意味を持たない」。特別な愛の関係性は、当然ながら肉欲が絡み、肉体なしには成立しない。心と心の精神的な関係性だけでは満足出来ないのだ。



If you value it, you must also value the body. And what you value you will keep.
  • value [vǽljuː] : 「〜を評価する、重視する、大事にする、尊重する、重んじる」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
❖ "If you value it ~ "「もしあなたが、特別な関係性に価値を認めるなら、あなたは肉体にもまた価値を置くに違いない」。"And what you ~ "「そして、あなたが価値を認めたものを、あなたは保持しようとするのだ」。特別な関係性を幻想であると見抜けないから、肉体の幻想性も見抜けない。肉体をもった自分が実在であると、当然のように考えている。



The special relationship is a device for limiting your self to a body, and for limiting your perception of others to theirs.
  • device[diváis] : 「手段、仕掛け、工夫、機器、装置、道具」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
❖ "The special relationship ~ "「特別な関係性は、あなたの自己を肉体に限定するための装置に過ぎない」。"and for limiting ~ "「そして、他者に対する知覚を他者の肉体に限定する装置でもある」。あなたは何であるかと問われれば、あなたはこの肉体であると答えるように、あなた自身を肉体に限定する。他者に対しても同様である。肉体を抜きにした自己も、肉体を抜きにした他者も考えられないのだ。ところで、"self"「自己」であるが、愛が最大の自己表現であることを踏まえれば、"self"「自己」を"love"「愛」に置き換えても十分意味は通じる。そうすると、あなたはあなたの愛や他者の愛を肉体に限定する、という意味合いになり、特別な関係性がもっている肉欲という属性が理解出来るだろう。つまり、特別な関係性とは、愛と肉欲の区別がつかなくなった状態なのだ。



The Great Rays would establish the total lack of value of the special relationship, if they were seen.
  • great [gréit] : 「偉大な、卓越した、すてきな、素晴らしい」
  • ray [réi] : 「放射線、光線、熱線、一筋の光明、輝き、ひらめき」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、成立させる、設立する」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
❖ "The Great Rays would ~ "仮定法過去、「もし、偉大な光が目撃できたなら、その偉大な光は、特別な関係性が持っている価値のすべてを完全に無に帰してしまうだろう」。さて、"The Great Rays"「偉大な光、偉大なる光線」の正体であるが、あなたが実相世界に目覚める聖なる瞬間に立ち上る光、天の王国へと伸びる光線のことであるが、この光を神聖さのシンボルとととるか、つまり、比喩として捉えるか、現実に知覚で感受できる実在の光と捉えるか、人それぞれで異なると思う。しかし、いずれにしても、偉大な光が差してくるという聖なる瞬間には、あなたは実相的知覚に目覚め、特別な関係性が幻想に過ぎないことが分かり、その関係性が寄って立つ肉体自体も幻想であることが認識でき、特別な関係性の肉体もまったく価値がないのだと知るのである。



For in seeing them the body would disappear, because its value would be lost.
  • disappear [dìsəpíə(r)] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "For in seeing them ~ "「なぜなら、偉大なる光を見る中で、肉体は消滅してしまうからだ」。"because its value ~ "「と言うのも、肉体の価値が失われるからだ」。実相的な偉大な光に照らされて、幻想の肉体が姿を消す。幻想が消滅することで、幻想が持っていた価値それ自体も消滅するのだ。結果、肉体が消滅した後に残った、本当の存在(実在)であるあなたは、偉大なる光に導かれて天に昇る。いわゆる、アセンションするのである。当然、肉体がアセンションするのではない、あなたの心がアセンションするのである。



And so your whole investment in seeing it would be withdrawn from it.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資」
  • withdrawn [wiðdrɔ́ːn] : 「withdraw の過去分詞形」
  • withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「引っ込める、取り消す、取り下げる、撤回する」
❖ "And so your whole investment ~ "「幻想に投資したすべては、そこから手を引くことになるだろう」。"it"を「幻想」解釈したが、具体的には特別な関係性であり、肉体のことである。幻想の肉体を価値ありと見てきたが、もはやそんなことはしなくなる、ということ。



5. You see the world you value. On this side of the bridge you see the world of separate bodies, seeking to join each other in separate unions and to become one by losing.
  • value [vǽljuː] : 「〜を評価する、重視する、大事にする、尊重する、重んじる」
  • side [sáid] : 「側面、辺、側、面」
  • bridge [brídʒ] : 「橋、橋梁、桟橋、掛け橋」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の、別々の」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • join [dʒɔ́in] : 「に加入する、〜に参加する、〜と交わる、〜と一緒になる」
  • each other : 「お互いに」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "You see the world ~ "「あなたは、あなたが価値を置く世界を見るのである」。幻想に価値を置いているうちは、あなたは幻想の世界を見る。幻想を疑い、実相こそが価値ありと認識すれば、あなたは実相世界を見ることになる。"On this side of ~ "「(実相世界へと続く)掛け橋のこちら側では、」"ou see the world ~ "「あなたは、分離した肉体の世界を見ることになる」。確かに、この世の我々は別々の肉体をもって生きている。しかし、ここでは、それは幻想だと暗示しているのだ。"seeking to join each other ~ "分詞構文、単純接続、「そして、互いに、分離したままの結合を探し求め、(自由を)失うことで一つになろうとしている」。実相世界の心と心の融合を核融合反応に例えれば、幻想世界の結合は化学反応みたいなものである。原子と原子がそのままの形で結合しただけのものであり、それまで自由に動き回っていた原子は結合によって自由に動き回ることが出来なくなる。対して、核融合の場合は、原子と原子がその根本で融合してしまい、まったく新しい一つの原子として誕生する。本文に戻ると、このような結合の仕方が、特別な関係性なのである。つまり、肉体を持った者同士が、表面的に結びつき、互いに自由を奪い合うことで結びつきを維持しようとするのである。



When two individuals seek to become one, they are trying to decrease their magnitude.
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人、特定の人、個体」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • decrease [dìːkríːs] : 「〜を減らす、減少させる、下げる」
  • magnitude [mǽgnət(j)ùːd] : 「大きいこと、偉大さ、重要さ、重要性 」
❖ この幻想世界では、"When two individuals ~ "「二人の個人が一つになろうとするとき、」"they are trying to ~ "「彼らは、自分の偉大さを減少させようと企てているのだ」。特別な関係性によって結合するとき、互いに自由を奪い合い、他者を隷属化しようとして、他者の神の子としての威厳を踏みにじろうとする。他者の自己、つまり、他者の愛を踏みにじろうとするのである。



Each would deny his power, for the separate union excludes the universe.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す」
  • universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「宇宙、銀河、全世界、全人類」
❖ "Each would deny ~ "「互いに互いのパワーを否定する」。つまり、互いがもっている愛のパワーが外に広がることを制限してしまうのだ。自分たちだけの小さな世界に閉じこもってしまうのである。"for the separate union ~ "「なぜなら、分離したままの結合は、世界を排除するからである」。自分たちだけの小さな世界がすべてとなり、同胞が生きる世界の存在を否定することになる。孤立化、孤絶化して、愛のパワーも自由への解放も禁じてしまう。



Far more is left outside than would be taken in, for God is left without and nothing taken in.
  • far more : 「はるかに多く」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • outside [áutsáid] : 「外側に、外部に」
  • take in : 「取り入れる、取り込む、持ち込む」
  • without [wiðáut] : 「外に、外部に、 外側に」
❖ "Far more is left outside ~ "「中に取り入れられるであろうものより、ずっと多くのものが外に残される」。"for God is left ~ "「なぜなら、神は外に取り残され、何も中に入ってこないからだ」。特別な関係性の小さな世界に閉じこもってしまった二人は、外部世界とのコミュニケーションを拒絶して孤立化することを選んだので、外から何かを取り入れることはない。ましてや、幻想の小さな世界に閉じこもるのだから、神を外部世界に追いやってしまったのである。簡単に言えば、二人だけの空想の世界で眠りこけてしまうのである。



If one such union were made in perfect faith, the universe would enter into it.
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完璧な、完全な、全くの、完全無欠の」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
❖ "If one such union ~ "仮定法過去、「もしも、そのような結合が、完璧な信頼の元に作られるなら、」"the universe would ~ "「世界はその結合の中に入って行けるだろうに」。特別な関係性において、もし、互いの愛を信頼し、愛の奪い合いをするのではなく、また、愛の隷属化を図るのでもなく、周りの世界とのコミュニケーションを維持できるなら、この関係性は世界をその中に招き入れて孤絶することなく、また世界を排他することなく、世界との良好な関係を保って行けるであろうに。しかし、そんな特別な関係性は、現実には存在しない。



Yet the special relationship the ego seeks does not include even one whole individual.
  • include [inklúːd] : 「〜を含める、〜を含有する、包含する、包括する」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人、特定の人、個体」
❖ "Yet the special relationship ~ "「ところが、エゴの追求する特別な関係性は、一人の個人を全面的に受け入れることさえしない」。エゴの求める特別な愛の関係性においては、パートナーを一人の人間として全面的に受け入れ、無条件に愛することすらしない。単に肉体的に必要なのであって、パートナーの心を受け入れることはしないのである。



The ego wants but part of him, and sees only this part and nothing else.
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • else [éls] : 「その他の、その外の」
❖ "The ego wants but ~ "「エゴは、パートナーの一部分だけを求める」。"and sees only this part ~ "「この部分だけに目をやり、その他の部分に視線を向けることはない」。パートナーの肉体だけに目をやり、心を支配して隷属化する。パートナーを全的に受け入れることなどエゴは望まないのだ。なぜか? パートナーを全的に受け入れることが出来れば、その心には真実が見えてきて、同時に幻想の関係性は消滅するからだ。そして、新たな、実相的関係性へと発展してしまうからである。エゴが最も恐れるのは真実なのである。なぜなら、エゴ自体が虚偽であるからだ。
 
 
 

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