5. Undermining the ego's thought system must be perceived as painful, even though this is anything but true.
- undermine [ʌ̀ndərmáɪn] : 「〜の土台を壊す、弱体化させる」
- thought system : 「思考システム」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
- painful [péinfl] : 「痛い、苦しい、苦痛の」
- even though : 「〜であるけれども、〜にもかかわらず」
- anything but : 「〜とは程遠い、決して〜ではない」
❖ "Undermining the ego's ~ "「エゴの思考システムを弱体化させていく作業は苦痛として知覚されるに違いない」。"even though ~ "「これは、正しいことにはほど遠いのだが」。エゴの思考システムを弱体化させるのが正しくないのではなく、そのとき苦痛を感じるのが正しくない。エゴの思考システムが弱体化するのだから、むしろ喜びを感じるべきだ。幻想に浸って生きている我々は、そのぬるま湯から抜け出すとき苦痛を感じるが、それは正しい知覚ではなく、むしろ実相へ帰還する喜びを知るべきだ。
Babies scream in rage if you take away a knife or scissors, although they may well harm themselves if you do not. In this sense you are still a baby.
- scream [skríːm] : 「金切り声を出す、悲鳴を上げる」
- rage [réidʒ] : 「激怒、激しい怒り」
- take away : 「取り上げる 、取り除く、持ち去る」
- knife [náif] : 「ナイフ、短剣」
- scissors [sízərz] : 「はさみ」
- although [ɔːlðóu] : 「〜ではあるが、〜だけれども」
- harm [hάːrm] : 「害する、〜に危害を加える」
- in this sense : 「この意味で、この意味において」
❖ "Babies scream ~ "「あなたがナイフやはさみを赤ん坊から取り上げると、赤ん坊は怒って金切り声を上げて叫ぶ」。"although they ~ "「あなたがそれを取り上げなかったら、赤ん坊は自分を傷つける可能性が十分あるのに」。"In this sense ~ "「この意味で、あなたはまだこの赤ん坊のようなものだ」。エゴを取り上げると怒って叫ぶであろうから、精神的にはあなたはまだ赤ん坊だ、ということ。
You have no sense of real self-preservation, and are likely to decide that you need precisely what would hurt you most.
- sense [séns] : 「感覚、良識、分別」
- self-preservation : 「自己保存、自衛本能 」
- be likely to do : 「〜しそうである」
- decide [disáid] : 「決定する、決意する」
- precisely [prisáisli] : 「正確に、まさに、はっきり」
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける」
❖ "You have no sense of ~ "「あなたは、本当の自己保存感覚を持ち合わせていない」。何から自分を守るべきは、あなたはわかっていない。"and are likely ~ "「そして、最もあなたを傷つけてしまいかねないものをまさに必要としていると決めかねない」。エゴはあなたを傷つける最も危険なものであるが、あなたはそれを必要としていると言って譲らない。これでは、あなたの自己保存感覚は狂っていると言わざるを得ない。
Yet whether or not you recognize it now, you have agreed to cooperate in the effort to become both harmless and helpful, attributes that go together.
- whether or not : 「〜かどうか、いずれにせよ」
- recognize [rékəgnàiz] : 「認める、〜を認識する」
- agree [əgríː] : 「同意する、賛成する」
- cooperate [kouɑ́pəreit] : 「協力する、協同する」
- effort [éfərt] : 「努力、試み、取り組み」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- harmless [hɑ́ːrmləs] : 「 無害の、安全な」
- helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる」
- attribute [ǽtribjùːt] : 「特質、特性、性格、属性」
- go together : 「両立する、調和する」
❖ "Yet whether or ~ "「しかし、今あなたがそういったことを認識しているかどうかは別として、あなたは協力することに同意してくれた」。どんな協力かというと、"in the effort ~ "「〜になるために努力すること」に対する協力。"to become both ~ "「害がなく、助けになる」ために努力することに協力すると同意してくれた。"attributes that ~ "「その二つは、両立する特性である」。今あなたは、このACIMを通して、害のあるエゴを克服し、害のない(harmlessな)スピリットに自らを委ねようと決心している。これは極めて個人的な行為に見えるが、自他一如の考えに従えば、あなたの行為は他者の行為でもある。つまり、多くの分裂した心が協力しあって一つの大きな心(スピリット) になり、エゴを克服していかねばならない。努力(effort)と協力(helpful)が必要とされる。しかし、容易ではない。
Your attitudes even toward this are necessarily conflicted, because all attitudes are ego-based.
- attitude [ǽtitjùːd] : 「態度、考え方、姿勢」
- toward [təwɔ́ːd] : 「〜に関して、〜の方へ」
- necessarily [nèsəsérəli] : 「必ず、必然的に」
- conflicted [kənflíktid] : 「矛盾した」
- ego-based : 「エゴに基準をおいた」
❖ "Your attitudes even ~ "「こうしたことに対するあなたの態度は、必然的にコンフリクトを起こしてしまう」。"because all attitudes ~ "「なぜなら、態度というものはすべて、エゴに基準を置いたものだからだ」。知覚したものに対する反応が態度である。その知覚はエゴの手先であり、たとえ正当な態度であっても、そこに善悪の判断が介入し、価値の評価が下され、すべてエゴの基準を満たすことが要求される。エゴの思考システムは永遠不変ではなく、時間に依存し、変化流動していく。エゴは時空と共に変化し、あなたは自分を信じたり疑ったり、前進したり後退したり、右往左往しながら生きていく。変化する幻想のエゴを捨てない限り、あなたの矛盾(コンフリクト)は続く。永遠不変の叡智(実相)に至までは、矛盾は必然的に連続していくのだ。
This will not last. Be patient a while and remember that the outcome is as certain as God.
- last [lǽst] : 「続く、存続する」
- patiently [péiʃəntli] : 「根気よく、辛抱強く、気長に」
- a while : 「しばらくの間」
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果」
- certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、間違いのない」
❖ "This will not ~ "「このコンフリクトは長続きしない」。エゴが消滅すれば、コンフリクトも消滅するのだ。"Be patient ~ "「しばらくの間は、辛抱強くありなさい」。"and remember that ~ "「そして、(最終的な)結果は神のごとく確かであると覚えておきなさい」。幻想が消滅し、エゴが消滅するのは、神同様に確実である。時間の存在しない実相世界では、すべてが一瞬にして起き、そのすべてが永遠に続く。あなたは、既に起きたことを夢の中で追体験するだけだ。あなたが幻想から実相に目覚め、エゴを消滅させることは既に確立している。神のように確実なのだ。それをここで体験するだけでいい。
6. Only those who have a real and lasting sense of abundance can be truly charitable.
- lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、永久の、永続する」
- sense [séns] : 「感覚、感触、感じ」
- abundance [əbʌ́ndəns] : 「多量、豊富、潤沢」
- charitable [tʃǽrətəbl] : 「寛大な、慈悲深い、情け深い」
❖ "Only those who ~ "「真の、長続きする、豊かさの感覚をもつ者だけが本当に慈悲深いと言える」。神の子は神の属性のすべてを継承したので、真実のすべてをもっている。不足ということはない。その真実は永遠不変であり、その豊かさも永遠不変である。そういうことを知っている者、つまり、自分が神の子であると知っている者だけが、神同様に慈悲深くあれる。
This is obvious when you consider what is involved. To the ego, to give anything implies that you will have to do without it.
- obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な」
- consider [kənsídər] : 「よく考える、熟考する」
- involve [invɑ́lv] : 「意味する、〜を含む、関与させる」
- imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
❖ "This is obvious ~ "「このことは、あなたが、何が意味されているかよく考えてみた時、はっきりする」。前文が何を意味しているのかよく考えてみれば、前文の意味がはっきりしてくる。すべてをもっている者だけが、他者にすべてを与えることが出来る。しかも、与えて減るようなものではい。実相的な慈悲とはそういうものである。"To the ego ~ "「エゴにとっては、何かを与えることは、それなしで済ませなければならなくなることを暗に意味している」。エゴは、何かを与えれば、それを失うと考えている。
When you associate giving with sacrifice, you give only because you believe that you are somehow getting something better, and can therefore do without the thing you give.
- associate [əsóuʃièit] : 「〜と結び付ける、〜で連想する」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること」
- somehow [sʌ́mhàu] : 「どうにかして、何とかして」
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
❖ "When you associate ~ "「あなたが、与えることを犠牲と結びつける時、」与えることは失うことだと考える時、"you give only ~ "「あなたは、that以下を信じているから、与えているに過ぎない」。"that you are ~ "「どうにかしてより良いものを手に入れ、それゆえ、与えたものなしでやっていける」と信じているから、与えているに過ぎない。与えることは失うことだと考えている者が他者に何かを与えるときは、それが不必要でいらないから、もっと良いものと交換しようと目論んで与えているに過ぎない。エゴは、それなしでは済まされないものを手に入れようとして、なくてもいい別の何かを与えてそれを得ようとする。取引するのである。得るために与えるだけなら、エゴとしてはまだ大人しい。最後には、エゴは、得るために奪うことになる。
慈悲に関して言うなら、人から褒められたいがために、あるいは自分で自分を高く評価したいがために他者に慈悲を振りまく行為は、したがってエゴの取引である。
"Giving to get" is an inescapable law of the ego, which always evaluates itself in relation to other egos.
- inescapable [ìnəskéipəbl] : 「回避できない、逃げられない」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規」
- always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも」
- evaluate [ivǽljuèit] : 「評価する、判断する」
- in relation [riléiʃən] to : 「〜に関して」
❖ "Giving to get ~ "「『得るために与える』とは、エゴにとって回避出来ない法である」。エゴの基本法則ということ。これが先鋭化すれば、『得るためには奪え』となる。"which always evaluates ~ "「エゴは他のエゴとの関連において常に自己を評価している」。自分と他者は、互いに何をほしがって何を不必要としているか、どちらが力関係で強いか弱いか、そういう比較評価を通して自分の立ち位置を決めている。これが、一般的な社会人の関係性である。エゴとエゴのぶつかり合いの中で、自分の置かれた序列の位置を高めようと四苦八苦しているわけだ。
It is therefore continually preoccupied with the belief in scarcity that gave rise to it.
- continually [kəntínjuəli] : 「絶えず、持続的に、継続的に」
- preoccupy [priɑ́kjəpài] : 「〜を夢中にする、〜の心を奪う」
- be preoccupied with : 「〜のことで頭がいっぱいである」
- scarcity [skéərsəti] : 「不足、欠乏」
- give rise to : 「〜を引き起こす、〜を生じさせる」
❖ "It is therefore ~ "「したがって、エゴは、欠乏しているに違いないと信じる心に常に占領されている」。"that gave rise ~ "「そんな心がエゴを生じさせたのだ」。エゴは、仏教的には『欲』あるいは『煩悩』である。常に不足を感じ、欲に走る。それが高ずると『餓鬼』になる。
Its whole perception of other egos as real is only an attempt to convince itself that it is real.
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- attempt [ətémpt] : 「 試み、企て」
- convince [kənvíns] : 「確信させる、納得させる」
❖ "Its whole ~ "「他のエゴを真に実在するものと知覚することはすべて、そのエゴ自身が真に実在することを確信するための試みに過ぎない」。他者が肉体的に存在すると知覚があなたに信じ込ませているのは、あなた自身が肉体的に存在していると信じたいからだ。
"Self-esteem" is always vulnerable to stress, a term which refers to any perceived threat to the ego's existence.
- Self-esteem [istíːm] : 「自尊心、うぬぼれ、自負心、自発性 」
- vulnerable [vʌ́lnərəbl] : 「傷つきやすい、不安定な、脆弱な」
- stress [strés] : 「圧迫、圧力、緊張」
- term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語、術語、表現」
- refer to : 「〜に言及する、〜を参照する」
- threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
- existence [igzístns] : 「存在、生存、実存、実在」
❖ " "Self-esteem" is always ~ "「『自尊心』は、常にストレスに対して脆弱である」。"a term which ~ "「この言葉は、エゴの存在を脅かす知覚された脅威を指し示すものだ」。他者が目の前に存在するから、自分も確かに肉体として存在していると胸を張る。他者より自分は地位が高いから、社会的価値は自分が上だと胸を張る。自分は社会で成功し、裕福だから、他者より尊敬に値すると胸を張る。しかし、常に逆転の危険をはらんでいるわけで、緊張感は半端じゃない。他者との比較や評価判断によって自分の存在や社会的立ち位置を計る限り、ストレスは避けられない。あなたの『自尊心』がストレスにさらされていると感じたら、それはエゴが存在しているという思い込みに対する警告だと思えばいい。