IV. This Need Not Be
これは必要ない
1. If you cannot hear the voice for God, it is because you do not choose to listen.
- for : 「〜の代わりに」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- listen [lísn] : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
❖ "If you cannot ~ "「神に代わって話す声が聞こえないなら、それはあなたが聴くことを選らんでいないからだ」。"for God"は、「神のために」とも解釈できるが、ホーリー・スピリットは神の代弁者であるから、ここの"voice"はホーリー・スピリットの声である。ホーリー・スピリットは常に我々に話しかけているが、我々は聞く耳をもたない。心の中のホーリー・スピリットの存在に気付いていないからだ。
That you do listen to the voice of your ego is demonstrated by your attitudes, your feelings and your behavior.
- demonstrate [démənstrèit] : 「はっきり示す、実証する」
- attitude [ǽtitjùːd] : 「態度、考え方、姿勢、構え」
- feeling [fíːliŋ] : 「感じ、感覚、感情、気持ち」
- behavior [bihéivjər] : 「態度、言動、振る舞い」
❖ "That you do~ "「あなたがあなたのエゴの声を聞いていることは、あなたの態度、感じ方、そしてあなたの振る舞いに、はっきり示されている」。あなたが聞いているのはホーリー・スピリットの声ではなく、エゴの声である。あなたが世俗的な欲に走り、人を憎み、愛欲に溺れ、物の豊かさに憧れ、恐れを抱き、悲しみに沈む姿を見れば、それは一目瞭然だ。
Yet this is what you want. This is what you are fighting to keep, and what you are vigilant to save.
- fight [fáit] : 「戦う、格闘する」
- keep [kíːp] : 「動作を続ける、保持する 」
- vigilant [vídʒələnt] : 「油断がない、用心深い」
- save [séiv] : 「確保しておく、取っておく」
❖ "Yet this is ~ "「しかし、これはあなたが望んだことだ」。エゴの声しか聞こえないのは、あなたがそれを望んだからだ。"This is what ~ "「これはあなたが保持しようと戦っていることであり、確保しておこうとして警戒していることである」。あなたはエゴを信奉し、エゴと対立する考え方と戦っている。エゴの提供するケチな宝物が奪われはしなかと、いつも警戒を怠らない。だから、ホーリー・スピリットの声は聞こえてこないのだ。
Your mind is filled with schemes to save the face of your ego, and you do not seek the face of Christ.
- fill [fíl] : 「いっぱいに満たす、埋める」
- scheme [skíːm] : 「計画、案、たくらみ」
- save face : 「面子を保つ、顔を立てる」
- seek [síːk] : 「捜し求める、求める」
❖ "Your mind is~ "「あなたの心は、あなたのエゴの顔を潰さないようにする計画でいっぱいになっている」。"and you do ~ "「そして、あなたはキリストの顔を探し求めようとはしない」。
The glass in which the ego seeks to see its face is dark indeed.
- glass [glǽs] : 「鏡、メガネ」
❖ "The glass in ~ "「エゴが自らの顔を探し求めてのぞき込む鏡は本当に暗い」。幻想の世界は、真実の光が差し込んでこない闇の世界である。その闇の中で、自らの存在を確かめようとエゴは鏡をのぞき込むが、闇の鏡には何も映らない。
How can it maintain the trick of its existence except with mirrors? But where you look to find yourself is up to you.
- maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する」
- trick [trík] : 「たくらみ、策略」
- existence [igzístns] : 「存在、実存、実在」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- up to : 「〜次第で 」
❖ "How can it ~ "「鏡を使う以外に、エゴはどうやって自分の存在のトリックを維持できようか」。"But where you ~ "「しかし、あなたがあなた自身をどこで見い出すか、それはあなた次第である」。エゴは真実の光を信じない。そのために、光を遮断する黒雲を使って煙幕を張る。これが、いわばエゴのトリックである。しかし、闇を造ったのはいいが、自分の存在を確かめるために鏡を覗いても自分の姿は映らない。自分の実在性を確信できないのだ。さて、あなたならどうするか。闇の中の鏡の前に立ち、エゴと同じように何も映らない鏡の中に自分自身を見出そうとするか。あるいは、光を求め、光の中の鏡を覗いて自分の本当の姿を映すか。
2. I have said that you cannot change your mind by changing your behavior, but I have also said, and many times, that you can change your mind.
- behavior [bihéivjər] : 「態度、言動、素行」
❖ "I have said ~ "「私はthat以下を言い続けている」。"that you cannot change ~ "「あなたの行いを変えることであなたの心を変えることは出来ないと」言い続けている。"but I have ~ "「しかし、何度も何度も、私はまたthat以下を言ってきた」。"that you can ~ "「あなたはあなたの心を変え得るのだと」言ってきた。行いとは、肉体と頭脳の生み出す現象である。したがって、行いは幻想である。幻想を変えることで実相の心は変えることは出来ない。逆に、心が変われば、自ずと行いは変わる。
病を考えれば理解しやすいだろう。病を肉体レベルで治そうとしても、心が病を造ったのだから、たとえ病の症状がおさまったとしても、病の根本は治らない。逆に、心を正常に正せば、幻想の病は自ずから消滅してしまう。
蛇足になるが、これは病を患っている人達に対する偏見だと思われるかもしれない。しかし、病を患っていない人など、この世界に誰一人いない。癌を患っている人も、イボを患っている人も、まったく健康だと言いながら大食に溺れる人も、それはすべて病である。ACIM的な言い方をすれば、病に大小の序列はない。すべて幻想である。
When your mood tells you that you have chosen wrongly, and this is so whenever you are not joyous, then know this need not be.
- mood [múːd] : 「気分、心的状態、気持ち」
- chosen [tʃóuzn] : 「choose の過去分詞形」
- wrongly [rɔ́ːŋli] : 「誤って、間違って」
- whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも」
- joyous [dʒɔ́iəs] : 「うれしい、喜びに満ちた、楽しい」
❖ "When your mood "「あなたの気分があなたに、あなたが誤って選んでしまったのだと告げた時、」何となく誤った選択をしてしまったと感じたとき、"and this is~ "「そして、これは、あなたが楽しくないと感じた時はいつもそうなのだが、」"then know this ~ "「その時は、これは必要ない、と理解しなさい」。あなたの直感があなたに、誤った選択をしてしまったと告げたときは、その選択はあなたに必要ないと思いなさい。その目安になるのは、あなたが選択をして喜びに満たされるか否か。嬉しくなかったら、あなたの選択は誤っている。
In every case you have thought wrongly about some brother God created, and are perceiving images your ego makes in a darkened glass.
- in every case : 「あらゆる場合に、どの場合においても」
- wrongly [rɔ́ːŋli] : 「誤って、間違って」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
- darkened : 「暗い」
❖ "In every case ~ "「(楽しい気分になれない時の)どの場合においても、あなたは神が創造した同胞について誤った思いを抱いているのであるし、」"and are perceiving images ~ "「暗い鏡の中に、あなたのエゴが作ったイメージを知覚しているのである」。神は神の子を創造し、喜びと幸せを与えた。もしあなたが悲しみや苦痛に沈んでいるなら、神の子という自分の姿を見損なっている。エゴの幻想した闇の自分をイメージしているのだ。
Think honestly what you have thought that God would not have thought, and what you have not thought that God would have you think.
- honestly [ɑ́nəstli] : 「正直に、誠実に」
❖ "Think honestly ~ "「神が思ってもみなかったことであなたが思ったことを、あるいは、神があなたに思ったもらいたいと思ったことであなたが思っても見なかったことを、誠実に考えてみなさい」。"that God would have you think"の"have"は使役動詞、ここは願望を表し「〜に〜してもらいたいと思う」。神とあなたの意志の食い違いについて考えて見よ。複雑な文章構造のように見えるのは、一種の言葉遊びのせい。
Search sincerely for what you have done and left undone accordingly, and then change your mind to think with God's.
- search [sə́ːrtʃ] : 「探す、探し出す」
- sincerely [sinsíərli] : 「心から、誠実に」
- left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
- leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく」
- undone [ʌndʌ́n] : 「undoの過去分詞形」
- undo [ʌndú] : 「元どおりにする、取り消す」
- accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それ故に」
❖ "Search sincerely ~ "「誠実に、あなたがやったこと、したがってやり残したことを探してみなさい」。ここの"undone"は、本来なら「取り消しにした」という意味であるが、ここも言葉遊びで、"done"に対した"undone"であるから、「やり残した」と解釈すべきだろう。"and then ~ "「そして、その時、神の心をもって思い巡らすために、あなたの心を変えよ」。"God's"は"God's mind"のこと。神とあなたの意志はちぐはぐだったが、あなたの心を変化させて、神の心をもって自分の行いを見つめ直しなさい、ということ。
This may seem hard to do, but it is much easier than trying to think against it.
hard [hɑ́ːrd] : 「難しい、困難な」
easy [íːzi] : 「たやすい、容易な、簡単な」
against [əgénst] : 「〜に反対して、〜に逆らって」
❖ "This may seem ~ "「これは実行しがたいかもしれないが、それに逆らって考えようとすることより、ずっと簡単である」。神の心をもって考える方がずっと容易だ。なぜなら、いらざる嘘をつく必要がないからだ。真実がよく見えるからだ。
Your mind is one with God's. Denying this and thinking otherwise has held your ego together, but has literally split your mind.
- deny [dinái] : 「否定する、認めない、信じない」
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「別な風に、別のやり方で」
- hold together : 「まとめる、団結させる」
- literally [lítərəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま」
- split [splít] : 「裂く、割る、引き裂く」
❖ "Your mind is ~ "「あなたの心は神の心と一つである」。"Denying this ~ "「これを否定することも、また別の考えを抱くことも、ともにあなたのエゴを団結させる」。"but has literally ~ "「しかし、あなたの心を文字通り分裂させてしまうのだ」。分裂した結果が、コンフリクトである。矛盾と葛藤に苦しむことになる。そこに喜びはない。
As a loving brother I am deeply concerned with your mind, and urge you to follow my example as you look at yourself and at your brother, and see in both the glorious creations of a glorious Father.
- loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、愛情あふれる」
- deeply [díːpli] : 「深く、強烈に、徹底的に」
- be concerned with : 「〜に関係している、〜に関心がある」
- urge [ə́ːrdʒ] : 「促す、要請する、勧める 」
- follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に従う」
- example [igzǽmpl] : 「例、実例 」
- both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
- glorious [glɔ́ːriəs] : 「壮大な、壮麗な、輝かしい」
- creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物」
❖ "As a loving ~ "「あなたを愛する同胞として、私はあなたの心に深い関心を抱いている」。"and urge you ~ "「そして、あなたが自分自身を見るとき、そしてあなたの同胞を見るとき、私の例にならってもらいたい」。"and see in ~ "意訳する、「そして、あなたの心の中と同胞の心の中を見て、輝かしい父なる神が輝かしい創造をしたのだと知ってほしい」。イエスの例にならって、あなた自身も同胞も、ともに神が創造した輝かしい神の子だと認識してほしい。