●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.VII.4:1 ~ T-16.VII.5:7

4. The past is gone; seek not to preserve it in the special relationship that binds you to it, and would teach you salvation is past and so you must return to the past to find salvation.

  • gone [gɔ́(ː)n] : 「go の過去分詞形」
  • preserve [prizə́ː(r)v] : 「〜を保つ、保存する、貯蔵する、保護する」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束す」
  • teach [tíːt∫] : 「〜を教える、指導する」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「戻る、帰る、返還する」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "The past is ~ "「過去は過ぎ去ったのだ」。"seek not to preserve ~ "「〜のような特別な関係性の中に、過去を保持しようとしてはいけない」。"that binds you ~ "「あなたを過去に縛りつけ、」"and would teach ~ "「あなたに、救いは過去であり、救いを見いだすために過去に立ち返らなくてはいけないと教える」特別な関係性の中に、過去を保持しようとしてはいけない。過去は過ぎ去り、無に帰した。その幻想の過去に執着する特別な関係性も幻想に過ぎない。ならば、実相に目覚めるには、幻想の特別な関係性を手放してしまうに限るではないか。救いは、幻想の放棄にこそある。



There is no fantasy that does not contain the dream of retribution for the past.
  • fantasy [fǽntəsi] : 「想像、空想」
  • contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、抑える、抑制する」
  • dream [dríːm] : 「夢、夢現象、理想」
  • retribution [rètrəbjúː∫n] : 「懲罰、報い、天罰、仕返し、処分、報復、返報、罰」
❖ "There is no fantasy ~ "「〜のような空想などない」。"that does not contain ~ "「過去に対して報復したいと思う夢を含まないような」空想などない。空想は常に、過去に怒りや憎しみなどの悪感情を抱いたことへの復讐を目論む。



Would you act out the dream, or let it go?
  • act [ǽkt] out : 「演じる」
  • let it go : 「あきらめる、手放す」
❖ "Would you act out ~ "「あなたは、そんな夢を演じたいのか、それとも、そんな夢を手放してしまいたいのか」。幻想の中に留まっていたいなら、復讐劇を演じればいいし、実相世界へ目覚めたいのであれば、そんな夢は捨てればいい。神もホーリー・スピリットも決してあなたに強制はしない。すべて、あなたの自由意思で選択できる。しかし、選択のタイミングは今しかない。なぜなら、あなたがACIMに出会ったのは決して偶然ではなく、選択のタイミングに気付く必然性があったからだ。



5. In the special relationship it does not seem to be an acting out of vengeance that you seek.
  • act [ǽkt] out : 「演じる」
  • vengeance [vén(d)ʒ(ə)ns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
❖ "In the special relationship ~ "「特別な関係性の中にあっては、それが、あなたの求める復讐劇を演じることのようには見えない」。特別な関係性の中に漬かりきっていると、それが過去の悪感情への復讐を演じていることだとは気付かない。いわば、それほどまでに、特別な関係性はエゴの巧妙な仕掛けなのである。



And even when the hatred and the savagery break briefly through, the illusion of love is not profoundly shaken.
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
  • savagery [sǽvidʒri] : 「残忍性、残虐性」
  • break through : 「現れる」
  • briefly [bríːfli] : 「簡潔に、ちょっとの間、短く、簡単に」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • profoundly [prəfáundli] : 「深く、心から、大いに」
  • shaken [∫éikn] : 「shake の過去分詞」
  • shake [∫éik] : 「〜を振る、振動させる、〜を動揺させる、揺るがす」
❖ "And even when the hatred ~ "「そして、憎しみや残忍性がちらっと現れたときでさえ、」"the illusion of love ~ "「幻想の愛は、深く揺さぶられることはない」。幻想世界は二元論の世界であり、常に対極概念がセットで進行する世界だ。特別な関係性における愛もその例外ではなく、その愛は憎悪という対極概念を常に裏側に隠し持っている。その隠れていた憎悪や残虐性が、何かの機会にちらっと表に現れ出ることがある。はっと、気付いて、自分の愛が偽りであることを素早く認識すればいいのだが、大概の場合は、気付きもせず、いささかの動揺もなく、やり過ごしてしまうのだ。



Yet the one thing the ego never allows to reach awareness is that the special relationship is the acting out of vengeance on yourself.
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
  • reach [ríːt∫] : 「〜に達する、〜に至る、〜に届く」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "Yet the one thing ~ "「しかし、エゴが決してあなたに知ることを許さないものが一つある」。"is that the special relationship ~ "「それは、特別な関係性は、あなた自身に対する復讐劇だということである」。簡単に言うと、特別な関係性は、結局、自己破壊行為なのだ。過去の悪感情に復讐するためと言っておきながら、結果的には過去の自分に復讐することであって、自己破壊行為そのものである。エゴの最終目的を思い出してもらいたい。それは、あなたを磔刑に処すことである。つまり、エゴは、あなた自らが十字架上に登ることを目論んでいるのである。



Yet what else could it be? In seeking the special relationship, you look not for glory in yourself.
  • else [éls] : 「そのほかの」
  • look for : 「〜を探す、〜を予期する、〜を期待する」
  • glory [glɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳」
❖ "Yet what else ~ "「特別な関係性は、それ以外であり得ようか」。"In seeking the special ~ "「特別な関係性を追い求める中で、あなたは、あなた自身の中に栄光を探すことはない」。あなたには、神の子としての栄光があるはずだ。真実を愛するという誇りがあるはずだ。しかし、特別な愛欲の関係性に溺れてしまえば、憎悪や怒りや復讐心が湧くことはあっても、自己の栄光や誇りを思い出すことはない。逆に、その栄光や誇りを忘れんがために、関係性の深みの中にのめり込んで行くようにさえ見える。



You have denied that it is there, and the relationship becomes your substitute for it.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • substitute [sʌ́bstət(j)ùːt] : 「代用品、代替、代理人、置換」
❖ "You have denied ~ "「あなたは、栄光があなた自身の中にあることを拒絶してきた」。つまり、神の子であることを拒んできたのだ。"and the relationship ~ "「そして、関係性が、栄光の代用品となってしまったのである」。あなたは、自分が神聖な神の子であることを否定し、単なるヒトという動物の位置に自分をおとしめ、オスとメスの関係性を選択してしまった。その関係性があなたに幸せをもたらしてくれるなら、神の子の栄光など必要ない、と考えたのだ。



And vengeance becomes your substitute for Atonement, and the escape from vengeance becomes your loss.
  • vengeance [vén(d)ʒ(ə)ns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃避、回避」
  • loss [lɔ́(ː)s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
❖ "And vengeance becomes ~ "「そして、復讐が、あなたにとって、贖罪の代用品となり、」"and the escape from ~ "「復讐から逃れることは、あなたにとって損失であると思ってしまったのだ」。ACIMの贖罪とは、自分が完全に無辜(むこ)であると受け入れることだ。自分は神から分離したことなどないし、したがって罪などなく、神の報復もない。しばらくの間、神の元で深い眠りに陥っていただけで、怒りや憎しみや悲しみといった悪感情は、単に夢の中の出来事に過ぎなかったのだと悟ることである。しかし、その贖罪に至らないあなたは、贖罪の代わりに、夢の中の悪感情に復讐しようとし、復讐できなかったら大損害だ、と思うようになってしまったのである。あなたは、夜見る夢の中で、モンスターと戦っているようなものだ。夢の中で、あなたがどんなにモンスターに戦いを挑んでも、あなたはモンスターを倒すことは出来ないのである。では、どうすればいいか? そんな夢から覚めてしまえばいいのだ。
 
 
 

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