●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.VI.15:1 ~ T-16.VI.16:4

15. The core of the separation illusion lies simply in the fantasy of destruction of love's meaning.

  • core [kɔ́ː(r)] : 「核心、中核、中心、芯」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • simply [símpli] : 「簡単に、単に」
  • fantasy [fǽntəsi] : 「想像、空想、幻想、白日夢」
  • destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄 」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "The core of the separation ~ "「分離という幻想の核心部分は、」"lies simply in the fantasy ~ "「愛の意味を破壊し得るという空想の中に、単に存在しているだけだ」。難解である。まず"love's meaning"「愛の意味」とは何か? 実相世界における愛は、一元論世界に特有の、憎悪という対極概念をもたない純粋な愛である。さらに、実相世界では愛は分かち合われ、融合することで単一の愛になり、拡張増大していく。これが本当の愛の姿である。完全に平等であり、永遠不変であり、与えることだけが出来、奪うことなど不可能なものが愛である。しかし、分離の象徴である幻想世界では愛は一変する。つまり、愛の本当の意味が破壊される。愛は特別な関係性の中だけに育ち、分かち合われることはなく、それは奪われ支配され、愛の裏側には常に憎悪が隠されている。変化流動し、愛は醜い嫉妬や憎悪に変化する。なぜ、幻想世界では、愛の意味は破壊されるのか? それは幻想世界の発生理由に原因がある。神の子が神から分離し、神を裏切ったという罪の意識と神からの報復の恐れから自己を乖離し、心の幻影を外部へ投射したものがこの幻想の世界である。神から分離するために、つまり一元論(融合)から脱出するために、二元論(分離)の世界を疑似創造したのである。ここが肝心な部分である。幻想世界の核心にあるのはこの二元論(分離)である。一元論世界から逃避するために、二元論世界を幻想しなくてはならなかったのだ。二元論世界では、したがって、愛も解体され、愛と憎悪に分離させられた。二元化させられるのである。比喩的に簡単に言えば、光だけがあって影の存在しない実相世界を疑似創造した結果、光があって、それが原因で陰が生じる幻想世界が出来上がったのである。したがって、光があって陰が出来るものはすべて幻想である。たとえば、誰かが得をして、そのために誰かが損をするなら、それは幻想の出来事だ。誰かが脚光を浴び、誰かがその陰に隠れたら、その出来事は単なる夢のごときものに過ぎない。光があって陰が出来ないとき、それこそ本物と思わなくてはいけない。たとえば、誰かが喜びに満たされ、あなたも同時に他者の喜びを自分の喜びと感じたら、その喜びは、もはや幻想なのどではない、本物だ。



And unless love's meaning is restored to you, you cannot know yourself who share its meaning.
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • restore [ristɔ́ː(r)] : 「修復する、回復させる、再構築する」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "And unless love's meaning ~ "「あなたにとって、愛の意味が修復されない限り、」"you cannot know ~ "「愛の意味を分かち合うあなた自身を、あなたは知ることが出来ないのだ」。実相世界の純粋な愛の姿を認識できるように、知覚が修正されない限り、神の子として愛を分かち合い拡張増大させていく自分の役割を理解できないだろう。



Separation is only the decision not to know yourself. This whole thought system is a carefully contrived learning experience, designed to lead away from truth and into fantasy.
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考」
  • carefully [kéə(r)f(ə)li] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • contrive [kəntráiv] : 「立てる、企画する、作る、考案する、たくらむ」
  • learning [lə́ː(r)niŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「経験、体験、見聞」
  • design [dizáin] : 「〜を考案する、〜を策定する、〜を計画する」
  • lead [li':d] : 「〜を導く、案内する」
❖ "Separation is only ~ "「分離は単に、あなた自身を知ることがないようにと決定したものである」。分離し、幻想世界にとどまることで、実相世界の真実のあなた自身を知ることがない。夢の中をさまよって目覚めようとしないのだ。分離を選択するとは、そういうことである。"This whole thought system is ~ "「この幻想の思考システム全体は、経験から学ぶように入念に計画されたものである」。叡智による直覚的な真理把握を目指すのではなく、知覚や経験によって入念に事実を積み上げて事実体系を作り出し、それを基盤に思考システムを構築するというのが、幻想世界のやり方である。"designed to lead away ~ "分詞構文、先頭にbeingを補うとよい、単純接続、「そして、真実から離れ、空想へと導くようにデザインされている」。知覚や経験と言っても、それは夢の中の知覚や経験であって、幻想の中の偽りの事実である。結果、幻想の思考システムは真実から離れ、空想へと向かわざるを得ない。



Yet for every learning that would hurt you, God offers you correction and complete escape from all its consequences.
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • correction [kərék∫n] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、徹底的な、全面的な」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結、因果関係」
❖ "Yet for every learning ~ "「あなたを傷つけるであろうあらゆる学びに対処して、」"God offers you correction ~ "「神はあなたに、その修正をもたらしてくれるし、あらゆる結果から完璧に逃れる術を与えてくれるのである」。誤った知覚や経験によって、あなたの心は傷つけられるかもしれないが、神はその知覚や経験を修正してくれるだろう。もちろん、ホーリー・スピリットがその手助けをしてくれるのである。そして、誤った知覚や経験がもたらすつらい結果から、あなたを解放してくれるだろう。



16. The decision whether or not to listen to this course and follow it is but the choice between truth and illusion.
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議」
  • whether or not : 「〜かどうか、いずれにせよ」
  • listen [lísn] to : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
  • course [kɔ́ː(r)s] : 「課程、講座、科目、単位、方向、コース」
  • follow [fɑ́lou] : 「追う、ついて行く、〜に従う、追随する」
  • choice [t∫ɔ́i] : 「選ぶこと、選択」
  • between [bitwíːn] : 「〜の間の」
❖ "The decision whether ~ "「このACIMの言うことに耳を傾け、それに従うかどうかの選択は、正に、真実か幻想かの選択である」。ACIMを信じて追従するかどうかは、あなたの自由意思に任されている。当然、ACIMを拒絶してもいいのだ。しかし、最小限言えることは、それは幻想を選択して生きていく、ということを意味している。その覚悟が十分できているなら、この世で生きて成功して、悠々と老後を過ごすのも良かろう。それもまた、数ある中の一つの人生ではないか。



For here is truth, separated from illusion and not confused with it at all.
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混乱させる、困惑させる、戸惑わせる」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
❖ "For here is truth ~ "「なぜなら、このACIMの中にこそ真実は存在するからである」。"separated from ~ "分詞構文、理由「というのも、幻想から離れ、まったく幻想と混同することはないからだ」。イエスの語るACIMは幻想でも錯覚でも、世迷い事でもなく、もちろん、何かを混同しているのでもない。ACIMのイエスは、明晰な真実を語っているだけだ。ACIMが、1960年代に、コロンビア大教授ヘレン・シャックマンという名の女性の幻聴(内なる声)によってもたらせれたものであることは事実である。しかし、それだけをもってACIMに眉をひそめることは、カットされる前のダイヤの原石は単なる石ころに過ぎないとして投げ捨てる行為と等しい。もし、このACIMが、2000年前のアラム語で書かれた古文書であったら、どうであっただろうか? 世界は色めき立ったに違いない。だが、真理の名において、その両者にどれだけの差異があるだろう? 真理を知りたいと切望する心は、1960年代の幻聴と、2000年前の古文書に、はたして真理自体の価値の違いを認識するだろうか? 真理とは、言うまでもなく永遠不変である。時空を超越したものである。ならば、・・・いや、もう何も言わなくても、皆さんはわかってくれるだろう。



How simple does this choice become when it is perceived as only what it is.
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "How simple does ~ "「単に、このACIMがありのままに知覚されるなら、ACIMを選択することなど、何とも簡単なことなのだ」。真実を素直に感受できる知覚が備わっていれば、ACIMの言っていることが真実と簡単に分かり、それに従う選択など、極く自然に出来てしまう。結局は、あなた自身の資質が問われているのだ。あなたが真実に対してどれだけ敏感であるか、それが最大の要因になっている。自分の、真実を見極める力に自信のない者は、ACIMから去って行くだろう。真理を受け入れる器量の備わった者だけがACIMの真実を受け入れていくのである。そして、ACIMを同胞と分かち合い、それを拡張増大させていくのだ。



For only fantasies make confusion in choosing possible, and they are totally unreal.
  • fantasy [fǽntəsi] : 「想像、空想、幻想、白日夢」
  • confusion [kənfjúːʒ(ə)n] : 「混乱、当惑、混同、取り違え」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
  • unreal : 「実在しない、非現実的な、実存しない、虚偽の、真実性のない、幻想的な、空想的な」
❖ "For only fantasies make ~ "「なぜなら、空想だけが、選択を混乱させることが出来るのであり、」"and they are totally ~ "「空想とは、完全に実在ではないからだ」。ACIMを受け入れるかどうか迷って混乱しているとすれば、その混乱は、あなたの空想の産物である。本当は、迷い混乱するほどの複雑さは、現実にはどこにもない。目の前にあるのは真実であって、その真実をあなたは拾い上げれるだけでいいのだ。つまり、ACIMの中に真実を見つけて拾い上げていけばいい。もちろん、ACIMはいかなる批判をも禁じてはいない。孤高の批判精神をもってACIMに臨むことも、まったくもって、良かろう。しかし、残念ながら、旧約、新訳の聖書を無闇に振り回してACIMを批判することは、あなた自身の孤高の批判精神をもって批判することとはまったく次元が異なる。是非、あなた自身の目に見えた真実をもって、ACIMの真実と対峙することを、私はささやかに希望する。
 
 
 
 

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