17. In crucifixion is redemption laid, for healing is not needed where there is no pain or suffering.
- crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「十字架刑、磔刑、はりつけ」
- redemption [ridémpʃən] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
- laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
- lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
- healing [híːliŋ] :「治療、回復、治癒、癒やし」
- need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
- suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
❖ "In crucifixion is ~ "「磔刑の中に、解放がある」。"for healing is not ~ "「なぜなら、痛みも苦痛も存在しないところに、ヒーリングは必要ないからだ」。さて、非常に誤解されやすい箇所である。慎重に解釈しよう。「磔刑の中に、解放がある」あるいは、「磔刑の中に、贖いがある」という意味だが、決して、断じて、磔刑によって解放、贖いが達成される、という意味ではない。ここでの『磔刑』は、イエス・キリストの磔刑を差しているのではないのだ。ACIMは、いかなる形の犠牲も攻撃も否定しているからだ。磔刑だけが例外だ、というのではない。では、ここで何を言いたいのだろうか。『磔刑』という言葉を、『心の闇』、『心の苦しみ』と置き換えたらいいだろう。つまり、この幻想世界に生きること自体が磔刑に等しいという意味だ。そこで、あなたが、心に痛みや苦痛を感じている時こそ、それを癒すヒーリングが必要なのであって、奇跡のヒーリングによって心の痛みや苦痛から解放され得るのだ、という意味である。簡単に言えば、苦しみの多い幻想世界にあってこそ、そこから解放され得るのであって、苦しみの存在しない実相世界では、ヒーリングは存在しないといういことである。心に罪の意識の存在するこの世界でこそ、罪の贖い、贖罪は必要なのであって、罪自体が存在しない実相世界では、贖いも贖罪も必要ではない。そういう、意味合いである。くどいようだが、決して、磔刑を推奨し、自ら進んで刑に処せられ、贖罪を果たし、解放されよ、という意味ではない。断じて、そうではない。
Forgiveness is the answer to attack of any kind. So is attack deprived of its effects, and hate is answered in the name of love.
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- of any kind : 「いかなる種類の」
- deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
- deprive A of B : 「AからBを奪う、AにBを与えない」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
- answer [ǽnsər] : 「〜に答える」
- in the name of : 「〜の名において」
❖ "Forgiveness is the answer ~ "「赦しは、いかなる種類の攻撃に対しても、その答えである」。いかなる種類の攻撃にさらされても、あなたは赦しをもってそれに答えよ、ということ。イエスの生き様、そのものである。"So is attack deprived ~ "「そうすれば、攻撃の影響は奪われてしまうのであり、」"and hate is answered ~ "「憎しみは、愛という名において、答えられるのだ」。攻撃してきた相手の憎悪に対して、愛をもってそれに答えよ、ということ。愛と赦しは表裏一体である。愛をもって赦すのである。ところで、ACIMの赦しとは、一般に思われている許しとは大いに異なる。ある攻撃に対して、攻撃という事象は幻想世界だけに存在する幻想に過ぎないのだと認識し、その攻撃の幻想性を受け入れ、受け流してしまうこと。それが、ACIMの赦しである。簡単に言えば、他者が攻撃してきたなら、それは夢の中の出来事なのだと見て取って、その夢を夢として赦してしまうのである。幻想は幻想と知られた瞬間に消滅してしまう。夢は夢と知られたとき、夢から醒めるのだ。
To you to whom it has been given to save the Son of God from crucifixion and from hell and death, all glory be forever.
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- save [séiv] : 「救う、助ける」
- hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- glory [glɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳、繁栄」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "To you to whom it ~ "「神の子を、磔刑から、そして地獄や死から救うために、赦しというものが与えられたあなたよ、あなたの栄光が永遠でありますように」。赦すことが出来、救いをもたらすことが出来るあなたには、神の子としての栄光があるのだ。その栄光こそ、永遠に輝いているのである。
For you have power to save the Son of God because his Father willed that it be so.
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
❖ "For you have power ~ "「なぜなら、あなたには、神の子を救うパワーがあるからだ」。"because his Father ~ "「それは、父なる神が、そうであるように意思したからである」。あなたが神の子を苦しみから救い出せるように、神はあなたに実相的な神のパワーを継承したのだ。それは、神の意思であり、神の愛なのである。
And in your hands does all salvation lie, to be both offered and received as one.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- both [bóuθ] : 「両方、双方」
- both A and B : 「AもBも、ABいずれも、AのみならずBもまた 」
- offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "And in your hands ~ "「あなたの手の中には、あらゆる救いが存在している」。"to be both offered ~ "「その救いは、一つのものとして、差し出され、受け取られるためにある」。あなたが同胞を救い、同胞はあなたを救うという、救いの分かち合いが、神の意思である。救うことと救われることは、実相的に同一なのだ。苦しみから救い、罪から救うということは、『キリスト』という名において象徴化される。結局、神の子は、この幻想世界で自らのキリスト性に目覚めることが必要なのである。なぜなら、あなたはキリストそのものだからだ。
18. To use the power God has given you as He would have it used is natural.
- natural [nǽtʃərəl] : 「自然の、普通の、ありのままの、当然の」
❖ "To use the power God ~ "「神があなたに与えたパワーを、神がそれを使って欲しいと思うように使うことは、自然なことだ」。あなたの救いのパワー、赦しのパワー、ヒーリングのパワー、奇跡のパワーは、神から与えられたものであって、神は、神の子がそれを使うことを意思している。ならば、そのパワーを使うことこそ自然なことであって、使わないことは不自然だ。
It is not arrogant to be as He created you, nor to make use of what He gave to answer all His Son's mistakes and set him free.
- arrogant [ǽrəɡənt] : 「尊大な、傲慢な、無礼な、横柄な」
- create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
- mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
- set free : 「自由にする」
❖ "It is not arrogant ~ "「あなたが、神があなたを創造した通りに振る舞うことは、決して傲慢なことではない」。"nor to make use of ~ "「あらゆる神の子の過ちに答えるために、そして、神の子を自由にするために、神が与えてくれたものを使うことも、決して、傲慢なことではない」。あなたが、自らキリストして同胞を救い、解放することは、決して、傲慢なことではない。神は、あなたがキリストとして、神のパワーを使うことを望んでいるのだ。あなたが、自分をキリストであると宣言することは、決して傲慢なことではない。神の意思に沿うことなのだ。
But it is arrogant to lay aside the power that He gave, and choose a little senseless wish instead of what He wills.
- lay aside : 「のけておく、しまっておく、捨てる、放棄する」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
- instead [instéd] of : 〜の代わりに
❖ "But it is arrogant to ~ "「しかし、神が与えたパワーを使わずに放棄し、神の意思することに代えて、ちっぽけな意味のない望みを選択しすることこそ、傲慢なのである」。"a little senseless wish"「ちっぽけな意味のない望み」とは、この幻想世界で、金や地位や権力を求めること。実体のない、幻想的な快楽を求めることだ。自らのキリスト性に目覚めることなく、世俗的な幻想の快楽ばかりを追いかけていることこそ、傲慢なのだ、ということ。
The gift of God to you is limitless. There is no circumstance it cannot answer, and no problem which is not resolved within its gracious light.
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
- limitless [límitlis] : 「無限の、制限のない」
- circumstance [sə́ːrkəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況、事情」
- problem [prɑ́bləm] : 「問題、疑問、難問、難題」
- resolve [rizάlv] : 「解決する、消滅する、決意する、決定する」
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
- gracious [ɡréiʃəs] : 「親切な、優しい、上品な、丁寧な、優雅な」
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
❖ "The gift of God ~ "「神があなたに与えた贈り物は、制限がない」。神が神の子に継承した神の属性は無限であって、制限などない。したがって、神の子の持っている神のパワーにも制限がないのだ。あなたはどんな赦しも、どんな救いも、どんなヒーリングも、どんな奇跡も起こし得るのである。"There is no circumstance ~ "「その神からの贈り物が答えられないような状況はないし、」神から与えられたパワーが効力を発揮出来ない状況はないし、"and no problem which ~ "「(そのパワーのもつ)優しい光の中で、解決出来ない問題などない」。あなたのパワーに制限はない。あなたは、どんな問題も解決出来、どんな状況にあっても答えを出せるのだ。そのパワーを信じられるか信じられないか、それはあなたの選択であって、その選択によって、あなたは全く別方向の道を歩むことになるである。片や、優しい光の中に向かう道であり、片や、闇の中に向かう道である。