A. Special Principles of Miracle Workers
奇跡を行う者の特別な心得
11. The miracle abolishes the need for lower-order concerns. Since it is an out-of-pattern time interval, the ordinary considerations of time and space do not apply.
- abolish [əbɑ́li] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
- need [níːd] : 「必要、必要性」
- lower-order : 「下層階級、低位」
- concern [kənsə́ːn] : 「気遣い、懸念、心配、不安」
- since [síns] : 「〜なので、〜だから」
- out-of-pattern : 「型からはずれた、型にはまらない」
- time interval : 「時間間隔」
- ordinary [ɔ́ːrdənèri] : 「普通の、並みの、平凡な、ありふれた」
- consideration [kənsìdəréiʃən] : 「考慮、熟慮、じっくり考えること」
- space [spéis] : 「空間、余白、場所、スペース、空き地」
- apply [əplái] : 「当てはまる、適用される」
❖ "The miracle abolishes ~ "「奇跡は低次元の心配事の必要性を捨て去る」。つまり、奇跡を行う時は、お金の心配とか健康の心配とか、将来どうなるだろうとか、過去の実績はどうなるだろうとか、そういったこの世の肉体レベルの心配をする必要はない。むしろ、そんな心配を排除する。"Since it is an ~ "「奇跡は型にはまった時間間隔からはずれているので、時空に対する普通の考えは通用しない」。我々が肉体レベルで感じている時間の進み具合に対して、奇跡を行っている時の時間の進み具合は異なる。奇跡の時間はその進み方も異るのだが、過去現在未来という物理的因果律をも超越する。時空に対する普段の考えはまったく通用しない。
When you perform a miracle, I will arrange both time and space to adjust to it.
- perform [pərfɔ́ːrm] : 「〜を行う、実行する、遂行する」
- arrange [əréindʒ] : 「整える、配置する、準備する、用意する、手配する」
- both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
- adjust [ədʒʌ́st] : 「調整する、調節する、適合させる、適応させる」
❖ "When you perform ~ "「あなたが奇跡をなす時は、奇跡にぴったり合うように、私(イエス)が時間も空間も調節してあげよう」。なんとも心強い支援ではある。ACIMを語るイエスは純粋なスピリット(pure spirit)として、ほぼホーリー・スピリットと同等のパワーをもっている。むしろ、イエスはホーリー・スピリットと同化したと考えてもいいだろう。
12. A clear distinction between what is created and what is made is essential. All forms of healing rest on this fundamental correction in level perception.
- clear [klíər] : 「澄んだ、きれいな、汚れていない、明快な」
- distinction [distíŋkʃən] : 「差異、区別、特徴、特質」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
- essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
- healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
- rest [rést] on : 「〜に基礎を置く、〜を当てにする、〜にある」
- fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基礎の、基本的な、根本的な」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
- level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
❖ "A clear distinction ~ "「創造されたものと単に作られたものとを明確に区別することは必須である」。実相的な真実を創造することと、この幻想世界でさらなる幻想をでっち上げることとは、まったく次元が違う。したがって、"All forms of healing ~ "「ヒーリングのすべての形はレベル感覚における修正に基礎を置く」。ヒーリングにもいろいろあるが、どんなヒーリングでも、肉体のレベルと心のレベルの2つのレベル間における『レベルの混乱(level confusion)』を修正することにその基盤を置いている。どんな形のヒーリングも、幻想から実相への目覚めを促すのだ。
13. Never confuse right- and wrong-mindedness. Responding to any form of error with anything except a desire to heal is an expression of this confusion.
- confuse [kənfjúːz] : 「混乱させる、混同させる、乱す」
- mindedness [máindidnis] : 「心だて、〜主義」
- respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- except [iksépt] : 「ただし、除いて」
- desire [dizáiər] : 「 欲望、欲求、願望」
- heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
- expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
- confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
❖ "Never confuse ~ "「正しき心と正しからざる心を決して混同してはならない」。正しき心とは、真実を率直に見る実相的な心。正しからざる心とは、幻想を実在だと考えて幻想に留まろうとする怠惰な心。"Responding to any form ~ "「いかなる形の誤りに対しても、ヒーリングしたいと思う以外の願いを抱いて対処すれば、それは正しき心と正しからざる心の混同を表現していることになる」。真実に目覚めたい、心をヒーリングしたいと願うことは正しい心の働きである。ヒーリングしたいと思わないことは、正しからざる心を正当化して、そんな心の方が正しいと、真実と虚偽とを混同するようなものだ。
14. The miracle is always a denial of this error and an affirmation of the truth. Only right-mindedness can correct in a way that has any real effect.
- denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
- affirmation [æ̀fərméiʃən] : 「確約、断言、肯定、確認」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- effect [ifékt] : 「効果、効力、結果、影響」
❖ "The miracle is ~ "「奇跡は常にこの種の誤りを否定しているし、真実なるものに対する肯定的な表現である」。この種の誤りとは、前文の正しき心と正しからざる心の混同。より広範に、レベル感覚の混乱、ととらえてもいいだろう。"Only right-mindedness ~ "「正しき心だけが、実相的な効果を期待出来る方法をもって正せるのだ」。真実に目覚めた心だけが、幻想に埋没した心を実相へと目覚めさせることが出来る。真実だけが虚偽を駆逐出来るのだ。光だけが闇を払拭出来るのである。
Pragmatically, what has no real effect has no existence. Its effect, then, is emptiness. Being without substantial content, it lends itself to projection.
- pragmatically [prægmǽtikəli] : 「実践的に、実用主義的に、実際的に」
- existence [igzístns] : 「存在、生存、現存、実存、実在」
- emptiness [émptinəs] : 「空虚、無意味、空腹」
- without [wiðáut] : 「〜がなくて、〜を持たないで」
- substantial [səbstǽnʃəl] : 「実質的な、実体のある、内容のある」
- content [kɑ́ntent] : 「内容、中身、在中物」
- lend [lénd] : 「 〜を貸す、貸し出す 」
- projection [prədʒékʃən] : 「投影、射影、投射、映写」
❖ "Pragmatically, what has ~ "「実際、実相的な結果を伴わないものは存在出来ない」。結果が幻想なら、そんな結果は実在しない。"Its effect, then ~ "「したがって、その結果は空(くう)である」。幻想の生み出す結果は空(くう)である。"Being without ~ "分詞構文、理由。「実質的な内容を持たないので、」中身が空っぽなので、"it lends itself ~ "直訳すると、「それは自分自身を投影に貸し出す」。つまり、自分自身を投影する、ということ。ただ単に、空(くう)なるキャンバスに欲望を投影して描いたイメージに過ぎない。肉体レベルの視点で現実に見えるものはすべて幻想である。それは実相的な結果ではない。真実の結果ではないのだ。すべては空虚なスクリーンに映し出された投影に過ぎないのである。
15. The level-adjustment power of the miracle induces the right perception for healing. Until this has occurred healing cannot be understood.
- adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘導する、誘発する」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
- until [əntíl] : 「〜までは…しない、〜になってやっと」
- understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
❖ "The level-adjustment ~ "「奇跡がもっているレベル調整の力は、ヒーリングにとっての正しい知覚を引き出してくれる」。つまり、奇跡にはレベル感覚の混乱を正常な状態に戻す力があり、そのことによってヒーリングの際に正しい知覚を発揮することが出来る、ということ。何が真実で何が虚偽なのか、何が実在で何が非実在なのか、何が実相で何が幻想なのか、奇跡はヒーリングを行う者のレベル感覚を正しく調整してくれる。"Until this has ~ "「このことが起きるまでは、ヒーリングは理解され得ない」。レベル感覚が正しく調整されるまでは、真のヒーリングが何なのか理解されない。たとえば、病気を肉体レベルで治すのがヒーリングだと思われるかもしれないし、心のレベルでのヒーリングが肉体的な病気を治すなどと信じられないかも知れない。
Forgiveness is an empty gesture unless it entails correction. Without this it is essentially judgmental, rather than healing.
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- empty [émpti] : 「空の、空いている、空っぽの」
- gesture [dʒéstʃər] : 「ジェスチャー、身ぶり、手まね」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
- essentially [isénʃəli] : 「本質的に、基本的に、原則的に」
- judgmental [dʒʌdʒméntl] : 「判断の、断定的な、極めて批判的な」
- rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
❖ "Forgiveness is an empty ~ "「赦しが(レベル感覚の混乱や心の)修正を引き出さない限り、それはむなしいジェスチャーに過ぎない」。罪というものに対して、その実在性を認めて許すのが、この幻想世界の許し。罪は幻想に過ぎないと認識し受け入れることが実相世界の赦し。この世の許しは、むなしいジェスチャーである。"Without this it ~ "「これなくして、赦しは、ヒーリングというよりは、基本的に判断に過ぎない」。判断は理性的な頭脳の仕事であり、心の仕事ではない。赦しがレベル感覚や知覚の修正を伴うものでなければ、それは単なる善悪の判断の上に成立したこの世の許しに過ぎない。善悪の判断、これもエゴが仕掛ける巧妙なワナである。