3. Any thought system that confuses God and the body must be insane.
- confuse [kənfjúːz] : 「混乱させる、困惑させる」
- insane [inséin] : 「正気でない、狂った」
❖ "Any thought ~ "「神と肉体を混同するようないかなる思考システムも正気であるはずがない」。実相と幻想、真実と虚偽を混同するような思考は正気の沙汰ではない。
Yet this confusion is essential to the ego, which judges only in terms of threat or non-threat to itself.
- confusion [kənfjúːʒən] : 「混同、混乱」
- essential [isénʃəl] : 「絶対必要な、必須の」
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を裁く、裁判する、〜に判決を下す」
- in terms of : 「〜に関して、〜の点から見て」
- threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
❖ "Yet this confusion ~ "「しかし、この混同はエゴにとっては必須である」。関係代名詞whichを使ってegoを説明し、"which judges ~ "「そのエゴは、エゴにとって脅威か脅威でないかということに関してのみ判断を下す」。エゴは、自分の存続を脅かすかどうかという基準で、対象の善し悪しを判断している。
In one sense the ego's fear of God is at least logical, since the idea of Him does dispel the ego.
in one sense : 「ある意味で、一面では」
at least : 「少なくとも」
logical [lɑ́dʒikl] : 「論理的な、当然な」
dispel [dispél] : 「 〜を追い払う、払拭する」
❖ "In one sense ~ "「ある意味では、エゴが抱く神に対する恐れは、少なくとも(エゴにとっては)理にかなったことである」。"since the idea ~ "「なぜなら、神という考えはエゴを払拭するからである」。エゴは神から存在を消されまいとして必死に抵抗するわけだ。真実の光の下では、幻想の闇は払拭されてしまうからだ。
But fear of the body, with which the ego identifies so closely, makes no sense at all.
- identify [aidéntəfài] : 「 〜を同一に扱う、同一視する」
- closely [klóusli] : 「密接に、接近して」
- make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
- at all : 「全く〜ない、少しも〜ない」
❖ "But fear of ~ "「しかし、肉体を恐れるということは、」" with which ~ "「エゴはその肉体をかなり身近なものとして同一視しているのだが、」"makes no ~ "「まったく意味をなさない」。エゴは肉体を同一視しているのに、それを恐れるとは理にかなっていない、ということ。エゴは、肉体の非存在、肉体の幻想性が暴かれることに恐れを抱いている。肉体が幻想に過ぎず、幻想だと認識されてしまえば、肉体と同一であるエゴもまた、幻想であるという真実を突きつけられて、消滅せざるを得ないからだ。
逆に、実在する真実は恐れを抱くことはない。真実は、決して傷つかない。光は闇を払拭するが、闇が光を払拭することはあり得ないからだ。光が欠けた状態を闇と言うのであって、闇はそもそも存在しないのだ。光があるかないか、ただそれだけである。
4. The body is the ego's home by its own election. It is the only identification with which the ego feels safe, since the body's vulnerability is its own best argument that you cannot be of God.
- election [ilékʃən] : 「選ぶこと、選択」
- identification [aidèntifəkéiʃən] : 「同一視、同定」
- vulnerability [vʌ̀lnərəbÍliti] : 「脆弱性」
- argument [ɑ́ːrgjəmənt] : 「議論、論拠、根拠,要旨」
❖ "The body is ~ "「肉体はエゴが自ら選んだ住み家である」。"It is the only ~ "「肉体は、エゴが同一視できる唯一のものであり、安心感を感じられるものである」。"since the body's ~ "「なぜなら、肉体の脆弱性は、あなたが神のものではないとするエゴの最も強力な根拠であるからである」。神があなたを創造したのならあなたの肉体は永遠不変のはずだが、死に至る脆弱な肉体をもつあなたは、それを証拠に、神の創造ではないとエゴは主張する。肉体をもつあなたが神を信じるのは誤りであって、つかの間の肉体的な快楽を与えてくれるエゴこそが、あなたの信じるに足る唯一の存在だとエゴは言う。簡単に言えば、精神原理で生きるのではなく、肉体原理で生きよ、とエゴは言うのだ。エゴを信奉し、肉体原理で生きて行けば、エゴはあなたに甘い蜜を吸わせてあげると言う。
This is the belief that the ego sponsors eagerly. Yet the ego hates the body, because it cannot accept it as good enough to be its home.
- sponsor [spɑ́nsər] : 「〜を後援する」
- eagerly [íːgərli] : 「躍起になって、熱心に」
- hate [héit] : 「 〜を憎む、〜をひどく嫌う」
- good enough : 「十分に良い」
❖ "This is the ~ "「これは、エゴが熱心に後押しする信念である」。これとは、エゴが肉体を同一視し、あなたが神のものではないとする考えのこと。"Yet the ego ~ "「しかし、エゴは肉体を嫌う」。"because it ~ "「なぜなら、エゴは、肉体がエゴの住み家として十分であると認めることが出来ないからだ」。弱く、年老い、やがて死に至る肉体は、エゴの住み家としては満足のいくものではない。エゴは肉体を同一視しながら、同時に肉体を嫌うという自己矛盾を起こしている。エゴは肉体のもつ幻想性に気付いてはいる。それを恐れるが故に嫌うのである
Here is where the mind becomes actually dazed. Being told by the ego that it is really part of the body and that the body is its protector, the mind is also told that the body cannot protect it.
- actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実は」
- daze [déiz] : 「〜の目をくらませる、まごつかせる」
- protector [prətéktər] : 「保護するもの、保護者」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する 」
❖ "Here is where ~ "「ここに、心が実際、まごつく原因がある」。エゴの自己矛盾に心がついていけなくて、心は呆然としてしまうのだ。"Being told by ~ "分詞構文、譲歩、「エゴによってthat以下を言われているのにもかかわらず、」"that it is ~ "「心は本当は肉体の一部であり、肉体は心を保護するものだ」と言われているにもかかわらず、"the mind is ~ "「心は、また別に、that以下を言われている」"that the body ~ "「肉体は心を守れない」と言われている。ここにもエゴの自己矛盾が現れている。そもそも、幻想の肉体に実相的実在の心が守れるわけはない。ところがエゴは、肉体が心を生み出して、肉体の中に心を持っているのだから、肉体は心を保護していると主張する。しかし、これはエゴがあなたを惑わす虚偽である。
Therefore, the mind asks, "Where can I go for protection? " to which the ego replies, "Turn to me."
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、従って」
- protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
- reply [riplái] : 「返答する、返事をする」
- turn to : 「〜に頼る、〜の方を向く」
❖ "Therefore, the mind ~ "「そこで、心は『いったい私はどこに保護を求めればいいのか』と訊くであろう」。"to which ~ "「それに対して、エゴは『私に任せよ』と答える」。
The mind, and not without cause, reminds the ego that it has itself insisted that it is identified with the body, so there is no point in turning to it for protection.
- without cause : 「理由がなくて、理由もなく」
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる」
- insist [insíst] : 「強く主張する」
- identify [aidéntəfài] : 「〜を同一に扱う、同一視する」
- no point : 「意味がないこと」
❖ "The mind, and ~ "「心は、もっともな事だが、エゴにthat以下を思い起こさせる」。ここの"not without cause"は「理由がないわけでなく」ということなので、「もっともな事だが」と訳した。"that it has ~ "「エゴ自身がthat以下を執拗に主張してきた」。"that it is ~ "「エゴは肉体と同一だと見なされている」とエゴは執拗に主張してきた。"so there is ~ "「そこで、保護してあげるからエゴに任せよと言われてもそれは意味がない」。エゴは肉体と同一であると主張しながら、その肉体を守れないと言う。エゴに保護を任せよ、と言われても、それは意味がないではないか。心は、エゴに対して、そう主張する。
The ego has no real answer to this because there is none, but it does have a typical solution. It obliterates the question from the mind's awareness.
- answer [ǽnsər] : 「答え、返事、応答」
- typical [típikl] : 「典型的な、代表的な」
- solution [səlúːʃən] : 「解答、解決法、解決策」
- obliterate [əblítərèit] : 「〜を消し去る、〜を取り除く」
- awareness [əwέərnis] : 「認識、意識性」
❖ "The ego has ~ "「エゴにはこれに対する現実的な答えがない」"because there ~ "「なぜなら、(そもそも)答えなどないからだ」。"but it does ~ "「しかし、エゴは、(いかにもエゴらしい)典型的な解決法をもっている」。"It obliterates ~ "直訳すると、「エゴは、心の意識性から問題を消し去る」。つまり、エゴは心が発する疑問を闇に封印しようとするわけだ。心が気付いたエゴの矛盾点を、エゴは無視し、消し去ってしまうのだ。自己保存のためなら、自己矛盾を意識の外に追いやってしまうのである。
Once out of awareness the question can and does produce uneasiness, but it cannot be answered because it cannot be asked.
- produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生み出す」
- uneasiness [ʌníːzinəs] : 「不安、心配、困惑」
- answer [ǽnsər] : 「〜に答える、〜に応じる」
- ask [ǽsk] : 「 〜を尋ねる、質問する」
❖ "Once out of ~ "「ひとたび認識の外に出されても、疑問は不安を生み出す可能性はあるし、現に生み出している」。"but it cannot ~ "「しかし、疑問は答えられることはない」。"because it cannot ~ "「なぜなら、尋ねられることがないからだ」。疑問が意識の外に追いやられると、疑問が意識上に浮上することはないので、疑問に対する答えが生み出される可能性はなくなる。しかし、疑問が消滅したのではなく、無意識の中に潜在して、心に不安や困惑を感じさせるのだ。