2. The best defense, as always, is not to attack another's position, but rather to protect the truth.
- defense [diféns] : 「防衛、防御,弁護、擁護」
- as always : 「いつものように」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つのもの、もう一人、別の人」
- position [pəzíʃən] : 「立場、位置、地位、身分」
- rather [rǽðər] : 「それどころか、もっと正確に言えば、正しくは」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、かばう」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "The best defense ~ "「最もよい防御は、いつでもそうなのだが、相手の立場を攻撃することではなく、真実を守ることである」。"not ~ but ~"の構文。
It is unwise to accept any concept if you have to invert a whole frame of reference in order to justify it.
- unwise [ʌnwáiz] : 「思慮が足りない、分別がない、愚かな、知恵がない」
- accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、考え方、構想、基本的な方向」
- invert [invə́ːrt] : 「逆さにする、反対にする、反転させる」
- whole [hóul] : 「すべてを含んだ、欠けたものがない」
- frame of reference [réfərəns] : 「 関係枠、基準系、準拠枠、視点」
- in order to: 「〜するために、〜する手段として 」
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「正しいとする、弁明する、正当化する」
❖ "It is unwise to accept ~ "「もし、あなたが、ある概念を正当化するために、考え全体の基準系を逆転させる必要があるなら、どんな概念をも受け入れるのは賢明でない」。考え全体の基準系を逆転させてまで、ある概念を受け入れる必要はない、それは賢明でない、ということ。真実を守ることが大切なのであって、自己正当化のために真実の基準系を逆転させてはいけない。簡単に言えば、主義、思想、信仰の正当化のために、真実をねじ曲げてはいけない、ということ。
This procedure is painful in its minor applications and genuinely tragic on a wider scale.
- procedure [prəsíːdʒər] : 「手順、手続き、手段、処置、やり方、行為」
- painful [péinfl] : 「痛い、苦しい、苦痛の、悲痛な」
- minor [máinər] : 「重要でない、より小さい、大したことのない」
- application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
- genuinely [dʒénjuinli] : 「誠実に、純粋に、真に、正真正銘」
- tragic [trǽdʒik] : 「悲劇の、悲惨な、痛ましい、悲劇的な」
- wide [wáid] : 「広い、広範な、幅が広い、幅広の」
- scale [skéil] : 「目盛り、定規、物差し、尺度、基準」
❖ "This procedure is ~ "「このようなやり方は、ちょっとした応用でも苦痛であるし、より大きなスケールにおいてはまさに悲劇的である」。"This procedure"とは「考え全体の基準系を逆転させてまで、ある概念を受け入れること」。既存の主義、思想、信仰を正当化しようと、あなたが感じる真実を180度ねじ曲げてしまうことは、小さな真実に対してさえ苦痛を伴うが、より大きなスケールでは悲劇的でさえある。
Persecution frequently results in an attempt to "justify" the terrible misperception that God Himself persecuted His Own Son on behalf of salvation. The very words are meaningless.
- persecution [pə̀ːrsikjúːʃən] : 「迫害、虐待」
- frequently [fríːkwəntli] : 「しばしば、頻繁に、たびたび」
- result[rizʌ́lt] in :「〜に終わる、〜に帰着する、〜に結実する 」
- attempt [ətémpt] : 「試み、企て、計画」
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当化する、正当だと説明する」
- terrible [térəbl] : 「ひどい、過酷な、恐ろしい」
- misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
- persecute [pə́ːrsikjùːt] : 「〜を迫害する、〜を苦しめる」
- on behalf of : 「〜に代わって、〜のために、〜の利益になるように」
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無意味な」
❖ "Persecution frequently ~ "「しばしば迫害は、神自らが救済を名目に独り子を迫害したというひどく誤った認識を『正当化』する試みに帰着する」。ここは主語と述語部分を逆にして、神が神の子すべての救済のためにイエス一人だけを犠牲にしたという誤った考えを正当化するために、しばしば迫害が起こった、ということ。信仰を正当化しようとして、大きなスケールの悲劇的な迫害が行われたのだ。"The very words ~ "「言葉自体がまさに意味がない」。"persecution"「迫害」と"salvation"「救い」とが直結しているわけで、矛盾語法的であり、意味がない、ということ。神が、救いのために迫害したなどという論法は、言葉自体が矛盾して意味がない、ということ。
It has been particularly difficult to overcome this because, although the error itself is no harder to correct than any other, many have been unwilling to give it up in view of its prominent value as a defense.
- particularly [pərtíkjulərli] : 「特別に、とりわけ、かなりの程度、非常に」
- difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
- overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える、打開する、打ち勝つ」
- although [ɔːlðóu] : 「〜ではあるが、〜だけれども」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
- unwilling [ʌnwíliŋ] : 「気が進まない、不本意の、嫌がる」
- be unwilling to : 「〜することに気が進まない、〜することを嫌がる」
- give up : 「あきらめる、中止する、見切りをつける」
- in view of : 「〜を考慮して、〜が見えるところに」
- prominent [prɑ́minənt] : 「突出した、目立った、顕著な」
- value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
- defense [diféns] : 「防衛、防御,弁護、擁護」
❖ "It has been ~ "「これを克服することはとりわけ困難である」。"It ~ to do ~ "の構文。"this"は前文の、誤った考えを正当化するために真実をねじ曲げ、迫害すら辞さないこと。"because, although ~ "「なぜならば、誤り自体は、他に比べて修正が困難だというのではないが、多くの人がその誤った認識を諦めようとしないからだ」。誤りを修正することはさほど難しくはないが、誤りを認めることが困難なのだ。"in view of its ~ "直訳すると「それの、防御としての突出した価値を考慮すると、」多くの人がその誤った認識を諦めようとしないからだ。つまり、その誤認識を、防御として価値があると考えて、なかなか捨てようとしない、ということ。イエスが神の子全体の罪を背負って磔刑に処せられたのだから、神の意図通り、自分の罪は許されたはずだと考え、自己防御の価値を捨てることが出来ないのだ。
ところが、これでは余りにも虫が良過ぎるだろうと考えたのか、『最後の審判』という概念を作り出し、イエスが神の子の罪を背負って犠牲になったにも関わらず、お前の罪は最後には審判にかけられて、地獄行きに処せられるかもしれないぞ、と脅すわけだ。宗教家が昔から使う飴とムチの論である。仏の慈悲を謳いながら、地獄の恐怖を吹き込むのも同様。
In milder forms a parent says, "This hurts me more than it hurts you," and feels exonerated in beating a child. Can you believe our Father really thinks this way?
- mild [máild] : 「温和な、温暖な、優しい、穏やかな、軽い」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
- parent [péərənt] : 「 親、両親」
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
- more than + (節) : 「〜以上に、十二分に」
- feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
- exonerate [igzɑ́nərèit] : 「〜の容疑を晴らす、〜の潔白を証明する、解放する」
- beat [bíːt] : 「打つ、たたく、殴る、殴打する」
- believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
- this way : 「このように」
❖ "In milder forms ~ "「より軽い形ではあるが、親は(子に次のように)言う」"This hurts me ~ "「おまえも痛いだろうが、こっちはもっと(心が)痛む」と。"and feels exonerated ~ "「そう言うことで、子供を叩くという罪悪感から解放されると感じる」。"Can you believe ~ "「私たちの父なる神が本当にこれと同じ様に考えると、あなたは信じられるであろうか」。
It is so essential that all such thinking be dispelled that we must be sure that nothing of this kind remains in your mind.
- essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の」
- dispel [dispél] : 「〜を追い払う、払いのける、追い散らす」
- sure [ʃúər] : 「確かな、確実な、確固とした」
- kind [káind] : 「種類」
- remain [riméin] : 「残る、残存する」
❖ "It is so essential ~ "「そのような考えはすべて払拭されるべきだということは絶対必要であるから、」ここの"thinking be"の間に、省略された"should"を補うといい、"that we must be ~ "このthatは"so ~ that ~ "構文のthat、「この種のことはすべてあなたの心の中に残らないことを、私たちは確信しなくてはいけない」。愛を語るフリをして暴力を振るうとか、愛のために犠牲を強いるとか、そういった考えは払拭される必要があり、どんな種類のものであっても、そんな考えは心に残しておいてはいけない。いかなる種類の犠牲も真実ではない。真実ではないから幻想であり、特に自己を正当化するような幻想は心に隠し持っていてはいけない。
I was not "punished" because you were bad. The wholly benign lesson the Atonement teaches is lost if it is tainted with this kind of distortion in any form.
- punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
- wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に、すっかり」
- benign [bənáin] : 「良性の、親切な、害のない、恵み深い、優しい」
- atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
- teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する、学ばせる、悟らせる」
- lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- taint [téint] : 「〜を損なう、傷つける、悪化させる」
- distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
- in any form : 「いかなる種類のものであれ」
❖ "I was not ~ "「私(イエス)はあなたが悪いから『罰せられた』のではない」。イエスが十字架に架けられて殺されたのは、私たち人間の原罪を贖(あがな)うためだと信じられているが、そうではないとイエスは断言する。原罪は、もちろん、アダムとイブの神への裏切りに由来する。ACIMにおいては、楽園追放は、神からの分離を象徴する神話として語られている。"The wholly benign ~ "「もし贖罪が、いかなる形であっても、この種の歪曲によって損なわれたとしたら、贖罪が教える完全に恵み深いレッスンは失われてしまう」。ACIMでは、贖罪は命への扉である。その意味で、贖罪は恵み深いレッスンである。しかし、贖罪が、神への裏切りの罪を贖(あがな)うものであると曲解されたなら、贖罪のもつ恵み深さは失われてしまう。イエスの磔刑を曲解すれば、命の復活を教える贖罪の意味は失われる。
くどくなるが、ここでもう一度ACIMの贖罪について話しておこう。贖罪とは、罪を贖(あがな)うこと、罪を償(つぐ)うことなのだが、ACIMでは、贖罪は罪を認めて許しを得る行為ではない。罪の存在を認めることは罪を現実化してしまうことであり、罪の消滅には繋がらないのだ。そうではなく、神を裏切った罪は、実は夢の中の出来事であって、それは幻想に過ぎないと認識し、その罪の幻想性を受け入れて受け流し、赦してしまうことなのである。赦しによって幻想は消滅し、したがって、幻想の罪も同時に消える。贖罪とは、まさに罪滅ぼし、罪を滅ぼすことなのである。
したがって、ACIMの赦しとは、他者の悪行や罪を許すことではない。他者の悪行や罪もまた幻想なのだと認識して受け入れ、消滅させることである。しかし誤解してはいけない、ACIMは、あなたが他者から攻撃されたら、それも幻想なのだから、黙って攻撃されるに任せよ、などとは一言も言ってはいない。極端な話し、ヒトラーやスターリン、毛沢東、等々の残虐極まりない行為を黙認せよ、などとは言っていない。そうではなく、あなたの思考システムを変えよ、と言っているだけなのだ。夢を現実と錯覚してしまう思考、幻想を実相と取り違える思考を、その根本から変えよ、と教えているだけである。そこに赦しと贖罪の奇跡(真実の現実化)が生れるのである。