11. It cannot be emphasized too often that correcting perception is merely a temporary expedient.
- emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重要視する」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、補正する」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- temporary [témpərèri] : 「一時の、一時的な、当座の」
- expedient [ikspíːdiənt] : 「手段、方法、方策、処置」
❖ "It cannot be ~ "「知覚を修正することは単に一時的な処置であると、強調して強調し過ぎることはない」。幻想を実在だと信じ込ませる知覚を修正することは絶対必要ではあるが、修正してそれで終わり、ということではない。単なる通過点である。
It is necessary only because misperception is a block to knowledge, while accurate perception is a steppingstone towards it.
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の」
- misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
- block [blɑ́k] : 「障害、障害物」
- knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵」
- while [hwáil] : 「〜とはいえ、しかし一方」
- accurate [ǽkjərət] : 「正確な、精密な」
- steppingstone [stépiŋstòun] : 「踏み石、足がかり」
- towards [tɔ́ːrdz] : 「〜の方へ、〜に向かって」
❖ "It is necessary ~ "「誤った知覚は叡智に対する障害であり、一方、正しい知覚は叡智へ向かう踏み石であるという理由で、知覚を修正することは必要なだけだ」。誤った知覚は真実の実在性を覆い隠す障害である。正しい知覚、いわゆるヴィジョンを獲得することで、真実が見えてくる。しかし、それは通過点であって、叡智へ向かう足がかりに過ぎない。叡智とは真実の総体、実相そのものである。
The whole value of right perception lies in the inevitable realization that all perception is unnecessary. This removes the block entirely.
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
- value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、必然の」
- realization [rìːəlizéiʃən] : 「認識、実感、実現、具現化」
- unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、不要な」
- remove [rimúːv] : 「取り除く、除去する」
- entirely [entáiərli] : 「全く、完全に、全体に」
❖ "The whole value ~ "「正しい知覚のもっている真価のすべては、that以下という必然的な認識の内にある」。"that all perception ~ "「すべての知覚というものは不必要である」という必然的な認識。"This removes the ~ "「このことが障害をすっかり取り除く」。幻想を現実だと認識させる肉体的な知覚は不必要だ。嘘をついて、人を惑わすからだ。それを認識することが、正しい知覚に修正するための障害を取り除く。
You may ask how this is possible as long as you appear to be living in this world.
possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
as long as : 「〜である限りは、〜であるならば」
appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
❖ "You may ask ~ "「あなたがこの世界で生きているように感じている限り、どうしてこれが可能なのか訊ねるかもしれない」。この幻想の世界が現実に見える限り、正しい知覚を獲得することは不可能に思えてしまうのだ。ヴィジョンは架空の知覚であるかのように感じてしまう。
That is a reasonable question. You must be careful, however, that you really understand it.
- reasonable [ríːznəbl] : 「筋の通った、正当な」
- careful [kéərfl] : 「注意深い、用心深い」
❖ "That is a ~ "「それは理にかなった質問である」。"You must be ~ "「しかし、あなたは注意深くあらねばならない」。"that you really ~ " ここの"that"は"so that"「〜できるように」の略、「あなたがそれを本当に理解するために」注意深くあらねばならない。それを理解するとは、正しい知覚を獲得することが可能だと理解すること。注意深くとあるが、慎重にせよという意味合いではなく、深く考えよ、ということ。
Who is the "you" who are living in this world? Spirit is immortal, and immortality is a constant state.
- immortal [imɔ́ːrtl] : 「死なない、不死身の、不死の」
- immortality [ìmɔːrtǽləti] : 「不死、不朽、不滅」
- constant [kɑ́nstənt] : 「持続する、絶えず続く、不変の」
❖ "Who is the ~ "「この世界に住んでいる『あなた』とはいったい誰なのか」。"Spirit is immortal ~ "「スピリットは不滅であり、不滅であるとは変化のない状態のことである」。この世界で生きているあなたは本当のあなたなのか。不滅のあなたこそがあなたではないのか。この世界で生きて、そして死んでいくのだから、それは本当のあなたではない。幻想に過ぎないのだ。本当のあなたは、この世界ではなく、不滅の世界に住んでいるはずだ。
It is as true now as it ever was or ever will be, because it implies no change at all.
- imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する」
- not at all : 「 全く〜ない、少しも〜ない」
❖ "It is as true ~ "「スピリットが不滅だということは今も正しいし、以前も、これからもずっと正しい」。"because it implies ~ "「なぜなら、それはまったく変化しないということを暗に示しているからだ」。不変は不滅を示し、永遠を意味する。
It is not a continuum, nor is it understood by being compared to an opposite.
- continuum [kəntínjuəm] : 「連続体」
- understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
- compare [kəmpéər] : 「比べる、比較する、対照する」
- opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のこと」
❖ "It is not ~ "「それは連続するものではないし、」"nor is it ~ "「正反対のものと比較して理解されるものでもない」。スピリットが不滅であるとは、時間的に長い長い間スピリットが存在し続けるという意味ではない。時間的な連続性(continuum)を言っているのではないのだ。なぜなら、スピリットには時間がないからだ。スピリットは時空間を超越し、無時間の世界に生きる。また、永遠不滅を知るためにその反対のもの、つまり、有限で滅びるものを引き合いに出しても無駄である。なぜなら、永遠不滅は時空間を超越したものであり、有限で滅びるものは時空間に依存したものだから。つまり、比較しようにも、存在するレベルが異なるので、二つをつき合わせることさえ出来ないのである。
Knowledge never involves comparisons. That is its main difference from everything else the mind can grasp.
- knowledge [nάlidʒ] : 「知識、知恵、知見」
- involve [invɑ́lv] : 「 〜を含む、に関与する」
- comparison [kəmpǽrisn] : 「比べること、比較、対照」
- main [méin] : 「主要な、主な、中心的な」
- difference [dífərəns] : 「相違、相違点」
- grasp [grǽsp] : 「〜を握る、〜を把握する、理解する」
❖ "Knowledge never ~ "「叡智は決して比較に関与しない」。叡智は絶対知であり、比較や判断と無縁である。"That is its ~ "「このことは、心が把握できる他のすべてのことに対する主要な相違点である」。心が知識をもって把握できるものはすべて、ある、ない、多い、少ない、深い、浅い、など比較対照できるものばかりである。しかし、叡智は直覚であり、絶対知は比較なしで真実を知る。叡智は真実の総体である。