VII. The Decision for God
神を求める決意
1. Do you really believe you can make a voice that can drown out God's? Do you really believe you can devise a thought system that can separate you from him? Do you really believe you can plan for your safety and joy better than he can?
- drown [dráun] : 「〜をおぼれさせる、〜を…で紛らわす」
- drown out : 「かき消す、消し去る、押し流す、圧倒する」
- devise [diváiz] : 「〜を工夫する、発明する、考え出す」
- separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、切り離す」
- plan for : 「〜のために計画する」
- safety [séifti] : 「安全、無事」
❖ "Do you really ~ "「神の声をかき消す声を出すことが出来ると、あなたは本当に信じているのだろうか」。"Do you really ~ "「神からあなたを引き離すことができる思考システムを考案できると、あなたは本当に信じているのだろうか」。"Do you really ~ "「神が出来る以上にすばらしい安心と喜びのための計画を、あなたが立てれると本当に信じているのだろうか」。
You need be neither careful nor careless; you need merely cast your cares upon him because he careth for you.
- neither A nor B : 「AとBのどちらも〜ない」
- careful [kéərfl] : 「注意深い、用心深い」
- careless [kéərləs] : 「不注意な、注意が足りない、油断した」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- cast [kǽst] : 「〜を投げる、投じる、入れる」
- care [kéər] : 「配慮、注意、心配、苦労」
- care : 「気に掛ける、心配する、世話をする」
- -eth [-iθ] : 「三人称単数現在形の動詞の語尾につける」
❖ "You need be ~ "「あなたは注意深くある必要もないし、不注意である必要もない」。"you need merely ~ "「あなたは、単に、心配事を神に預けるだけでいい」。"because he careth ~ "「なぜなら、神はあなたのために面倒を見てくれるからだ」。心配事があったら、すべてをホーリー・スピリットに委ねてしまえばいい。そして、ホーリー・スピリットの声を注意深く聞くようにする。つまり、心配事に注意深くある必要はないが、ホーリー・スピリットの声に不注意でもいけない。
You are his care because he loves you. His voice reminds you always that all hope is yours because of his care.
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
- hope [hóup] : 「希望、望み」
❖ "You are his ~ "「神はあなたを愛しているので、あなたは神の気遣いの対象である」。"His voice reminds ~ "「神の声はいつもあなたにthat以下を思い出させる」。"that all hope ~ "「神の気遣いのおかげで、すべての望みはあなたのものである」と思い出させる。
You cannot choose to escape his care because that is not his will, but you can choose to accept his care and use the infinite power of his care for all those he created by it.
- choose [t∫úːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
- accept [əksépt] : 「承服する、認める、受け入れる」
- escape [iskéip] : 「〜を免れる、避ける」
- infinite [ínfənət] : 「無限の、計り知れない、果てしない」
❖ "You cannot choose ~ "「あなたは神の気遣いから逃れる選択をすることは出来ない」。"because that is ~ "「なぜなら、それは神の意思ではないからだ」。"but you can ~ "「しかし、あなたは、神の気遣いを受け入れ、神の気遣いの無限の力を使うという選択をすることは出来る」。"for all those ~ "「それによって神が創造したすべての者のために」無限の力を使う。"by it"のitは「神の気遣い」、あるいは「無限の力」ととってもいいだろう。あなたはホーリー・スピリットの導きを受け入れることも拒否することも出来る。選択はあなたの自由意志に任されている。しかし、たとえあなたがホーリー・スピリットを拒否したとしても、あなたに対するホーリー・スピリットの気遣いは消滅しない。それが神の意志であるから。
2. There have been many healers who did not heal themselves. They have not moved mountains by their faith because their faith was not whole.
- healer : 「治療する人、治療者」
- move [múːv] : 「〜を移動させる、動かす」
- mountain [máuntn] : 「山」
- faith [féiθ] : 「信仰、信条、自信、信念」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "There have been ~ "「自分自身をヒール出来なかった多くのヒーラーがいた」。"They have not ~ "「彼らは自らの信念を使って山を動かすことはなかった」。"because their faith ~ "「なぜなら、彼らの信念は完全ではなかったからだ」。神(ホーリー・スピリット)へすべてを任せるという信念が欠けていた。ACIMの『絶対他力』である。ACIMの他力は依存ではない。丸投げではない。神の意志と自分の意志が同じであり、神の計画と自分の計画が同じだと知ることである。ならば、自分の理性に頼らず、ホーリー・スピリットの導きに従って思考することこそ本来のあり方なはずだ。
なお、山を動かすという例えは、マルコによる福音書11:23による。参考までに載せておく。
[Mark 11:22~26 form King James Bible]
And Jesus answering saith unto them, Have faith in God. For verily I say unto you, That whosoever shall say unto this mountain, Be thou removed, and be thou cast into the sea; and shall not doubt in his heart, but shall believe that those things which he saith shall come to pass; he shall have whatsoever he saith. Therefore I say unto you, What things soever ye desire, when ye pray, believe that ye receive them, and ye shall have them. And when ye stand praying, forgive, if ye have ought against any: that your Father also which is in heaven may forgive you your trespasses. But if ye do not forgive, neither will your Father which is in heaven forgive your trespasses.
そこで、イエスは言われた。「神を信じなさい。はっきり言っておく。だれでもこの山に向かい、『立ち上がって、海に飛び込め』と言い、少しも疑わず、自分の言うとおりになると信じるならば、そのとおりになる。だから、言っておく。祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる。また、立って祈るとき、だれかに対して何か恨みに思うことがあれば、赦してあげなさい。そうすれば、あなたがたの天の父も、あなたがたの過ちを赦してくださる。もし赦さないなら、あなたがたの天の父も、あなたがたの過ちをお赦しにならない。」(新共同訳)
Some of them have healed the sick at times, but they have not raised the dead. Unless the healer heals himself, he cannot believe that there is no order of difficulty in miracles.
- sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な」
- at times : 「時々、折々、時たま、時には」
- raise [réiz] : 「よみがえらせる」
- dead [déd] : 「死んでいる、生命のない」
- Unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、序列」
- difficulty [dífikʌ̀lti] : 「困難、難事、難儀」
❖ "Some of them ~ "「ヒーラーの何人かは、時に病人をヒーリングした」。"but they have ~ "「しかし、彼らは死人を蘇らせることはなかった」。"the sick"も"the dead"も、"the + 形容詞"の形で、「〜な人」の意味になる。"Unless the healer ~ "「ヒーラーが自身をヒールできない限り、」"he cannot believe ~ "「彼はthat以下を信じることは出来ない」。 "that there is~ "「奇跡には難しさの序列はないのだ」と信じることは出来ない。この"there is no ~ "は、言うまでもなく、Text Chapter 1のPrinciples of Miracles 第1である。
なお、イエスが死者ラザロを蘇らせたという話しは、ヨハネによる福音書11:43に書かれている。参考までに載せておく。
[John 11:37~44 from King James Bible]
And some of them said, Could not this man, which opened the eyes of the blind, have caused that even this man should not have died? Jesus therefore again groaning in himself cometh to the grave. It was a cave, and a stone lay upon it. Jesus said, Take ye away the stone. Martha, the sister of him that was dead, saith unto him, Lord, by this time he stinketh: for he hath been dead four days. Jesus saith unto her, Said I not unto thee, that, if thou wouldest believe, thou shouldest see the glory of God? Then they took away the stone from the place where the dead was laid. And Jesus lifted up his eyes, and said, Father, I thank thee that thou hast heard me. And I knew that thou hearest me always: but because of the people which stand by I said it, that they may believe that thou hast sent me. And when he thus had spoken, he cried with a loud voice, Lazarus, come forth. And he that was dead came forth, bound hand and foot with graveclothes: and his face was bound about with a napkin. Jesus saith unto them, Loose him, and let him go.
しかし、中には、「盲人の目を開けたこの人も、ラザロが死なないようにはできなかったのか」と言う者もいた。イエスは、再び心に憤りを覚えて、墓に来られた。墓は洞穴で、石でふさがれていた。イエスが、「その石を取りのけなさい」と言われると、死んだラザロの姉妹マルタが、「主よ、四日もたっていますから、もうにおいます」と言った。イエスは、「もし信じるなら、神の栄光が見られると、言っておいたではないか」と言われた。人々が石を取りのけると、イエスは天を仰いで言われた。「父よ、わたしの願いを聞き入れてくださって感謝します。わたしの願いをいつも聞いてくださることを、わたしは知っています。しかし、わたしがこう言うのは、周りにいる群衆のためです。あなたがわたしをお遣わしになったことを、彼らに信じさせるためです。」 こう言ってから、「ラザロ、出て来なさい」と大声で叫ばれた。すると、死んでいた人が、手と足を布で巻かれたまま出て来た。顔は覆いで包まれていた。イエスは人々に、「ほどいてやって、行かせなさい」と言われた。(新共同訳)
He has not learned that every mind God created is equally worthy of being healed because God created it whole.
- learn [lə́ːrn] : 「学ぶ、知る、分かる」
- equally [íːkwəli] : 「平等に、同等に、同様に」
- worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "He has not learned ~ "「彼はthat以下を学んだことがない」。"that every mind ~ "「神が創造したすべての心は等しくヒーリングされる価値がある」と学んだことがない。"because God created ~ "「神がその心を完全な形に創造したので」。ヒーリングは一方的なものではなく、ヒーリングすることでヒーリングされなければならない。自他一如を学んだことのないヒーラー、あるいは与えることと得ることが等しいと学んだことのないヒーラーは、往々にして片手落ちとなる。
You are merely asked to return to God the mind as he created it. He asks you only for what he gave, knowing that this giving will heal you. Sanity is wholeness, and the sanity of your brothers is yours.
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す」
- Sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
- wholeness [hóulnəs] :「全体」
❖ "You are merely ~ "「あなたはただ単に、神が心を創ったままに、その心を神に返すことを要求されている」。"He asks you ~ "「神は、神が与えたものだけを、あなたに要求しているのである」。"knowing that ~ "「このように与えることが、あなたをヒールするとわかっているからだ」。神の創造した心を神に返すことで、つまり、心が神に回帰することで、心がヒールされる。"Sanity is wholeness"「正気であるとは完全であることだ」。"and the sanity of ~ "「そして、あなたの同胞の正気はあなたの正気でもあるのだ」。まさに、自他一如。同胞の心を神に返して正気に戻し、同時にあなたの心も神に帰って正気になる。これが実相的なヒーリングである。正気とは、幻想を幻想として見極め、真実を真実として受け入れる正しい心のこと。