3. Your own state of mind is a good example of how the ego was made. When you threw knowledge away it is as if you never had it.
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- example [igzǽmpl] : 「例、実例、実施例」
- threw [θrúː] : 「throw の過去形」
- throw [θróu] : 「〜を投げる、投じる」
- throw away : 「〜を投げ捨てる、無駄に費やす」
- as if : 「あたかも〜かのように、〜のように」
❖ "Your own state ~ "「あなた自身の心の状態は、エゴがどのようにして作られたかを示すいい例である」。"When you threw ~ "「あなたが叡智を投げ捨てたとき、それはまるで、あなたが叡智など決してもったことがなかったかのようであった」。神の子が神から分離するとき、神の子は神から継承した神の属性のすべてを神に投げ返した。真実の総体である叡智も捨てたのだ。神の子を創造したその神抜きで、自ら神のように世界を創造しそこに君臨したいと思ったからだ。さて、叡智を神に投げ返した神の子は、あたかも初めから叡智などもっていなかった振りをする。そこで、叡智に代わる何かを作り出さなくてはならない。なにしろ、神のごとく振る舞いたいのだから。そこで神の子は、肉体的な頭脳に理性をもたせ、知覚と記憶を武器にして理性的な評価判断をエゴに委ねたのだ。神の子はエゴを偶像として崇拝し、心をエゴの支配下に置いた。
This is so apparent that one need only recognize it to see that it does happen. If this occurs in the present, why is it surprising that it occurred in the past?
- apparent [əpǽrənt] : 「はっきり見える、明らかな、明白な」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を見分ける、〜を認識する」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
- present [préznt] : 「今、現在」
- surprising [sərpráiziŋ] : 「驚くべき、予期しない」
- past [pǽst] : 「過去、過去形、過去時制」
❖ "This is so ~ "ここは"so ~ that~"の構文「〜なので〜である」、「that以下を知るためには、このことははっきりしているので、人はそれを認めるだけでいい」。"that it does ~ "「それが確かに起こっていると」知るためには。我々の心の中で何が起きているのか、それをはっきりさせるためには、ただ一点、心が叡知を投げ捨てたということを認め、その結果としてエゴが作られたと認識することで十分だ。"If this occurs ~ "「もし、このことが今起きているなら、過去にもそれが起きたとしても驚きではない」。現在、叡智を失った心がエゴに支配されているなら、それが過去に起きた事実であることは驚きではない。
Surprise is a reasonable response to the unfamiliar, though hardly to something that occurs with such persistence.
- surprise [sərpráiz] : 「驚き、驚くべきこと」
- reasonable [ríːznəbl] : 「道理にかなった、筋の通った、妥当な」
- unfamiliar : 「よく知らない、なじみのない」
- though [ðóu] : 「〜だけれども、そうは言うものの」
- hardly : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
- persistence [pərsístənt] : 「粘り強さ、こだわり、しつこさ」
❖ "Surprise is ~ "「驚きは、見慣れないものに対する妥当な反応であるが、」"though hardly ~ "「しかし、しつこく(何度も)起きることに対しては、驚きは妥当な反応だとは言い難い」。エゴは、仏教的には『欲、煩悩』と思っていい。たとえば、欲に支配され続けている人間を見慣れていれば、欲は不自然ではなく驚くこともない。しかし、人間が欲を持つにいたったそもそもの事件を知れば、それは驚きである。欲のない人間が、突如、得体の知れない欲を作り上げたのだから、これは驚くほどの事件である。同様のことはエゴについても言えるわけだ。
But do not forget that the mind need not work that way, even though it does work that way now.
- forget [fərɡét] : 「 〜を忘れる、見落とす」
- that way : 「そのように、あのように、そんなふうに」
- even though : 「〜であるけれども、〜にもかかわらず」
❖ "But do not ~ "「しかし、心はそのように働く必要はないことを忘れてはいけない」。心が、習慣化し連続して起きていることに無関心で、驚きさえもたいことは、心に必要とされる機能ではない。"even though ~ "「たとえ、今、心がそのように働いているとしても」。たとえ、今、あなたの心がエゴや欲の支配に対して無関心で驚くことがないにしても。心の通常な働きでは、執拗に連続的に起こることに対しては驚きという反応が起きないが、叡知を捨ててエゴを生んだという出来事に対しては、驚きをもってはっきり認識する必要がある。
4. Think of the love of animals for their offspring, and the need they feel to protect them. That is because they regard them as part of themselves.
- think of : 「〜のことを考える、〜を評価する、〜を想像する」
- animal [ǽnəml] : 「動物、獣類」
- offspring [ɔ́ːfsprìŋ] : 「子、子孫」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る」
- regard [riɡάːrd] : 「見なす、思う、考える」
❖ "Think of ~ "「動物たちの、その子を思う愛について、そして、動物達の子を守る必要性ついて考えてみなさい」。"That is because ~ "「動物達がそうするのは、子を自分自身の一部だと見なしているからである」。
No one dismisses something he considers part of himself. You react to your ego much as God does to his creations . . . with love, protection and charity.
- dismiss [dismís] : 「解散させる、解雇する、追放する」
- consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜と見なす」
- react [riǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
- creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
- much as : 「〜と同じだけ、〜と同様に」
- protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
- charity [tʃǽrəti] : 「慈善、思いやり、心配り、心遣い」
❖ "No one dismisses ~ "「自分自身の一部だと考えている何かを、誰も追い出したりしない」。"You react to ~ "「あなたは、神が神の創造したものに対してするように、あなたのエゴに対して同じ事をしている」。"with love ~ "「愛と保護といたわりをもって」。神は神の延長上に神の子を創造した。神の子は神の一部である。それを真似るかのように、エゴをでっち上げた神の子は、あたかもエゴが自分の一部であるかのように、エゴを甘やかし、いとおしく思い、守ってあげたいと思っている。
Your reactions to the self you made are not surprising. In fact, they resemble in many ways how you will one day react to your real creations, which are as timeless as you are.
- reaction [riǽkʃən] : 「反応、態度、受け止め方」
- in fact : 「実は、実のところ」
- resemble [rizémbl] : 「〜のようである、〜と似ている」
- in many ways : 「さまざまに、いろいろな意味で」
- one day : 「いつか」
- timeless [táimlis] : 「時間を超越した、無時間の、永遠の」
❖ "Your reactions to ~ "「あなたが作った自分自身に対する反応のし方は驚きではない」。あなたがエゴに対応する仕方は、驚きに値しない。"In fact, they ~ "「事実、あなたの(エゴへの)対応の仕方は、多くの点で〜のし方に似ている」。"how you will ~ "「いつか、あなたが真に創造するもの対してあなたが対応するし方」に似ている。"which are as ~ "「それはあなた同様永遠のものである」。神の子は夢の中で、つまり幻想の中で、エゴという子を生み出し、そのエゴを専制君主に仕立て上げた。しかし、いつの日か神の子がその夢(幻想)から目覚め、本当の創造、つまり真実の拡張を行って愛や喜びや平和を自ら生み出したとき、それら永遠なる真実を、神の子は、エゴに対して行ったように、慈しみ愛し、守ってあげたいと思うだろう。
The question is not how you respond to the ego, but what you believe you are.
- question [kwéstʃən] : 「質問、疑問、課題、問題」
- respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える」
- believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
❖ "The question is ~ "「問題は、あなたがエゴに対してどう反応するかではなく、何をもって自分自身であると信じるかだ」。あなたは自分が、神が愛の拡張として創造した神の子であると認識するのか、神のごとく振る舞って幻想のエゴを生み出した親と認識するのか、そこが問題である。
Belief is an ego function, and as long as your origin is open to belief you are regarding it from an ego viewpoint.
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、役割」
- as long as : 「〜である限りは、〜する以上は」
- origin [ɔ́ːrədʒin] : 「源、起源、原因、原点」
- be open to : 「(批判・非難を)受けやすい、被りやすい」
- regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす、考慮する、考える」
- viewpoint [vjúːpɔ̀int] : 「見地、見える地点、観点、見方」
❖ "Belief is an ~ "「信じるという行為はエゴの機能である」。"and as long as your origin is ~ "「そして、あなたの起源が信じることの対象となっている限り、あなたはそれをエゴの観点から見ていることになる」。非常に難解なのだが、分析してみよう。まず、信じる行為はエゴの機能である、という発言に対して『おや?』と思われたかも知れない。信じるという行為は、対象を無条件で受け入れるということではなく、疑いの心を残しつつ、暫時、その疑いに対して目をつぶる、という行いである。これはエゴの機能である。理性が心に命じることである。意識的な行為だ。では、スピリットならどうするか? スピリットは信じるのではなく、叡知(knowledge)をもってただ知るのみなのである。叡智をもって知るという領域には、信じる、信じないといった理性の介入はない。そこで、我々の起源が神なのかどうかという問題に対して、起源が神なのだと『信じる』限りは、それはエゴ(理性)の仕業である。対して、スピリットならば、我々の起源が神であると『知っている』と言うだろう。叡智は、信じるか信じないかという問題をはるかに超越しているのである。
When teaching is no longer necessary you will merely know God.
- no longer : 「もはや〜でない」
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の」
- merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
❖ "When teaching is ~ "「教えることがもはや必要でなくなったとき、あなたは、ただ単に、神を知るであろう」。もちろん、ここの"know"は叡智をもって知る、ということ。神を信じるというレベルを超越している。エゴ(理性)が消滅したレベルに達しているのだ。
Belief that there is another way of perceiving is the loftiest idea of which ego thinking is capable.
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
- lofty [lɔ́ti] : 「高遠な、気高い、高尚な」
- be capable of : 「〜の能力がある、〜ができる」
❖ "Belief that there is another ~ "「別の知覚の仕方があると信じることは、エゴが考えることの出来る最も高尚な考えである」。まるでエゴを褒(ほ)めているような言い回しだが、これは、次の文章を読めば、皮肉だとわかる。
That is because it contains a hint of recognition that the ego is not the self.
- contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、〜が入っている」
- hint [hínt] : 「暗示、ほのめかし、ヒント」
- a hint of : 「少量の、少しだけ、〜の気配」
- recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
❖ "That is because ~ "「(なぜ、エゴの高尚な考えかというと) それは、そこにエゴが(本当の)自己ではないという認識がほんの少し含まれているからだ」。エゴは自分が本当の自己だと知覚しているのだが、また別の知覚の仕方があるかもしれないとエゴが認める限り、そこに、エゴが、ひょっとして自分は本当の自己ではないのではないか、と知覚する可能性が生じてくる。イエスはそれを皮肉って、エゴの考えは何と高尚なことでしょう、と言ったのである。
知覚に頼る以上、そこには信じるか信じないか、常に理性的判断がつきまとう。エゴは知覚による理性的判断によって、自分は実在する本当の自己だと信じているわけだが、知覚次第によっては、ことによると本当の自分ではないと知覚する可能性があるわけだ。