Chapter 7
The Gifts of the Kingdom
王国の贈り物
I. The Last Step
最終ステップ
1. The creative power of God and his creations is limitless, but they are not in reciprocal relationship.
- creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な」
- creation [kriéi∫n] : 「創造、創作、創作物、作品」
- limitless [límitlis] : 「制限のない、無限の」
- reciprocal [risíprəkl] : 「お互いの、相互の、相互交換の」
- relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、関わり合い」
- reciprocal relationship : 「相互関係」
❖ "The creative power ~ "「神と神が創造したものの創造力は無限である」。"but they are ~ "「しかし、それらは相互関係にはない」。神の創造力と、神が創造した神の子の創造力は無限であるが、互いに影響し合う関係にあるわけではない。たとえ神の子が誤った創造をしても、それによって神の創造性が影響を受けることはない。
You communicate fully with God, as he does with you. This is an ongoing process in which you share, and because you share it, you are inspired to create like God.
- communicate [kəmjúːnikèit] : 「伝える、伝達する」
- fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く」
- ongoing : 「進行中の、継続中の、継続的な、現行の」
- process [prɑ́ːses] : 「一連の行為、進行、経過、推移」
- inspire [inspáiər] : 「吹き込む、活気を与える、奮起させる」
❖ "You communicate ~ "「あなたは神と十分にコミュニケーションしているし、神もまたあなたとコミュニケーションしている」。あなたが意識しているかどうかにかかわらず、あなたの心の中のホーリー・スピリットがあなたと神のコミュニケーションの仲立ちしている。"This is an ongoing ~ "「これは現在進行中のプロセスであり、その中であなたは分かち合っている」。ホーリー・スピリットの仲立ちによるコミュニケーションを通じて、今もあなたは神と意志を分かち合っている。"and because you ~ "「そして、あなたがそれを分かち合っているので、」"you are inspired ~ "「あなたは、神のように創造するために、息吹を吹き込まれているのだ」。あなたは、分かち合いによって真実を拡張するという創造の息吹を吹き込まれている。もっとも、第6章あったように、今は、神とのコミュニケーションの通信路に支障をきたしている。ホーリー・スピリットの力を借りて修復する必要がある。ホーリー・スピリットと神の通信路には支障はない。
Yet in creation you are not in a reciprocal relation to God, since he created you but you did not create him.
- relation [riléiʃən] : 「関係、関連、相関」
❖ "Yet in creation ~ "「しかし、創造するに当たって、あなたは神と相互関係にあるわけではない」。"since he created ~ "「なぜなら、神はあなたを創造したが、しかし、あなたは神を創造したのではないからだ」。この地上における親子関係を思い出せばいいだろう。親は子を創造したが、子が親を創造したのではない。親と子は相互コミュニケーションの関係にあるが、親が何を創造するか、子が何を創造するかに何の関連性もない。その創造には相互依存もない。全く自由である。相互関係も相互依存もなく、完璧な自由意思こそが創造性の基盤である。
I have already told you that only in this respect your creative power differs from his.
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
- in this respect [rispékt] : 「この点において」
- differ [dífər] from : 「〜とは異なる」
❖ "I have already ~ "「私はすでにthat以下をあなたに言った」。"that only in ~ "「この点においてのみ、あなたの創造力は神の創造力と違う」とあなたに言った。この点においてとは、神が神の子を創造したのであって、神の子が神を創造したのではないという点。神と神の子はその親子関係においてのみ創造に違いがあるが、その他においては創造力に差がない。しかし、神の子が神を創造できないという真実は非常に重要である。
神の子が神から分離した後、神の子は天の王国に似せて擬似的なこの幻想世界を創造したのだが、人間が生殖を通して子をもうけるという創造行為だけに止まらず、天の王国の神に代わるこの世界の神をも創造できると思い込んだ。神の子のその思い上がりにつけ込んで、自らを神だと称するエゴが登場するのである。
Even in this world there is a parallel. Parents give birth to children, but children do not give birth to parents. They do, however, give birth to their children, and thus give birth as their parents do.
- parallel [pǽrəlèl] : 「類似、類似点、平行線」
- give birth to : 「〜を産む、〜を生み出す」
- parent [péərənt] : 「親、両親、保護者」
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして」
❖ "Even in this ~ "「この世界においてさえ、類似のものがある」。"Parents give birth ~ "「親は子を生むが、しかし、子は親を生むわけではない」。" They do, however ~ "「しかし、その子供たちは、彼らの子を生む」。"and thus give ~ "「このように、親がしたように、子を設けるのである」。これが、神が神の子を創造したことに倣った疑似創造である。
2. If you created God and he created you, the Kingdom could not increase through its own creative thought.
- increase [inkríːs] : 「増える、増大する」
- creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な」
- thought [θɔ́ːt] : 「考えること、思考、考え」
❖ "If you created ~ "「もし、あなたが神を創造し、そして、神があなたを創造したのであれば、」"the Kingdom could ~ "「王国は自らの創造的思考を通して増大することは出来なかったであろう」。創造とは真実の現実化であり、その属性として拡張性をもっている。真実を分かち合うことで拡張するのである。さて、もし神の子が神を創造し、その神が神の子を創造したのであれば、AがBを生み、BがAを生み、そのAが再びBを生み、そのBが再びAを生み、・・・このサイクルが永遠に繰り返されるだけである。そこに拡張性はない。天の王国の創造は、AがBを生み、そのBがCを生み、そのCがDを生み、・・・という拡張性が属性として備わっていなければならない。あらゆる真実がAから生み出され、拡張するのである。そこで、この原初のAを"Source(源)"と呼ぶ。これが、まさに神なのだ。もちろん、実相世界は想念の世界であるから、創造され拡張するものは具象ではない。完全に抽象的な創造的思考(creative thought)である。
神は愛の延長上に神の子を創造した。愛を拡張したのである。その神の子は愛を神と分かち合い、愛は増大していく。そこに喜びが生み出され、心に平和が生じる。その喜びや平和も分かち合われ、拡張増大していく。すべてに満たされた静寂が穏やかに漂い、その静寂も神と神の子は分かち合う。神の子は微笑みを生み出し、慈しみを生み出し、美を生み出す。神の子は神を敬愛し、感謝を込めてそれを神へ捧げる。このすべての過程が光の中で進行し、天の王国は光の拡張の中で自らを創造していくのである。
Creation would therefore be limited, and you would not be co-creator with God.
- limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
- co-creator [kòu-kriéitər] : 「共同製作者」
❖ 神の子が神を創造し、その神が神の子を創造したのであれば、"Creation would ~ "「したがって、創造は制限されであろうし、」拡張性が欠けてしまうので、創造に制限がかけられるだろうし、"and you would ~ "「あなたは神との共同創造者でいるわけにはいかなくなろう」。分かち合いによって真実を拡張するという共同創造者になることは出来なくなる。
As God's creative thought proceeds from him to you, so must your creative thought proceed from you to your creations.
- proceed [prəsíːd] : 「由来する、進む、継続する」
❖ "As God's creative ~ "「神の創造的思考は、神からあなたに継続されるように、」"so must your ~ "「あなたの創造的思考は、あなたからあなたの創造したものへ継続されなければならない」。創造的思考が継承されることで、創造の拡張性が保証されるわけだ。あなたが喜びを創造したなら、喜びは新たな喜びを生み出す。美は、さらなる美を生み出す。
Only in this way can all creative power extend outward. God's accomplishments are not yours, but yours are like his.
- in this way : 「このようにして、このような方法で」
- extend [iksténd] : 「広げる、拡張する、拡大する」
- outward [áutwərd] : 「外側へ、外へ」
- accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、偉業、成果、達成」
❖ "Only in this way ~ "「このようにしてのみ、すべての創造力は外側に向かって拡張することが出来る」。"God's accomplishments ~ "「神が成し遂げたものはあなたが成し遂げたものとは異なるが、」あなたが神を生み出したのではなく、神があなたを生み出したのだが、"but yours are ~ "「あなたが成し遂げたものは神が成し遂げたものと似ている」。創造を継承しているので、創造したものは似ている。神が愛の延長上にあなたを創造したように、あなたは愛の延長上に喜び(さらなる愛)を創造する。
He created the Sonship and you increase it. You have the power to add to the Kingdom, though not to add to the Creator of the Kingdom.
- increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる」
- add to : 「〜を増加させる、〜を増大させる」
❖ "He created the ~ "「神は神の子を創造した」。" and you increase it"「そして、あなたはそれを増大させる」。人は子を生むことで神の子を増やしているととらえることも可能であるが、それはこの幻想世界での疑似創造であって、本文の真意ではないだろう。神は愛の延長上に神の子を創造したのだが、具象として肉体をもった神の子を創造したのではない。神の子は神の愛の拡張なのだから、神の子は愛そのものである。あるいは愛をもった心なのだ。それを踏まえれば、本文は『神は神の子という愛を創造し、神の子であるあなたは愛を増大させる』という意味合いになるだろう。"You have the power ~ "「あなたは王国を大きくする力をもっている」。愛を拡張することで、天の王国の光を増やす力をもっている。"though not to ~ "「しかし、王国の創造主を大きくするわけではない」。神の王国を繁栄させる力はあるが、神自体を大きくするわけではない。なぜなら、神は原初から完全で無限だからだ。逆に、神はあなたを大きくすることが出来る。あなたの愛や喜びを増大させてくれるだろう。
You claim this power when you become vigilant only for God and his Kingdom.
- claim [kléim] : 「獲得する、主張する、断言する」
- vigilant [vídʒələnt] : 「油断がない、用心深い」
❖ "You claim this ~ "「あなたが、神と神の王国に対してのみ注意深くなったとき、あなたはこの力を(自分のものだと)主張できる」。この力とは、王国を増大させ得る力。実相的な創造力である。
By accepting this power as yours you have learned to remember what you are.
- accept [əksépt] : 「認める、容認する、受け入れる」
- remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、 〜を覚えている」
❖ "By accepting this ~ "「この力を自分のものとして受け入れることで、」"you have learned ~ "「あなたは、本当の自分を思い出すことを学ぶのである」。神から分離した自分が本当の自分なのではなく、神の下(もと)にあって、愛や喜びや美や静寂を創造し拡張する自分こそが本来の自分であると学ぶことになる。
余談を一言。本文は完了形になっているが、むしろ未来形で表現するべきではないかと思われるかもしれない。実は、ACIM原典のURTEXTやヘレンの速記ノートでは、前文の"You claim this power when you become vigilant only for God and his Kingdom. " が "You claim this power when you have become wholly vigilant for God AND the Kingdom."と表現されている。完了形になっているのだ。したがって、文の流れの整合性、あるいは対称性を考えるなら、本文は、"You accept this power as yours when you have learned to remember what you are."「あなたが本当の自分を思い出すことを学んだとき、あなたは、この力を自分のものとして受け入れる」となってしかるべきだった。とは言うものの、ACIMでは、あまり時制にこだわる必要はない。実相世界は無時間なのだから。