VI. Time and Eternity
時間と永遠
1. God in his knowledge is not waiting, but his Kingdom is bereft while you wait.
- knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵」
- bereft [biréft] : 「bereave の過去・過去分詞形」
- bereave [biríːv] : 「奪う、奪い去る」
❖ "God in his ~ "「叡智の中にいる神は、待つことはない」。"but his Kingdom ~ "「しかし、あなたが待っている間は、神の王国は奪われた状態にある」。神には時間というものがないから、待つという行為はない。しかし、あなたが王国にたどり着くまでは、王国はあなたから奪われた状態にあり、あなたが到着するのを待っている。
時間の存在するあなたから見れば、神はあなたの回帰を待っているように見える。しかし、無時間の神にとっては、天の王国は、すべての事象が一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続いている状態にある。神は、あなたが天の王国に回帰することを既成事実として知っているのだ。なぜなら、それは真実であって、真実の総体である叡智の中に既にたたみ込まれているからだ。
All the Sons of God are waiting for your return, just as you are waiting for theirs. Delay does not matter in eternity, but it is tragic in time.
- wait for : 「〜を待つ」
- return [itə́ːrn] : 「帰郷、帰還」
- delay [diléi] : 「遅延、遅滞、遅れ」
- matter [mǽtər] : 「重要である、重要になる」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
- tragic [trǽdʒik] : 「悲劇の、悲惨な、悲劇的な」
❖ "All the Sons of God ~ "「神の子はみんな、あなたの帰りを待っている」"just as you are ~ "「ちょうど、あなたがみんなを待っているように」。自他一如を思い起こせば意味が通じる。あなたと他者は一如である。他者があなたの神への帰還(天の王国への回帰)を待っていることと、あなたが他者の帰還を待っていることは同じことなのだ。"Delay does not ~ "「遅延は永遠の中では重要ではない」。"but it is tragic ~ "「しかし、遅延は時間の中では悲劇である」。あなたは時間の中に住んでいるから、神へ帰還するのには時間がかかり過ぎると思い、それはあまりにも悲しいと感じる。しかし、神は永遠の中に住まっているので遅延を感じることはなく、待つこともない。
無時間の天の王国では、あなたを含めてすべての神の子が既に再結合した状態にある。神の子は単一の存在として、そこにある。しかし、時間の存在するこの世のあなたから見れば、あなたはまだその状態の手前にいるように見えるのだ。だから、みんながあなたを待っているように見え、同時にあなたがみんなを待っているように見えるだけなのである。
You have elected to be in time rather than eternity, and therefore believe you are in time.
- elect [ilékt] : 「選ぶ、選出する」
- rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
❖ "You have elected ~ "「あなたは永遠の中に存在することよりむしろ、時間の中に存在することを選んだ」。"and therefore ~ "「したがって、あなたは自分が時間の中に存在していると信じている」。神の子は神から分離し、その分離を象徴する形でこの幻想世界を偽創造した。分離世界では、永遠もまた分離分裂させられ、そこに時間という幻想が生まれた。
Yet your election is both free and alterable. You do not belong in time.
- election [ilék∫n] : 「選挙、選択」
- alterable [ɔ́ːltərəbəl] : 「変更できる」
- belong in : 「〜に住む、〜の一員となるにふさわしい」
❖ "Yet your election ~ "「しかし、あなたの選択は自由であるし、変更できる」。"You do not ~ "「あなたは、時間の中に住むのはふさわしくない」。時間の存在する幻想世界を離れて、無時間の実相世界を選択する自由があるし、それは可能であって、あなたにはそれがふさわしい。
Your place is only in eternity, where God himself placed you forever.
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
- place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Your place is ~ "「あなたの(住む)場所はただ永遠の中である」。"where God himself ~ "「神自身が、その中にあなたを永遠に置いたのである」。あなたの故郷は天の王国であり、あなたの家は神の住む家である。なぜなら、神はそこであなたを創造したからだ。
2. Guilt feelings are the preservers of time. They induce fears of retaliation or abandonment, and thus ensure that the future will be like the past.
- preserver [prizə́ːrvər] : 「救済者、守護者」
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす」
- retaliation [ritæ̀liéiʃən] : 「仕返し、報復、返報」
- abandonment [əbǽndənmənt] : 「見捨てられること、放棄」
- ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、保証する、確保する」
- future [fjúːtʃər] : 「未来、将来」
- past [pǽst] : 「過去、過ぎたこと」
❖ "Guilt feelings are ~ "「罪の意識は時間の守護者である」。罪の意識を抱いている限り、時間を幻想せざるを得ない。"They induce fears ~ "「罪の意識は報復や捨てられることの恐れを生じさせ、」"and thus ensure ~ "「このようにして、that以下を確かなものとする」。"that the future ~ "「未来も過去のようであることを」確かなものとする。過去に罪を犯したという既成事実が、消滅することなく未来へと続く。
This is the ego's continuity. It gives the ego a false sense of security by believing that you cannot escape from it.
- continuity [kὰntənjúːəti] : 「 連続、継続」
- false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽の」
- sense [séns] : 「感覚、感触、知覚」
- security [sikjúərəti] : 「安心感、安心、無事、安全」
- escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する」
❖ "This is the ego's ~ "「こうやってエゴは継続していくのである」。"It gives the ego ~ "「それは、あなたが時間から逃れることは出来ないと信じることで、エゴに偽りの安心感を与える」。罪から逃れることが出来ないのだから、時間からも逃げられない。こうして、あなたに恐れを抱かせ、分離と孤立を確実なものとする。幻想は堅固なものとなり、エゴは安泰だ。
But you can and must. God offers you the continuity of eternity in exchange.
- offer [ɔ́ːfər] : 「提供する、用意する」
- in exchange[ikstʃéindʒ] : 「代わりに、引き換えに」
❖ "But you can ~ "「しかし、あなたは時間から逃れることが出来るし、そうしなくてはならない」。"God offers you ~ "「神は、時間の代わりに、あなたに永遠という継続性を与えてくれる」。ここの継続性とは、時間が永遠に継続するという意味ではない。時間が消滅した状態をいう。したがって、ACIMの言う『永遠』とは、時間の永続性を表す言葉ではなく、『無時間性』を表している。
When you choose to make this exchange, you will simultaneously exchange guilt for joy, viciousness for love, and pain for peace.
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- exchange [ikstʃéindʒ] : 「換えること、交換」
- simultaneously [sàiməltéiniəsli] : 「同時に、一斉に」
- exchange : 「〜を交換する」
- viciousness [víʃəsnəs] : 「意地悪さ、悪質さ、凶暴さ」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、苦痛、骨折り」
❖ "When you choose ~ "「あなたが、この(時間と永遠の)交換をすることを選んだとき、」" you will simultaneously ~ "「あなたは同時に、罪の意識を喜びに、悪意を愛に、苦痛を平和に換えるであろう」。罪や悪意や苦痛という幻想が消滅し、喜びや愛や平和という真実が現れる。
My role is only to unchain your will and set it free. Your ego cannot accept this freedom, and will oppose it at every possible moment and in every possible way.
- role [róul] : 「役、役目、役割、任務」
- unchain [əntʃéin] : 「鎖から解く、解放する」
- accept [əksépt] : 「認める、容認する、受け入れる」
- freedom [fríːdəm] : 「自由、解放」
- oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する」
- at every moment : 「いつも、絶えず」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
- in every way : 「すべての点で、あらゆる方法で」
❖ "My role is ~ "「私の役割は、ただ、あなたの意思の鎖を解き放ち、それを自由にすることである」。エゴに縛られたあなたの意志を解放する。"Your ego cannot ~ "「エゴはこの自由を受け入れることは出来ない」。"and will oppose it ~ "「そして、エゴは可能であればどんな時でも、どんな方法を使ってでも、それに反抗しようとするだろう」。神の意志を受け入れて幻想を消滅させれば、同時に幻想のエゴも消滅してしまうからだ。エゴは必至に抵抗する。
And as its maker, you recognize what it can do because you gave it the power to do it.
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
❖ "And as its maker ~ "「そして、エゴの作り手として、あなたはエゴに何が出来るか認識している」。"because you gave ~ "「なぜなら、あなたこそがエゴにそれを為す力を与えたからだ」。神の子であるあなたが、自己を乖離してエゴというあなたの代役を作り出したのだ。そのエゴを偶像として信奉し、エゴに絶対的な力を与え、エゴが作り出す様々な幻想を現実だと信じ込んできた。