5. Nothing can prevail against a Son of God who commends his spirit into the Hands of his Father. By doing this the mind awakens from its sleep and remembers its Creator.
- prevail [privéil] : 「広がる、流行する、勝つ、勝る」
- prevail [privéil] against : 「〜に打ち勝つ、〜をしのぐ」
- commend [kəménd] : 「委ねる、託する、褒める、称賛する」
- spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
- awaken [əwéikən] : 「目を覚まさせる、呼び起こす」
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "Nothing can prevail ~ "「スピリットを父なる神の手の中に委(ゆだ)ねた神の子に対して、何ものも打ち勝つことは出来ない」。"spirit"は"mind"と同等だと思っていい。心の神髄がスピリットである。簡単に言えば、垢がとれてピュアーになった心、それがスピリット。"By doing this ~ "「こうすることで、心は眠りから醒め、その創造主を思い出す」。心の神髄を神の意思に委ねたとき、心は幻想の深い眠りから覚め、神の愛を思い出す。神に心を委ねること、それが、ACIMの絶対他力である。誤解してはならないのは、他力とは依存ではないということ。ところが、我々の多くは、絶対他力と絶対依存を混同している。『叶わぬ時の神頼み』などという言葉を生み出すわけだ。『人事を尽くして、天命を待つ』と言うべきであり、人事を尽くす際にもホーリー・スピリットの導きに一任し、結果もまた神の意思に委ねる、つまり、一貫して心をすべて神に委ねてしまうのである。絶対他力である。
All sense of separation disappears. The Son of God is part of the Holy Trinity, but the Trinity Itself is One. There is no confusion within Its Levels, because They are of one Mind and one will.
- sense [séns] : 「感覚、感覚能力」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- disappear [dìsəpíər] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- trinity [trínəti] : 「三つ組、3人組」
- the Holy Trinity : 「三位一体」
- confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、混同、当惑」
- level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
- will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
❖ "All sense of ~ "「すべての分離感覚は消滅する」。"The Son of God ~ "「神の子は三位一体の一部である」。"but the Trinity ~ "「しかし、三位一体自体は一つである」。"There is no ~ "「そこにはレベルの混乱はない」"because They are ~ "「なぜなら、三位一体は一つの心、一つの意志だからである」。三位一体はご存じのように「神と精霊と子」である。形は3つに分裂しているように表現されるのだが、本当は一つである。したがって、どれがどのレベルに属するかというようなレベルの混乱は起きない。つまり、どれがどれに優先するとか、どれが一番レベルが高いか、などという序列はない。
神から分離した神の子が、ホーリー・スピリットの導きに従って神の住む天の王国に回帰出来たとき、神と神の子とホーリー・スピリットの三位(さんみ)は融合する。それが三位一体。実相世界は純粋な一元論世界なので、三位一体は必然である。
This single purpose creates perfect integration and establishes the peace of God. Yet this vision can be perceived only by the truly innocent.
- single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
- perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
- integration [ìntigréiʃən] : 「統合、一体化、統一、融合、調和」
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
- vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に」
- innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、無害の、率直な、純真な」
❖ "This single purpose ~ "「このただ一つの目的は、完璧な統合を創造し、神の平和を樹立する」。"This single purpose"とは、神の子がそのスピリット(あるいは心)を神に委ね、眠りから醒めて神とホーリー・スピリットと神の子が一体になること。"Yet this vision ~ "「だが、このヴィジョンは真に無辜(むこ)なる者によってしか知覚し得ない」。清い水が月を映すように、心が清くなると、そこにヴィジョンが映し出される。濁った水は何も映さない。清い心の持ち主だけが、三位一体がもたらす平和を、心のヴィジョンを通して目撃する。
Because their hearts are pure, the innocent defend true perception instead of defending themselves against it.
- purely [pjúərli] : 「純粋に、単に、きれいに」
- defend [difénd] : 「守る、防御する」
- instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
❖ "Because their hearts ~ "「彼らの心は純粋だから、」"the innocent defend ~ "「無辜なる者は、正しい知覚に対抗して自分自身を守ろうとする代わりに、正しい知覚を守る」。つまり、正しい知覚をすると自分の罪が露わになるのではないかと恐れて、正しい知覚に対抗して自分を守ろうとする誘惑が生じるだろうが、無辜なる者は自分に罪がないことを知っているので何も恐れることなく、積極的に正しい知覚、正しい認識を守ろうとする、ということ。
Understanding the lesson of the Atonement they are without the wish to attack, and therefore they see truly.
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
- atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
- wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
❖ "Understanding the lesson ~ "分詞構文、理由、「贖罪のレッスンを理解しているので、彼らは攻撃を望むことはないし、そして、それゆえ、彼らは正しく見る(ことが出来る)」。罪が幻想であると認識し、それを受け入れて赦すことで罪を消滅させる。これが贖罪である。その赦しの原理、贖罪の原理を知っているので、攻撃もまた幻想であるから、それを望むことはない。彼らはヴィジョンをもって正しく真実を見ているのだ。
This is what the Bible means when it says, "When he shall appear (or be perceived) we shall be like him, for we shall see him as he is."
- mean [míːn] : 「〜を意味する」
- appear [əpíər] : 「現れる、出現する、登場する」
❖ "This is what ~ "「これは、聖書が次のように書いていることと同じ意味である」。 "When he shall ~ "「彼(イエス・ キリスト)が現れるとき(知覚されたとき)、我々は彼と同じようになるであろう。なぜなら、我々は彼をありのまま見るであろうから」。イエスが現れてイエスをありのままに見ることが出来たとき、それは無辜なるあなたのヴィジョンがイエスを見ていることを示している。イエスとあなたの無辜性は同一なのだ。
この文章はヨハネの手紙一 3:2に出てくる。参考までに、ここに載せておくが、皮肉なことに、この手紙の作者は、イエスが肉体を持たない霊的存在であることを否定し、イエスの磔刑によって人類が贖罪されたことを肯定している。つまり、ACIMのイエスは、ヨハネの手紙を書いた人物を批判する代わりに、手紙の内容を再解釈して、正しい認識に到らしめようとしているのだ。
[1 John 3:2 from King James Bible]
Beloved, now are we the sons of God, and it doth not yet appear what we shall be: but we know that, when he shall appear, we shall be like him; for we shall see him as he is.
愛する者たち、わたしたちは、今既に神の子ですが、自分がどのようになるかは、まだ示されていません。しかし、御子が現れるとき、御子に似た者になるということを知っています。なぜなら、そのとき御子をありのままに見るからです。(新共同訳)
6. The way to correct distortions is to withdraw your faith in them and invest it only in what is true. You cannot make untruth true.
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
- distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
- withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「〜を取り消す、取り下げる、撤回する」
- faith [féiθ] : 「 信頼、信用、信仰、信条」
- invest [invést] : 「〜を投資する、出資する、運用する、注ぎ込む」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- untruth [ʌntrúːθ] : 「真実でないこと、虚偽」
❖ "The way to correct ~ "「(心の)歪みを正す方法は、歪みを信じることを撤回して、真実なるものだけに信じる気持ちを注ぎ込むことである」。"You cannot make ~ "「虚偽を真実に変えることは出来ない」。幻想を実相に変えることは出来ないのだ。幻想を信じることを撤回し、実相だけを信じる。
If you are willing to accept what is true in everything you perceive, you let it be true for you.
- be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
- accept [əksépt] : 「引き受ける、認める、容認する、受け入れる」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "If you are willing ~ "「もし、あなたが、あなたが知覚するすべてのものの中にある真実なるものを心から受け入れる用意があるなら、」"you let it ~ "「あなたはそれを、あなたにとっての真実に出来る」。玉石混交の幻想世界にあっても、ヴィジョンをもって真実を知覚し、その真実だけを受容することで、自分にとっての真実にすることが出来る。
Truth overcomes all error, and those who live in error and emptiness can never find lasting solace.
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- overcome [òuvərkʌ́m] : 「勝つ、打ち勝つ、克服する、乗り越える」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- emptiness [émptinəs] : 「 空虚、むなしさ、無意味」
- find [fáind] : 「発見する、見いだす、気付く、理解する」
- lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、永久の、永続する、続く、持続的な」
- solace [sɑ́ləs] : 「慰め、安堵、癒やし」
❖ "Truth overcomes ~ "「真実はすべての誤りに打ち勝つ」。"and those who ~ "「そして、誤りの中に、あるいは空虚の中に生きる人々は、決して永続する慰めを見つけることは出来ない」。
If you perceive truly you are canceling out misperceptions in yourself and in others simultaneously.
- cancel [kǽnsl] : 「〜をキャンセルする、〜を取り消す、〜を中止する」
- misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
- simultaneously [sàiməltéiniəsli] : 「同時に、いっせいに」
❖ "If you perceive ~ "「もしあなたが正しく知覚するならば、あなたは、あなたの中の、そして同時に他者の中の誤った知覚を取り消すことになる」。あなたがヴィジョンをもって正しく真実を見ることが出来れば、自他一如である他者もまた、あなたと同じ無辜なる神の子であると認識することが出来、他者の誤った知覚は幻想であると赦して、他者のヴィジョンを回復出来るのだ。
Because you see them as they are, you offer them your acceptance of their truth so they can accept it for themselves. This is the healing that the miracle induces.
- offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
- acceptance [əkséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認、受諾、受理」
- healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘導する、誘発する」
❖ "Because you ~ "「あなたは彼らをあるがままに見るので、」"you offer them ~ "意訳すると、「彼らが自分自身に対して自分の真実を受け入れることが出来るようにするために、あなたは、彼らの真実を心から受け入れる」。あなたがヴィジョンをもって他者もまた無辜なる神の子であると受け入れることが出来れば、その真実は彼らにも反映して、彼らもまた自分が無辜なる神の子であると受け入れることが出来る。"This is the healing ~ "「これが、奇跡が引き起こすヒーリングである」。ヒーリングとは真実の具現化、幻想を払拭して、無辜なる存在に気付かせることである。