7. Sin is not error, for it goes beyond correction to impossibility.
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
- impossibility [impɑ̀səbíləti] : 「不可能、不能」
❖ "Sin is not ~ "「罪は、過ちではない」。"for it goes beyond ~ "「なぜなら、罪は、修正を飛び越えて、修正の不可能な地点まで進行するものだからである」。過ちは修正可能だ。しかし、罪は修正不可能な地点まで達する。だが、実相世界からの視点で見れば、修正の不可能なものは存在しない。したがって、修正不可能に見える罪は実在ではなく、幻想に過ぎないのだ。結果的に、罪は修正されるのではなく、消滅させられるのである。それを司るものが、赦しである。
Yet the belief that it is real has made some errors seem forever past the hope of healing, and the lasting grounds for hell.
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- make A do : 「Aに〜させる」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- past [pǽst] : 「〜を過ぎて、〜を過ぎ去って」
- lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、永久の、永続する、続く」
- ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面、地べた、地盤」
- hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "Yet the belief that ~ "「しかし、罪が実在すると信じる心は、過ちを、永遠にヒーリングの希望から遠ざけて、地獄のための果てることない理由にしてしまったのだ」。罪の意識が、過ちからヒーリングを取り上げ、この幻想世界を地獄の様相に変えてしまったのだ。つまり、神の子は自らの罪を断罪し、自らを地獄の独房に閉じこめる終身刑を宣告したのだ。そういう悪夢を見続けているのだ。
If this were so, would Heaven be opposed by its own opposite, as real as it.
- oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
- opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のもの、逆の物、反対の物」
❖ "If this were so ~ "仮定法過去、「もし、そうであるなら、天の王国は、それと同じくらい実在的であるところの、天の王国の正反対のものによって、対抗させられていることになる」。神の子が、自分の罪の実在を信じ、地獄というこの世界に自らを閉じこめてしまったことが、仮に幻想ではなく真実ならば、実在する天の王国に対して、正反対のこの世界が実在し、天の王国に脅威を与えていることになる。もちろん、真実は、そうではない。この世界は幻想に過ぎず、実在する天の王国に脅威を与えることはないのだ。したがって、神の子が、自分の罪の実在を信じ、地獄というこの世界に自らを閉じこめてしまったことは、幻想であり、単なる悪夢である。それを、しっかりと認識し、受け入れ受け流すことが、赦しである。
Then would God's Will be split in two, and all creation be subjected to the laws of two opposing powers, until God becomes impatient, splits the world apart, and relegates attack unto Himself.
- will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
- split [splít] : 「裂く、割る、分ける」
- creation [kriéiʃən] : 「創作物、作品、創造、創作」
- subject [səbdʒékt] : 「〜を支配する、支配下に置く、服従させる」
- law [lɔ́ː] : 「法則、法、法律、法規、法令」
- opposing [əpóuziŋ] : 「対立するところの、正反対の」
- until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- impatient [impéiʃənt] : 「ジリジリして、待ちきれずに、〜したくて」
- apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
- relegate [réləgèit] : 「委ねる、任せる、追いやる、追放する」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ 前文の仮定からの続きで、"Then would God's Will ~ "「(それが真実なら、) 神の意思は二つに分裂していることになり、」つまり、神は天の王国もこの地上の世界も、二つとも創造したことになり、"and all creation be ~ " 「神によって創造されたあらゆるものは、神が〜するときまで、二つの対立するパワー支配されていることになる」。片や、ホーリー・スピリットに代表されるパワーであり、片や、エゴに代表されるパワーである。"until God becomes ~ "「神が、我慢しきれなくなって、世界を二つに裂き、攻撃性を神自らに差し向けるときまで、」神が創造したものは、二つの対立するパワーに支配されていることになる。神は、天の王国とこの地上の世界が対立して存在することに我慢しきれずに、二つの世界を完全に切り裂いてしまうという攻撃性に出てしまう。自ら創造した二つのものを切り裂くのだから、神は自分の創造性を攻撃したことになるのだ。何を言いたいのかと言うと、神が自らの意思で天の王国も、地上の世界も創造したのなら、二つの世界は相反するパワーが支配する世界となり、矛盾する二つの世界が同時に実在してしまうことになる。それは、神自らの意思の矛盾を表すことになるのだ。そこで、神は、自分の意思の矛盾に我慢しきれずに、二つの世界を差別化する行為に出るだろう。二つの世界を切り裂いた後、一方を天国に、他方を地獄に仕立てるわけだ。こうしておけば、罪のない者は天の王国へ、罪ある者は地獄へ送られるという、一見、神の意思に矛盾のないような二つの世界の棲み分けができ上がるのである。こうした考え方は、仏教にもキリスト教にも、他の宗教にも、極く普通に見られる論理である。そして、この論理は、数千年の間、人間世界を支配してきたのだ。だが、ACIMは、それは誤った考えであると見抜く。神は、矛盾する二つの世界を創造したのではない。神の意思に矛盾はない。神は決して、世界を二分するような攻撃はしない。神は、天の王国だけを創造したのだ。この地上の世界は、神の子が、神からの分離の象徴として偽創造した幻想の世界である。その幻想性こそが、地獄の正体である。一般に信じられている、地獄という、実体を伴って実在する世界はない。罪の実在を信じる心の闇が、地獄という幻想世界を生み出しているだけだ。蛇足になるが、2000年前、イエス・キリストは、この真実、真理を知ったのである。しかし、それをイエスが声高に言ったとしても、当時の誰がいったいそれを信じただろうか。せいぜい、神への冒涜罪として、イエスは、石打ち刑をもっていとも簡単に葬り去られただけであろう。2000年を経た今、やっと、イエスの真理を受け入れる世界の環境が整ったのだ。そして、イエスは真理を語ったのだ。それが、このACIMである。
Thus has He lost His Mind, proclaiming sin has taken His reality from Him and brought His Love at last to vengeance's heels.
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- proclaim [proukléim] : 「公表する、宣言する、〜を明白に示す、〜であることを明らかにする」
- taken [téikn] : 「take の過去分詞形」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
- at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと」
- vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」
- heel [híːl] : 「かかと、足」
- to heel : 「支配されて」
❖ 仮定の続き、"Thus has He lost ~ "「こうして、神は神の心を失ってしまうことになる」。"proclaiming sin has ~ "「そして、罪は、神から神の実相性を奪い、神の愛を、ついには復讐の支配下に置いてしまうことになるのだ」。地獄の世界も神が創造したものであるなら、神は、破壊と死を主導する神となり、心も愛も奪われて、ただただ、復讐する神に成り下がってしまっただろう。旧約聖書に謳われる、復讐する神、嫉妬する神、怒れる神、妬む神、破壊する神、疑う神、試す神、等々の、神のイメージは、まさにこれである。グノーシスの福音書では、こういった創造神は、デミウルゴスという名の低級な神として描写される。ACIMでは、それはエゴである。ただし、そのエゴも実在ではなく、神の子の心の闇が幻想したものに過ぎない。だから、聖書に謳われる神の暴挙を恐れる必要はない。そんな神は偽物である。存在すらしていないのだ。
For such an insane picture an insane defense can be expected, but can not establish that the picture must be true.
- insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
- picture [píktʃər] : 「光景、見物、絵柄、図面、絵、像、絵画」
- defense [diféns] : 「防衛、防御」
- expect [ikspékt] : 「予期する、期待する、要求する、求める」
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "For such an insane ~ "「こういった狂気の絵図には、狂気の防御法が期待出来よう」。地獄の攻撃性には、攻撃的な防御法が存在する。たとえば、奪われる前に奪え、殺される前に殺せ、というわけである。目には目を、歯には歯を、というわけだ。"but can not establish ~ "「しかし、その絵図が真実に違いなどと、確立されるわけではないのだ」。この地獄の幻想世界の攻撃性が、正当であるなどと、誰も確立出来るものではない。証明出来るものではない。なぜなら、正当でないからだ。嘘であり、幻想であり、単なる悪夢に過ぎないからだ。同様に、旧約聖書の、復讐する神、破壊する神の正当性を確立することは、誰にも出来ない。復讐する神、破壊する神は正当でないからだ。嘘の神だからだ。つまり、神ではないのだ。神の面をかぶったエゴである。神の仮面を付けたエゴが茶番劇を演じる世界、それが、この幻想世界である。そして、あなたも踊らされて、孤独な茶番劇を演じているのだ。その事実に気付きなさいと、ACIMは繰り返し述べているのである。
8. Nothing gives meaning where no meaning is. And truth needs no defense to make it true.
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
- need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
- defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "Nothing gives meaning ~ "「何ものも、意味のないところに意味を与えることはない」。幻想に対して、実相的な意味を与えることは不可能だ。"And truth needs ~ "「そして、真実は、それを真実にするために守る必要などない」。真実は、自分の真実性を守る必要はないのだ。幻想が実相を攻撃してそれを破壊することは不可能だ。非実在が、実在を消滅させることなど原理的に不可能なのである。
Illusions have no witnesses and no effects. Who looks on them is but deceived.
- witness [wítnəs] : 「証拠、証言、目撃者、証人」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- look on : 「〜を見る」
- deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "Illusions have no ~ "意訳する、「幻想は、その実在を証明する証人もいなければ、実相に影響を与えることもない」。"Who looks on them ~ "「幻想を目にしている者は、ただ、騙されているだけだ」。幻想を目撃している者は、幻想に騙されているだけであって、決して、幻想の実在性を証明する証人にはなれない。実在しない幻想が、真実に影響を与えることは不可能である。
Forgiveness is the only function here, and serves to bring the joy this world denies to every aspect of God's Son where sin was thought to rule.
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
- serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
- bring [bríŋ] : 「〜をもたらす〜を持って来る」
- joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
- deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する、拒む」
- aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、様子、外見」
- thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
- rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
❖ "Forgiveness is the only ~ "「この世界では、、赦しが(神の子の)唯一の役割である」。この幻想世界における神の子の役割は、幻想をしっかり幻想と見極め、その事実を受け入れ、受け流し、幻想を赦してしまうことである。そうすることで、幻想は消滅するのである。"and serves to bring ~ "「そして赦しは、罪が支配していると思われている神の子のあらゆる側面において、この世界が否定した喜びをもたらすという働きをするのだ」。罪の意識に支配された神の子は、あらゆる側面において、喜びにブレーキがかけられる。心の底から、愛や平和を喜べないのだ。罪という幻想の黒雲が、神の子の心を覆っているからだ。しかし、幻想を赦してしまえば、あるいは、罪という幻想を赦してしまえば、つまり、罪は幻想であると認識し、受け流してしまえば、罪という幻想は消滅し、神の子の心の黒雲も消滅するのだ。かくして、神の子は、何の陰(かげ)りもなく、心の底から喜びを感じることが出来るのである。したがって、真実の喜びをもたらしてくれるのは、その、幻想に対する赦しなのである。
Perhaps you do not see the role forgiveness plays in ending death and all beliefs that rise from mists of guilt.
- perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
- role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
- end [énd] : 「終わらせる、やめる、締めくくる」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
- mist [míst] : 「霧、かすみ、もや」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Perhaps you do not ~ "「多分、あなたは、〜において、赦しが演じる役割を知らないのだ」。"in ending death and ~ "「死や、罪の意識の靄(もや)から立ち上がるあらゆる信仰を終わらせることにおいて、」赦しが演じる役割を知らないのだ。罪の意識の靄から立ち上がるあらゆる信仰とは、罪の存在を信じるあまり、罪ある他者を攻撃してよいとか、自分は特別であって他者と区別されるべき存在だとか、罪を贖(あがな)った自分だけが天国へ行けるとか、そういった諸々の信仰のこと。罪は幻想だから、罪の実在を源とする信念、信仰は、すべて幻想である。赦しは、それらの信念や信仰に終止符を打つのである。もちろん、死も幻想であるから、赦しは、死という宿命からも解放してくれるのである。
Sins are beliefs that you impose between your brother and yourself.
- impose [impóuz] : 「課す、負わす、かける、与える、強いる」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "Sins are beliefs that ~ "「罪とは、あなたが、あなたの同胞とあなた自身の間に負わせた信仰である」。あなた自身に罪がある、あるいは、あなたの同胞に罪がある、と宣言し合いながら、攻撃したり攻撃されたりしている関係性が、あなたと同胞の間に存在する。赦し合わず、攻撃し合っているいるのだ。そんな、偽りの攻撃的な関係性の中心部にある信念が、罪の実在性に対する信仰である。
They limit you to time and place, and give a little space to you, another little space to him.
- limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
- give space to : 「〜にスペースを開ける、〜に席を譲る」
❖ "They limit you to ~ "「罪の実在性を信じる信仰が、あなたを、時空に縛りつけているのだ」。"and give a little ~ "「そして、あなたには、少しのスペースを与え、同胞には、また少しのスペースを与える、といった具合である」。幻想世界では、生きる空間も生きる時間も制限される。ほんの80年前後、ほんの地球規模で、人は生き、人は死んでいく。そんな制限を作っているのは、実は、その本人である。あなたの心が、時空という幻想を作り出しているに過ぎないのだ。あなたの、罪という幻想を信じる心が、時空を作り上げているのである。時空という、ほんの小さな隔たりを、つまり、分離を、あなたの心は妄想しているのだ。
This separating off is symbolized, in your perception, by a body which is clearly separate and a thing apart.
- separating [sépərèitiŋ] : 「分離」
- symbolize [símbəlàiz] : 「〜を象徴する、記号で表す」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- clearly [klíərli] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
- separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
- apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに」
❖ "This separating off ~ "「この分離は、あなたの知覚の中で、〜によって象徴化されているのだ」。"by a body which is ~ "「明らかに分離し、個別化されたものとしての肉体によって、」象徴化されているのだ。肉体がバラバラに、個別に存在しているかに見える理由は、時空という幻想を偽創造する段階において、神の子の存在もまた分離し個別的に存在しているかに見せるために必要だったのだ。分離の象徴として、肉体は偽創造されたのだ。そして、分離の本体は、神の子の神からの分離である。それは、実相世界の一元論の否定であった。一元論を否定するには、二元を作ればいい。愛には憎しみを、喜びには悲しみを、平和には争いを、そして、心の分離を作り出すために、肉体の分離を作り出したのである。
Yet what this symbol represents is but your wish to be apart and separate.
- symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
- represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
❖ "Yet what this symbol represents ~ "「しかし、この象徴が表すことは、離れていたい、分離していたいというあなたの望みに過ぎないのである」。突き詰めて行けば、あなたが、神から分離していたという望みの象徴なのだ。神の子が、神なしで神のように存在していたいと望んだ、その望みの象徴なのである。想念は必ず現実化するから、神からの分離という想念も一瞬にして現実化し、分離を象徴する幻想世界が出来上がった。その世界の中で、神の子は、自らも分離を象徴する存在として、肉体を偽創造して、分離分裂していったのである。