3. Every loving thought held in any part of the Sonship belongs to every part. It is shared because it is loving.
- loving [lʌ́viŋ] : 「誠実な、愛情のある、愛情に満ちた」
- belong[bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
❖ "Every loving ~ "「神の子の誰かが抱く愛情のこもった思考のすべては、神の子すべてに属するものである」。"It is shared ~ "「それは、愛情がこもっているから、分かち合われるのだ」。
Sharing is God's way of creating, and also yours. The ego can keep you in exile from the Kingdom, but in the Kingdom itself it has no power.
- exile [égzail] : 「追放、亡命」
- in exile : 「追放されて、亡命して、流浪の身で」
❖ "Sharing is God's ~ "「分かち合うことは、神の創造の仕方であるし、あなたの創造の仕方でもある」。真実の拡張、それが実相的創造である。拡張は分かち合われることで実現する。"The ego can ~ "「エゴは天の王国から追放されたあなたを保持できるが、」"but in the Kingdom ~ "「天の王国自体においては、エゴは何の力もない」。エゴがあなたを保持するとは、あなたを支配するということ。あるいは、あなたがエゴを信奉するということ。神を捨てた神の子を奴隷として扱うのがエゴ。しかし、エゴは神に対抗することは不可能だ。
Ideas of the spirit do not leave the mind that thinks them, nor can they conflict with each other.
- leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる」
- conflict [kənflíkt] : 「衝突する、対立する、矛盾する 」
- conflict with : 「〜と衝突する、〜と対立する」
❖ "Ideas of the spirit ~ "「スピリットの考えは、その考えを生み出す心から離れることはないし、」スピリットは真実の総体である叡智をもって考え、実相的な心は叡智に満たされているから、その考えが心から乖離することはない。"nor can they ~ "「互いに衝突することも出来ない」。スピリットは単一なので、互いに反することはない。その考えも矛盾を引き起こすことはない。
However, ideas of the ego can conflict because they occur at different levels and also include opposite thoughts at the same level.
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
- different [dífərənt] : 「相違する、異なる 」
- include [inklúːd] : 「〜を含有する、包含する」
- opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の」
❖ "However, ideas ~ "「しかし、エゴの考えは、(スピリットとは)異なるレベルで起きるので、コンフリクトを起す可能性があり、」"and also include ~ "「また、同じレベルにありながら正反対の思考を含む可能性がある」。スピリットは実相レベル、エゴは幻想レベルである。幻想レベルは二項対立する事象で満たされているので、当然のようにコンフリクトを起こす。たとえば、信じる気持ちが強いほど疑ってしまうとか、愛するあまり憎んでしまうとか、二項対立する思いがダイナミックに変化流動していくのだ。しかし、変化流動の先にあるのは、崩壊と死である。
It is impossible to share opposing thoughts. You can share only the thoughts that are of God and that he keeps for you.
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
- opposing : 「対立するところの、正反対の」
❖ "It is impossible ~ "「対立する思考を分かち合うことは不可能である」。エゴの思考は分かち合うことが出来ない。"You can share ~ "「あなたは神のものである思考だけ、そして神があなたのためにキープしている思考だけを分かち合うことが出来る」。
And of such is the Kingdom of Heaven. The rest remains with you until the Holy Spirit has reinterpreted them in the light of the Kingdom, making them, too, worthy of being shared.
- rest [rést] : 「残り、残っているもの」
- remain [riméin] : 「とどまる、残る、残存する」
- reinterpret [riintə́ːrprət] : 「〜を再解釈する」
- in the light : 「明るい所に、明るみに、光の当たる所で」
- worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
❖ "And of such ~ "「天の王国はそういう思考のためのものである」。ここは、"Kingdom of Heaven is of such thoughts"の倒置。"The rest remains ~ "「残りの思考は、ホーリー・スピリットが〜するまであなたの下(もと)にとどまる」。"until the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットが天の王国の光の下でそれらを再解釈し、それらもまた分かち合われる価値があるようにするまで、」あなたの下にとどまる。ここの"making them ~ "は分詞構文で、単純接続、「そして、〜」とすればよい。コンフリクトを起こしている思考は、ホーリー・スピリットが真実の光に照らして再解釈し、分かち合う価値のある思考に修正するまで、あなたの下にとどまる。
ところで、冒頭の"And of such is the Kingdom of Heaven"は「天国はそんな人たちのものだよ」とか「天国はそのためにあるのだよ」と言うときの決まり文句である。これはマタイの福音書19:14に登場する文章である。参考までに載せておく。
[Matthew 19:13~19:15 from King James Bible]
Then were there brought unto him little children, that he should put his hands on them, and pray: and the disciples rebuked them. But Jesus said, Suffer little children, and forbid them not, to come unto me: for of such is the kingdom of heaven. And he laid his hands on them, and departed thence.
そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。しかし、イエスは言われた。「子供たちを来させなさい。わたしのところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。」そして、子供たちに手を置いてから、そこを立ち去られた。(新共同訳)
When they have been sufficiently purified he lets you give them away. The decision to share them is their purification.
- sufficiently [səfíʃəntli] : 「十分に、足りて」
- purify [pjúərəfài] : 「〜を浄化する、きれいにする」
- give away : 「ただで与える、 配る、分配する」
- decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
- purification [pjùərəfikéiʃən] : 「浄化、精製」
❖ "When they have ~ "「あなたの下に残された思考が十分に浄化された時、ホーリー・スピリットはあなたにそれらを他者と分かち合えるようにさせる」。"The decision to ~ "「それらを分かち合おうとする決心こそが浄化なのである」。あなたの正しい思考はエゴの闇に隠されている。ホーリー・スピリットが闇に光を当て闇をかき消したとき、初めて、分かち合う価値のあるあなたの思考が現れ出る。
4. I heard one voice because I understood that I could not atone for myself alone. Listening to one voice implies the decision to share It in order to hear It yourself.
- heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
- hear [híər] : 「〜を聞く、〜が聞こえる、耳にする」
- atone [ətóun] : 「償う、あがなう、罪滅ぼしをする」
- for oneself : 「自分のために、自力で」
- alone [əlóun] : 「独りで」
- imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
- decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
- in order to do : 「 〜するために」
❖ "I heard one ~ "「私は、〜だったので、一つの声に耳を傾けた」。"because I understood ~ "「私は、一人では、自分のための贖罪を果たすことが出来ないと理解していたので、」一つの声に耳を傾けた。イエスも心の中のホーリー・スピリットの声に耳を傾けた。"Listening to one ~ "「一つの声を聞くことは、あなた自身がそれを聞くために、その一つの声を分かち合おうと決断したことを暗に示している」。あなたがホーリー・スピリットの真実の声を聞きたいと思ったら、それを他者と分かち合おうと決心しなくてはいけない。真実は分かち合われることで拡張するので、真実の声を独占してはいけない。贖罪も同様に、あなた一人が罪の意識から救われても十分ではない。贖罪もまた分かち合われなければならない。
The Mind that was in me is still irresistibly drawn to every mind created by God, because God's wholeness is the wholeness of his Son.
- irresistibly [ìrizístəbli] : 「たまらなく、抗し難いほどに」
- drawn [drɔ́ːn] : 「draw の過去分詞形」
- draw [drɔ́ː] : 「〜を引き付ける、引き寄せる」
- wholeness : 「全体」
❖ "The Mind that ~ "「私の中にある一なる心は、今なお抗しがたいほどに、神によって創造されたすべての心に引き寄せられる」。イエスのスピリットは、多くの神の子の心に引き寄せられる。すべては神の創造した同胞だからだ。"because God's ~ "「なぜなら、神の完璧性は神の子の完璧性でもあるからだ」。イエスの心の完璧さは、あなたの心の完璧さと同様である。なぜなら、神の子はすべて、神の完璧さを継承したからだ。心の完璧さは共鳴し合う。美しいものが美しいものを引き寄せ、共鳴し合うのと同様である。
You cannot be hurt, and do not want to show your brother anything except your wholeness.
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に損害を与える」
- except [iksépt] : 「〜以外は、〜を除いては」
❖ "You cannot be~ "「あなたは傷つけられることはない」。"and do not ~ "「そして、あなたの完璧性以外に何ものもあなたの同胞に見せたいとは思わない」。実相としてのあなたは、どんな幻想によっても傷つけられることはない。なぜなら、あなたは完璧な自己を他者に示すことになるからだ。例えて言うなら、あなたの心が単なるガラス玉だったら傷つけられる恐れもあるだろうが、本物のダイヤモンドだったら、誰からも傷つけられることはない。あなたが他者に示す心は、そのダイヤモンドである。偽物は壊れるが、本物は壊れない。
Show him that he cannot hurt you and hold nothing against him, or you hold it against yourself. This is the meaning of "turning the other cheek."
- hold [hóuld] : 「維持する、保持する、心に抱く」
- hold A against B : 「AをもとにBに偏見をもつ、非難する」
- cheek [tʃíːk] : 「ほお 」
❖ "Show him that ~ "「同胞に、彼はあなたを傷つけることが出来ないのだと示しなさい」。強がって見せよ、と言っているのではない。実相的に完璧な自分を示しなさい、ということ。"and hold nothing ~ "「そして、同胞に対して敵意を抱いてはいけない」。"or you hold ~ "「さもなければ、あなた自身に対して嫌悪をもつことになる」。"This is the meaning ~ "「これが、『他のほおを向ける』という意味である」。誤解のないように言いたいのだが、殴られても外傷として『傷つかない』というような、フィジカルな意味で『傷つかない』と言っているのではない。幻想である肉体が傷つけられても、真の存在は決して傷つけられることはない、という意味で『傷つかない』のだ。イエスの非暴力主義はそういう地平まで突き進んだ結果のものであると考えていい。だから、もし他者がイエスの肉体を傷つけたとしても、それは幻想の世界の出来事であり、イエスはそれをもって他者を責めたり敵意をもったりしない。もし、それをもって他者を責めたりしたら、かえって自分の信念の不安定さを露呈するだけで、自己嫌悪、自責の念に陥ってしまうだけだ。なぜなら、幻想の世界にもてあそばれている自分の姿が露呈してしまうからだ。なお、"turning the other cheek"の文章はルカの福音書6:29およびマタイの福音書5:39に登場する。参考までに載せておく。
[Luke 6:27~6:29 from King James Bible]
But I say unto you which hear, Love your enemies, do good to them which hate you, Bless them that curse you, and pray for them which despitefully use you. And unto him that smiteth thee on the one cheek offer also the other; and him that taketh away thy cloak forbid not to take thy coat also.
しかし、わたしの言葉を聞いているあなたがたに言っておく。敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。悪口を言う者に祝福を祈り、あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい。あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。上着を奪い取る者には、下着をも拒んではならない。(新共同訳)
[Matthew 5:38~5:40 from King James Bible]
Ye have heard that it hath been said, An eye for an eye, and a tooth for a tooth: But I say unto you, That ye resist not evil: but whosoever shall smite thee on thy right cheek, turn to him the other also. And if any man will sue thee at the law, and take away thy coat, let him have thy cloak also.
あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。(新共同訳)