12. The shadow voices do not change the laws of time nor of eternity.
- shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
- voice [vɔ́is] : 「声」
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "The shadow voices ~ "「影の声は、時間の法も永遠の法も、変えてしまうことはない」。エゴに代表される過去の幻想からの声は、この幻想世界の時間に関する物理的な法則も、もちろん、実相世界の無時間、永遠不変の法則も、共に変えるようなパワーなどもっていない。幻想が実相に対して、現実的な影響を与えることはないのだ。夜見る夢が、日常生活に、何か現実的な影響を与えることがあるだろうか。
They come from what is past and gone, and hinder not the true existence of the here and now.
- come from : 「〜から来る、〜に由来する、源を〜に発する」
- past [pǽst] : 「過ぎた、過ぎ去った、過去の、これまでの」
- gone [ɡɔ́ːn] : 「去った、なくなった、消失した」
- hinder [híndər] : 「妨げる、妨害する、邪魔する」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- existence [igzístns] : 「存在、生存、現存、実存、実在」
❖ "They come from ~ "「影の声は、過ぎ去ってもうなくなってしまったものからやって来るのだ」。だから、影の声は幻想であり、錯覚である。亡霊の声なのだ。 "and hinder not ~ "「したがって、影の声は、今ここにある真実の存在を邪魔することはないのである」。幻想の声など、今ここにある実相的な実在を脅かすことも、何かの妨害になることもない。夢の中のモンスターの叫びに過ぎない。
The real world is the second part of the hallucination time and death are real, and have existence that can be perceived.
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- second [sékənd] : 「第2の、2番目の」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- hallucination [həlùːsənéiʃən] : 「幻覚、幻影」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "The real world is ~ "「この現実の世界は、時間と死が現実であるという幻覚の第二部である」。"and have existence ~ "「そして、現実の世界は、知覚され得る存在物をもっているのだ」。まず、"the real world"「この現実の世界」であるが、リアル・ワールドと言っているものの、実相世界のことではない。現実世界、あなたが生きる現実の世界であり、この幻想世界である。"hallucination"「幻覚」の世界だ。この幻覚には二段階があって、その一段目が『時間の幻覚』である。それに引き続いて第二部の幻覚は、『物質の幻覚』、つまり、ありもしない物が、知覚を通して感知されるという幻覚である。いわば、時間と空間の二段構成で、この幻想、幻覚はでき上がっているのである。時間を軸として、空間の中を物質が変化流動するという幻覚である。しかし、悲しいことには、変化流動の行き着く先は常に崩壊であり、死である。
This terrible illusion was denied in but the time it took for God to give His Answer to illusion for all time and every circumstance.
- terrible [térəbl] : 「ひどく嫌な、とても不快な、恐ろしい、怖い」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- for all time : 「いつまでも、永遠に」
- circumstance [sə́ːrkəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況、事情」
❖ "This terrible illusion ~ "意訳する、「この恐怖の幻想は、幻想のもつ時間という枠組みの中で否定されたのだ」。"for God to give ~ "「と言うのも、神が、いかなる時間、いかなる状況においても、幻想に対して、神の答えを与えるからなのだ」。時間と物質が存在し、時間を軸として物質は変化流動して、結果的に、すべてが崩壊、死へと向かうという恐ろしい幻覚に対して、神はホーリー・スピリットを通して、神の答え、つまり、幻覚を幻想として受け入れ受け流し、赦してしまえ、という答えを与えた。どんな時でも、どんな状況下にあっても、現実と思われているこの幻想世界の出来事は幻覚であって、それを赦すことによって、幻覚幻想は消滅してしまうのだ。これが、神の答えである。結局、これに尽きるのだ。だから、ACIMの教えは、神の答え、そのものなのである。そこからはみ出すことはない。それ以外に必要はないし、存在もしないからだ。ならば、神の答え以外に、あなたは何を期待できるだろうか。
And then it was no more to be experienced as there.
- no more : 「もはや〜しない」
- experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
❖ "And then it was ~ "「そうすることで、幻覚は、もはや、そこにあると経験されることはなくなったのだ」。幻覚は赦され消滅し、そこにないのだ。しかし、神の子は、まだそこにあるかのような夢を見ている。夢の中を漂っているのだ。
13. Each day, and every minute in each day, and every instant that each minute holds, you but relive the single instant when the time of terror took the place of love.
- each day : 「毎日」
- minute [mínət] : 「分」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
- relive [rìːlív] : 「〜を追体験する、〜を再び体験する、〜を思い出す」
- single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
- terror [térər] : 「恐怖、テロ」
- take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
❖ "Each day, and ~ "「毎日、毎分、毎秒、」"you but relive ~ "「あなたは、恐ろしい時間が愛に取って代わった一瞬を再体験している」。幻想が実相に取って代わった昔の一瞬を、あなたは、この幻想世界で毎日再体験している。その昔の一瞬は、確かに一瞬にして消滅してしまったのだが、あなたは、夢の中でその記憶を再体験しているのである。
And so you die each day to live again, until you cross the gap between the past and present, which is not a gap at all.
- die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
- again[əɡéin] : 「再び、もう一度」
- until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
- cross [krɔ́s] : 「〜を横断する、渡る」
- gap[gǽp] : 「割れ目、すき間、穴、途切れ、隔たり」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
- past [pǽst] : 「過去、昔」
- present [préznt] : 「今、現在」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "And so you die ~ "「そこであなたは、〜するときまで、再び生きるために毎日死んでいるのだ」。"until you cross ~ "「あなたが、過去と現在のギャップを、」"which is not ~ "「本当は、そんなギャップなどないのだが、そのギャップを渡り終えるまで、」再び生きるために毎日死んでいるのだ。過去と現在のギャップを渡り終えるまでとは、幻想の時間を消滅させるまで、という意味合い。実相的には、時間は存在しない。必要ないからだ。しかし、記憶を追体験するには時間は必要であって、この幻想世界には時間が存在するのである。ありもしない時間を偽創造しているのだ。その必要がなくなったとき、命は実相的な永遠性を帯び、死んだり生き返ったりする必要もなくなるのである。その時まで、人は、生き死にの喜劇を、あるいは悲劇を繰り返し演じるのである。
Such is each life; a seeming interval from birth to death and on to life again, a repetition of an instant gone by long ago that cannot be relived.
- life [láif] : 「生活、暮らし」
- seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの」
- interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
- birth [bə́ːrθ] : 「出生、出産、分娩、誕生」
- repetition [rèpətíʃən] : 「繰り返し、反復、再上演、再現」
- go by : 「過ぎる、経過する」
- long ago : 「ずっと以前に、はるか昔に」
- relive [rìːlív] : 「〜を追体験する、〜を再び体験する、〜を思い出す」
❖ "Such is each life"「毎日の生活とは、そういうものである」。死んでは生き返る毎日である。"a seeming interval ~ "「生まれては死に、再び生まれるという、見かけの時間的な間隔があるだけで、」"a repetition of ~ "「本当は追体験出来る可能性のない、遠い昔に過ぎ去った一瞬を繰り返しているだけなのだ」。過去を現実に変えて追体験出来る可能性はない。なぜなら、もはや存在していないのだから。しかし、神の子は、夢の中でその記憶を追体験しているのだ。遠い昔、幻想が一瞬間生まれ、次の瞬間には消滅したという、その生と死の一連の出来事を、毎日の生活の中で、死んでは生き返るという象徴で、追体験しているわけだ。蛇足になるが、"from birth to death and on to life again"「生まれては死に、再び生まれる」という部分を、輪廻転生と捉えてもいいだろう。このサイクルもまた、生と死の象徴的な追体験だと言えよう。したがって、幻想から実相へ目覚めるとは、輪廻転生の輪を抜け出すことだと言っていい。仏教的に言えば、覚醒し、悟りを開き、涅槃を得た者は、二度と輪廻転生の輪の中に巻き込まれることはないのだ。
And all of time is but the mad belief that what is over is still here and now.
- mad [mǽd] : 「気が狂って、怒って、頭にきて、発狂して」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- over [óuvər] : 「終わって、終了して、完了して」
❖ "And all of time is ~ "「したがって、時間という枠組みのすべては、終わったことが、まだここに今あると信じる、狂った信仰そのものなのだ」。時間を信じる限り、幻想から解放されることはない。また、物質が存在していると信じる限り、幻覚から救われることもない。それは、遠い昔の、一瞬間の出来事であって、今は、記憶の中の追体験で経験される、はかない幻に過ぎないのだ。その記憶の中の幻を赦すことで、つまり、幻であることを認識し、受け流しすことで、幻は消滅する。かくして、時間と物質は消滅し、夢から目覚めるのだ。これが覚醒であり、悟りであり、涅槃の入り口となる。古来、多くの覚醒者がこの道を辿ったのだ。今度は、あなたの番だと、あなたは思わないか。それとも、この仕事を、来世のあなたに委ねるのか。