●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-23.IV.7:1 ~ T-23.IV.8:9

7. See no one from the battleground, for there you look on him from nowhere.

  • battleground [bǽtlɡràund] : 「戦場」
  • look on : 「〜を見る」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
❖ "See no one from ~ "「誰に対しても、その人を戦場から見てはいけない」。あなたの同胞を、幻想を基準にして見てはいけない。"for there you ~ "「なぜなら、戦場においては、あなたはどこからも見ていないことになるからだ」。幻想を基準に見るとは、幻想は非存在だから、結果的に、どこからも見ていないことになる。まあ、理屈はそうだが、簡単に考えて、幻想の戦場から人を見ても、真実は何も見えてこない、という意味である。幻想しか見えない眼鏡をかけたら、幻想しか見えて来ないという理屈である。



You have no reference point from where to look, where meaning can be given what you see.
  • reference [réfərəns] : 「参照、参考、照会、言及」
  • point [pɔ́int] : 「点、重点、要点」
  • reference point : 「基準点、標点、参考点」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ 戦場では、"You have no reference point ~ "「あなたは、ものを見るための基準点を持ち得ないのだ」。"where meaning ~ "「基準点があれば、あなたが目にするものに対して、意味が与えられるのであるが」。戦場は幻想であって、実在する実体がまったく存在しない。一つでも真実があるなら、それを基準にして世界を見ることが出来るのだが、戦場には一かけらの真実もない。夜見る夢が、荒唐無稽であることと等しく、意味のない光景の羅列に過ぎないのだ。正当な判断基準となり得る真実がないのである。



For only bodies could attack and murder, and if this is your purpose, then you must be one with them.
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • murder [mə́ːrdər] : 「殺す、殺害する、凶行に及ぶ」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "For only bodies ~ "「なぜなら、肉体だけが攻撃し殺戮出来るからだ」。戦場においては、幻想の肉体の攻撃と殺戮が存在するだけで、真実の一かけらもない。そんな場所に、ものを見る基準点があるわけがないのだ。"and if this is your ~ "「そして、もし、攻撃と殺戮があなたの目的であるならば、」"then you must ~ "「あなたは、肉体と一体であるはずだ」。あなたは、攻撃と殺戮を実行する肉体と自己を同一化しているに違いないのだ。肉体が幻想であると捉えることが出来ず、殺戮する幻想の肉体だけが、自分自身だと信じるわけである。



Only a purpose unifies, and those who share a purpose have a mind as one.
  • unify [júːnəfài] : 「統一する、一体化する、単一化する」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "Only a purpose ~ "「目的というものだけが、統一出来るのだ」。ユニフォームを着て、形だけ統一しても意味がない。目的を一つにするときに限って、そこに統一性が生まれる。もちろん、ここで言う目的とは、実相的目的であって、つまり、真実の目的である。"and those who share ~ "「そして、一つの(真実の)目的を分かち合う者達だけが、心を一つに出来るのである」。何を言いたいのかというと、戦場で殺戮を繰り返している兵士達(肉体)は、殺戮という目的を一つにしているように見えるだろうし、それゆえ、心を一つにしているように見えるだろうが、本当はそうではない、ということ。次の文章を読もう。



The body has no purpose of itself, and must be solitary. From below, it cannot be surmounted.
  • of oneself : 「独りでに、それ自体で」
  • solitary [sɑ́lətèri] : 「孤独な、一人の、独りぼっちの、一人だけの、寂しい」
  • below [bilóu] : 「〜より下に、〜の下方に、〜より低い所に」
  • surmount [sərmáunt] : 「乗り越える、克服する、突破する、脱する」
❖ "The body has ~ "「肉体は、それ自体、何の目的も持ってはいないのだ」。したがって、肉体は統一されることなく、"and must be ~ "「孤立した存在だと言わざるを得ない」。戦場における、殺戮という肉体の持つ目的は、幻想的目的であって、真実の、実相的目的ではない。したがって、肉体は統一されることなく孤立し、心は一つになれないのだ。"From below, it ~ "「戦場という、地上から見れば、孤立的存在は、克服不能である」。この世における孤立、孤独は、自分が肉体的存在であると信じている限り、必然であって、乗り越えることの出来ない現実である。肉体は、分離の象徴であるということを思い出そう。



From above, the limits it exerts on those in battle still are gone, and not perceived.
  • above [əbʌ́v] : 「上側に、〜の上に」
  • limit [límit] : 「限度、制限、限界」
  • exert [iɡzə́ːrt] : 「行使する、振るう、発揮する、使う、働かせる」
  • battle [bǽtl] : 「戦い、戦闘」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "From above, the limits ~ "「上からでは、まだ戦いの中にいる人達に肉体が及ぼす制限がなくなり、知覚されることもない」。幻想世界という戦場にあっては、肉体が人々を孤立化し、数々の制限を加えているいるわけだが、心が肉体を抜け出し、戦場の上空へ登ったとき、その心はもはや肉体の制限を受けることはないし、戦場の肉体から上空の心は知覚されないのだ。幻想世界から実相世界へ心が入っていけば、心は幻想の肉体から制限されることはないし、幻想世界から実相世界が知覚されることもない。



The body stands between the Father and the Heaven He created for His Son because it has no purpose.
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "The body stands between ~ "「肉体は、父なる神と、神の子のために神が創造した天の王国の間に立ちはだかっている」。"because it has ~ "「肉体は、何一つ目的を持っていないからだ」。肉体と神と天の王国の位置関係が、この記述では曖昧である。天の王国が、神の子の心の中にあるとすれば(事実、そうなのだが)、その心と神との間に立ち塞がっているのが、幻想の肉体ということになる。ここは、あまり理詰めに考えず、神の住む天の王国へ回帰するのを妨げているのが肉体だと解釈しておいていいだろう。ところで、「肉体は、何一つ目的を持っていない」と記述されているが、肉体は、神の子と神の子を分離させておくという負の役割、負の目的をもっている。したがって、ここでは、肉体は、神の元へ回帰するためのプラスの目的をもってはいない、と解釈しておこう。いずれにせよ、少々、曖昧さを残す一文である。



8. Think what is given those who share their Father's purpose, and who know that it is theirs.
  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • theirs [ðέərz] : 「彼ら彼女らのもの、彼らのもの」
❖ "Think what is given ~ "「神の目的を分かち合う者達に何が与えられているのか、考えてみなさい」。"who know that ~ "「彼らは、与えられたものが、自分のものであると知っているのだ」。"Father's purpose"「神の目的」とは、天の王国における創造性の拡張、愛の拡張、喜びの拡張、つまり、真実の拡張である。その拡張は、分かち合うことで達成されるのだ。その分かち合いに参加した目覚めた神の子達は、神が神の子を創造するときに、神が与えた神の属性のすべてを継承している。神の持ち物すべてを、神の子は継承したのだ。



They want for nothing. Sorrow of any kind is inconceivable.
  • want for nothing : 「何一つ不自由しない、不自由なく暮らす」
  • sorrow [sɑ́rou] : 「悲しみ、悲哀、後悔」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • inconceivable [ìnkənsíːvəbl] : 「信じられない、想像もできない、考えも及ばない」
❖ "They want for ~ "「彼らは、何一つ不自由しない」。すべてを与えられたのだから、何一つ不足はない。"Sorrow of any kind ~ "「いかなる種類の悲しみも、想像だに出来ない」。目覚めた神の子は、実相世界の喜びは知るが、悲しみを知ることがない。なぜなら、実相世界には悲しみという概念がないからだ。一元論世界の実相世界では、対極概念が存在しない。喜びはあるが悲しみはない。愛はあるが憎しみはない。美はあるが醜はない。真実はあるが虚偽はないのである。そして、純粋な喜び、愛、美、真理、平和、等々が、調和、融合し、神という存在と一体となり、文字通り、単一の存在へと収斂していく。それが、"God is"「神あり」の世界である。



Only the light they love is in awareness, and only love shines upon them forever.
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Only the light they ~ "「彼らの愛する光だけが認識出来るのだ」。"and only love ~ "「そして、愛だけが、彼らの上に永遠に輝き続けるのである」。ここの"the light"「光」は、愛や喜びや真実の象徴としての、比喩的表現としての、光と捉えてもいいし、文字通りの光そのもの、と捉えてもいい。その場合でも、物理的な電磁波と考える必要はなく、実相世界の摩訶不思議な光と考えておいた方がいいだろう。少なくとも、あなたの部屋を照らす蛍光灯の光ではない。



It is their past, their present and their future; always the same, eternally complete and wholly shared.
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • present [préznt] : 「現在、今」
  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常に」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • eternally [itə́ːrnəli] : 「永久に、絶えず、変わることなく、永遠に」
  • complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、完全な、全くの」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に、すっかり」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "It is their past ~ "「それは、」つまり、愛の光に満たされる瞬間は、「彼らの過去であり、現在であり、未来である」。時間が融合し、時制が一体化して、時間が消滅する瞬間である。"always the same ~ "「過去、現在、未来が、常に等しいものとなり、」"eternally complete ~ "「永遠に完璧であり、完全に分かち合われるのだ」。時間が融合して消滅する一瞬は、完璧な永遠性の始まりである。実相世界の真実は、その完璧な永遠性を分かち合うのである。つまり、真実は永遠に完璧である。もちろん、このことは、空間についても言える。3次元幻想世界の3つの次元が融合し、消滅して、完璧で永遠の、次元のない、空間のない世界が始まるのである。これが想念と純粋抽象の世界であり、実相世界である。空間のない世界は想像出来ないと、あなたは言われるかも知れないが、ならば、愛を箱に入れて閉じ込めてみなさいと言われたら、あなたならどうするか? 愛は箱に入るものではありません、と答えるだろう。つまり、愛は、3次元空間を超越し、空間それ自体を持たない存在だと、あなたは知っているのだ。



They know it is impossible their happiness could ever suffer change of any kind.
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、経験する、被る、耐える」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "They know it is ~ "「彼らは、彼らの幸せが、いかなる種類の変化をも被ることが出来ないと知っているのだ」。彼らの幸せ、平和は、永遠不変の実相世界の幸せであり平和であるから、どんな変化もはねつけてしまうのである。そもそも、時間も空間も存在しない世界に変化があるわけがない。実相世界には変化という概念すらないのだ。永遠不変に、幸せがそこにあって、あり続けるだけ。喜びがあって、あり続けるだけ。愛があり、愛があり続けるだけ、そういう世界なのだ。



Perhaps you think the battleground can offer something you can win.
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • battleground [bǽtlɡràund] : 「戦場」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • win [wín] : 「勝ち取る、受賞する、獲得する」
❖ "Perhaps you think ~ "「多分あなたは、戦場は、あなたが勝ち取れる何かを提供してくれるものと思っているかもしれない」。この幻想世界にあって、攻撃し殺戮するという弱肉強食の戦場から、あなたは戦利品を奪い取れると思っているかも知れない。事実、この世で、弱者から搾取し、強奪する輩は五萬といる。しかし、よく考えてみると、彼らが奪い取った戦利品は、それすら幻想である。なぜ幻想か? 奪い取った戦利品を、実相世界に持って行けると思っているのだろうか? 実相世界に持っていけない物は、すべて幻想なのだ。もっと簡単に言えば、死んで、あの世に持っていけない物は、すべて幻想である。



Can it be anything that offers you a perfect calmness, and a sense of love so deep and quiet that no touch of doubt can ever mar your certainty? And that will last forever?
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な、全くの」
  • calmness [kάːmnis] : 「静けさ、落ち着き、静かさ、沈着、平穏」
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • deep [díːp] : 「深い、深甚な、深遠な」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、平穏な、穏やかな、平和な」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「触ること、接触、手触り、触覚」
  • a touch of : 「少量の〜、わずかの〜」
  • doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑」
  • mar [mάːr] : 「損なう、〜を傷つける、台無しにする」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する、耐える」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Can it be anything ~ "「戦場であなたが勝ち取れると思っているものは、あなたに完璧な安らぎを与えてくれる何かであろうか」。"and a sense of love ~ "「それとも、愛の感覚があまりにも深く静かであるので、わずかの疑いさえあなたの確信を損なうことの出来ないような何かであろうか」。"And that will ~ "「そして、それは、永遠に続くものであろうか」。幻想世界の奪い合いで獲得したものは、実相世界の属性を帯びることはない。それは、完璧な安らぎも、静けさも、深い愛も、揺るぎない確信も、永遠性も、不変性も、与えてくれるものではないのだ。だから、幻想なのである。麻薬に酔いしれている間だけ見える幻に過ぎないのだ。

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター