5. Nothing and everything cannot coexist. To believe in one is to deny the other.
- coexist [kouigzíst] : 「共存する」
- believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "Nothing and ~ "「何もないことと、すべてがあることは共存出来ない」。"To believe in ~ "「一方を信じれば、他方が否定される」。いわゆる二律背反であり、幻想(nothing)と実相(everything)は二律背反なのだ。
Fear is really nothing and love is everything. Whenever light enters darkness, the darkness is abolished.
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
- whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも、〜したときはすぐ」
- enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
- abolish [əbɑ́li] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
❖ "Fear is really ~ "「実際、恐れは無であり、愛はすべてである」。"Whenever light ~ "「光が闇に入り込めば、かならず、闇は消え去る」。愛や光は実相(everything)であり、恐れや闇は幻想(nothing)である。
What you believe is true for you. In this sense the separation has occurred, and to deny it is merely to use denial inappropriately.
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- in this sense : 「この意味で、この意味において」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
- inappropriately [ìnəpróupriətli]: 「不適切に」
❖ "What you believe ~ "「あなたが信じることはあなたにとって真実である」。"In this sense ~ "「この意味で、(神からの)分離は起こった」。つまり、神から分離出来ると信じ、分離したと信じたからこそ、そう信じた者にとって神からの分離は起きてしまったのだ。もちろん、幻想を信じているだけなのだが。"and to deny ~ "「そして、それ(分離)を否定することは、単に否定の不適切な使い方である」。信じて現実化してしまったものを頭ごなしに否定しても埒(らち)があかない。臭いものに蓋(ふた)をしただけでは、その原因を断ち切ることは出来ないのだ。夢の中で夢の現実を否定するだけでは、夢から目覚めることは不可能である。
However, to concentrate on error is only a further error.
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- concentrate [kɑ́nsəntrèit] : 「集中する、全力を注ぐ、専念する」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- further [fə́ːrðər] : 「なお一層の、さらなる、追加的な」
❖ "However, to concentrate ~ "「しかし、誤りに集中することは、ただ単に、さらなる誤りにつながる」。誤りに集中するとは、誤りを正すことを忘れて、ただ単に誤りを犯したことを後悔し、その誤りを否定すること。
The initial corrective procedure is to recognize temporarily that there is a problem, but only as an indication that immediate correction is needed.
- initial [iníʃəl] : 「最初の、初めの、初の、初期の、冒頭の」
- corrective [kəréktiv] : 「訂正の、修正の」
- procedure [prəsíːdʒər] : 「手順、手続き、処置、やり方」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認める、認識する、認知する」
- temporarily [tèmpərérəli] : 「 一時的に、仮に、当座のところ」
- problem [prɑ́bləm] : 「問題、困ったこと、課題」
- indication [ìndikéiʃən] : 「兆候、目安、表れ、印、兆し、現れ」
- immediate [imíːdiət] : 「即時の、即座の、即刻の、迅速な」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
- need [níːd] : 「〜を必要とする、〜する必要がある」
❖ "The initial corrective ~ "「最初の修正手続きは、問題があるということを一時的ではあれ認識することである」。"but only as ~ "意訳する、「しかし、修正がすぐ必要であることを示している認識でなくてはいけない」。修正作業の始まりは、問題があることを率直に認め、なるべく早く解決しなくてはならないと認識すること。
This establishes a state of mind in which the Atonement can be accepted without delay.
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
- accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
- delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ」
❖ "This establishes ~ "「このことは、遅れることなく贖罪が受け入れられ得る心の状態を確立する」。あなたが犯した誤りは幻想に過ぎないと受け入れて赦し、誤りを消滅させてしまうことが贖罪(atonement)である。その贖罪を受け入れる心の準備を整えることが修正手続きの最初なのだ。
It should be emphasized, however, that ultimately no compromise is possible between everything and nothing.
- emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重視する、力説する」
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局のところ、最後に、詰まるところ」
- compromise [kɑ́mprəmàiz] : 「妥協、示談、妥協案、歩み寄り」
- possible [pάsəbl] : 「可能性がある、あり得る、なし得る」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
❖ "It should be ~ "「しかし、that以下は強調されなければならない」。"that ultimately ~ "「最終的には、すべてであることと何もないことの間でいかなる妥協も許されない」と強調されなければならない。つまり、最終的には愛と恐れとの間で妥協は許されない。もちろん愛を確立すべきで、そのとき、恐れは完全に消えていなくてはならない。光が闇を消し去るように、実相は幻想を消滅させるのである。
Time is essentially a device by which all compromise in this respect can be given up.
- essentially [isénʃəli] : 「本質的に、基本的に、原則的に」
- device [diváis] : 「機器、装置、道具、手段、仕掛け、工夫」
- in this respect [rispékt] : 「この点において」
- give up : 「あきらめる、断念する、降伏する」
❖ "Time is essentially ~ "「時間は基本的に、この点におけるすべての妥協を諦めさせ得る装置である」。時間は幻想であるが、学びのために活用出来る。時間は学びのための補助装置なのだ。「この点における」とは"everything"と"nothing"、つまり愛と恐れの間における、という意味。愛と恐れのどちらを選ぶかという点に関して、すべての妥協は時間という装置を使って解消出来る、ということ。
It only seems to be abolished by degrees, because time itself involves intervals that do not exist. Miscreation made this necessary as a corrective device.
- abolish [əbɑ́li] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
- by degrees : 「次第に、だんだんと、徐々に、漸次に、少しずつ」
- involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする、〜に伴って生じる」
- interval [íntərvl] : 「間隔、空間、隔たり、距離、合間」
- exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
- miscreation [kriéiʃən] : 「誤った創造」
- make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
- corrective [kəréktiv] : 「訂正の、修正の」
❖ "It only seems ~ "「それは、ただ、少しずつ捨てられるように見える」。つまり、妥協というものは時間をかけて少しずつ解消されるように見える。"because time ~ "「なぜなら、時間はそれ自体に間隔を含んでいるからだが、(本当は)そんな間隔は存在しない」。時間は、一瞬にして起きてしまったことを引き延ばし、間隔を空けて現実化して見せる。しかし、そんな間隔は実相的には存在しない。"Miscreation made this ~ "「誤創造は、修正のための装置として時間を必要なものとした」。誤創造を正すためには、時間という修正のための補助装置が必要である、ということ。神の子が神から分離した過去の時点において、神の子はこの幻想世界を誤創造(偽創造)した。その時点から時間は動き出し、誤創造の修正作業が始まった。もちろん、実相世界は無時間の世界であり、すべての事象が一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く世界であるから、誤創造の修正作業は既に完了している。しかし、時間はすべての事象と共に実相世界に畳み込まれていおり、その畳み込まれた時間を紐解(ひもと)くようにして展開し、誤創造という誤りを時間を軸として修正していくのである。
The statement "For God so loved the world that he gave his only begotten son, that whosoever believeth in him should not perish but have everlasting life" needs only one slight correction to be meaningful in this context; "He gave it to his only begotten son."
- statement [stéitmənt] : 「声明、陳述、述べたこと、発言、記述」
- begotten [bigɑ́tn] : 「beget の過去分詞形」
- beget [bigét] : 「父親が子をもうける、〜を生じさせる、引き起こす」
- whosoever : 「whoeverの強調形」
- believeth = believes
- perish [périʃ] : 「滅びる、死ぬ、消える、消滅する」
- everlasting [èvərlǽstiŋ] : 「永遠の、不朽の、永遠に続く」
- slight [sláit] : 「非常に小さい、極めて少量の、ほんのわずかな」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
- meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
- in this context [kάntekst] : 「このような文脈において、これに関連して」
❖ "The statement ~ "「〜という記述は、この文脈において意味を持たせるために、ちょっとした修正が必要である」。"For God so loved the world ~ "「神は世界をあまりにも愛していたので独り子を与えた」。"that whosoever ~ "「独り子を信じる者は決して死ぬことはなく、永遠の命をもっていられるようにするために」。ここの"that"は接続詞で、"so that"の略、「〜するために」。この文章を修正して、"He gave it ~ "「神は世界を独り子に与えた」とすべきだ、ということ。聖書には、神は世界に対して神の子を与えたと書かれているが、神は神の子に世界を与えたと言うべきだ。本当は、神が神の子に世界を与えたのでもなく、神の子が勝手に世界を誤創造したのだが、その誤創造を修正し永遠の命を回復させるために、つまり、実相世界に目覚めるために、幻想世界(時間)を学びのための補助装置として活用出来るようにせよ、と神は意思している、という意味合いである。
ところで、引用文はヨハネによる福音書3:16に出てくる。参考までに、ここに載せておこう。
[John 3:16 from King James Bible]
For God so loved the world, that he gave his only begotten Son, that whosoever believeth in him should not perish, but have everlasting life.
神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を与えるためである。(新共同訳)