7. Your worth is not established by teaching or learning. Your worth is established by God.
- worth [wə́ːrθ] : 「価値」
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
❖ "Your worth is ~ "「あなたの価値は教えたり学んだりすることによって確立するのではない」。"Your worth is ~ "「あなたの価値は神によって確立されるのだ」。ここの価値とは、実相的価値のこと。社会的価値や存在価値、その優劣のことではない。
As long as you dispute this everything you do will be fearful, particularly any situation that lends itself to the belief in superiority and inferiority.
- as long as : 「〜する限り、〜である限りは、〜する以上は」
- dispute [dispjúːt] : 「〜を疑う、〜に異議を唱える、〜を議論する」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、おびえている、心配そうな」
- particularly [pərtíkjulərli] : 「特に、特別に、とりわけ、殊に」
- situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場、事情」
- lend [lénd] : 「〜を貸す、貸し出す」
- lend oneself to : 「〜に役立つ、〜を助長する」
- superiority [sjuːpìərəóərəti] : 「上位、優越、優れていること、優位性」
- inferiority [infìəriɔ́ːrəti] : 「劣っていること、粗悪、下級、劣等」
❖ "As long as you ~ "「あなたがこのことに異議を唱えている限り、あなたは恐れを感じるであろう」。"particularly any ~ "「特に、〜という状況ににあっては」"that lends itself ~ "「優劣を信じることを助長する」状況にあっては。神は完全に平等であるから、優劣という差をつくることはない。しかし、神が個人個人の平等な価値を確立していることに異議を唱えるエゴは、優劣によって人の価値を判断しようとする。それは神による絶対的な価値ではなく、エゴによる相対的な、あるいは身勝手な価値判断に過ぎない。人は、劣の判断を下されることを、あるいは優から劣に判断が下落してしまうことを、恐れてしまうのだ。
Teachers must be patient and repeat their lessons until they are learned. I am willing to do this, because I have no right to set your learning limits for you.
- patient [péiʃənt] : 「辛抱強い、我慢強い、忍耐強い」
- repeat [ripíːt] : 「 〜を繰り返す、〜を繰り返して言う」
- until [əntíl] : 「〜する時まで」
- be willing to : 「進んで〜する、〜に前向きである、〜に気乗りする」
- right [ráit] : 「権利、利権、正しい要求」
- limit [límit] : 「限度、制限、境界、限界」
❖ "Teachers must ~ "「教える者は辛抱強く、レッスンが学ばれるまで何度もレッスンを繰り返し与え続けなくてはならない」。"I am willing ~ "「私は心からそうしようと思う」。つまり、イエスは、このACIMを通じて、繰り返し繰り返し、レッスンを授けてくれると言っている。"because I have ~ "「なぜなら、私にはあなたに対して学びを制限する権利はないのだから」。あなたが学びを望む限り、エイスはその意志に制限を設けるようなことはしない、そんな権利はない、ということ。あなたが望む限り、惜しげなく、あなたに学びを与えてくれると約束しているわけだ。
Again . . . nothing you do or think or wish or make is necessary to establish your worth. This point is not debatable except in delusions.
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
- worth [wə́ːrθ] : 「価値」
- point [pɔ́int] : 「要点、核心、真意、特徴、特質」
- debatable [dibéitəbl] : 「異論のある、論争の余地のある、論争可能な」
- delusion [dilúːʒən] : 「妄想、誤った信念、思いこみ」
❖ "Again . . . nothing ~ "「もう一度言おう、あなたのなすこと、考えること、望むこと、つくるもの、そのどれも、あなたの価値を確立するために必要ではない」。"This point is not ~ "「この点は議論の余地はない」。"except in ~ "「妄想を抱いているなら別だが」。この世では、あなたの言動を判断することで優劣は決められるだろうが、それは妄想である。神は絶対平等であり、優劣などいう言葉は神の辞書にはない。
実は、才能や能力なども、本当はない。美醜と同様に、それは見かけの錯覚である。実相的には、そんなものに価値はない。学歴も経歴もしかり。貧富の差に価値の違いあり、などと思うのはもってのほか。
Your ego is never at stake because God did not create it. Your spirit is never at stake because he did.
- stake [stéik] : 「賭け、賭け金、利益」
- at stake : 「賭けられて、危機にひんして、問題となって」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "Your ego is ~ "「あなたのエゴは神が創造したものではないので、決して危機に瀕することはない」。"Your spirit is ~ "「あなたのスピリットは神が創造したものなので、決して危機に瀕することはない」。おや?と思われたかもしれない。一見、矛盾しているように思われるが、そうではない。エゴは神が創造したものでない。したがって、実相的な命はないのだ。エゴは、幻想の世界で生きているような錯覚を抱いているに過ぎない。夜見る夢の中で色々な出来事がどんなに危機的であっても、単に夢を見ているだけなので、本当は何の危機にも瀕していない。それと同様に、幻想に生きるエゴも夢を見ているだけなので、本当の危機に瀕しているわけではないのだ。一方、真の世界で目覚めているスピリットは神が創造したものであり、永遠の命をもっている。命は滅びることがないので、命を脅かす危機もない。エゴもスピリットも、共に危機に瀕してはいなのだが、その内容には雲泥の差である。方や存在さえしていないのだから危機はなく、方や存在しているがゆえに危機はない。あたかも、禅問答のようではあるが、含蓄は大いにある。
Any confusion on this point is delusional, and no form of devotion is possible as long as this delusion lasts.
- confusion [kənfjúːʒən] : 「 混同、混乱、取り違え、当惑、困惑」
- delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、種、種類」
- devotion [divóuʃən] : 「無私の愛、情熱、没頭」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
- as long as : 「〜さえすれば、〜する限りは」
- last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
❖ "Any confusion on ~ "「この点におけるいかなる混同も妄想的である」。エゴもスピリットもどちらも危機に瀕していないので、我々にとってはどちらも存在感がある。したがって、エゴとスピリットを混同しがちになる。しかし、その混同はエゴが存在するという妄想の産物である。"and no form ~ "「どんな形の献身も、妄想が続く限りは、可能ではない」。ここの"devotion"「献身、没頭」は、身をもって他者に教えること、愛をもって他者に接すること、等々と思っていい。エゴとホーリー・スピリットを混同してしまうと、何が正しく何が間違いか、何が真実で何が虚偽か、正誤の感覚が誤りを起こし、理性による価値判断という妄想に陥る。妄想に陥れば当然、人に教えるという献身も、愛をもって他者に接する献身も不可能となる。
8. The ego tries to exploit all situations into forms of praise for itself in order to overcome its doubts.
- exploit [iksplɔ́it] : 「〜を不当に使う、〜を悪用する」
- praise [préiz] : 「称賛、褒めること、賛美」
- in order to : 「 〜するために 」
- overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる」
- doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑、 懸念、心配、不安」
❖ "The ego tries to exploit ~ "「エゴは、すべての状況を不当に使って、その状況をエゴを称賛する形にしようと試みる」。"in order to ~ "「疑惑を克服しようとして」。要するに、エゴは裸の王様でいたのだ。ひょっとしたら、自分は存在しないのではないかという疑問をうやむやにするために、たとえ裸であろうが、誰からも賞賛される形で、自分の置かれた状況の形を変えようとする。
It will remain doubtful as long as you believe in its existence. You who made it cannot trust it, because in your right mind you realize it is not real.
- remain [riméin] : 「依然として〜のままである、とどまる」
- doubtful [dáutfl] : 「 疑問のある、疑わしい、不確かな」
- existence [igzístns] : 「存在、生存、現存、実存、実在」
- trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
- realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、自覚する、実感する」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "It will remain ~ "「エゴは、あなたがその存在を信じている限り、疑惑を残してとどまるであろう」。"You who made ~ "「エゴをでっち上げたあなたは、エゴを信頼することが出来ない」。"because in your ~ "「なぜなら、あなたは正しい心の中でエゴが実際は存在するものではないと認識しているからだ」。あなたの心はエゴをでっち上げ、そのエゴの存在を信じているが、同時にそれが実相的には存在していないと知っている。よって、エゴを完全には信頼出来ない。裸の王様を信じているが、王様が裸であることを知っているので、100%の信頼を置くことは出来ないのだ。
The only sane solution is not to try to change reality, which is indeed a fearful attempt, but to accept it as it is.
- sane [séin] : 「正気の、分別ある、良識のある、健全な」
- solution [səlúːʃən] : 「解、解答、解決、解決法、解決策」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、実際には」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、おびえている、心配そうな」
- attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
- accept [əksépt]: 「受け入れる、承認する」
- as it is : 「そのままに」
❖ "The only sane ~ "ここは"not ~ but ~ "の構文、「〜ではなく、〜である」、「唯一の正気な解決法は、現実を変えようと試みることではなく、」"which is indeed ~ "「それは実際恐ろしい試みなのだが、」"but to accept ~ "「そうではなく、現実をあるがままに受け入れることである」。あなたが目にしている現実を変えるのではなく、その現実が実は幻想に過ぎないのだと、ありのままに認めることが正気な解決法である。裸の王様に覆いを被せることが正しい解決法ではなく、単に、王様は裸だと認めることの方がずっと大切。そもそも、実相的な現実は、変えようにも変えることは出来ないのだから。つまり、嘘は嘘のまま、真実は永遠不変に真実であり続ける。
You are part of reality, which stands unchanged beyond the reach of your ego but within easy reach of spirit.
- part of : 「〜の一部、〜の一環」
- unchanged [ʌntʃéindʒd] : 「変化していない、不変の、変わらない」
- beyond [bijάnd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
- reach [ríːtʃ] : 「届く距離、届く範囲」
- within [wiðín] : 「〜のうちに、〜の範囲内で」
❖ "You are part ~ "「あなたは実相の一部である」。"which stands unchanged ~ "「それは、あなたのエゴが手の届く範囲を超えており、しかし、スピリットの容易に手の届く範囲にあって、不変のままに存在する」。"stands unchanged"の部分は、"stand + 補語"の形で、「〜の状態である」という意味。あなたは幻想の一部ではなく、あなたの本当の現実は、ホーリー・スピリットの住む実相世界である。そこは幻想のエゴの手が届くような領域ではなく、しかし、スピリットが自由に行き来出来る領域である。
When you are afraid, be still and know that God is real, and you are his beloved son in whom he is well pleased.
- afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
- still [stíl] : 「穏やかな、平穏な、平静な、じっとした 」
- beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
- pleased [plíːzd] : 「うれしい、喜んだ、快く思って」
❖ "When you are ~ "「恐れを感じるときは、心を穏やかに保って、神こそが現実であることを知りなさい」。"and you are ~ "「そして、あなたこそが、神の喜んで愛する神の子であることを知りなさい」。あなたの現実はエゴなのかホーリー・スピリットなのか、混乱をきたして恐ろしくなったら、神こそが実在する真実だと知って、心を穏やかにしなさい。あなたは神の最愛の神の子なのだから。
Do not let your ego dispute this, because the ego cannot know what is as far beyond its reach as you are.
- dispute [dispjúːt] : 「〜を疑う、〜に異議を唱える」
❖ "Do not let your ~ "「このことに関して、あなたのエゴに異議を唱えさせてはいけない」。あなたが神の子であることに有無を言わせてはいけない。"because the ego ~ "「なぜなら、エゴは〜を知ることは出来ないのだから」。"what is as far ~ " ここは、一旦比較級をはずしてみると、"what is far beyond its reach "「エゴの手が届かないはるか遠くにあるもの」となる。つまり、エゴの手の届かない実相世界に住まう神のことである。この文章に「あなたと同じくらい遠くにあるもの」という比較の意味を付け加えると"what is as far beyond its reach as you are"となるわけである。神同様、あなたもエゴの手の届かない所にいる、というわけだ。おや?、と思われるかもしれないが、ここの"you"はエゴに支配された幻想のあなたではなく、神と同じ実相世界に住まう本当の"you"、つまり神の子のことである。あなたはこの幻想世界でエゴと一緒に生きているように錯覚しているが、それは夢であり、誤って知覚しているだけだ。本当は、あなたはエゴから遠く離れた神の実相世界に存在している。幻想のエゴの手が、実相の神の世界に届くはずはないのである。エゴは神も神の子も知ることは出来ないのだ。