●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.V.3:1 ~ T-16.V.4:4

3. The special love relationship is the ego's most boasted gift, and one which has the most appeal to those unwilling to relinquish guilt.

  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • boast [bóust] : 「〜を誇りにする、〔主語の〕自慢は〜である 」
  • appeal [əpíːl] : 「魅力、懇願」
  • unwilling to : 「〜することに気が進まない、〜することを嫌がる」
  • relinquish [rilíŋkwi∫] : 「放棄する、手放す、あきらめる、断念する」
❖ "The special love ~ "「特別な関係性は、エゴの最も自慢とする贈り物である」。"and one which has ~ "「そして、それは、罪の意識を放棄したくないと思う者にとって、最も魅力のある贈り物である」。



The "dynamics" of the ego are clearest here, for counting on the attraction of this offering, the fantasies that center around it are often quite overt.
  • dynamics [dainǽmiks] : 「力学、原動力、動力学」
  • clear [klíə(r)] : 「明らかな、明瞭な、はっきりした、明快な」
  • count [káunt] : 「重要である、重視される、肝心である」
  • count on : 「〜を頼りにする、〜を当てにする」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「 引き付けるもの、呼び物、引力、魅力、誘引」
  • offering [ɔ́ːfəriŋ] : 「申し出ること、提供すること、提供されるもの」
  • fantasy [fǽntəsi] : 「想像、空想、幻想、白日夢」
  • center [séntə(r)] : 「集中する、集まる」
  • often [ɔ́(ː)fn] : 「しばしば、たびたび、ちょくちょく」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • overt [ouvə́ː(r)t] : 「公然の、あからさまな、あからさまの、明白な、顕在的な」
❖ "The "dynamics" of the ego ~ "「ここおけるエゴの『力学』は、より明白だ」。特別な関係性を介してエゴが企んでいる心理作戦(エゴの力学)は見え見えである。"for counting on the attraction ~ "「なぜなら、この捧げ物(特別な関係性)の魅力を当てにして、その捧げ物の周りに集中する空想はしばしばきわめて明白だからである」。難しい言い回しをしているが、要点を押さえよう。エゴは、あなたを特別な愛欲の関係性で釣り上げる。それをあなたへの贈り物として、エゴはあなたに捧げるのだ。あなたは、特別な愛欲の関係性の魅力に抗することが出来ず、その贈り物を喜んで受け入れる。こうしてあなたは、特定の異性との、分離し、孤絶した世界を構築する。そここそが二人の真の世界だと空想し、実在は自分たちだけだと空想し、他者はその存在さえ認められないと空想し、二人がいれば神も仏もいらないと空想する。こうして、特別な関係性という幻想の中にどっぷりと浸りきるのである。しかし、それも長続きはしない。隠し持った罪の意識が頭をもたげ、空想の安ペンキが剥がれていくのである。



Here they are usually judged to be acceptable and even natural.
  • usually [júːʒu(ə)li] : 「通常、通例、いつもは、大抵、普通」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、 〜を審判する、〜を裁く」
  • acceptable [əkséptəbl] : 「容認できる、容認可能な、許容範囲にある」
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然な、普通の、ありのままの」
❖ "Here they are usually ~ "「ここでは、彼らは普通、許容でき、自然であるとさえ判断されるのだ」。確かに、この世では、特定の男女が特別な愛の関係性を築いて分離独立することは自然なことであり、社会的にも完全に許されると判断される。しかし、ACIMが問題として取り上げているのは、そういう表面的な現象ではなく、そのときの心の問題なのだ。特別な愛の関係性をもったときの、あなたの心の持ちようである。もし、ACIMが、特別な関係性の表れさえも完全否定するなら、恋愛もするな、結婚もするな、独身を貫け、友達関係さえご法度だ、という極右的な思想になってしまうではないか。そう言えば、何処ぞの宗教にそんなのがあったような気がするが・・・。



No one considers it bizarre to love and hate together, and even those who believe that hate is sin merely feel guilty, but do not correct it.
  • consider [kənsídə(r)] : 「〜と考える、〜を考慮する」
  • bizarre [bizɑ́ː(r)] : 「奇妙な、とっぴな、奇抜な、風変わりな、異様な、奇怪な」
  • hate [héit] : 「憎む、ひどく嫌う」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、後ろめたい、やましい」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
❖ "No one considers it ~ "「誰も、同時に愛し憎むことを奇っ怪なことだと考えていない」。"and even those who ~ "「そして、憎悪は罪だと信じている者さえ、単に罪の意識を感じるだけで、それを正そうとはしない」。何とも耳が痛い。



This is the "natural" condition of the separation, and those who learn that it is not natural at all seem to be the unnatural ones.
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然の、普通の、ありのままの」
  • condition [kəndí∫n] : 「状態、状況、様子、様相、事情、条件」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • unnatural : 「不自然な、自然に反する、不思議な、異常な」
❖ "This is the "natural" condition ~ "「これが、分離の『自然な』状態である」。互いに分離した状態にあるので、罪の意識を隠し持ったまま、愛したり憎んだりしているわけだ。"and those who learn that ~ "「そして、そんな状態はまったく自然ではないと学んだ者は、不自然な者だと思われてしまう」。つまり、分離状態で罪の意識を隠し持ったまま愛したり憎んだりすることは不自然なことだと知っている者は、不自然な変わり者だと、この社会では判断されてしまう、ということ。



For this world is the opposite of Heaven, being made to be its opposite, and everything here takes a direction exactly opposite of what is true.
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のもの、逆の物」
  • direction [dərék∫n] : 「方角、方向、道順、方位」
  • take a direction : 「位置する、方向を合わせる」
  • exactly [igzǽk(t)li] : 「正確に、厳密に、ぴったり、きっちり」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の、あべこべの、対照的な」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "For this world is ~ "「なぜなら、この世界は天の王国と正反対だからだ」。"being made to be ~ "分詞構文、理由、「というのも、この世界は天の王国と正反対に作られているからだ」。この世界は、あなたが心の外側に投射して作った幻想の世界である。天の王国と正反対なものとして、あなたは幻想世界を投射したのだ。"and everything here ~ "「そして、この世界のすべては、真実なるものと完全に正反対の方向をとっている」。もともと、真実から逃避するためにこの世界を投射したのだから、この世界がもつ属性は反真実である。つまり、神からの逃避は、必然的に反真実となるのだ。逆に言えば、神の元へ回帰することは、真実への回帰でもある。



In Heaven, where the meaning of love is known, love is the same as union.
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
  • same [séim] : 「同じ人、同じ物、同じこと」
  • be the same as : 「〜と同じである、〜も同然である」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
❖ "In Heaven, where ~ "「天の王国では、そこでは愛の意味が知られているのだが、」"love is the same ~ "「愛は結合と同じである」。神の子が神の元へ回帰し、神の愛と神の子の愛、そしてホーリー・スピリットの愛が結合、融合し、三位一体となる。三者の愛は完全に抽象化され、単一の愛となって実相世界に満つる。これは、一元論世界の必然であって、単一なるものへの収斂は確定されるのだ。本文で、愛と結合は同じものだと言っているのは、その間の事情を表現しているわけだ。



Here, where the illusion of love is accepted in love's place, love is perceived as separation and exclusion.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • exclusion [iksklúːʒ(ə)n] : 「排除、除外、排他、排斥」
❖ "Here, where the illusion ~ "「幻想の愛が、愛が存在する場所に受け入れられるこの世界では、」"in love's place"「愛の場所に」とは、本来、真実の愛が存在するべき場所に、偽りの幻想の愛が居座る、という意味合い。"love is perceived as ~ "「愛は、分離と排他として知覚される」。特別な愛の関係性を構築することで、他者から分離し、他者を排他する。それが愛なのだと知覚される。



4. It is in the special relationship, born of the hidden wish for special love from God, that the ego's hatred triumphs.
  • born [bɔ́ː(r)n] of : 「〜から生まれる、〜のもとに生まれる、〜の家に生まれる」
  • hidden [hídn] : 「隠された、秘密の」
  • wish [wí∫] : 「願い、望みの物、願望、希望」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利を収める、成功する」
❖ "It is in the special ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「エゴの憎悪が勝利をおさめるのは、特別な関係性の中においてである」。"born of the hidden wish ~ "「その特別な関係性は、神から特別に愛されたいと思う隠れた願いから生まれるのだが」。あなたが特別な関係性を結び、他者から分離し、他者を排他することで他者を攻撃するようになることがエゴの目論みであり、あなたがエゴのワナにまんまと掛かれば、それがエゴの勝利となる。ところで、"born of the hidden wish ~ "「その特別な関係性は、神から特別に愛されたいと思う隠れた願いから生まれるのだが」という部分は非常に重要だ。神から特別に愛されたいという願いは隠されているのだが、さらにその奥に、神を熱烈に愛しているという思いも隠されている。この複雑な愛の構造が、あなたが神へストレートに向かう気持ちを躊躇させているのだ。



For the special relationship is the renunciation of the Love of God, and the attempt to secure for the self the specialness that He denied.
  • renunciation [rinʌ̀nsiéi∫n] : 「拒否、拒絶、放棄、断念」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • secure [sikjúə(r)] : 「〜を確保する、〜に…を手に入れてやる」
  • specialness [spé∫lnis] : 「特別性、特殊性」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "For the special relationship ~ "「なぜなら、特別な関係性は神の愛の拒絶であり、」"and the attempt to ~ "「自らのために、神が否定する特殊性を確保しようとする試みである」。特別な関係性を築いた者同士だけが特別に存在し、他者は存在の価値もないと思うことを神は否定している。



It is essential to the preservation of the ego that you believe this specialness is not hell, but Heaven.
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない、必須の、最も重要な」
  • preservation [prèzə(r)véi∫n] : 「保存、防腐、保護、維持、貯蔵、予防」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場」
❖ "It is essential to ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「あなたが、この特殊性は地獄ではなく天国だと信じていることは、エゴの保身のためには必須である」。幻想の関係性に満足することで、あなたは幻想から実相へと目覚めることを怠る。実相に目覚めれば、幻想は同時に消滅し、エゴも消滅する。したがって、エゴが生き長らえるためには、あなたが幻想の中に留まっていることが必須なのである。愛欲という甘いあめ玉を与えることで、エゴはあなたを特別な関係性の中に閉じこめようとするわけである。



For the ego would never have you see that separation could only be loss, being the one condition in which Heaven could not be.
  • have : 「〜に〜させる」
  • loss [lɔ́(ː)s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失、浪費、敗北、敗戦」
  • condition [kəndí∫n] : 「状態、状況、様子、様相、事情、条件」
❖ "For the ego would never ~ "「なぜなら、エゴは、分離は損失であることをあなたにわからせないようにしようとするからだ」。"being the one condition ~ "分詞構文、理由、「分離とは、天の王国の存在し得ない一つの状態だからだ」。変な訳になってしまったが、分離は損失の状態であるが、天の王国は損失の状態になり得ない、ということ。幻想世界が不足という概念によって構成されていることを思い出そう。そして、天の王国には不足が存在しないことも思い出そう。天の王国では、与えることは得ることと等しく、損失することなど不可能なのだ。対して、幻想世界では、もちろん、与えれば損失し、得るためには対価を支払わなければならない。それが嫌なら、奪うだけだ。
 
 
 

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