●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-19.IV.B.4:1 ~ T-19.IV.B.5:8

4. Peace is extended from you only to the eternal, and it reaches out from the eternal in you.

  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
  • reach [ríːt∫] : 「伸びる、向かう、及ぶ、伝わる」
  • reach out : 「手を伸ばす、差し出す、接触する、連絡しようとする」
❖ "Peace is extended ~ "「平和は、あなたから永遠なるものだけへ向けて拡張するのだ」。"and it reaches out ~ "「平和は、あなたの心の中の永遠なるものから伸びていくのである」。実相世界は永遠不変であり、時間も空間も存在しない。したがって、あなたの心は実相であるから、無限である。平和も実相であるから、分かち合われることで無限に拡張し、無限なるもの、すなわち実相の実在全体へと広がっていくのである。無限なる心から出発して、平和は無限なる心へと、無限の実相世界へ広がっていくのだ。誤解してはならないは、実相世界の無限とは、空間的な広がりが無限という意味ではない。実相世界には空間というものが存在しないから、空間的広がりも存在しない。しかし、我々の3次元的な感覚から見れば無限という言葉が当てはまるというだけなのだ。したがって、より正確に言えば、時間的空間的制限がまったくない世界、それを無限の世界と呼んでいると了解すればいいだろう。



It flows across all else. The second obstacle is no more solid than the first. For you want neither to get rid of peace nor limit it.
  • flow [flóu] : 「流れる、自由に動く」
  • across [əkrɑ́s] : 「横切って、横断して、向こう側へ」
  • else [éls] : 「そのほかの」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
  • no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
  • solid [sɑ́ləd] : 「固体の、固形の、硬い、頑丈な、実在感のある、手応えのある」
  • neither [níːðə(r)] A nor B : 「AもBも〜ない」
  • get rid of : 「取り除く、除去する、削除する、排除する」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
❖ "It flows across ~ "「平和は、その他のものすべてを越えて流れていく」。幻想世界のすべてのものに遮られることなく、永遠なる心へと流れていく。"The second obstacle is ~ "「第二の障害も、第一の障害同様、頑固なものではない」。"For you want neither ~ "「なぜなら、あなたは平和を排除したいとも、平和に制限を掛けたいとも思っていないからだ」。平和でありたいと望む気持ちがあるなら、第二の障害も、あなたなら乗り越えられる。制限という概念を越えたいと望むところに、無限は出現するのだ。その無限が平和を受容するのである。



What are these obstacles that you would interpose between peace and its going forth but barriers you place between your will and its accomplishment?
  • interpose [ìntə(r)póuz] : 「〜を間に入れる、〜を割り込ませる」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • go forth : 「出て行く、出発する、広まる」
  • barrier [bǽriə(r)] : 「障害物、障壁、バリア」
  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、偉業、成果、達成、完成」
❖ "What are these ~ "「あなたが、平和とその進展の間に入れたいと思う障害は、あなたの意思とその達成の間にあなたが置いた障害物でなくて、一体何であろうか」。平和を阻害したいという思いは、あなたの意思の否定である。制限を設けたいと望む気持ちは、制限を超越したあなたの意思に制限を掛けたいと望むことである。つまり、不可能なことを望むのだ。あたかも、成長する子供に、いつまでも子供であってもらいたいと望むようなものだ。そこにストレスが生じる。コンフリクトが生じると言ってもいい。



You want communion, not the feast of fear. You want salvation, not the pain of guilt.
  • communion [kəmjúːniən] : 「正餐、交わり、親交、共有、交流」
  • feast [fíːst] : 「祝宴、宴会、饗宴」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "You want communion ~ "「あなたは コミュニオンを欲しているのであって、恐れの饗宴を欲しているのではない」。"communion"とは、神聖な関係性のこと。神聖な関係性にある者同士が集って、食べたり語らったりする祝宴と考えていいだろう。キリスト教の正餐式を表しているものではない。"You want salvation ~ "「あなたは救いを欲しているのであって、罪の痛みを欲しているのではない」。当たり前だと言われるかも知れない。しかし、その当たり前を、あなたはないがしろにして来なかったと、あなたは言い切れるだろうか? 自分には、救いは必要ないと、心のどこかで思ってはいまか? 



And you want your Father, not a little mound of clay, to be your home. In your holy relationship is your Father's Son.
  • mound [máund] : 「塚、小山、盛り土、堤、土手、土塁」
  • a mound of : 「大量の」
  • clay [kléi] : 「 粘土、土、泥」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "And you want ~ "「あなたは、父なる神を欲しているのであって、あなたの生まれたその家として、わずかばかりの土くれを欲しているのではない」。人は土くれから生まれたのではなく、神が創造したものであるとあなたは思いたいはずだ。あなたの出自は土くれではない。ましてや、どこの馬の骨とも知れぬ男の、その肋骨でもない。"In your holy relationship ~ "「あなたの神聖な関係性の中に、あなたの父なる神の、その神の子は存在するのだ」。難しい言い回しをしているが、あなたがホーリー・スピリットやキリストやアセンディド・マスター達と神聖な関係性を保っている中で、あなたが神の子である事実が、あなたにも分かってくる、といった意味合いであろう。あるいは、神聖な関係性の中で、あなたの神の子としての存在が明確に確定する、といった意味合いか。



He has not lost communion with him, nor with himself. When you agreed to join one another, you acknowledged this is so.
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • agree [əgríː] : 「同意する、合意する、賛成する」
  • join [dʒɔ́in] : 「結合する、連結する、合わせる、交わる、一緒になる」
  • one another : 「お互い」
  • acknowledge [əknɑ́lidʒ] : 「認める、承認する、同意する、認識する、受け入れる」
❖ "He has not lost ~ "「神の子は、神とのコミュニオンを失ってはいなし、神の子自身とのコミュニオンも失ってはいない」。神の子は神との神聖な関係性を失ってはいない。つまり、神と分離してはいないのだ。さらに、単一存在としての神の子の神聖な関係性も失ってはいない。つまり、神の子が分離分裂してはいない、ということ。神の子が神と分離したと思い込んだことも、神の子が散り散りに分裂したと思い込んだことも、ともに幻想に過ぎなかったのだ。ただの夢である。"When you agreed ~ "「あなたが、(神の子同士)互いに結びつこうと同意したとき、」"you acknowledged ~ "「あなたは、このことがそうであると認識したのである」。あなたが神からの分離を解消し、神の子同士再び結合しようと意思したとき、本当は神からの分離も神の子の分裂も起きていなかったのだと認識したのである。神聖な関係性は失われていなかったのだと知ったのである。過去形で表現されているが、ACIMでは時制を気にしないこと。実相世界ですでに起きていることが、幻想世界で追体験されるだけの話である。過去も未来も、実は存在していないのだ。



This has no cost, but it has release from cost.
  • cost [kɔ́(ː)st] : 「〜に負担をかける、犠牲を払わせる」
  • cost [kɔ́(ː)st] : 「犠牲、代償、損失」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "This has no ~ "「これには犠牲は伴わない」。"but it has releaseb ~ "「それは、犠牲からの解放なのだ」。コミュニオン、つまり神聖な関係性を保つために、犠牲にすることは何もない。むしろ、肉体的犠牲や精神的犠牲から、神聖な関係性は解放してくれるのである。つまり、実相世界の実在との結合は、あなたを解放し、犠牲を追放するのである。



5. You have paid very dearly for your illusions, and nothing you have paid for brought you peace.
  • paid [péid] : 「pay の過去・過去分詞形」¥
  • pay : 「〜の代価を払う、〜に対して賠償する」
  • dearly [díə(r)li] : 「非常に、愛情を込めて、心から」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
❖ "You have paid very ~ "「あなたは、あなたの幻想のために、多大な犠牲を払ってきたが、」"and nothing you ~ "「あなたが犠牲を払ったものすべては、あなたに平和をもたらすことはなかった」。実相的平和を、幻想の物質や肉体で得ようとしても不可能である。それは犠牲を払うだけで、実りはない。



Are you not glad that Heaven cannot be sacrificed, and sacrifice cannot be asked of you?
  • glad [glǽd] : 「満足して、うれしく思う」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする」sacrifice : 「犠牲、いけにえ」
❖ "Are you not glad that ~ "「あなたは、that以下を嬉しく思わないだろうか」。"that Heaven cannot ~ "「天の王国は犠牲にされることは不可能だし、犠牲が、あなたに求められることも不可能なのだ」。実相的実在が、幻想ために犠牲にされることは不可能だ。そもそも、実相世界には犠牲という概念は存在しないのである。犠牲が存在しないのに、どうして天の王国を犠牲に出来るだろう? ましてや、天の王国があなたに犠牲を強いることなど、原理的に不可能なのだ。したがって、天国に入るには、お布施や布教活動や献身が必要だと説く宗教はまやかしである。



There is no obstacle that you can place before our union, for in your holy relationship I am there already.
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • before [bifɔ́ː(r)] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "There is no obstacle ~ "「あなたが、私たちの結合の前に置くことの出来る障害物はない」。神聖なもの同士が集い、結合するコミュニオンを邪魔することは、誰にも出来ない。"for in your holy relationship ~ "「なぜなら、あなたの聖なる関係性の中に、私(イエス)はすでにいるからだ」。キリストとしてのイエスを、コミュニオンに入れまいとする障害なのであろうが、すでに、イエスはその中に参加している。あなたがホーリー・スピリットと聖なる関係性を築いた時点で、イエス・キリストは、すでに、その関係性の仲間入りをしているのだ。ホーリー・スピリットとキリストが一体であることが窺える。



We will surmount all obstacles together, for we stand within the gates and not outside.
  • surmount [sə(r)máunt] : 「乗り越える、克服する、突破する」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
  • outside [áutsáid] : 「外側に、外部に」
❖ "We will surmount ~ "「私たちは一緒になって、すべての障害を乗り越えることになろう」。"for we stand within ~ "「なぜなら、私たちはゲートの内側に立っているのであって、外側ではない」。ゲートとは、実相世界のゲート、あるいは天の王国のゲート。この世界とあの世界の間にあるゲートである。聖なる関係性を築いた時点で、すでにそのゲートをくぐり抜けている。ゲートをくぐれば、残された歩みは、あと一歩である。神の力を借りて、最期の架け橋を渡るだけである。



How easily the gates are opened from within, to let peace through to bless the tired world!
  • easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • from within : 「〜の中から、内側から、内部から」
  • through [θruː] : 「通り抜けて、直通で」
  • bless [blés] : 「授ける、祝福する、清める」
  • tired [táiə(r)d] : 「疲れた、しんどい」
❖ "How easily the gates ~ "「ゲートは、なんと簡単に、内側から開けれるのだろうか」。"to let peace through ~ "「疲れ果てた世界を祝福するために、平和を、そのゲートを通すために、」なんとも簡単に、ゲートは開けられることか。天の王国のゲートは内側から簡単に開く。そこを通して、実相世界の平和を送り出し、幻想に疲弊した世界に平和を広げるのである。蛇足になるが、このゲートは幻想世界の産物である。幻想世界が、実相世界に対して築いたゲートである。ゲートが幻想であるから、実相世界からは簡単に開けられるのだ。逆に、幻想世界からは、あたかも開かずの扉の如く、なのである。



Can it be difficult for us to walk past barriers together, when you have joined the limitless?
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
  • past [pǽst] : 「〜を過ぎて、越えて」
  • join [dʒɔ́in] : 「結合する、連結する、合わせる、〜に加わる、〜に加入する」
  • limitless [límitlis] : 「無限の、限りない」
❖ "Can it be difficult ~ "「あなたが、制限のない者達と結合した時、私たちが一緒になって、バリアーを越えて歩んでいくことは困難であろうか」。"the limitless"「制限のない者達」とは、実相世界の存在者達、つまり、ホーリー・スピリットであり、キリストであり、アセンディド・マスター達。あなたは、それらと結合し、聖なる関係性を築いたのだ。実相世界の実在が、幻想のバリアーによって制限されることなどないのだ。



The end of guilt is in your hands to give. Would you stop now to look for guilt in your brother?
  • end [énd] : 「終わり、端、最後、終局、終焉、終点、終了」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • look for : 「〜を探す」
❖ "The end of guilt is ~ "「罪の終焉は、与えられるべく、あなたの手中にある」。"Would you stop ~ "「今や、あなたの同胞の中に罪を探すことを止めにしたらどうであろうか」。幻想世界で疲弊した同胞に平和を与えて祝福出来る立場にあるあなたである。同胞に罪を求めることはもう止めにしようではないか。イエスがそうしたように、我々もそれが出来るはずである。同じ人間であり、同じ神の子なのだから。
 
 
 

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