●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.VI.6:1 ~ T-16.VI.7:7

6. Across the bridge it is so different! For a time the body is still seen, but not exclusively, as it is seen here.

  • across [əkrɑ́s] : 「〜を横切って、〜の向こう側に、〜を越えて、〜を渡って」
  • bridge [brídʒ] : 「橋、橋梁、桟橋」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • for a time : 「当分、一時の間、当面は」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • exclusively [iksklúːsivli] : 「排他的に、独占的に、もっぱら、単独に」
❖ "Across the bridge ~ "「掛け橋を渡ると、そこは全く異なる世界である」。実相世界への掛け橋を渡り終わると、そこに広がる実相世界の景色は、幻想世界のこの世の風景とはまったく異なる。"For a time the body ~ "「しばらくの間は、肉体はまだ見えている」。実相世界に目覚めると、幻想の肉体は消滅するはずであるが、しばらくは見えているらしい。実に生々しい記述ではある。"but not exclusively ~ "「ただし、その肉体は、この世界で見えるように排他的に見えるのではない」。この世界の肉体は、皮膚一枚を隔てて外部世界を排他的に区別しているのだが、どうやら、掛け橋を渡った時点では、その肉体は周りの環境に溶け込んでいるらしい。肉体が半透明になっているイメージを持てばいいか。しかし、厳密なことは不明だ。先を読み進もう。



The little spark that holds the Great Rays within it is also visible, and this spark cannot be limited long to littleness.
  • spark [spɑ́ː(r)k] : 「火花、スパーク」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに」
  • visible [vízəbl] : 「目に見える、可視の、可視的な」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • long [lɔ́(ː)ŋ] : 「長く、長い間」
  • littleness [lítlnəs] : 「小さいこと、小ささ」
❖ "The little spark that ~ "「肉体の内部に、偉大な光を保持した、かすかなスパークが見て取れる」。実相世界を象徴する"the Great Rays"「偉大な光」が発火し始めて、肉体の中にちらちらと、偉大な光のスパークが発生しているのが目撃できる。"and this spark cannot ~ "「このスパークは、いつまでも小さいままに制限されることは不可能だ」。つまり、スパークは次第に大きな光に変化していく、ということ。やがて、正真正銘の"the Great Rays"「偉大な光」になる。



Once you have crossed the bridge, the value of the body is so diminished in your sight that you will see no need at all to magnify it.
  • once [wʌ́ns] : 「いったん〜すると、ひとたび〜すれば」
  • cross [krɔ́(ː)s] : 「〜を横断する、渡る」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、重要性」
  • diminish [dimíni∫] : 「小さくなる、減少する、縮小する、衰える」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • need [níːd] : 「必要、必要性、必要なもの」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
  • magnify [mǽgnəfài] : 「大きく見せる、拡大する、〜を大げさに見せる、〜を誇張する」
❖ "Once you have ~ "ここは"~ so ~ that ~ "の構文、「ひとたび掛け橋を渡ってしまえば、あなたの目には、肉体の価値があまりにも縮小してしまうので、肉体を殊更大きく見せる必要などまったくないように思うだろう」。幻想の肉体が消滅する断末魔である。肉体が物質的な現実性をもっていたのは幻想世界だけであって、実相世界では、その価値は縮小していき、偉大な光に置き換わっていく。あなたの実在は純粋な光であることを認識するのだ。かくして、神の子は光の子となる。この実相世界の光は、幻想世界の光が影を作るのとは違って、影という対極概念をもたない純粋な光である。実相世界の光は影を作らない。したがって、当然、実相世界には闇はない。純粋な愛の光と言ってもいい。あるいは、神の光と呼んでもいいだろう。だからこそ、"the Great Rays"「偉大な光」なのである。



For you will realize that the only value the body has is to enable you to bring your brothers to the bridge with you, and to be released together there.
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える」
  • enable A to do : 「Aが〜できるようにする」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて行く」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "For you will realize ~ "「なぜなら、あなたはthat以下を実感するであろうからだ」。"that the only value ~ "「肉体が持っている唯一の価値は、あなたの同胞をあなたと共に掛け橋まで連れてきて、そこで共に解放されることを可能にすることである」。肉体の有用性は、同胞と共に実相世界への旅を可能にすることである。旅が終われば、肉体の役割は終わり、幻想の肉体は消滅する。



7. The bridge itself is nothing more than a transition in the perspective of reality.
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • transition [trænzí∫n] : 「移行、遷移、推移、転移、変化」
  • perspective [pə(r)spéktiv] : 「展望、物の見方、考え方、観点、視野」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "The bridge itself is ~ "「掛け橋それ自体は、実相を見る見方の相転換以上の意味はない」。実相世界は想念、抽象の世界であり、具象的な建造物としての掛け橋が存在するわけではない。この世界で実在だと見ていたものが実は幻想であり、空想だと思われていた天の王国が実在であると、ものを見る見方ががらっと変わってしまう、その相転換を意味する象徴なのだ。もっとも、相転換を起こした知覚が、視野の中に掛け橋を描いて、そこに橋があるように見せる可能性は十分ある。したがって、実相世界への掛け橋を目に見える実在の橋と考えても、いささかも間違いではないだろう。般若心経には、掛け橋の代わりに、河を渡って叡智を完成させると描かれているように、人それぞれに見えるものは異なると考えてもいいだろう。いずれにしても、掛け橋は実在かどうか、河は実在かどうか、あまりこだわる必要はない。必要なのは、それが橋であれ河であれ、そこを渡る、という行為だ。



On this side, everything you see is grossly distorted and completely out of perspective.
  • grossly [ɡróusli] : 「大いに、極めて、ひどく、はなはだしく、著しく」
  • distort [distɔ́ː(r)t] : 「〜を曲げる、変形させる、〜をゆがめる」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
  • out of perspective : 「見方を誤って」
❖ "On this side, everything ~ "「掛け橋のこちら側では、あなたが目にするものすべては甚だしく歪められており、ものの見方自体が完全に誤っている」。この世界では、肉体的な感覚、知覚が不完全なのだ。だからこそ、ホーリー・スピリットは、我々の知覚を修正しようとする。ものの見方、すなわち知覚を修正しすることで、ものを正しく見ることが出来るようになる。



What is little and insignificant is magnified, and what is strong and powerful cut down to littleness.
  • insignificant [ìnsignífik(ə)nt] : 「重要でない、大したことがない、ちっぽけな」
  • magnify [mǽgnəfài] : 「〜を大げさに見せる、〜を誇張する、讃える、あがめる」
  • cut down : 「縮める、縮小する、短縮する、削減する、減らす」
❖ "What is little and ~ "「小さく、重要でないものが誇張され、強くパワーのあるものが過小に見られる」。簡単に言えば、この世界では物質が過大に評価され、心が過小に評価されている、ということ。物質は幻想に過ぎず、心こそが実在であるにもかかわらず、である。



In the transition there is a period of confusion, in which a sense of actual disorientation may occur.
  • transition [trænzí∫n] : 「移行、遷移、推移、転移、変化、変遷」
  • period [pí(ə)riəd] : 「期間、時期、時間」
  • confusion [kənfjúːʒ(ə)n] : 「混乱、当惑、混同、取り違え」
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • actual [ǽkt∫u(ə)l] : 「実在の、現実の、実際の」
  • disorientation : 「見当がつかないこと、方向感覚を失うこと」
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "In the transition there is ~ "「掛け橋を渡って向こうに行くことは、混乱の期間でもある」。"in which a sense ~ "「そのとき、実際、方向感覚の乱れが生じるのだ」。知覚が修正されるのはいいのだが、それに慣れない期間、知覚の混乱が生じる。実相世界へと橋を渡るとき、知覚の相転換が起きると思っていい。いわば、大地震が起きたようなもので、知覚も価値観も、すべてがひっくり返ってしまうのだ。混乱を起こさない方が不思議である。



But fear it not, for it means only that you have been willing to let go your hold on the distorted frame of reference that seemed to hold your world together.
  • fear [fíə(r)] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
  • let go : 「手を放す、ほっとく、あきらめる、忘れる」
  • hold [hóuld] : 「握ること、支配力、威力」
  • distorted [distɔ́ː(r)tid] : 「ゆがめられた、ゆがんだ、曲げた、ひずんだ、曲解された」
  • frame [fréim] : 「骨組み、支持構造体、フレーム、枠」
  • reference [réf(ə)r(ə)ns] : 「参照、参考、照会、基準
  • frame of reference : 「関係枠、基準系、準拠枠、理論構成の枠組み、視点」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "But fear it not"「しかし、その混乱を恐れてはいけない」。"for it means only that ~ "「なぜなら、それはthat以下を意味しているに過ぎないからだ」。"that you have been ~ "「それまであなたの世界を統一してきたかに見える歪んだ基準体系を、あなたは保持することを放棄しようとしている」ことを意味しているに過ぎないからだ。それまで慣れ親しんできた、ものの見方、価値観が崩壊し、まったく新しい価値の基準体系が目の前に立ち現れるのである。



This frame of reference is built around the special relationship.
  • built [bílt] : 「build の過去形」
  • around [əráund] : 「〜の周りに、〜の周囲に」
❖ "This frame of reference ~ "「この(古い)基準体系は、特別な関係性の周りに築かれたものである」。たとえば、愛は奪うものである。たとえば、愛は他者を征服するものである。たとえば、愛は憎悪をかき立てるものである。得るためには奪え。攻撃される前に攻撃せよ。等々、こう書いていくとわかる通り、"This frame of reference"「この基準体系」とは、エゴの思考システムそのものだということがお分かりになるだろう。



Without this illusion there could be no meaning you would still seek here.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
❖ "Without this illusion ~ "「こんな幻想がなくなったら、」つまり、幻想の基準体系が消滅したら、"there could be no ~ "「あなたがこの世界で、なおも探し求める意味は存在し得ないだろう」。幻想の価値が暴落して無に帰するのだから、この世界で何を探そうか? あなたが投資してきた幻想への株が、一瞬にして大暴落してしまったのだ。そんな株券などただの紙くずである。捨てるがいい。しかし、実相世界への掛け橋を渡ってしまいさえすれば、そこにはあらゆるものが手に入る世界が広がるのだ。もっとも、誤解してはならない。大金が手に入るというものではない。そもそも、すべてが手に入るというのに、お金など存在意義がないではないか。物ではない。物では手に入れることが出来ないすべてが手に入る。実相世界には不足というものがないのだから。
 
 
 

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