●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-24.II.4:1 ~ T-24.II.5:6

4. You are not special. If you think you are, and would defend your specialness against the truth of what you really are, how can you know the truth?

  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • defend [difénd] : 「~を守る、防衛する」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • against [əgénst] : 「~に逆らって、~にそむいて、反抗して」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • know [nóu] : 「~を知る、知っている、~が分かる」
❖ "You are not ~ "「あなたは、特別ではない」。単一の神の子として創造されたあなたと同胞は同一であり、あなただけが他者と違って特別ということはあり得ない。"If you think ~ "「もしあなたが、自分は特別だと思っているなら、」"and would defend ~ "「そして、もし、実際のあなたは何であるかという真実に反して、あなたの特別性を守りたいと思っているなら、」"how can you ~ "「いったいどうやって、あなたは真実を知り得ようか」。神の子として単一であり、同等であり、特別ということはないという実相的な真実を拒絶して、あくまでも特別であるという幻想を信じたいのであれば、あなたは、決して、実相世界の真実を知ることは出来ない。なぜなら、どんなに海の中を泳ぎ回っても、雲の上の風に乗って大空を飛び回ることは出来ないからだ。



What answer that the Holy Spirit gives can reach you, when it is your specialness to which you listen, and which asks and answers?
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • reach [ríːtʃ] : 「〜に伝わる、~に届く、〜に達する」
  • listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く、耳を貸す」
  • listen to : 「〜に耳を傾ける、〜を聴く、〜を聞く」
  • ask [ǽsk] : 「~を尋ねる、質問する、聞く、問う」
  • answer [ǽnsər] : 「~に答える、~に応じる」
❖ "What answer that ~ "「ホーリー・スピリットが与えてくれる、いかなる答えに、あなたは辿り着けるだろうか」。真実の答えを与えてくれるのは、実相世界のホーリー・スピリットである。"when it is your specialness ~ "「あなたが耳を傾け、訊ね、答えるものが、あなたの特別性だというのに」。あなたは、幻想の特別性に対してだけ、コミュニケーションのチャンネルを開いている状態にある。つまり、あなたの特別性を支持し、確保してくれそうなものに対してだけ、あなたは心を開いており、どうすれば特別性が強化され維持されるかと問い掛け、その答えだけを期待しているのだ。そんな状況にあって、真実を伝えるホーリー・スピリットの答えが、あなたに届くわけがない。もちろん常に、ホーリー・スピリットは真実の答えを発しているのだが、それは、特別性という大音響にかき消され、あなたは、ホーリー・スピリットの声に気付かないのだ。



Its tiny answer, soundless in the melody that pours from God to you eternally in loving praise of what you are, is all you listen to.
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • soundless [sáundlis] : 「音のしない、静かな」
  • melody [mélədi] : 「メロディー、旋律、音楽」
  • pour [pɔ́ːr] : 「~を注ぐ、液体をつぐ、光を放射する」
  • eternally [itə́ːrnəli] : 「永久に、絶えず、変わることなく、永遠に」
  • loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、誠実な、愛情のある、愛情に満ちた」
  • praise [préiz] : 「称賛、褒めること、賛美」
  • in praise of : 「~を褒めたたえて、~を褒めて」
❖ "Its tiny answer ~ "「ホーリー・スピリットのかすかな答えだけが、あなたが耳にするすべてなのだ」。"soundless in the melody ~ "「その、ホーリー・スピリットの答えは、本当のあなたを愛をもって讃え、神から永遠にあなたの元に届く音なきメロディーなのだ」。ホーリー・スピリットは、神の子としての本当のあなたの姿を讃えている。無限の愛をもってあなたを包み込み、神のメッセージをあなたに伝えているのだ。しかし、そのメロディーは、特別性という幻想の音にかき消され、まるで音のないメロディーになてしまった。



And that vast song of honor and of love for what you are seems silent and unheard before its "mightiness. "
  • vast [vǽst] : 「広大な、非常に広い、広漠とした、巨大な」
  • honor [άnər] : 「光栄、名誉、恩恵、敬意、高潔、誠実、正直さ」
  • silent [sáilənt] : 「静かな、音がしない、しんとした、無言の」
  • unheard [ʌ̀nhə́ːrd]: 「聞こえない、耳に届かない、聞いてもらえない」
  • before [bifɔ́ːr] : 「~の前に、~に先立って、~を前にして」
  • mightiness [máitinis] : 「強力、強大」
❖ "And that vast song ~ "「本当のあなたに対する栄光と愛の壮大な歌声は、特別性の『強大さ』の前で、まるで沈黙したかに見え、聞こえてさえ来ないように思えるのだ」。特別性の『強大さ』が放つ大音響のボリュームをどんどん下げて、つまり、心の中の騒々しいおしゃべりを黙らせ、心を静寂の中に置くことが出来れば、ホーリー・スピリットがあなたに語りかける、栄光と愛のメロディーが聞こえてくるのだ。多くの東洋思想が、瞑想(meditation)という手段を用いるのは、そのためである。西欧思想のとる手段としては、祈り(prayer)がそれに近いだろう。いずれも、騒々しい日常性を意識的に遮断し、つかの間の心の静寂を作り出すのである。



You strain your ears to hear its soundless voice, and yet the Call of God Himself is soundless to you.
  • strain [stréin] : 「ピンと張る、研ぎ澄ます、緊張させる」
  • ear [íər] : 「耳」
  • hear [híər] : 「~を聞く、聴く、~が聞こえる、耳にする」
  • soundless [sáundlis] : 「音のしない、静かな」
  • voice [vɔ́is] : 「声、歌声、音」
  • call [kɔ́ːl] : 「叫び、呼び声、要求、需要」
❖ "You strain your ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットの音なき声を聞くために、耳を緊張させているが、」"and yet the Call of ~ "「しかし、神自身の呼び声は、あなたにとっては無音のままである」。特別性という幻想に留まったままで、どんなに耳を澄ましてみても、実相の真実の声は聞こえてこない。逆に、あなたが幻想のすべてを放棄してしまったなら、その時こそ、耳を緊張させることもなく、ホーリー・スピリットの愛の声は自然に聞こえてくるのである。したがって、瞑想は、幻想を捨てるための手段の一つでもあるのだ。ACIMの"Workbook for Students"は、その意味では、ACIM流の瞑想の指南書であると言えるかも知れない。



5. You can defend your specialness, but never will you hear the Voice for God beside it.
  • defend [difénd] : 「~を守る、防衛する」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • beside [bisáid] : 「~のそばで、~の傍らに、~の脇に」
❖ "You can defend ~ "「あなたは、あなたの特別性を守ることは出来るが、」"but never will you ~ "「特別性の傍らにいたのでは、神の声を決して聞くことはあるまい」。幻想である特別性を守り、それにしがみついている限り、実相の神の声は聞こえてこない。"Voice for God"「神の声」であるが、正確には「神に代わって語る声」である。神の代弁者の声のことであり、具体的にはホーリー・スピリットの声である。しかし、意味上は、神の声と解釈しても、その正確さを損なうことはないだろう。



They speak a different language and they fall on different ears.
  • speak [spíːk] : 「~を話す、~について口を開く」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • language [lǽŋgwidʒ] : 「言語、言葉」
  • fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、落下する、降る」
❖ "They speak a different ~ "「特別性と神は、異なる言語を話し、」"and they fall on ~ "「異なる言語は、異なる耳にしか入らないのだ」。幻想の言語と実相の言語は、そもそも異質なものである。その異なる言語を聞き分ける耳も、また異なるのである。したがって、幻想の特別性の耳には、実相の神の声は聞こえない。もちろん、その逆に、神の耳には、幻想の戯言は聞こえて来ないのだ。



To every special one a different message, and one with different meaning, is the truth. Yet how can truth be different to each one?
  • message [mésidʒ] : 「伝言、通報、連絡事項、通信、通達、伝達内容」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "To every special ~ "「あらゆる特別な者達にとって、異なるメッセージ、異なる意味をもったメッセージは、真実である」。たとえば、金を特別に持っている者にとっては、金儲けのメッセージは真実であろうし、社会的に特別な位置にある者にとっては、立身出世のメッセージは真実である。特別な権力をもっている者にとっては、権力の把握とその維持に関するメッセージは真実なのである。幻想の世界に住む限り、自分が特別だと思っている者は、その特別性を助長させてくれる特別な情報、特別なメッセージは、その人にとっては真実なのだ。もちろん、実相世界から見れば、そんな真実は虚偽であるし、すぐに嘘だと見抜けるのだが、現実には容易なことではない。"Yet how can truth ~ "「しかし、どうして、真実が、一人一人に対して異なることが出来ようか」。実相的な真実は一つなのである。実相世界は一元論の世界であり、真実も単一だからだ。愛という真実、喜びという真実、平和という真実も、互いに融合して、神という一なる真実に収斂(しゅうれん)する。誰それにとってだけの特別な真実、また、他の誰それにとってだけの特別な真実、そういうことは、実相世界ではあり得ないのである。



The special messages the special hear convince them they are different and apart; each in his special sins and "safe" from love, which does not see his specialness at all.
  • convince [kənvíns] : 「確信させる、納得させる、説得する」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない、無難な」
  • see [síː] : 「~を見る、~が見える」
  • at all : 「全く~ない、全然~ない、少しも~ない」
❖ "The special messages ~ "「特別だと思っている者が聞く特別なメッセージは、彼らが異なっており、分離しているものだと確信させるのである」。特別なメッセージ自体も幻想であるから、そんなメッセージは特別性を煽り立て、幻想を強化し、差別化、分離を促進するのだ。"each in his special ~ "「特別なメッセージは、それぞれに、特別な罪の意識の中にあり、愛から安全な場所に位置しているのである」。特別性は分離から生じる。その分離は罪の意識から生じるので、結局、特別性の根っこには罪の意識がある。特別なメッセージは、したがって、罪の意識を温存し、罪を赦す愛から身を隠そうとする目的をもっているのだ。"which does not ~ "「その愛は、特別だと主張する者達の特別性など、まったく見ることはない」。真実の愛は実相世界の実在であるから、神の子すべてを単一の者と見る。完全に平等であり、差異はなく、存在の特別性など微塵も見えない。



Christ's vision is their "enemy," for it sees not what they would look upon, and it would show them that the specialness they think they see is an illusion.
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、考え方、展望、構想」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • look upon : 「〜を見る」
  • show [ʃóu] : 「見せる、見えるようにする」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "Christ's vision is ~ "「キリストのヴィジョンは、特別な者達の『敵』である」。"Christ's vision"「キリストのヴィジョン」とは、愛と救いのヴィジョンであり、実相的なパースペクティブのことだ。神の子はすべて完全に同等平等であり、自他一如であり、多即一であり、単一単体の存在と見る。そんなヴィジョンは、特別性を信じる者にとっては危険思想であり、信仰の敵である。"for it sees not what ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンは、特別な者達が見たいと思うものを見ることはないからだ」。特別、非特別という、存在の価値の序列を、キリストのヴィジョンは見ない。そんなものはないから、見えないのだ。"and it would show them ~ "「また、キリストのヴィジョンは、特別な者達が見ていると思っている特別性が、単なる幻想に過ぎないと彼らに示すからである」。だから、彼らは、キリストのヴィジョンを恐れ、嫌い、敵に回すのである。ところで、"Christ's vision"とは書いてあるが、もちろん、"Holy Spirit's vision"と思ってもいい。あるいは、"true vision"でも、"real vision"でもいいのだ。実相世界の真実すべては、究極、一なるものに収斂し、結果的に"God's vision"になるわけである。"God's vision"は"Will of God"のことだ。神は意思したことだけを目にするからだ。
 
 
 

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