●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-14.I.4:1 ~ T-14.I.5:6

4. Any direction that would lead you where the Holy Spirit leads you not, goes nowhere.
  • direction [dərék∫n] : 「方角、方向、道順、方位」
  • lead [li':d] : 「〜を導く、案内する、〜を連れていく」
  • nowhere [nóu(h)wèə(r)] : 「どこにも〜ない」
❖ "Any direction that ~ "「あなたを導く方向が、ホーリー・スピリットがあなたを導く方向でないなら、それはどこにも行き着けない」。狂った論理に従って道を進んでも、いかなる目的地へも達し得ない。ホーリー・スピリットの導きに従うならば、実相世界へ、つまり、神の世界へ回帰できる。



Anything you deny that he knows to be true you have denied yourself, and he must therefore teach you not to deny it.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "Anything you deny that ~ "ここは"If you deny anything that ~ "ということで、「もしあなたが、ホーリー・スピリットが真実であると知っているものを何でも否定するならば、」"you have denied ~ "「それは、あなたが自分自身を否定してることになる」。ホーリー・スピリットは実相世界の真実を語っているのだから、それをあなたが否定したなら、あなたに残るのは虚偽だけになってしまう。かくして、あなたはあなたの真実を否定し、内なる真実をもつ自己を否定したことになる。"and he must therefore ~ "「したがって、ホーリー・スピリットはあなたに、真実を否定しないことを教えなくてはならない」。真実を真実としてとらえることを、ホーリー・スピリットは教えてくれる。



Undoing is indirect, as doing is. You were created only to create, neither to see nor do.
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • Undoing : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • indirect [ìndərékt] : 「二次的な、間接的な」
❖ "Undoing is ~ "「行うことが間接的であるように、取り消することも間接的である」。"You were created ~ "「あなたは、創造するために、創造された」。"neither to see ~ "「見るためでも、何かをするためでもない」。さて、難解な部分である。何を言いたいのか? "undoing"「取り消し」は、たとえば、罪の取り消しを考えてみればいい。もし神が万能の神であるなら、あなたの心の中の罪の意識を直接的に消しゴムで消すがごとくに消してしまって、それで終わり、でもいいはずだ。しかし、神はそんな直接的なことをしない。なぜか? 神は魔法(マジック)を使わないからだ。あなたが、あなたの自由意志をもって、取り消しを選択した上で、自らが罪の意識を消すことを望む。自発的な贖罪を求めるのである。一見、間接的で遠回りのように見えるが、罪の意識の取り消しの後に、さらに神への回帰を果たさねばならないことを考えると、間接的取り消しは決して非能率的だとは言えない。むしろ一番の近道であるとさえ言える。ACIMが、悟りへ最も近い道だと自負するのはそのためであろう。では"doing"「行うこと」はどうか? ここでは創造を例に考えよう。"You were created ~ "「あなたは、創造するために、創造された」と述べている。神はあなたを、見て楽しむために、つまり、観賞用に創造したのではない(neither to see nor do)。次の文章を読むとわかるのだ、神は神の生命の発露として神の子を創造した。生命の表現である。神の子の創造という間接を経て、生命の表現という直接目的を果たしたことになる。同様に、神の属性をすべて継承したあなたも、実相の世界では創造を使命とする。あなたは実相世界で創造するために、創造されたのである(You were created only to create)。それは、美しい自分の姿を鑑賞するためではない(neither to see nor do)。あなたの生命の表現として創造するのである。



These are but indirect expressions of the will to live, which has been blocked by the capricious and unholy whim of death and murder that your Father does not share with you.
  • expression [ikspré∫n] : 「表現、言い回し、言い方、表出」
  • will [wíl] : 「意志、精神力」
  • block [blάk] : 「遮る、妨害する、阻む、妨げる、阻害する」
  • capricious [kəprí∫əs] : 「気まぐれな、移り気な、むらのある」
  • unholy : 「不信心な、不敬な、不道徳な」
  • whim [(h)wím] : 「思い付き、気まぐれ」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、死者、死んだ状態」
  • murder [mə́ː(r)də(r)] : 「殺人、謀殺」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "These are but ~ "「これらは、生きる意志の間接的な表現である」。創造とは、生命の間接的表現である。"which has been blocked ~ "「それは、あなたの父なる神があなたと分かち合うことが出来ない気まぐれで神聖ではない死や殺人などの偶発事によって妨害され続けてきた」。実相世界の生命の表現、つまり創造は、幻想世界の死や殺人などの生命を否定する事象によって、妨害され続けてきた。もちろん、幻想世界の生命を否定する事象を、神があなたと分かち合うはずもない。



You have set yourself the task of sharing what cannot be shared. And while you think it possible to learn to do this, you will not believe all that is possible to learn to do.
  • task [tǽsk] : 「任務、職務、仕事」
  • set oneself the task of doing : 「〜を目標にする、〜することを自分の仕事にする」
  • while [(h)wáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
❖ "You have set yourself ~ " 「あなたは、分かち合うことの出来ないものを分かち合おうとする仕事に自分を就かせた」。神と分かち合うことの出来ない幻想世界の事象を行うことを自分の使命とした。"And while you think it ~ "「あなたが、こんなことをやる方法を学ぶことが可能であると信じているうちは、」"you will not believe ~ "「あなたは、学ぶことが可能であるすべてのことを信じようとはしないであろう」。回りくどい訳になってしまったが、要するに、不可能なことを可能だと信じている限りは、可能なことさえ可能と思えなくなってしまうのだ。ホーリー・スピリットが勧める実相世界の分かち合える事象がたくさんあるのにも関わらず、あなたにはそれが信じられない。



5. The Holy Spirit, therefore, must begin his teaching by showing you what you can never learn.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、〜に取り掛かる、着手する」
❖ "The Holy Spirit, therefore, ~ "「そこで、ホーリー・スピリットは、あなたに学ぶことが不可能なものを教えることから始めなくてはならないのだ」。たとえば、幻想の世界で真実なる実在を創造することは、学ぼうにも学べない、不可能なことである。もっと卑近な例では、金で心の平和は買えない、それも不可能なことである。要するに、幻想世界の手段を用いても、実相世界の真実は手に入らないことをホーリー・スピリットは教えてくれるのである。



His message is not indirect, but he must introduce the simple truth into a thought system which has become so twisted and so complex you cannot see that it means nothing.
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、連絡事項」
  • indirect [ìndərékt] : 「二次的な、間接的な」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • thought system : 「思考システム」
  • twisted [twístid] : 「ねじれた、ひん曲がった、ひねくれた、へそ曲がりの」
  • complex [kɑmpléks] : 「複雑な、複合の、込み入った、手間のかかる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "His message is ~ "「ホーリー・スピリットのメッセージは間接的ではないが、」"but he must introduce ~ "「ホーリー・スピリットは、簡単な真実を〜な思考システムに導入しなくてはならない」。"which has become so ~ "「あまりにねじれ、複雑化したために、それが何の意味も持たないとあなたには見えてこないような」思考システムに、簡潔な真実を吹き込む必要がある。幻想の世界で、つまり夢の中で、エゴの思考システムや頭脳の理性が作り出した理論体系は、実相の世界では、つまり夢から覚めれば、何の意味も持たないのだとあなたはわかっていない。そのために、ホーリー・スピリットは一番簡単な真実をあなたにわからせることから始めなくてはならない。その真実とは、あなたが夢を見ているという事実である。この世界も、あなたの肉体も、夢の中の出来事の一端に過ぎず、真実の実在は別の世界にあると教えるのである。ACIMを学ぶ上で、実は、これが一番難しい。目の前の肉体も世界も、本当は存在しない幻想、錯覚だと知る必要があるのだが、なかなか信じ切ることが出来ない。知覚に頼りすぎているからだろう。結局、叡智をもって直覚しなければならないことなのだ。



He merely looks at its foundation and dismisses it. But you who cannot undo what you have made cannot see through it.
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • look at : 「〜を見る、〜を調べる、、〜を考察する」
  • foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤、根拠、基礎、根幹」
  • dismiss [dismís] : 「解散させる、追放する、退ける、片付けてしまう」
  • see through : 「〜を通して見る、〜を見通す、〜を透かして見る」
❖ "He merely looks at ~ "「ホーリー・スピリットは単に、そんな思考システムの基礎部分だけに目をやり、それを追放する」。エゴや幻想の思考システムは全体像を見る必要などなく、基盤が幻想に根ざしていると見るだけで事足る。幻想は捨てるに限るのだ。"But you who cannot undo ~ "「しかし、自分が作ったものを取り消しに出来ないあなたは、その思考システムの内部を見透かすことが出来ないのである」。自分の思考システムを信じ切っているので、それが幻想に過ぎないことを見て取ることが出来ない。幻想に過ぎないことがわからないから、取り消すことも考えない。



It deceives you, because you chose to deceive yourself. Those who choose to be deceived will merely attack direct approaches, because they seem to encroach upon deception and strike at it.
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • chose [t∫óuzn] : 「choose の過去形」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • direct [dáirekt] : 「直接の、率直な、遠慮のない、単刀直入の」
  • approach [əpróut∫] : 「近づくこと、近づく道、取り組み」
  • encroach [enkróut∫] : 「侵入する、侵害する」
  • encroach on : 「侵害する、不当に奪う」、
  • deception [disép∫n] : 「だますこと、うそ、ごまかし、詐欺、偽装」
  • strike [stráik] : 「突く、打つ」
  • strike at : 「〜をめがけて打つ」
❖ "It deceives you"「それはあなたを騙している」。エゴや幻想の思考システムはあなたを騙している。"because you chose ~ "「なぜなら、あなたは自分自身を騙すことを選んだからだ」。自己欺瞞を容認したからだ。"Those who choose to be ~ "「騙されること選んだ者達は、直接的なアプローチを単に攻撃するであろう」。"direct approaches"「直接的なアプローチ」とは、たとえば、幻想の思考システムを取り消そうとするホーリー・スピリットのアプローチ。あるいは、罪の意識を消そうとするホーリー・スピリットのアプローチ。"because they seem to ~ "「なぜなら、直接的なアプローチは、ごまかしに侵入し、それを打ち砕こうとしているかに見えるからだ」。ホーリー・スピリットの取り消しの行為は、あたかも神の子に対する侵害行為、攻撃行為のように感じてしまう。なぜなら、エゴもあなたも、自己保存が一番大切であると信じているし、保守主義がその思考システムの根幹に位置しているからだ。ACIMは一種の、あるいは唯一の、本格的な自己革命なのである。
 
 
 


Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター