9. Forgiveness takes away what stands between your brother and yourself.
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、運び去る」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "Forgiveness takes away ~ "「赦しは、あなたの同胞とあなた自身の間に立ちはだかるものを、取り除いてくれる」。あなたの同胞とあなた自身の間に立ちはだかるものとは、罪という幻想であり、分離という幻想である。幻想が、あなたと同胞を分けているのだ。その幻想を幻想と認識し、受け入れ受け流して赦してしまうことで、幻想は消滅する。赦しは、障害物を取り除いてくれるのだ。
It is the wish that you be joined with him, and not apart.
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
- join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
- apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに」
❖ "It is the wish that ~ "「赦しとは、あなたが同胞と一緒にいたという願望、離れていたくないという願望なのだ」。遠い昔、神の子が神と共に暮らしていたとき、神の子は分離分裂することなく、単一の存在であった。その記憶は、今なおあなたの心の奥底に残っていて、あなたは、同胞と分離していることを解消し、再び統一されたいという望みを心の底に抱いているのだ。それを現実化させてくれるのが、赦しである。幻想を赦したいと望むことは、分離を解消して再統一されたいという望みなのである。神の子の、本能的な望みなのである。
We call it "wish" because it still conceives of other choices, and has not yet reached beyond the world of choice entirely.
- conceive [kənsíːv] : 「抱く、心に描く、思い付く、着想する」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
- beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜の域を越え」
- entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
❖ "We call it "wish" because ~ "「私たちが赦しを『望み』と呼んだのは、望みはまだ、他の選択をはらんでいるからであり、」"and has not yet reached ~ "「選択の存在する世界を完全に超越する地点に達していないからなのだ」。この二元論の幻想世界にある限りは、選択という概念は意味をもつ。あれかこれかの選択が出来るからだ。しかし、一元論の実相世界では、選択という概念はない。これしかない世界に、選択の可能性はないからだ。ところで、赦しには、赦すか赦さないかの選択が可能であるし、幻想を消滅させることも、幻想を温存しておくことも、選択出来るのである。赦しは、したがって、この幻想世界の事象であって、選択を超越した実相世界の事象ではないのだ。赦しを望むか望まないか、あなたの選択次第なのだ。実相を望むか幻想を望むか、あなたの選択次第なのである。
Yet is this wish in line with Heaven's state, and not in opposition to God's Will.
- in line with : 「〜と一致して」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、対立」
- in opposition to : 「〜に反対で」
❖ "Yet is this wish in line with ~ "「しかし、この望みは、天の王国の状況に整合しているし、神の意思に反するものではない」。赦しを望むということは、天の王国、実相世界の法に添うものである。幻想の消滅を促(うなが)す赦しだから、実相世界の真実に整合するのだ。もちろん、神の意思にも整合するのである。
Although it falls far short of giving you your full inheritance, it does remove the obstacles that you have placed between the Heaven where you are, and recognition of where and what you are.
- although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
- fall far short of : 「〜にはほど遠い、〜には及ばない」
- inheritance [inhérətəns] : 「相続、受け継いだもの、継承物」
- remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
- obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害、妨害、邪魔」
- place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
- recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、正当性の認識」
❖ "Although it falls far short of ~ "「赦しだけでは、あなたの継承したものをあなたに与えるには不足であるが、」あなたは神の子として、神の属性のすべてを継承し、天の王国に住んでいたのだが、赦しを実行するだけでは、その状態に戻ることは出来ないのだが、"it does remove ~ "「赦しは、天の王国とあなたが今いる場所の間にあなたが置いた障害物、つまり、あなたが何処にいて、あなたは何者なのかという認識を邪魔する障害物を取り除くことは出来るのだ」。あなたは、本当は、天の王国、実相世界に住んでいる神の子である。しかし、深い眠りに陥って、この幻想世界に住んでいる夢を見ている。その夢、幻想が、真実を認識するときの障害物になっているのだ。赦しは、その幻想を消滅させること、つまり、障害物を取り除くことは出来るのである。
Facts are unchanged. Yet facts can be denied and thus unknown, though they were known before they were denied.
- fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
- unchanged [ʌntʃéindʒd] : 「変化していない、不変の、変わらない」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから、このようにして」
- unknown [ʌnnóun] : 「知られていない、未知の、不明の」
- though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
- known [nóun] : 「know の過去分詞形」
❖ "Facts are ~ "「事実は変化しない」。真実は不変である。"Yet facts can be denied ~ "「しかし、事実は、否定され、したがって、知られないままにされることは起こり得るのである」。"though they were known ~ "「その事実が、否定される前は、知られていたにも関わらず」。たとえば、あなたは神の子であるという事実。たとえば、あなたは神と共に暮らしていたという事実。たとえば、あなたと同胞は単一の存在であるという事実。あなたがそれを否定するまでは、あなたはその事実を認識していたのだ。そして、否定した瞬間に、あなたは忘れ去ってしまったのだが、事実自体は不変である。
10. Salvation, perfect and complete, asks but a little wish that what is true be true; a little willingness to overlook what is not there; a little sigh that speaks for Heaven as a preference to this world that death and desolation seem to rule.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
- complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、全部そろった、完全な」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること、快くすること」
- overlook [òuvərlúk] : 「見過ごす、大目に見る、許す、目をつぶる」
- sigh [sái] : 「ため息」
- speak for : 「〜を要求する、〜を欲しいと言う」
- preference [préfərəns] : 「優先、選り好み、選択、ひいき、好物」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- desolation [dèsəléiʃən] : 「荒らすこと、荒廃、荒れ地」
❖ "Salvation, perfect and ~ "「完全で完璧である救いは、真実なるものは真実であるという小さな望みを求めるだけなのだ」。救いは、真実は真実であるという事実を、快く受け入れなさいという願いである。"a little willingness ~ "「つまり、そこにないものを、ほんの少しだけ、快く見過ごしてしまうことであり、」本当はそこにない幻想を、幻想として快く無視してしまうことであり、"a little sigh that speaks ~ "「死と荒廃が支配するこの世界より優先して、天の王国こそを求める、小さなため息なのである」。死と荒廃が支配する幻想世界に住むよりも、天の王国である実相世界に住みたいと望んでため息をつくことである。
In joyous answer will creation rise within you, to replace the world you see with Heaven, wholly perfect and complete.
- joyous [dʒɔ́iəs] : 「喜びに満ちた、楽しい、楽しげな、とてもうれしい」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
- replace [ripléis] : 「を取り換える、交換する、差し替える、置き換える」
- wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
❖ "In joyous answer ~ "「(救いに対する)喜びの答えの中で、あなたの心の中に創造性が立ち上がるのだ」。救われたあなたが、喜びを持って答えるとは、真実を創造したいという気持ちを表すことなのである。"to replace the world ~ "「(創造の結果、) あなたが目にする世界を、完全に完璧な天の王国に代えてしまうのだ」。幻想世界を払拭して、目の前に実相世界が立ち現れるのである。
What is forgiveness but a willingness that truth be true? What can remain unhealed and broken from a unity which holds all things within itself?
- remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
- unhealed [ʌnhíːld] : 「治癒していない、未治癒の」
- broken [bróukn] : 「れた、故障した、損傷している」
- unity [júːnəti] : 「統一、一つであること、単一性、結束」
- hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
❖ "What is forgiveness but ~ "「赦しは、真実が真実であって欲しいと願う望みでなくて、何だろうか」。"What can remain ~ "「いったい何が、それ自体の内にすべてのものを保持している単一性から外れて、癒されず、壊れたままに、取り残されることが出来るだろうか」。"a unity which holds all things within itself"「それ自体の内にすべてのものを保持している単一性」とは、一元論世界の天の王国のこと、あるいは、単一存在の神自体のことである。神の子は誰でも、例外なく、天の王国に、つまり神の元へ、救われるのだ。癒されることなく、壊れたままで(心に病を抱えたままで)、この幻想世界に取り残されることはない。
There is no sin. And every miracle is possible the instant that the Son of God perceives his wishes and the Will of God are one.
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- will [wíl] : 「意思、意欲、願望」
❖ "There is no ~ "「罪は、存在しない」。罪は幻想に過ぎず、実相的には存在してはいない。"And every miracle is ~ "「〜した瞬間、あらゆる奇跡は可能となるのだ」。"the instant that ~ "「神の子が、自分の望みと神の意思は同一なのだと知覚した瞬間、」あらゆる奇跡は可能となるのだ。あなたの望みは神の意思であり、神の意思はあなたの望みなのだと認識出来たとき、つまり、あなたが神と調和共鳴したとき、つまり、あなたが神そのものとなったとき、あなたは神のパワーをもって、あらゆる奇跡を起こすことが可能となるのだ。実相的な実在として、神の子が神と融合したとき、神の子は神のパワーを継承した真のヒーラー、奇跡の伝道者となるのである。