●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.IV.2:1 ~ T-16.IV.3:7

2. The symbols of hate against the symbols of love play out a conflict that does not exist.

  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • against [əgénst] : 「〜に反対して、〜に逆らって、〜と対照して」
  • play out : 「展開する」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "The symbols of hate ~ "「愛のシンボルに対する憎悪のシンボルは、存在しないコンフリクトを展開する」。"symbol"「シンボル」という言葉が使われているのはなぜだろう? 一言に憎悪と言っても、憎悪はいろいろな形を取るわけである。殺してやりたい、殴ってやりたい、いじめてやりたい、恥をかかせたい、等々、いろいろな形で表出する。そこで、たとえば、殺意は憎悪を象徴していると言うことが出来る。つまり、憎悪という抽象概念を殺意という具象概念でシンボライズするのである。そこで、ここの文章は、「生活の場に現れる数々の具体的な憎しみと、数々の具体的な愛情とが摩擦を起こし始める」という意味合いになる。さて、"a conflict that does not exist"「存在しないコンフリクト」とは何か? 実相世界は完全な抽象、想念の世界であって、具象を持たない。ということは、実相世界には抽象概念をシンボライズするものは存在しないのだ。実相世界にシンボルは存在しない。したがって、愛のシンボルと憎悪のシンボルのコンフリクトとは、この幻想世界の出来事であって、実相世界から見れば、それは存在もしない夢、錯覚である。このコンフリクト自体が幻想なのだ。この世界の争いごとなど、実相世界から見れば、すべて幻想であり錯覚である。



For symbols stand for something else, and the symbol of love is without meaning if love is everything.
  • stand for : 「〜を表す」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "For symbols stand ~ "「なぜなら、シンボルとは何か別のものを表しているのであり、」先の例では、具象的な殺意は、抽象的な憎悪という別物を表しているから、シンボルなのだ。もっと簡単な例を言うと、ヘビは悪のシンボルとされることがある。ヘビと悪はまったく別物、無関係であるが、抽象概念の悪を表すために具象的なヘビを使うのである。"and the symbol ~ "「もし、愛がすべてであるなら、愛のシンボルは意味をもたないからだ」。実相世界ではすべてが愛である。抽象概念の愛が実相世界のすべてである。愛と別なもの、つまり、愛のないものなどないのである。愛の別物はないし、そもそも具象もないのだから、愛のシンボルはない。愛そのものが実在するだけなのである。したがって、愛のシンボルというものは意味をもたない。ぐずぐずと理屈を言ってしまったが、要するに、実相世界の真の愛は、一元論世界に特有の、憎悪という対極概念を持たない純粋な愛なのだ、ということを押さえておけば十分だ。



You will go through this last undoing quite unharmed, and will at last emerge as yourself. This is the last step in the readiness for God.
  • go through : 「通り抜ける、通行する、通過する、検討する」
  • last [lǽst] : 「終わりの、最後の」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • undoing : 「取り消し」
  • quite [kwáit] : 「全く〜とはいえない、すっかり〜ではない」
  • unharmed : 「無傷の」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと」
  • step [stép] : 「階段、段、ステップ、歩み、一歩」
  • readiness [rédinəs] : 「用意ができていること、準備ができていること」
❖ "You will go through ~ "「あなたは、まったく無傷なまま、この最後の取り消し作業を通り抜けるだろう」。"and will at last emerge ~ "「そして、ついに(真なる)あなた自身として現れるのである」。愛のシンボルと憎悪のシンボルによるコンフリクトを、それは幻想であると見抜いて、コンフリクトを取り消すのである。幻想を取り消したのだから、傷つくようなことはなく、難なく取り消しは終了する。要するに目覚めるだけでいいのだ。目覚めたあなたこそ、真のあなた自身である。"This is the last step ~ "「これが、神の元へ回帰するための最後の準備である」。実相世界に目覚め、いよいよ神の住む天の王国へ向かうのである。あなたはもう、その準備が整っている。



Be not unwilling now; you are too near, and you will cross the bridge in perfect safety, translated quietly from war to peace.
  • unwilling [ʌnwíliŋ] : 「気が進まない、不本意の、嫌がる、嫌々ながらの」
  • near [níə(r)] : 「近い、近くにある、接近した、近接した」
  • cross [krɔ́(ː)s] : 「〜を横断する、渡る」
  • bridge [brídʒ] : 「橋、橋梁、桟橋」
  • in safety [séifti] : 「安全に、無事に
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完全な、完璧な」
  • translate [trænsléit] : 「平行移動させる」
  • quietly [kwáiətli] : 「静かに、音もなく、平穏に」
❖ "Be not unwilling ~ "「今や、躊躇してはいけない」。"you are too ~ "「あなたはもうすぐの所まで近づいたのだ」。"and you will cross ~ "「あなたは全く安全に橋を渡ることが出来るだろう」。"translated quietly ~ "分詞構文、理由、先頭にbeingを補うといい、「争いから平和へと、静かに移動するだけなのだから」。神の住む天の王国への最後の一歩、真の神の子へ回帰するためにこの橋を渡ってしまいさえすればいい。静かに、確実に、安心して渡っていけばいい。向こう側では、神やホーリー・スピリットやアセンディド・マスター達が、あなたの回帰を待っている。



For the illusion of love will never satisfy, but its reality, which awaits you on the other side, will give you everything.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、満たす、充足させる、報いる」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • await [əwéit] : 「〜を待つ、待ち受ける、待望する」
  • side [sáid] : 「側面、辺、側、面」
❖ "For the illusion of ~ "「なぜなら、幻想の愛は決して(あなたを)満足させることは出来ないが、愛の実相、」"which awaits you ~ "「それは、橋の向こう端であなたを待っているのだが、」"will give you ~ "「愛の実相は、あなたにすべてを与えてくれるからだ」。幻想世界の特別な愛の関係性は、あなたを決して満たすことはない。その愛は憎悪という対極概念をはらんだ不完全な愛だからだ。しかし、今あなたが越えようとしてる橋の向こう側は実相世界であって、そこはすべてが愛である世界だ。その愛は憎悪という対極概念をもたない純粋な愛であって、神やホーリー・スピリットやアセンディド・マスター達はその無限の愛をもってあなたを迎え入れ、あなたにすべてを与えてくれる。すべてと言っても、それは「物」ではない。実相世界は抽象、想念の世界であって、具象、物質の世界ではないからだ。無限の愛、無限の喜び、無限の平和、無限の美、等々、そのすべてがあなたのものとなる。そのときあなたは、いったいどんな「物」を欲しいと思うだろうか?



3. The special love relationship is an attempt to limit the destructive effects of hate by finding a haven in the storm of guilt.
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける、抑える」
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な、有害な」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす、捜し出す」
  • haven [héivn] : 「安息の地、安全な場所、安息所、避難所、港、停泊港」
  • storm [stɔ́ː(r)m] : 「あらし、暴風雨、荒天、騒動、動乱」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "The special love relationship ~ "「特別な愛の関係性は、〜によって、憎悪の破壊的な結果を制限しようとする試みである」。"by finding a haven ~ "「罪の意識の嵐の中、避難場所を見つけることよって」。幻想世界における特別な愛欲の関係性は、決して、真の純粋な愛を求める試みではないのだ。



It makes no attempt to rise above the storm, into the sunlight.
  • make attempt to : 「〜しようと試みる」
  • rise [ráiz] : 「上がる、起立する」
  • above [əbʌ́v] : 「〜よりも上側に、〜の上にへ」
  • sunlight [sʌ́nlàit] : 「太陽の光、日の当たる所、太陽の明かり、太陽光、日光」
❖ "It makes no attempt ~ "「特別な愛の関係性は、嵐の上へ、太陽の光へと昇る試みをしようとしない」。



On the contrary, it emphasizes the guilt outside the haven by attempting to build barricades against it, and keep within them.
  • contrary [kɑ́ntrèri] : 「正反対」
  • on the contrary : 「それどころか、それとは反対に」
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重要視する、重視する、力説する、際立たせる」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • haven [héivn] : 「安息の地、安全な場所、安息所、避難所、港、停泊港」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する」
  • barricade [bǽrəkèid] : 「バリケード、妨害するもの、障害物」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に、〜以内で」
❖ "On the contrary ~ "「それとは逆に、特別な愛の関係性は、〜よって、罪の意識を強調してしまうのだ」。"by attempting to build ~ "「罪の意識に対してバリケードを築き、その中に罪の意識を保持しようとすることによって」。特別な愛欲の関係性は、罪の意識を心の中に温存してしまう。罪の意識から救われることはないのである。



The special love relationship is not perceived as a value in itself, but as a place of safety from which hatred is split off and kept apart.
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、有用」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席、立場、境遇」
  • safety [séifti] : 「安全性、無事」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
  • split [splít] : 「splitの過去形、過去分詞形」
  • split [splít] : 「裂く、割る、引き裂く、バラバラに壊す」
  • split off : 「割る、割れる、分離する、分裂する、裂く、裂ける」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "The special love relationship ~ "「特別な愛の関係性は、それ自体の中に価値があると知覚されるのではなく、」"but as a place of safety ~ "「憎しみを引きはがし、(外の場所に)隔離してしまえる安全な場所として知覚されるのである」。特別な愛欲の関係性において、心の中の憎悪を意識の表面から引きはがし、無意識の領域へと隔離して、暫時、安全を確保するのである。それには、愛欲はもってこいのものとなる。



The special love partner is acceptable only as long as he serves this purpose.
  • partner [pɑ́ː(r)tnə(r)] : 「配偶者、連れ合い」
  • acceptable [əkséptəbl] : 「受け入れることができる、受諾できる、容認できる」
  • as long as : 「〜さえすれば、〜である限りは、〜であるならば」
  • serve [sə́ː(r)v] : 「〜に仕える、〜の役目をする」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨」
❖ "The special love partner ~ "「特別な愛の関係の相手は、この目的に添うときに限られ、受け入れられることになる」。憎悪が隠されている限りは、特別な愛欲のパートナーとの関係性は続く。



Hatred can enter, and indeed is welcome in some aspects of the relationship, but it is still held together by the illusion of love.
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際は」
  • welcome [wélkəm] : 「喜んで受け入れる、歓迎する」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、外観、景観」
  • in some aspects : 「ある意味では、ある面では」
  • still [stíl] : 「それでも、それでもやはり、いまだに、今もなお」
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • hold together : 「まとめる、団結させる」
❖ "Hatred can enter ~ "「(特別な関係性の中に)憎悪は入り得るし、実際、その関係性のある側面では、歓迎されることもある」。憎しみ合うことで関係性が強固になるとして、憎悪を受け入れる関係性もある。憎むほど愛し、愛するほど憎む、といったねじれた関係性である。"but it is still held ~ "「それでもなお、特別な愛の関係性は、幻想の愛によって、統一が保たれているに過ぎない」。つまり、特別な愛憎関係が、憎悪を隠そうが憎悪を受け入れようが、所詮、愛憎という幻想の世界の幻想的お遊びに過ぎないのだ、ということ。特別な関係性における愛も憎悪も、幻想、錯覚である。実相世界の実在ではない。



If the illusion goes, the relationship is broken or becomes unsatisfying on the grounds of disillusionment.
  • broken [bróukn] : 「breakの過去分詞形」
  • break [bréik] : 「壊す、割る、折る、破る」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • unsatisfying : 「満足のいかない、満足感の得られない」
  • on the grounds of : 「〜の場所で、〜を理由にして、」
  • disillusionment [dìsilúːʒ(ə)nmənt] : 「覚醒、幻滅」
❖ "If the illusion goes ~ "「幻想が去ってしまえば、」"the relationship is broken ~ "「その関係性は壊れるか、幻滅したという理由で満足できないものになってしまうのである」。いずれ、幻想世界の特別な愛欲関係は、あるいは愛憎関係は、遅かれ早かれ、化けの皮がはがされて崩壊していく。永遠不変性など、かけらもない。
 
 
 

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