9. Blessed are you who teach with me. Our power comes not of us, but of our Father.
- Blessed [blésid] : 「祝福された、神聖な、聖なる、清められた」
- of : 「〜から、〜のうちの」
❖ "Blessed are you ~ "「私(イエス)と共に教えるあなたは祝福されている」。イエスと一緒に、同胞に贖罪を教えるあなたは、神から祝福された存在である。"Our power comes ~ "「私たちのパワーは、私からやって来るのではない、父なる神からやって来るのである」。パワーの源は神である。
In guiltlessness we know him, as he knows us guiltless. I stand within the circle, calling you to peace. - guiltlessness [gíltlisnis] : 「無罪、無辜(むこ)、潔白」
- guiltless [gíltlis] : 「罪のない、潔白な」
- within [within] : 「〜の中に、〜のうちに」
❖ "In guiltlessness we ~ "「無辜(むこ)なる状態にいるからこそ、私たちは神を知るのである」。"as he knows us ~ "「ちょうど、神が私たちを無辜であると知っているように」。"I stand within ~ "「私は(同胞の集う)輪の中に立ち、あなたを平和へといざなっている」。もちろん、ここで言う「平和」とは、この幻想世界の「戦争と平和」の平和とは異なる。争いという対極概念をもたない、一元論実相世界における絶対的な平和であり、純粋な平和、至上の平和のことである。神の平和と言ってもいい。
Teach peace with me, and stand with me on holy ground. - holy [hóuli] : 「神聖な」
- ground [gráund] : 「地面、地盤、土地、用地、敷地」
❖ "Teach peace with ~ "「私と共に平和を教えなさい」。"and stand with ~ "「そして、私と一緒に、神聖な地に立ちなさい」。 "holy ground"は、天の王国と思っていいだろう。
Remember for everyone your Father's power that he has given him. - Remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "Remember for everyone ~ "「神がみんなに与えた、父なる神のパワーをみんなのために覚えておきなさい」。文末の"him"は"everyone"のこと。
Believe not that you cannot teach his perfect peace. Stand not outside, but join with me within. - perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完ぺきな、完全な」
- outside [áutsáid] : 「外側に、外部に」
- join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜に加入する、〜に参加する」
- within [wiðín] : 「内側に、内に」
❖ "Believe not that ~ "「あなたが神の完璧な平和を教えることが出来ないなどと信じてはいけない」。"Stand not outside ~ "「(同胞の輪の)外側に立つのではなく、その内側で、私に加わりなさい」。
Fail not the only purpose to which my teaching calls you. - Fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
- purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
❖ "Fail not the only ~ "「私の教えがあなたに目指すように要求する唯一の目的に失敗してはいけない」。ここの"call"の使い方、意味合いは意味深長である。イエスの教えは単なる理念的なものではなく、あなたに行動を迫るものなのである。だから"call"を使ったのだと考えられる。眠りから目覚めよ、贖罪を果たせ、神の元に回帰せよ、すべて、あなた自身の行動を促すもなのである。したがって、ACIMはいわば、行動哲学に分類されてしかるべきものだと言える。単なる精神哲学ではない。
Restore to God his Son as he created him, by teaching him his innocence.- Restore [ristɔ́ː(r)] : 「元に戻す、回復させる、修復する、復元する」
- creat [kriéit] : 「創造する、作り出す」
- innocence [ínəs(ə)ns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "Restore to God ~ "「神に〜を元に戻してやりなさい」。"his Son as he ~ "「神の子を、神が創造したままの状態に」戻してやりなさい。"by teaching him ~ "「神の子に、彼が潔白であることを教えることで」。神は神の子を無辜(むこ)なる状態に創造したので、無辜なる状態に戻してやりなさい、ということ。もちろん、神は昔も今も、神の子が無辜であることを知っている。しかし、神の子であるあなたは、今の自分は罪があると信じている。それを改めて、今の自分も無辜であると宣言しなくてはならない。なぜなら、それが真実だから。神に真実を返すのである。
10. The crucifixion had no part in the Atonement. Only the resurrection became my part in it. - crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「磔刑、十字架刑、はりつけ」
- part [páː(r)t] : 「分担、役、役目、役割」
- Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
- resurrection [rèzərékʃən] : 「復活、復興、再生」
❖ "The crucifixion had ~ "「磔刑は、贖罪にとって何の役にも立たなかった」。" Only the resurrection became ~ "「復活だけが、贖罪における私の役割になったのである」。イエスにとって、磔刑は意味をもたず、復活が贖罪に寄与した。イエスは、自分が無辜であることを叡智をもって知っていた。したがって、同時に、肉体が幻想であることも知っていた。磔刑による肉体の破壊は、これも幻想であり、イエスにとって無意味なことであった。では、復活は贖罪にとってどんな意味があったのか? ACIMの贖罪は個人的なことにとどまらず、すべての神の子に関係したことである。イエス自身は、自分の贖罪は果たし終えていたのだが、イエスの贖罪に対する使命は終わっていなかった。同胞たちに贖罪を促す役割があったのである。イエスは復活を通して肉体が幻想であることを身をもって示し、真の存在は無辜(むこ)なる心であることを証言したのである。したがって、ACIM(イエス)の言う復活は肉体の復活ではない。真の実在である無辜なる心の復権である。ところで、イエス・キリストの死後、パウロは、イエスが人間たち(アダムとイブ)の罪を購うために、つまり、全人類の罪を背負って磔刑を受け入れたと解釈した。そして、全人類の贖罪のための磔刑が成就されたことによって、イエスは神に昇格し、永遠の肉体(命)をもって復活したと解釈した。イエスの血と肉は、したがって、キリスト教徒にとって永遠の命の象徴となった。しかし、ACIMのイエスの教えは、パウロのそのような解釈とは完全に無縁である。2000年の間、キリスト教はいわばパウロ教に占拠され続けた。キリスト教徒にとって、そろそろ、イエスの磔刑と復活の真の意味を、パウロの理論から離れて考え直す時期ではないだろうか。
That is the symbol of the release from guilt by guiltlessness. Whom you perceive as guilty you would crucify. - symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
- release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
- guiltlessness [gíltlisnis] : 「無辜、潔白、無罪」
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
- guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
- crucify [krúːsifài] : 「磔刑に処す、十字架刑に処す、はりつけにする」
❖ "That is the symbol of ~ "「復活は、無辜性による、罪からの解放の象徴である」。イエスの言う復活とは、まさにこのことである。ところで、"Whom you perceive ~ "「あなたが罪ありと知覚する同胞を、あなたは磔刑に処したいと思うであろう」。しかし、それは誤りである。
Yet you restore guiltlessness to whomever you see as guiltless. Crucifixion is always the ego's aim. - whomever : 「〜する人は誰でも」
- guiltless [gíltlis] : 「罪のない、潔白な」
- always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
- aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的」
❖ "Yet you restore guiltlessness ~ "「しかし、あなたが罪なしと見た人たちに対して、あなたはその無辜性を回復できるのである」。"Crucifixion is always ~ "「磔刑とは、常にエゴの目的である」。磔刑に処したいと思う気持ちの背後には常にエゴがおり、エゴは同胞を罪ありと宣言する。それは誤りであり、同胞はあなたと同様、無辜である。あなたがそれを受け入れることで、同胞は罪から解放され、贖罪と復活が果たされる。かくして、あなたはエゴに打ち勝つことが出来るのである。
It sees everyone as guilty, and by its condemnation it would kill. condemnation [kàndemnéi∫n] : 「激しい非難、糾弾」
❖ "It sees everyone ~ "「エゴは誰に対しても罪ありと見る」。"and by its condemnation ~ "「そして、激しく非難することで殺そうとする」。
The Holy Spirit sees only guiltlessness, and in his gentleness he would release from fear and re-establish the reign of love. - gentleness [dʒéntlnis] : 「優しさ、穏やかさ」
- release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ」
- re-establish [ri-istǽbli∫] : 「〜を再建する、回復する、復旧する、復興する」
- reign [réin] : 「支配、統治、治世、君臨」
❖ "The Holy Spirit sees ~ "「ホーリー・スピリットは、ただ罪なしと見る」。"and in his gentleness ~ "「ホーリー・スピリットは恐れから優しく解放し、愛の支配を再確立しようとするのだ」。あなたがエゴに打ち勝てば、あなたはホーリー・スピリットの愛を満身に受け止めることが出来るだろう。
The power of love is in his gentleness, which is of God and therefore cannot crucify nor suffer crucifixion. - suffer [sʌ́fə(r)] : 「苦しむ、我慢する、耐える」
- crucify [krúːsifài] : 「磔刑に処す、十字架刑に処す、はりつけにする」
- crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「磔刑、十字架刑、はりつけ」
❖ "The power of love ~ "「愛のパワーは、ホーリー・スピリットの優しさの内にある」。"which is of God ~ "「それは神のものであり、」"therefore cannot ~ "「したがって、磔刑に処したり、磔刑よって苦しむようなことは不可能なのだ」。真の愛は神から派生するものであって、一元論世界の実在である。したがって、真の愛は対極概念である憎悪と完全に無縁である。真の愛が他者を傷つけることはないし、他者によって傷つけられることもない。なぜなら、実相世界には他者を傷つけようとする意志、それ自体が存在しないからだ。他者を傷つけることも、他者に傷つけられることも、それは幻想世界の出来事であって、夢の中の事象にすぎない。実相世界に磔刑は存在しない。存在自体が不可能なのだ。したがって、磔刑は幻想世界の錯覚である。
The temple you restore becomes your altar, for it was rebuilt through you. And everything you give to God is yours. Thus he creates, and thus must you restore.- temple [témpl] : 「神殿、寺院、教会、殿堂」
- restore [ristɔ́ː(r)] : 「元に戻す、回復させる、修復する、復活させる」
- altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
- rebuild [rìːbíld] : 「再建する、建て直す、復元する」
- rebuilt : 「建て直された、改築された」
❖ "The temple you restore ~ "「あなたが修復した寺院が、あなたの祭壇となる」。"for it was rebuilt ~ "「なぜなら、その祭壇はあなたを通して再建されたのだから」。あなたの心の最も神聖な部分、最も純粋な部分、そこがあなたの祭壇である。しかし、あなたが神から分離した後、その祭壇はあなたに忘れられ、荒廃しきっていた。しかし、今、あなたは自己の無辜性に回帰し、祭壇は修復されたのである。"And everything you ~ "「あなたが神に捧げたものはすべてあなたのものである」。あなたが神聖な祭壇に捧げたものは、神への捧げ物であると同時に、あなたのものでもあるのだ。なぜなら、あなたと神との間にチャンネルが再び出来ると同時に、あなたと神が重なり合ってくるからである。あなたの神性が復権するのである。神人一体、純粋一元論の必然である。"Thus he creates ~ "「このように神は創造し、また、このようにあなたは修復しなくてはならない」。それが生命の使命であり、定めであり、必然である。創造の意味と言ってもいい。あなたが歩んでいかなくてはならない唯一の方向である。