5. Salvation stops just short of Heaven, for only perception needs salvation. Heaven was never lost, and so cannot be saved.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- stop [stɑ́p] : 「止まる、停止する、終わる、終了する」
- short of : 「〜に達していない、〜の手前で」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- save [séiv] : 「救う、助ける、確保しておく、取っておく」
❖ "Salvation stops ~ "「救いは、天の王国の少し手前で終了する」。"for only perception ~ "「なぜなら、知覚だけが、救いを必要としているからだ」。"Heaven was never ~ "「天の王国は決して失われたことがなかったので、救われる必要はない」。ここでの"salvation"「救い」は、想念の救い、想念の浄化、と考えていいだろう。実相的な真実から幻想の虚偽を洗い流す作業であり、幻想と実相を混同している知覚(perception)を修正する作業なのだ。その意味で、知覚は救い(修正、浄化)を必要としているわけだ(only perception needs salvation)。では、あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分、ホーリー・スピリットが住む部分は修正の必要があるだろうか? もちろん、修正の必要も救いの必要もない。この部分は、天の王国へのチャンネル部分であり、天の王国が実相として永遠不変であるから、このチャンネルも失われることなく(never lost)永遠不変であり、修正も救いも必要としない。浄化に無関係に、純粋なのだ。
Yet who can make a choice between the wish for Heaven and the wish for hell unless he recognizes they are not the same?
- make a choice [tʃɔ́is] : 「選択する、選んで取る、よって取る」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
- hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "Yet who can make ~ "「しかし、天の王国と地獄は同じものではないと認識することがない限り、いったい誰が、天の王国への望みと地獄への望みの間での選択が出来るだろうか」。天の王国と地獄の違いの区別が出来ずに、両者を選択の対象とすることは出来ない。つまり、実相(天の王国)と幻想(地獄)の区別が出来ずに、天の王国を選択することは出来ないので、ボーダーランドにおいて、区別のつく知覚へと、その知覚を浄化するのである。知覚を救って、叡智(knowledge)へと質転換させるのである。その叡智をもってすれば、天の王国を容易に選択することが出来、想念の浄化も、どんどんはかどるというものである。
This difference is the learning goal this course has set. It will not go beyond this aim.
- difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
- learning goal : 「学習目標、学びの目的」
- course [kɔ́ːrs] : 「課程、講座、科目、コース、進路、路線」
- set [sét] : 「定める、配置する、設定する」
- beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
- aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的、照準、見当 」
❖ "This difference is ~ "「この違いこそ、このACIMのコースが設定した学びの目的である」。天の王国(実相)と地獄(幻想)の違いをしっかり区別出来る知覚、つまり、実相的な叡智を獲得することが、ACIMの最終目的である。"It will not ~ "「ACIMのコースは、この目的を越えることはない」。神の子が天の王国へ回帰するための、叡智を獲得するところまではACIMの役目であるが、その先は、個々人の努力に任せる、という意味。ホーリー・スピリットが導いて助けてくれるので、ACIMはその先をホーリー・スピリットに委ねる、という意味合いである。学びと実践を、きちんと分けて考えているわけだ。
Its only purpose is to teach what is the same and what is different, leaving room to make the only choice that can be made.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- leave [líːv] room : 「余地を残す」
- make a choice [tʃɔ́is] : 「選択する、選んで取る、よって取る」
❖ "Its only purpose ~ "「ACIMの唯一の目的は、何が同じで、何が違うか、教えることである」。その先の選択は、"leaving room to make ~ "「成されるべき選択の余地は残しているのだ」。何が実相として同一であり、何が幻想として同一であるか、その見極めを教えるのがACIMの目的であり、見極めが出来るようになったなら、その先の、唯一の選択である実相の選択を実行するのは、その本人に任せるのである。委ねるのだ。神の子の自由意思を尊重して、選択の余地を残してくれるのである。
6. There is no basis for a choice in this complex and over-complicated world.
- basis [béisis] : 「土台、基礎、基盤、基準、原理、原則、根拠」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- complex [kɑmpléks] : 「複雑な、複合の、込み入った」
- complicated [kάmpləkèitid] : 「複雑な、込み入った、入り組んだ」
❖ "There is no basis ~ "「複雑で、あまりにも込み入ったこの世界には、選択の基準がない」。実相と幻想の区別、真実と虚偽との区別、その区別を確実に与えてくれる基準がないので、選択のしようがないのである。あるいは、誤った選択に陥ってしまうのだ。
For no one understands what is the same, and seems to choose where no choice really is.
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "For no one understands ~ "「なぜなら、誰も、何が同じなのか理解していないので、」"and seems to ~ "「実際に選択の出来ないところで、選択をしているようなものだからである」。これとあれは、真実として同じである、という見極めが出来ないので、あるいは、これとあれは、虚偽として同じである、という見極めが出来ないので、行き当たりばったりに、自分の恣意のまま物事を選び取っているだけなのだ。しかも、幻想世界では、実際に真の選択など不可能であるのに、選択をした気になっているだけだ(and seems to choose where no choice really is)。それでいて、絶対に正しい選択の必要な場では、たとえば、人生の岐路に立ったときなどは、選択に躊躇して、でたらめな選択で人生を汚してしまうのである。
The real world is the area of choice made real, not in the outcome, but in the perception of alternatives for choice.
- area [έəriə] : 「地域、区域、範囲、領域、分野」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「選択肢、代わりとなるもの、代替物、二者択一」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "The real world is ~ "「実相世界は、選択が現実となる領域である」。実相世界は、あなたが正しい選択を現実にする場である。"not in the outcome, but ~ "意訳する、「結果を選択するという意味ではなく、選択肢を正しく知覚するという意味で、選択が現実として成される領域なのだ」。非常に難解である。幻想世界では、実相と幻想の区別、真実と虚偽の区別が出来ていないので、真の選択は不可能だ。しかし、その区別のつく実相世界でこそ、真の選択は成されるのである。ただし、選択の結果を選択するのではなく(not in the outcome)、選択肢を正しく選択する(in the perception of alternatives for choice)という意味での選択である。つまり、複数の選択肢があったとき、どれが実相的に真実の選択肢であり、どれが幻想的に虚偽の選択肢であるか、正しい知覚をもって見極め、その選択が成されるということ。選択した後の結果を、つまり、副産物を選択するのではない。まあ、無理やり解釈をしてしまった感があるが、簡単に言えば、選択をする眼力、つまり、選択の正しい知覚が非常に重要なのだ、という意味合いである。
That there is choice is an illusion. Yet within this one lies the undoing of every illusion, not excepting this.
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- undoing [ʌndúːiŋ] : 「取り消し」
- excepting [ikséptiŋ] : 「〜を除いて、〜を例外として」
❖ "That there is choice ~ "「選択が存在するというのは、幻想である」。"Yet within this one ~ "「しかし、この選択という幻想の中にこそ、あらゆる幻想を取り消しするものが存在するのだ」。"not excepting ~ "「選択という幻想も例外ではない(消滅するのだ)」。さて、ここも非常に難解である。前文からの流れを踏まえて、捉えなければならない。実相世界では、正しい選択がなされると書かれているのだが、その選択は、結果の選択ではないと言う。つまり、あれをとるかこれをとるかの選択ではないのだ。結果を選択しないのだから、実は、選択と言えるものではない。あれをとるかこれをとるかの選択は、幻想に過ぎないのだ。では、何を選択しているか? 知覚である。あれをどう知覚するか、これをどう知覚するか、その知覚を選択しているだけなのだ。幻想と知覚するのか、実相と知覚するのか、真実と知覚するのか、虚偽と知覚するのか、その知覚の見極めを選択しているのである。しかし、これとても、突き詰めれば幻想に過ぎず、真実だけを知覚する叡智(knowledge)には選択などという言葉はない。実相的世界には、選択という概念は存在しないのである。というより、実相には選択というものが必要ないのだ。ならば、知覚の正しい見極めである選択は不必要かと言うと、そうではなく、幻想を取り消しにするには、その選択は必要なのだ。そこで、総括すると、実相世界では、現実的な選択がなされる。しかし、その選択すら幻想であり、幻想を取り消してくれる選択がなされた後は、選択という幻想も消滅して、実相世界には選択という概念すらなくなるのである。その、現実的な選択がなされる実相世界の領域がボーダーランドであって、ボーダーランドのその先では、幻想の選択は一つも存在しない。真実だけの世界に、どうして選択が必要か、ということになるのである。