VII. Cause and Effect
原因と結果
1. You may still complain about fear, but you nevertheless persist in making yourself fearful.
- complain [kəmpléin] : 「不満不平を言う、文句を言う」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
- nevertheless [nèvərðəlés] : 「それにもかかわらず、それでもなお」
- persist [pərsíst] : 「断固として貫く、しつこく主張する、持続する」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、ものすごい、おびえている」
❖ "You may still ~ "「あなたはまだ、恐れに対して不平を言っているかもしれない」。"but you nevertheless ~ "「しかし、それにもかかわらず、あなたは自分を恐れさせることを執拗に続けている」。あなたは、恐れを嫌悪していながら、その恐れを自ら作り出している。この矛盾に気付いていない。
I have already indicated that you cannot ask me to release you from fear. I know it does not exist, but you do not.
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
- indicate [índikèit] : 「〜を指し示す、表す、表示する、示唆する」
- release [rilíːs] : 「〜を解放する、自由にする」
- exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "I have already ~ "「わたしはすでに、that以下を示唆している」。"that you cannot ~ "「あなたは、あなたを恐れから解放してくれるようにと私に頼むことは出来ない」と既に示唆している。"I know it does ~ "「私は恐れが存在していないと知っているが、あなたはそうでない(知らない)」。恐れは、実体として存在するのではなく、あなたが夢の中で生み出している幻想である。イエスでさえ、あなたの夢の中にまで侵入してその夢の恐れを解消してやることは出来ない。ホーリー・スピリットとしてイエスが出来ることは、あなたを夢から目覚めさせることであって、結果的に恐れは消えるが、夢の中の恐れに直接関わって恐れを消すことではないのだ。
If I intervened between your thoughts and their results, I would be tampering with a basic law of cause and effect; the most fundamental law there is.
- intervene [ìntə(r)víːn] : 「間に入る、介在する、干渉する、介入する」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
- thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思索、思想、見解」
- result [rizʌ́lt] : 「結果、効果、成果、成績」
- tamper [tǽmpər] : 「許可なくいじる、不正に変更する、改ざんする」
- basic law : 「基本法則」
- cause and effect : 「因果、原因と結果」
- fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の」
❖ "If I intervened ~ "「もし、私があなたの思考とその結果の間に介入したら」"I would be ~ "「私は因果の基本法則を改ざんしてしまうことになる」。"the most fundamental ~ "「因果の基本法則とは、存在する法則の中で最も基本となる法則である」。恐れはあなたの思考が原因となって生み出した結果である。もしイエスがあなたの夢に中に侵入して結果である恐れを消滅させたなら、原因だけが残ってしまって、因果律を改ざんしたことになる。あなたの思考の結果である恐れを消滅させるには、原因となっているあなた自身の誤った思考を消滅させなくてはならないのだ。それはあなた自身の仕事である。
I would hardly help you if I depreciated the power of your own thinking. This would be in direct opposition to the purpose of this course.
- hardly [hάːrdli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
- depreciate [dipríːʃièit] : 「見くびる、軽視する」
- direct [dirékt] : 「直接の、直々の」
- opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、対立」
- in opposition to : 「 〜に反対で、〜に向かい合って 」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
- course [kɔ́ːrs] : 「講座、課程」
❖ "I would hardly help ~ "仮定法過去、「もし、私があなた自身の思考のパワーを軽視したなら、私があなたを助けることは難しいだろう」。あなたの思考はあなたの現実を生み出すパワーをもっている。思考が原因となって現実が結果されるのである。思考のもつ因果律的なパワーを軽視して、結果の現実を改ざんしたなら、思考の誤り自体を正すことには出来ない。イエスでさえ、あなたを恐れから救うことは不可能なのだ。なぜなら、恐れはあなたの思考の誤りが生み出したものだからだ。"This would be ~ "「このことは、このコースの目的に真っ向から反することになる」。このコースは、あなたの思考を正すことであって、思考の結果を正すことではない。思考を正せせば、結果は自ずから正されるのだ。もちろん、結果を消滅させたからといって、原因となっている思考の誤りが正されることはない。
It is much more helpful to remind you that you do not guard your thoughts carefully enough.
- much more : 「さらに多くの」
- helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な、参考になる」
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる、指摘する」
- guard [gɑ́ːrd] : 「〜を守る、保護する、警備する 」
- carefully [kέərfəli] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
- enough [inʌ́f] : 「十分に」
❖ "It is much ~ "「that以下をあなたに思い起こさせることは大いに助けとなる」。"that you do not ~ "「あなたが十分注意深く自分の思考を守ることをしていない」ということを思い起こさせることは大いに助けとなる。ここの"guard"「守る」という意味であるが、誤った方向に逸(そ)れないように正しい思考を守る、という意味合い。思考のもつ現実化パワーを軽視しないようにしなくてはいけない。しかし、今のあなたは、思考のもつ現実化パワーを見くびって、誤った思考によって幻想を生み出している。たとえば、あなたは自分は他者から分離した存在だと思考し、その結果、肉体をもった孤立的な存在を現実化しているのである。たとえば、物質的な豊かさが幸せをともたらしてくれると思考し、その結果、物欲の中に自分を閉じこめ、不足感に嘖まれている。
You may feel that at this point it would take a miracle to enable you to do this, which is perfectly true.
- feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
- at this point : 「ちょうど今、今現在、現時点では、現段階では」
- take :「 〜を要する、必要とする」
- enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜が〜出来るようにする」
- perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり、全く」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "You may feel ~ "「あなたはthat以下を感じているかもしれない」。"that at this point ~ "「現時点で、これをなすには奇跡が必要である」と感じているかもしれない。"which is ~ "「それは完全に正しい」。今のあなたの思考を正しい方向に位置づけるのは至難の業であり、奇跡でも起きない限り直せないと感じているかもしれないが、まさに、それは正しい。あなたには、真実に目覚める奇跡が必要なのだ。
You are not used to miracle-minded thinking, but you can be trained to think that way. All miracle workers need that kind of training.
- be used to : 「〜に慣れている、〜するのはお手のものである」
- train [tréin] : 「〜をしつける、教え込む、教育する、訓練する」
- that way : 「そのように、あのように、あんなふうに」
- training [tréiniŋ] : 「訓練、トレーニング、練習、教育」
❖ "You are not ~ "「あなたは奇跡に根ざした思考に慣れていない」。"miracle-minded"「奇跡の心をもった」を「奇跡に根ざした」と訳してみた。"but you can be ~ "「しかし、あなたはそのように考えることを訓練することが出来る」。"All miracle workers ~ "「すべての、奇跡を行う者はこの種の訓練が必要である」。心を正しい方向に位置づけ、思考を真実に根ざしたものにするには、真実を具現化する奇跡を起こす意思が必要であって、それを実行するには心を訓練する必要がある。
2. I cannot let you leave your mind unguarded, or you will not be able to help me.
- let : 「させる、〜することを許可する」
- leave [líːv] : 「〜をそのままにしておく、ある状態のままにしておく」
- unguarded : 「ガードされていない、無防備の」
- able [éibl] : 「出来る、能力のある」
❖ "I cannot let ~ "「私は、あなたがあなたの心を無防備にしておくようなことは出来ない」。"or you will ~ "「さもなくば、あなたは私を助けることが出来ないであろう」。あなたが心を放ったらかしにしたら、イエスの仕事は一向にはかどらない、ということ。あなたを救済することがホーリー・スピリットとしてのイエスの仕事(役割)なので、救済される側のあなたが心に対して無頓着であったのでは、救済する側の仕事ははかどらないわけだ。具体的に言えば、恐れという幻想を作り出した心を放ったらかしにせず、まずはその恐れを消滅させよ、ということ。そうすれば、ホーリー・スピリットやイエスは、あなたを幻想世界から救い出すことが出来るのである。
Miracle working entails a full realization of the power of thought in order to avoid miscreation.
- entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
- realization [rìːəlizéiʃən] : 「認識、実感、実現、成就、具現化」
- in order to : 「〜するために、〜する手段として 」
- avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
- miscreation [kriéiʃən] : 「誤った創造」
❖ "Miracle working ~ "「奇跡を行うには、誤った創造を避けるために、思考の力を十二分に認識することが必要である」。思考は、誤れば幻想を生み出し、正しい思考は真実を具現化する。そういう心のもつ思考のパワーを十分に認識する必要がある。
Otherwise a miracle will be necessary to set the mind itself straight, a circular process that would not foster the time collapse for which the miracle was intended.
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
- set [sét] : 「〜を(ある状態に)する、定める、配置する、設定する」
- straight [stréit] : 「正しい、きちんとした、率直な、誠実な」
- circular [sə́ːrkjulər] : 「回りくどい、分かりにくい、循環する」
- process [prάses] : 「製造過程、一連の行為、進行、経過、推移」
- foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、育成する、助成する、助長する」
- collapse [kəlǽps] : 「崩壊、倒壊、失敗、挫折」
- intend [inténd] : 「〜するつもりである、〜を意図する 」
- intend A for B : 「AをBに提供するよう意図する」
❖ "Otherwise a miracle ~ "「さもなくば、心を正しい状態にするために奇跡が必要とされる」。心のもつ思考の力を認識せずに誤った創造を続けているなら、心を正すために奇跡が必要とされる。具体的には贖罪(Atonement)という奇跡である。思考の力を認識せずに誤った創造を続けていることは、"a circular process ~ "「奇跡が意図する時間の崩壊を促すことのない堂々巡りのプロセスである」。幻想から目覚めるとき時空は崩壊する。そのために奇跡は使われるべきなのだが、その前に、心のもつ思考の力を認識する必要がある。思考のパワーを認識することなく、恐れを抱いたまま右往左往することは堂々巡りのプロセスであって、時間を消滅させる奇跡からほど遠い。
The miracle worker must have genuine respect for true cause and effect as a necessary condition for the miracle to occur.
- genuine [dʒénjuin] : 「本物の、真の、正真正銘の、純粋な」
- respect [rispékt] : 「尊敬、敬意、尊重」
- cause and effect : 「因果、原因と結果」
- condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "The miracle worker ~ "「奇跡を行う者は、奇跡が起きるために必要な条件である真の原因と結果に対して純粋な尊敬の念をもたなくてはならない」。"true cause and effect"「真の原因と結果」とあるので、幻想世界の因果律ではなく、実相の因果律に対して、純粋な敬意をもて、ということ。正しい心が正しい思考を生み出し、その結果、真実が具現化するというプロセスである。このプロセスこそ、奇跡なのだ。