●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-27.III.6:1 ~ T-27.III.7:9

6. The picture of your brother given you to occupy the space so lately left unoccupied and vacant will not need defense of any kind.
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • occupy [άkjupài] : 「〜を占領する、〜を占有する、ふさぐ」
  • space [spéis] : 「空間、スペース、場所」
  • lately [léitli] : 「最近、このごろ」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく、〜を残す」
  • unoccupied [ʌnάkjupàid] : 「占有されていない、空いている」
  • vacant [véikənt] : 「空いている、空の、空虚な」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "The picture of your ~ "「つい最近まで、何にも占有されず空っぽのままだった空間を占有するためにあなたに与えられる、あなたの同胞の絵姿は、如何なる種類の防御も必要としない」。あなたが描いた愛と憎悪の入り交じった同胞の絵姿が、相反する想念によって自己崩壊した後に出来た空白、空っぽの空間、その空間を埋めるために、ホーリー・スピリットがあなたに向けて用意した同胞の絵姿は、実相だけで出来上がっているので、どんな種類の守りも必要ない。完全に純粋で、完全に無辜である者は、誰からも攻撃され得ないし、傷つき得ないからだ。



For you will give it overwhelming preference. Nor delay an instant in deciding that it is the only one you want.
  • overwhelming [òuvərhwélmiŋ] : 「圧倒的な、抗し難い、不可抗力の、絶大な」
  • preference [préfərəns] : 「好み、優先、選り好み、選択、ひいき」
  • delay [diléi] : 「〜を遅らせる、延期する、滞らせる」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • decide [disáid] : 「〜しようと決心する、〜することに決める」
❖ "For you will give ~ "「なぜなら、あなたはその絵を圧倒的に好きになるであろうからだ」。ホーリー・スピリットが描いて見せる同胞の絵姿を、あなたは圧倒的に好きになる。攻撃し破壊したいという思いを抱かせるような絵ではないから、防御する必要もない。"Nor delay an instant in ~ "意訳する、「一瞬にして、あなたは、その絵があなたの欲しいと思っていた唯一の絵であると確信するのである」。



It does not stand for double concepts. Though it is but half the picture and is incomplete, within itself it is the same.
  • stand for : 「〜を表す、〜を支持する」
  • double [dʌ́bl] : 「2倍の、二つの、二重の」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
  • half [hάːf] : 「半分、2分の1、半端、半」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の中では」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "It does not stand ~ "「その絵は、二重の概念を表してはいない」。あなたが描いた同胞の絵は、愛と憎悪という二重の概念を表していたが、ホーリー・スピリットの描く同胞の絵は、そんな矛盾を孕んだ二重概念を表してはいない。"Though it is but half ~ "「その絵は、(全体像の)絵の半分であり、未完成なのだが、」"within itself ~ "「絵自体の内部的には、同一である」。変な訳になってしまって、申し訳ない。解釈の難しい箇所である。神の子の心は、エゴの支配する領域とホーリー・スピリットの住む領域に二分されている。愛と憎悪という二重概念が、その二つの領域を代表して表されていたのだが、相反する概念ゆえに自己崩壊した。その後に残った空っぽの空間に、ホーリー・スピリットが神の子の実相的な絵姿を描き込んだのだが、エゴの支配からまだ脱しきれていない神の子の心の半面だけを描いたものに過ぎないのだ(it is but half the picture)。その意味では、ホーリー・スピリットの絵はまだ完成していない(and is incomplete)。しかし、エゴの支配から抜けきったとしても、絵自体が変化するわけではなく、ホーリー・スピリットが描いて見せた絵自体の中に(within itself)、実相的に完成した絵と同様の絵姿が表されているのである(it is the same)。



The other half of what it represents remains unknown, but is not cancelled out.
  • other [ʌ́ðər] : 「もう一方の、向こうの、残りの」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • unknown [ʌnnóun] : 「知られていない、未知の、不明の」
  • cancel [kǽnsl] out : 「取り消す、消す、相殺する、無効にする」
❖ "The other half of ~ "「同胞の絵姿が表す他の半分の部分は、知られないままにされるのだが、」"but is not ~ "「まだ消滅させられたわけではない」。ホーリー・スピリットが描いて見せた同胞の絵姿は、神の子の心の半面である。しかし、神の子はまだエゴの支配から脱しきっていないので、他の半面が残存している。その存在を、あなたは気付いていないかもしれないが、まだ消滅することなくエゴはしぶとく生きている。



And thus is God left free to take the final step Himself. For this you need no pictures and no learning aids.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • step [stép] : 「階段、段、階、ステップ、歩み、一歩」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • aid [éid] : 「援助、救済、補助、助成、補佐」
❖ "And thus is God left ~ "「こうして、神は、最後のステップを自らとる自由を与えられるのだ」。最後の仕上げは、神の登場を待たなければならない。"For this you need no ~ "「このためには、あなたには絵は必要でないし、学びの手助けも必要でない」。同胞が完全に無辜であると学ぶために、あなたは、ホーリー・スピリットが描いてくれた絵姿を学びの手助けに利用してきたのだが、最後の仕上げには、もう、絵も手助けも必要ない。神が仕上げてくれるのだ。



And what will ultimately take the place of every learning aid will merely be.
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
❖ "And what will ultimately ~ "「あらゆる学びの手助けに、究極的に取って代わるものは、単に、(あるがまま)存在するというものである」。ここも解釈の難しい箇所である。絵も学びの手助けも必要となくなる瞬間は、神の出番であって、それは、神の子と神が、その存在を重ね合わせた瞬間である。神の子の心が、神の心と共鳴し合い、一致した瞬間なのだ。神という存在自体が、神の子の存在と同一になった瞬間であり、言い換えれば、神の子がただそこに存在している、という瞬間である。さまざまな雑念を超越して、ただそこに静かに佇(たたず)むのである。



7. Forgiveness vanishes and symbols fade, and nothing that the eyes have ever seen or ears have heard remains to be perceived.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • vanish [vǽniʃ] : 「消える、消えてなくなる、姿を消す、去る」
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象、符号」
  • fade [féid] : 「薄くなる、薄れる、衰える、しおれる」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "Forgiveness vanishes ~ "「赦しは消え、象徴は色あせる」。"and nothing that ~ "「それまで目にしたもの、耳にしたことが もはや何も知覚されることはない」。存在それ自体と化した存在の様相である。雑念も象徴も超越して、ただ静寂の内に存在するのだ。



A power wholly limitless has come, not to destroy, but to receive its own.
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • limitless [límitlis] : 「制限のない、無限の」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "A power wholly ~ "「完全に制限のないパワーがやって来る」。"not to destroy ~ "「破壊するためではなく、それ自体を受け取るためである」。完全に制限のないパワーとは、神のパワーと考えていい。神のパワーが、何かを破壊することはない。神のパワーは、神のパワーためだけに存在している。ちょうど、創造が創造のためにあるように、神のパワーはそれ自体の存在をあるがままに受け入れるのである(to receive its own)。つまり、神のパワーも、ただ存在するだけなのだ。何かに利用されるために存在するのではない。だから、完全に制限がないのである。



There is no choice of function anywhere. The choice you fear to lose you never had.
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、効用」
  • anywhere [énihwὲər] : 「どこでも、どこかに、どこにも」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "There is no choice of ~ "「どこかで何かの役割を選択するということもなくなる」。ただ存在するだけだから、役割を探すこともない。"The choice you fear ~ "「あなたが失うのではないかと恐れた選択など、あなたは持った例(ためし)もない」。あなたは自由な選択を尊重し、その選択の自由を失うことを恐れていたが、実相的に見れば、あなたは選択をした例はない。神の意思が実現しているだけなのだ。その神の意思に同調共鳴するとき、あなたは、あなたの自由意思を働かしていると自覚出来るのである。つまり、神の自由意思と選択の自由が、あなたの意思であり、あなたの選択の自由なのである。そういう極地に至ったとき、あなたは存在それ自体となり、役割などという瑣末的なものは消滅する。



Yet only this appears to interfere with power unlimited and single thoughts, complete and happy, without opposite.
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、どうやら〜らしい」
  • interfere [ìntərfíər] with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する」
  • unlimited [ʌnlímitid] : 「制限のない、無制限の、自由な、無条件の」
  • single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思想、思考、思索、熟考」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、完結した、完成した」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のもの、逆の物」
❖ "Yet only this appears ~ "「しかし、これだけは、制限のないパワー、完全であり幸福であり、反対概念をもたない単一の思考を邪魔しているように見えるのである」。選択の自由を重んずるあなたは、もちろん意思の自由を重んじており、選択などした例がないと言われれば、あたかも、あなたの意思それ自体もないと言われたかに思い、あなたのもつ制限のないパワーが妨害されるのではないかと思われてくるのだ。つまり、あなたは、存在それ自体として存在するという、制限のないパワーを秘めた奇跡を、まだ知らないのである。



You do not know the peace of power that opposes nothing. Yet no other kind can be at all.
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • kind [káind] : 「種類、質、性質、本質」
❖ "You do not know ~ "「あなたは、何にも対立することのないパワーの安らぎを知らないのだ」。存在それ自体として存在するパワーの安らぎを、あなたは知らない。"Yet no other kind ~ "「しかし、それ以外の種類のパワーなど、まったく存在しない」。パワーは、一元論世界の実相的な真実であって、一方向しか持ち得ない。真実のパワーに対抗する、逆向きの真実のパワーなど、存在し得ないのだ。



Give welcome to the power beyond forgiveness, and beyond the world of symbols and of limitations.
  • welcome [wélkəm] : 「歓迎、歓待」
  • beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • limitation [lìmətéiʃən] : 「制限、極限、限定」
❖ "Give welcome to ~ "「赦しを越え、象徴と制限のこの世界を超越したパワーを歓迎しなさい」。象徴と制限だらけのこの世界で生きることが存在の形態のすべてだと思っているかもしれないが、そんな幻想の存在を超越し、幻想を赦すという行為も越えて、ただ存在するという神のパワーの真っただ中に躍り出なさい。



He would merely be, and so He merely is.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
❖ "He would merely ~ "「神は、ただ存在したいと意思し、そして、神はただ、存在しているのである」。ACIMの究極のテーマは、この神の存在自体の存在なのだ。したがって、ACIMをたった二語で語り尽くすことが出来る。それが、"God is" なのである。
 
 
 


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