●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-26.V.4:1 ~ T-26.V.5:7

4. To you who still believe you live in time and know not it is gone, the Holy Spirit still guides you through the infinitely small and senseless maze you still perceive in time, though it has long since gone.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、案内する、〜を指導する」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜を通り抜けて、経て、 〜を介して」
  • infinitely [ínfənətli] : 「無限に、非常に、大いに、飛躍的に」
  • senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
  • maze [méiz] : 「迷路、迷宮、当惑」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
  • long since : 「ずっと前に」
❖ "To you who still believe ~ "「時間という枠組みの中に生き、時間は過ぎ去ってしまったものだと知らないあなたにとっては、」"the Holy Spirit still ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたが〜にあっても、あなたを今なお導いてくれるのだ」。"through the infinitely ~ "「あなたが時間の枠組みの中で今なお知覚してる非常に小さく無意味な迷路にあっても、」あなたを今なお導いてくれるのだ。"though it has long ~ "「そんな迷路など、遠い昔に過ぎ去ってしまったものなのに」。幻想の時間が存在するこの世界にあって、迷路に迷い込んでいるあなたではあるが、ホーリー・スピリットがちゃんとあなたを正しい方向、実相世界の方向に導いてくれる。もっとも、そんな幻想世界や迷路は、実相世界から見れば、遠い昔の一瞬に過ぎ去ってしまった出来事ではあるが。



You think you live in what is past. Each thing you look upon you saw but for an instant, long ago, before its unreality gave way to truth.
  • look upon : 「〜を見る」
  • for an instant : 「ちょっとの間、ほんの束の間」
  • unreality [ʌnriǽləti] : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • give way to : 「〜に取って代わられる、〜に移行する」
❖ "You think you live ~ "「あなたは、過ぎ去ってしまったものの中に生きていると思っている」。あなたが生きていると思っているこの幻想世界は、実相世界から見れば、遠い昔に一瞬間だけ生じて、すぐに消えた世界なのだ。その一瞬間の世界に、長々続く時間を仮想して、追体験しているだけなのだ。それが、今のこの世での生活である。"Each thing you look upon ~ "「(今、)あなたが見ている一つ一つのものは、遠い昔、一瞬間だけ見たものである」。"before its unreality ~ "「それは、非実相が、真実に道を譲る前の出来事であった」。幻想世界は、遠い昔、一瞬間だけ生じ、すぐに、実相に道を譲って消滅した。その一瞬間に見た光景を、あなたは今、時間軸に沿って追体験して見ているのである。



Not one illusion still remains unanswered in your mind.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである、残存する」
  • unanswered : 「返事のない、返答のない、うやむやにされた」
❖ "Not one illusion still ~ "「ただの一つの幻想も、答えられないままに、あなたの心の中に残っていることはない」。『幻想が答えられる』とは、それが幻想だと認識されて、消滅させられること、と考えていいだろう。したがって、本文は、実相的に見れば、神の子であるあなたの心の中には答えられていない幻想、つまり、消滅していない幻想は、何もない、という意味である。幻想は、一瞬のうちにすべて消滅したのだから、そのかけらさえ、あなたの心の中に残っているはずはないのだ。しかし、あなたが、いまだに幻想世界に生きているということは、錯覚であり、だから、確かに夢を見ているということなのである。



Uncertainty was brought to certainty so long ago that it is hard indeed to hold it to your heart, as if it were before you still.
  • uncertainty [ʌnsə́ːrtnti] : 「確信のなさ、不確かさ、不確実さ、不確実性」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
  • hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する、心に抱く」
  • heart [hάːrt] : 「心、胸の内、気持ち」
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに、〜のように」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
❖ "Uncertainty was brought to ~ "「不確実さは、あまりにも遠い昔に確実さに変えられたので、」不確実な幻想は、あまりにも昔に、確実な実相に変えられたので、"that it is hard ~ "「あたかも不確実さが、まだあなたの目の前にあるかのように、あなたの心の中に不確実さを保持することは、非常に困難なのだ」。本当は、幻想は遠い昔に消滅したのだから、幻想のもつ不確実さは、あなたの心に存在するはずはないのだ。あると知覚するのは、まさに錯覚なのだ。不確実さが心を占領している夢を見ているだけなのである。



5. The tiny instant you would keep and make eternal, passed away in Heaven too soon for anything to notice it had come.
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • pass away : 「過ぎ去る、去る」
  • soon [súːn] : 「早く、すぐに」
  • notice [nóutəs] : 「〜に気が付く、〜に注意する」
❖ "The tiny instant you ~ "「あなたは、(幻想が生じた)ほんの一瞬間を保持し、永遠なるものに変えたいと思っているだろうが、」"passed away in Heaven ~ "「天の王国においては、あまりにもすぐに過ぎたことなので、誰も、幻想が生じたことに気付くことさえなかったのだ」。この幻想世界の、今起きているあらゆる事象、また、未来に起きる可能性のある事象のすべては、すべて、遠い昔に一瞬間にして起き、そのすべてが、可能性も何もかも含めて、いわば、ホログラムに記録され、記録されると同時にその一瞬間は消滅した。その記録されたホログラムを、時間を軸にして、選択しながら再生している状態が、この幻想世界である。言葉を変えれば、膨大なビデオから、好きなビデオを再生して見ているのである。あなたが現実だと思っているこの世界での現実は、実は仮想現実、バーチャル・リアリティなのだ。



What disappeared too quickly to affect the simple knowledge of the Son of God can hardly still be there, for you to choose to be your teacher.
  • disappear [dìsəpíər] : 「見えなくなる、存在しなくなる、なくなる」
  • quickly [kwíkli] : 「速く、すぐに」
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • hardly [hάːrdli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • teacher [tíːtʃər] : 「先生、教師」
❖ "What disappeared too ~ "「あまりにも早く消滅し、神の子のもつシンプルな叡智にさえ影響を与えることがなかったものは、まだそこにあることなど出来ないのだ」。"for you to choose ~ "意訳する、「たとえ、あなたが、その消滅したものをあなたの師に選択しようと思っても」。幻想世界の想念を支配するエゴの思考システムも、あなたがエゴを師に選択しようとしても、あまりにも一瞬間の出来事であったので、それはかなわず、実相的な叡智に影響を与えることさえなかったのだ。今、この幻想世界で、エゴの思考システムに支配されていることは、これまた錯覚であり、夢の出来事なのだ。



Only in the past,--an ancient past, too short to make a world in answer to creation,--did this world appear to rise.
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • ancient [éinʃənt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
  • short [ʃɔ́ːrt] : 「短い、短期間の」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • in answer to : 「〜に応じて、〜に答えて、〜の返事に」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、現れる、出現する」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
❖ "Only in the past ~ "「過去においてのみ、それも大昔、あまりにも短い期間で、創造に対する答えとして世界を作ることさえ出来なかった、その過去においてのみ、」"did this world ~ "「この世界は立ち現れたかに見えただけなのだ」。『創造に対する答えとして世界を作ること』とは、難解な部分であるが、次のように考えればいいだろう。神の子は、その昔、神なしで神のように存在し、神が天の王国を創造したように、自分も世界を創造しようとしたのである。その想念は、一瞬にして現実化し、神の子は神から分離し、神の創造に似せたこの幻想世界を偽創造したのである。つまり、心の外へ想念を投射して、幻想の世界を偽創造したのだ。実在する実相は心の中だけであるから、心の外に投射した世界は、それだけでも、虚偽なる世界である。実相世界では、いかなる虚偽も長々と存在することは不可能だ。なぜなら、実相世界は、真実だけが永遠不変に存在出来る世界だからだ。したがって、実相的には、神の子が偽創造した世界は、一瞬のうちに消滅したのである。



So very long ago, for such a tiny interval of time, that not one note in Heaven's song was missed.
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
  • note [nóut] : 「音符、声の調子、響き」
  • miss [mís] : 「逃す、見逃す、見損ねる、〜を抜かす、聞き漏らす」
❖ "So very long ago ~ "「あまりにも遠い昔なので、しかも、あまりにも短い時間だったので、」"that not one note ~ "「天の王国の歌の、たった一つの音さえ、失われることはなかった」。神の子が神から分離し、幻想世界を心の外に投射して世界を偽創造したことなど、遠い昔の一瞬間だけのことであったので、永遠不変の天の王国では、瞬きほどの出来事でさえなかった。天の王国における神を称賛する歌声が、一瞬たりとも乱れることはなかったのだ。



Yet in each unforgiving act or thought, in every judgment and in all belief in sin, is that one instant still called back, as if it could be made again in time.
  • unforgiving [ʌnfərɡíviŋ] : 「許さない、容赦のない、執念深い、厳しい」
  • act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • call back : 「呼び返す、呼び戻す、思い出させる」
❖ "Yet in each unforgiving ~ "「しかし、赦しを与えない行為や思いの中に、あるいは、あらゆる判断、あらゆる罪を信じる思いの中に、」"is that one instant ~ "「その一瞬は呼び戻されるのだ」。あなたが赦しを拒絶したり、同胞の行いを判断したり、罪を信じたりするとき、神から分離して幻想世界を偽創造した一瞬が再現されることになる。分離という幻想が再生されるからだ。"as if it could be ~ "「あたかも、時間という枠組みの中で、その一瞬が再び再生出来ると言わんばかりである」。



You keep an ancient memory before your eyes. And he who lives in memories alone is unaware of where he is.
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
  • unaware [ʌnəwέər] : 「無意識の、気付かない、知らない」
  • be unaware of : 「〜に気付いていない」
❖ "You keep an ancient ~ "「あなたは、目の前に、大昔の記憶を保持しているだけなのだ」。幻想世界を偽創造したという大昔の記憶を目の前にぶら下げて歩いているようなものだ。"And he who lives ~ "「そして、記憶に生きる者だけが、自分が何処にいるか分からないのである」。過去に生きる者だけが、今自分が何処に立って、何処に向かっているか、認識出来ないのだ。過去という幻想の中を彷徨(さまよ)っている者は、実相という真実を知ることは出来ない。
 
 
 



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