●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.VIII.2:1 ~ T-13.VIII.3:9

2. The very real difference between perception and knowledge becomes quite apparent if you consider this: There is nothing partial about knowledge.

  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の、基本的な、本質的な」
  • difference [díf(ə)r(ə)ns] : 「違い、差異、相違」
  • between [bitwíːn] : 「間に」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • apparent [əpǽr(ə)nt] : 「明らかな、明白な」
  • consider [kənsídə(r)] : 「〜をよく考える、〜を熟考する」
  • partial [pɑ́ː(r)∫l] : 「部分的な、一部の、一部分の、不完全な、不公平な」
❖ "The very real difference ~ "「もしあなたが、次のことを考えるなら、知覚と叡智の間の実際の違いは完全に明らかになる」。"There is nothing partial about ~ "「叡智に関しては、部分的であるものは何もない」。たとえば知覚は、赤い花を視覚で捉えて赤を知り、甘い匂いを臭覚で捉えて匂いを知る。知覚は部分的に情報を得て、それを統一して全体像を知ることになる。ところが、叡智は赤い花を全的に捉える。一瞬にして全情報を直覚的に把握するのである。知覚は幻想世界における対象の捉え方であり、それは時間と空間の法則に従わざるを得ない。したがて、情報をリニアに集めて統一するのである。対して、実相世界の叡智は非時間非空間の把握であって、時間と空間の法則から自由である。つまり、対象をホログラム的に把握するのである。ACIMでは、知覚の捉え方を"partially"と形容するのに対して、叡智の捉え方は"wholly"、あるいは"totally"という言葉で形容している。



Every aspect is whole, and therefore no aspect is separate. You are an aspect of knowledge, being in the Mind of God, Who knows you.
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、様子、外見」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って」
  • separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ 叡智にとっては"Every aspect is ~ "「すべての側面が全体であり、したがって、すべての側面は分離などしていない」。まさにホログラム的である。ホログラムは、その部分部分に全体の情報が織り込まれている。したがって、ホログラムを半分にちぎってしまっても、全体の像を知ることが出来るのである。ただし、その像の鮮明さは失われるが。叡智はホログラム的に対象を把握する。叡智にとって対象の部分は対象全体の情報を含んだものであって、その部分の全体が統一されて鮮明な情報となる。"You are an aspect of ~ "「あなたは叡智の側面である」。"being in the Mind ~ "分詞構文、理由、「あなたは、あなたを知っている神の心の中に存在しているからだ」。あなたは肉体的な個体として、分離して存在する一部分ではない。そう見えるのは、幻想世界のリニアなものの見方によるだけであって、実際はあなたは実相世界の存在として、叡智の海のすべてであり、叡智の海の一部である。言い換えれば、叡智の海の波(波動)を構成する一部であり、その波(波動)は叡智の海全体に広がるのである。叡智の海とは、まさに神の心であって、その心はすべてを包摂している(all-encompassing)。もちろん、あなたを含み、あなたのすべてを知っているのだ。



All knowledge must be yours, for in you is all knowledge. Perception, at its loftiest, is never complete.
  • lofty [lɔ́(ː)fti] : 「高遠な、気高い、高尚な、気高い」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の」
❖ "All knowledge must ~ "「すべての叡智はあなたのものである」。"for in you is ~ "「なぜなら、すべての叡智があなたの中にあるからだ」。あなたは叡智の海の波の一部であり、その波は叡智の海全体に波及している。あなたは叡智の全体を構成しているのであり、あなたは叡智のフィールド全体を包み込んでいる。叡智の海とは、まさにアカシック・フィールドである。"Perception, at its ~ "「知覚は、最高に高尚なものであっても、決して完全ではない」。知覚は対象の全体を全部一気に把握することは出来ないのである。リニア的なものの把握の限界であり、必然である。



Even the perception of the Holy Spirit, as perfect as perception can be, is without meaning in Heaven.
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完ぺきな、完全な」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "Even the perception of ~ "「ホーリー・スピリットの知覚でさえ、」"as perfect as perception ~ "「それは、知覚の中でも完全に近いのだが、」"is without meaning ~ "「天の王国では意味をもたない」。ホーリー・スピリットが知覚をもっているというのは意外かもしれないが、もちろん、ホーリー・スピリットは叡智の持ち主である。しかし、ホーリー・スピリットは神の子と神との間の媒介者として、神の子の知覚を知らなくてはならない立場にいるのである。つまり、神の子に叡智を教えるために知覚を利用するのだ。神の子の知覚を修正し、知覚を高め、叡智へと質転換させる。それが完了してしまえば、知覚は当然不要なものとして捨てられる。



Perception can reach everywhere under his guidance, for the vision of Christ beholds everything in light. Yet no perception, however holy, will last forever.
  • reach [ríːt∫] : 「〜に達する、〜に至る、及ぶ、伝わる」
  • guidance [ɡáidns] : 「指導、助言、アドバイス」
  • vision [víʒ(ə)n] : 「洞察力、想像力、考え方、視覚、視力」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する、耐える」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Perception can reach ~ "「ホーリー・スピリットの指導に従えば、知覚はあらゆるものに到達出来る」。何でも知覚することは可能だ。"for the vision of Christ beholds ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンは光の中であらゆるものを捉えるからだ」。ホーリー・スピリットの指導に従って知覚を修正すれば、心の中の最も正しい部分、最も純粋な部分、すなわちキリストの目を通してあらゆることを見ることが出来るようになる。それは幻想世界の暗闇に、光の世界を見ることとなる。しかし、"Yet no perception, however ~ "「知覚がどんなに神聖なものであっても、知覚は決して永遠には続かないであろう」。知覚はどんなに神聖なものであっても、幻想世界の域を超越することは出来ない。幻想世界は時間と空間に依存する世界である以上、変化流動の世界であり、すべてが永遠不変に存続することは不可能なのだ。神聖な知覚もその例外ではない。



3. Perfect perception, then, has many elements in common with knowledge, making transfer to it possible.
  • element [éləmənt] : 「成分、要素」
  • in common [kɑ́mən] with : 「〜と共通して、〜と共通に、〜と同じような」
  • transfer [trænsfə́ː(r)] : 「移動、移転、移送、移すこと」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする、〜になる」
  • possible [possible] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
❖ "Perfect perception ~ "「そこで、完全な知覚は叡智との共通要素を多くもっている」。"making transfer to ~ "分詞構文、単純接続、「そして、叡智へと移行することを可能にしている」。ここは、日本語的には、むしろ「叡智へと移行することが可能である」と訳した方がいいだろう。ホーリー・スピリットは、我々の知覚を修正し、完成度の高い知覚にすることで、その知覚を叡智へと質転換させてくれる。それによって、変化流動する知覚が永遠不変性を得て、叡智へと昇格するのである。



Yet the last step must be taken by God, because the last step in your redemption, which seems to be in the future, was accomplished by God in your creation.
  • last [lǽst] : 「終わりの、最後の」
  • step [stép] : 「階段、段、階、段差」
  • last step : 「最終段階」
  • redemption [ridém(p)∫n] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • in the future : 「将来に」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、遂行する、果たす、成就する、達成する」
  • creation [kriéi∫n] : 「創造、創作」
❖ "Yet the last step must ~ "「しかし、最後のステップは神によってなされなければならない」。"because the last step ~ "「なぜなら、あなたの救済の最後のステップは、」"which seems to be ~ "「それは未来のことのように思えるだろうが、」"was accomplished ~ "「あなたが神によって創造された時点で、神によって成就されているからだ」。未来が過去になっていることに驚かれるかもしれない。しかし、それが事実だとACIMは言う。実相世界は非時間非空間の世界であり、あえて言うなら、神は一瞬にしてすべてを創造し、その一瞬が永遠に続く。この幻想世界は時間と空間の世界であり、事象はすべてリニアなつながりで起きる。あえて言うなら、神が一瞬にして創造したすべての事象を、幻想の世界が時間を追って再現しているようなものだ。神による最後のステップは、実相世界ではすでに起きてしまっている。幻想世界では、その再現は未来である。ところで、知覚が叡智へと移行する最後のステップは、あなた自自身の仕事ではない。全面的に神に委ねるのである。ここにACIMの絶対他力が見える。



The separation has not interrupted it. Creation cannot be interrupted.
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • interrupt [ìntərʌ́pt] : 「割り込む、妨げる、妨害する、邪魔する」
❖ "The separation has not ~ "「分離はそれを妨げていない」。"Creation cannot be ~ "「創造は妨げられ得るものではないのだ」。あなたは神から分離したと思っているが、それは夢の中の出来事であって、神はあなたが神から分離などしていないことを知っている。分離が、神による最後の仕上げを妨げることはない。しかも、神による創造はすべての事象の原初に位置することであり、その一瞬が永遠に続く。したがって、その原初の出発点において、創造を妨害するものなど何も存在しないのである。



The separation is merely a faulty formulation of reality, with no effect at all. The miracle, without a function in Heaven, is needful here.
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • faulty [fɔ́ːlti] : 「欠点のある、誤った、不完全な、欠陥のある」
  • formulation [fɔ̀ːrmjuléiʃən] : 「公式化、定式化、形成、構築、制定」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • effect [ifékt] : 「効果、効力、結果、影響、作用」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
  • needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な」
❖ "The separation is ~ "「分離は単に、現実が誤って形成されたものに過ぎず、影響をまったく与えるものではない」。堅い表現をしているが、要するに、神からの分離という現実は誤っている、誤って夢の中で形成されたものに過ぎない、ということ。したがって、夢の中のものなど、何の影響力も持ち得ない。"The miracle, without ~ "「奇跡は、天の王国では無用の機能であるが、」"is needful ~ "「ここでは、必要とされる」。この幻想世界から実相世界へ移行するには、奇跡が必要だ。



Aspects of reality can still be seen, and they will replace aspects of unreality. Aspects of reality can be seen in everything and everywhere.
  • Aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴、光景、様子、様相」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
  • unreality : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
  • everywhere [évri(h)wèə(r)] : 「どこでも、どこにも」
❖ "Aspects of reality ~ "「実相の側面はなお、見ることが出来る」。"and they will replace ~ "「そして、実相の側面は、実相でないものの側面を置き換えていくのだ」。実相世界の事象が、この幻想世界においても垣間見ることが出来る。たとえば、不完全とは言え、愛がそうであり、芸術的な創造活動、正しい知覚、等々は実相世界を伺わせる実相の側面だと言える。そして、幻想世界の非現実を、実相の現実が駆逐していくのである。"Aspects of reality can ~ "「実相の側面はあらゆるものの中に、あらゆる場所に見ることが出来る」。この幻想世界は二元論の世界であり、二つの対立概念で構成されている。愛と憎悪、平和と戦争、喜びと悲しみ、陰と陽、プラスとマイナス、等々。それらの対立概念の一方が、実相世界の側面として実在の価値をもつ。言い換えれば、幻想世界の種々雑多な事象はすべて二面性を有しており、その一方に、実相世界の側面が反映されているのだ。



Yet only God can gather them together, by crowning them as one with the final gift of eternity.
  • gather [gǽðə(r)] : 「集める、拾い集める、かき集める、寄せ集める」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • crown [kráun] : 「王にする、王位に就かせる、タイトルを与える」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • eternity [itə́ː(r)nəti] : 「永遠、無限」
❖ "Yet only God can ~ "「しかし、唯一神だけが、実相の側面を集めて一つに出来る」。"by crowning them ~ "「実相の側面に、永遠の最後の贈り物というタイトルを与えることで」。神は、幻想世界に点在する実相の側面(断片)を集めて、統一する。つまり、神の住む実相世界は抽象の世界であり、神は、幻想の世界に存在する具象的な実相の側面の数々をすべて集めて抽象化するのである。たとえば、あなたの愛、私の愛、彼の愛、彼女の愛、そのすべての愛という実相の側面を集めて、純粋で対立概念を持たない抽象の愛に質転換するのである。そうすることを、永遠の贈り物だ言っている。そうすることが最終の作業であるから、最後の贈り物だと言っている。
 
 
 

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