2. Nothing is ever lost but time, which in the end is meaningless.
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- in the end : 「結局、ついに」
- meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない」
❖ "Nothing is ever ~ "「時間以外に失われるものはない」。"which in the end ~ "「時間は、最後には意味がなくなってしまうからだ」。時間を代表とする幻想は、すべて消滅する。神の子が実相世界へ回帰出来れば、幻想世界における時間の役割は終わり、その存在意味を失うからだ。同様に、その他の幻想も消滅するのである。
For it is but a little hindrance to eternity, quite meaningless to the real Teacher of the world.
- hindrance [híndrəns] : 「妨害、障害物、邪魔者」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
- quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "For it is but a little ~ "「なぜなら、時間は、永遠に対する小さな障害物でしかないからだ」。幻想の時間が知覚されることで、実相の永遠性が見えて来ないのだ。永遠性を隠しているのが、時間である。"quite meaningless ~ "「この世界の、本物の師にとっては、まったく意味がないものである」。この世界で、実相世界に導いてくれる本当の師にとっては、幻想の時間は意味を持たない。ここの"the real Teacher"「本物の師」は、ホーリー・スピリットのことだと捉えていいだろう。
Yet since you do believe in it, why should you waste it going nowhere, when it can be used to reach a goal as high as learning can achieve?
- since [síns] : 「〜なので、〜だから」
- believe in : 「〜の存在を信じる、〜を信頼する」
- waste [wéist] : 「〜を無駄にする、空費する、浪費する」
- waste A doing : 「〜にしてAを無駄にする」
- nowhere [nóuhwὲər] : 「実在しない場所、どこか分からない所」
- reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- high [hái] : 「高い、高いところにある、高地の」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- achieve [ətʃíːv] : 「獲得する、得る、成し遂げる、達成する、成就する」
❖ "Yet since you do ~ "「しかし、あなたは時間を信じているにもかかわらず、」"why should you ~ "「なぜ、あなたは、〜だというのに、何処でもないところへ行くために時間を浪費しなくてはならないのだろうか」。天の王国とは逆方向の、道すらない荒れ野に行き着くために、あなたは、時間という幻想を浪費している、ということ。"when it can be used ~ "「時間は、学びが獲得出来る高みと同じくらい高い目標に到達するために、利用出来るというのに、」あなたは、なぜ、何処でもないところへ行くために時間を浪費しなくてはならないのだろうか。ここの"learning"「学び」とは、真実を学び知ること。もちろん、この幻想世界で、その学びは可能である。この世で悟りを開いた覚者がいることが、それを証明している。
Think not the way to Heaven's gate is difficult at all.
- gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
- difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Think not the way to ~ "「天の王国の扉へ到達するための道は、困難であろうなどと、まったく考えてはいけない」。その逆で、決心さえつてば、その道のりは容易であり、楽しくもある。同胞も、ホーリー・スピリットも、キリストも同伴する旅だからである。
Nothing you undertake with certain purpose and high resolve and happy confidence, holding your brother's hand and keeping step to Heaven's song, is difficult to do.
- undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「引き受ける、請け負う、負う、企てる、始める」
- certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、ある種の、とある」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- resolve [rizάlv] : 「決心、決断、決議、決意、強固な意志」
- confidence [kάnfədəns] : 「信頼、信用、信任、確信、自信」
- hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る」
- keep step : 「歩調を合わせる」
❖ "Nothing you undertake ~ "「確かな目的と高い決意、そして、幸福な確信をもって、あなたが成す事のすべては、困難であるはずがないのだ」。"holding your brother's ~ "「あなたの同胞の手を握り、天の王国の歌に歩調を合わせているのだから」。正しいことを、正しいままに成す事は、不正なことを、不正に成すよりもずっと、容易である。なぜなら、正しいことは真実であり実在するが、不正なことは幻想であって、実在すらしていないのだから。実在を受け入れることと、非実在を受け入れることの、どちらが容易か考えてみればよい。
But it is hard indeed to wander off, alone and miserable, down a road that leads to nothing and that has no purpose.
- hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
- wander [wάndər] : 「さまよう、迷う、迷子になる、横道にそれる」
- wander off : 「〜からそれる、〜から外れる、迷子になる」
- alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の」
- miserable [mízərəbl] : 「惨めな、わずかな、悲惨な、哀れな」
- lead [líːd] : 「〜を導く、案内する」
❖ "But it is hard indeed ~ "「しかし、横道にそれてしまうのは、実につらいことである」。不正を成す事、実在しない幻想に捕らわれて成す事は、実に困難でつらいことだ。"alone and miserable ~ "「それは、孤独であり、惨めであり、」"down a road that leads ~ "「無へと続く道、目的のない道を行くことであるからだ」。幻想世界を盲目のまま生きるということは、無へと続く道、目的のない道を行くことと同様なのだ。孤独であり、まったく惨めである。
3. God gave His Teacher to replace the one you made, not to conflict with it.
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
- conflict [kənflíkt] : 「衝突する、争う、抵触する、対立する」
- conflict with : 「〜と衝突する、〜にぶつかる、〜と対立する」
❖ "God gave His Teacher ~ "意訳する、「神は、あなたが師として選んだエゴと交換するために、ホーリー・スピリットという師を与えてくれた」。"not to conflict ~ "「しかし、エゴと争いを起こすためではない」。神は、エゴと戦わせるためにホーリー・スピリットを神の子に与えたのではない。神の子が自由意思をもって、師を交換することを願ってのことである。
And what He would replace has been replaced. Time lasted but an instant in your mind, with no effect upon eternity.
- last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "And what He would replace ~ "「神が交換したいと願うものは、交換されたのだ」。無時間の実相世界では、神の願いは瞬間に成就し、神の子の心の中のエゴという師は、ホーリー・スピリットという師に置き換わってしまった。それは、既成事実である。しかし、時間の存在する幻想世界にあっては、時間を追って、その事実を追体験するのである。あなたが、自由意思をもってエゴとホーリー・スピリットを交換する決心さえすれば、それは、簡単に実現するのである。それは、もう、決まった事なのだから。"Time lasted but ~ "「時間は、あなたの心の中で、一瞬間、続いただけである」。幻想世界では、だらだらと続くかに見える時間ではあるが、あなたの心の中の実相世界から見れば、それは、ほんの一瞬である。"with no effect ~ "「時間は、永遠性にまったく影響を与えることは出来ないのだ」。幻想の時間は、実相世界にその影響を与えることは不可能だ。あなたは、自由意思をもって、エゴとホーリー・スピリットの交換を拒絶するかもしれない。そうなると、実相世界の神の意思は成就しないではないかと、あなたは反論するだろう。しかし、それは誤りである。今はそうかもしれない。しかし、この世での未来か、あるいは来世か、はたまたその次の来世か、あなたは、必ず、自由意思をもって、エゴとホーリー・スピリットの交換を心から喜んで受け入れることになるのだ。それは、実相世界での既成事実だからである。長い長い時間がかかると思うだろうが、実相世界からみれば、それとても、ほんの一瞬に過ぎないのである。そんな極微の時間が、実相世界の永遠性に影響を与えることなどないのだ。
And so is all time past, and everything exactly as it was before the way to nothingness was made.
- past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の、これまでの」
- exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、きっちり」
- nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
❖ "And so is all ~ "「あらゆる時間は、そのように過ぎていくものなのだ」。幻想世界の時間は、そのように長々と、変化を生み出しながら過ぎていくように見えるが、実相世界から見れば、それは一瞬であり、時間は、既成事実の追体験に過ぎないのだ。実相世界に、何の影響も与えない。"and everything exactly ~ "「あらゆるものは、無へと向かう道が作られる前と、まったく変わらないのである」。実相世界は、神の子が無へと続く道、つまり幻想世界を偽創造する前からずっと、まったく変わりはない。だから、実相世界は永遠不変であると言われているのだ。
The tiny tick of time in which the first mistake was made, and all of them within that one mistake, held also the Correction for that one, and all of them that came within the first.
- tick [tík] : 「カチカチいう音、瞬間、一目盛」
- mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側に」
- held [héld] : 「hold の過去形」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
❖ "The tiny tick of time ~ "「最初の誤りが成された、ほんの一瞬は、」"and all of them within ~ "「そして、唯一の誤りと同時に、すべての誤りが成されたほんの一瞬は、」"held also the Correction ~ "「その最初の誤り、そして、それに続いて生じた誤りのすべてを訂正してくれる者をも、含んでいたのである」。"the first mistake"「最初の誤り」とは、神の子が、ひょっとしたら神なしで、自分も神のように存在出来るかも知れないと思ったことである。神からの分離を想念したことである。実相世界は、想念が現実化する世界であるから、神の子の、その小さな狂った想念は、一瞬にして実現し、神の子は神から分離したのである。まさに、一瞬の出来事であった(tiny tick of time)。さらに、その狂った想念に付随して、神の子は分離を象徴する幻想世界を心の外に投射して偽創造したのだ。それが、一つの誤りに続くあらゆる誤りである(all of them within that one mistake)。だが、この誤りだらけの、狂った想念で出来上がった世界ではあったが、神は神の子を見捨てることをしなかった。その誤りが訂正されるように、神の意思を実行するホーリー・スピリットをこの幻想世界に遣わして、神の子の心の中に住まわせたのである。あなたが、正しさを見極める正気さをもっているなら、それは、あなたの心の中にホーリー・スピリットが住んでいる証拠なのである。幻想という誤りに屈しないパワーは、あなたがホーリー・スピリットから受け取った命のパワーなのだ。
And in that tiny instant time was gone, for that was all it ever was. What God gave answer to is answered and is gone.
- gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- give answers to : 「〜に答える」
❖ "And in that tiny instant ~ "「そして、そのほんの一瞬間で、時間は過ぎ去ってしまったのだ」。神の子による神からの分離、幻想世界の投射、そして、神への回帰の長い長い旅、しかし、それらは、実相世界から見れば、一瞬の出来事であって、時間はその一瞬で立ち消えてしまったのだ。その一瞬にすべてが起き、神の子はそのすべてを、幻想の時間を追って追体験しているのである。"for that was all it ~ "「なぜなら、それが、あったことのすべてだからである」。すべてが一瞬にして起き、それがすべてで、外に何も起きなかったのだ。既成事実だけが残ったのだ。そのすべてが、いわば、ホログラムに刻まれて、あなたはホログラムの映像を選択しながら、それを現実だと言って体験しているのである。"What God gave answer to ~ "「神が答えを与えたものは、答えられ、そして去ってしまったのだ」。時間のことを言っている。神の子が過ちを犯した一瞬間は、それを訂正せよ、という答えを与えられ、つまり、神がホーリー・スピリットをこの世に遣わせて、そして、その一瞬間は、実相世界において、まさに一瞬にして消滅してしてしまったのだ。余談になるが、ACIMが難解だと言われる理由の一つは、この目に見える世界が非実在の幻想世界で、目に見えない実相世界が実在だと主張されていることなのだが、さらに、難解であるもう一つの理由は、幻想世界における時間の存在と、時間の存在しない実相世界の捉え方のだ。したがって、ACIMをより深く理解しようと思ったなら、この段落を繰り返し読んでみる必要がある。『読書百遍、意も自ずから通ず』というではないか。常識を覆すような思想であるが、きっと馴染んでくるに違いない。