●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.II.21:1 ~ T-23.II.22:13

21. From the belief in sin, the faith in chaos must follow.

  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、信念、確信」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱状態、混沌」
  • follow [fάlou] : 「〜に続く、〜の次に来る、〜の後について行く」
❖ "From the belief ~ "「罪を信じる気持ちから、混沌を信じる気持ちが後に続くのだ」。神の子が神から分離した後、罪と罰から逃避するために幻想世界が投射されて作り出され、その幻想世界が混沌の世界である。混沌の始まりは、罪の意識なのだ。その世界を支配するものが、混沌の法であり、エゴの思考システムである。



It is because it follows that it seems to be a logical conclusion; a valid step in ordered thought.
  • follow : 「〜に従う、追随する」
  • logical [lɑ́dʒikl] : 「論理にかなった、論理上の、論理的な」
  • conclusion [kənklúːʒən] : 「結論、決定、結末、結果、終末」
  • valid [vǽlid] : 「正当な、根拠のある、主張の正しい」
  • step [stép] : 「階段、段、階、段差」
  • ordered [ɔ́ːrdərd] : 「正しく並べられた、順序付けられた」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
❖ "It is because it ~ "「それは〜だからだ」。"it follows that ~ "「それは論理的な結論のように見え、秩序立った思考の正当なステップである」からだ。神を裏切ったという罪の実在を信じる気持ちが初めにあり、神からの罰の恐れがそれに続き、罪と罰からの逃避のために幻想世界を投射し、混沌の世界こそが現実だと信じ込む。罪から幻想への筋書きでありシナリオなのだが、それなりに秩序立った論理構成となっている。もちろん、逆は必ずしも真ではない。つまり、秩序立った論理構成であるから、罪と罰は真実であるとは言えないのだ。ところで、神への裏切りと神からの罰、と書いたのだが、これを、現実の生活場に置き直して考えてもいい。たとえば、子供が、親を裏切ったという罪を感じ、親から罰せられると恐れ、そんな自分から逃避するために別人格の自分を幻想し、混沌の中に暮らす。また、たとえば、自分が、自分自身を裏切ったという罪を感じ、どうしても自分が許せずに自分を罰し、さらに自己崩壊する恐れを感じ、実際に自己を乖離し、幻想世界に住む自分を偽創造して、混沌の現実を生きる。しかし、いずれにせよ、象徴的出来事は、神と神の子の間で起きた分離なのである。



The steps to chaos do follow neatly from their starting point.
  • neatly [níːtli] : 「きちんと、こざっぱりと、巧妙に」
  • starting point : 「出発点、開始点、始点」
❖ "The steps to chaos ~ "「混沌へのステップは、巧妙に、そのスターティング・ポイントから続いているのだ」。初めに混沌ありきではなく、混沌への筋書きがちゃんとある。初めにあったのは、神の子の神からの分離であり、神への裏切りに対する神の子の罪の意識である。



Each is a different form in the progression of truth's reversal, leading still deeper into terror and away from truth.
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、種、種類」
  • progression [prəɡréʃən] : 「前進、進行、発達、発展、連鎖、連続」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • reversal [rivə́ːrsəl] : 「逆転、逆戻り、反転、転倒」
  • lead [líːd] : 「〜を導く、案内する、〜を誘う」
  • still [stíl] : 「今後さらに、もっと」
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある、深甚な、深遠な」
  • terror [térər] : 「恐怖」
  • away from : 「〜から離れて」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Each is a different form ~ "「真実を逆転させる発展過程において、一つ一つのステップは、異なった形をとる」。しかし、"leading still deeper ~ "「一つ一つのステップは、より深く恐怖へと、より真実からかけ離れるようにと、(あなたを)導いて行くのである」。混沌の度合いが深まるにつれ、あなたはますます恐れを抱き、ますます真実が目に入らなくなってしまう。"the progression of truth's reversal"「真実を逆転させる発展過程」とは、したがって、実相世界からますます離れ、幻想世界にますますはまっていく過程、という意味にとっていいだろう。真実に論駁して、真実を虚偽に逆転させる、という意味合いではない。



Think not one step is smaller than another, nor that return from one is easier.
  • think [θíŋk] : 「〜を考える」
  • small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の小さめの、つまらない、取るに足りない」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
  • return [ritə́ːrn] : 「帰ること、返すこと、帰郷、帰還」
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
❖ "Think not one step ~ "「あるステップが、他のステップより小さいなどと考えてはいけなし、」"nor that return ~ "「あるステップから引き返すのは他のステップから引き返すより簡単だ、などと考えてもいけない」。混沌の幻想から抜け出すことは、そう簡単なことではない。



The whole descent from Heaven lies in each one. And where your thinking starts, there must it end.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • descent [disént] : 「降下、低下、下降、落下、転落、下り坂、堕落」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • start [stάːrt] : 「始まる、着手する、事を起こす、出発する、歩きだす」
❖ "The whole descent ~ "「天の王国から完全に墜落する(危険性)は、各々のステップに存在する」。"And where your ~ "「したがって、あなたの思考が始まった時点で、」"there must ~ "「そこで、終わらなくてはならない」。連鎖的にステップは深まっていくので、その連鎖地獄にとらわれないために、混沌の幻想的な思考を開始した時点で、つまり、第一のステップを踏み出しだ時点で、その危険性に気付いて、進むことを終わらせなくてはならない。さもなければ、実相世界に目覚めるどころか、ますます混沌の幻想世界に捕らわれて、抜け出すことがどんどん困難になってしまうのだ。たとえば、大金持ちになった者、絶大な権力を握った者、高い社会的地位に登りつめた者、そういった連中は、完全に幻想に捕らわれて、実相世界に目覚めることはほぼ絶望的であろう。混沌の幻想を夢見たまま、死んでいくしかあるまい。まあ、それもまた人生であるか。



22. Brother, take not one step in the descent to hell. For having taken one, you will not recognize the rest for what they are. And they will follow.
  • take a step in : 「〜に足を踏み出す、〜に足を踏み入れる」
  • descent [disént] : 「降下、低下、下降、落下、転落、下り坂、堕落」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "Brother, take not ~ "「同胞よ、地獄へ落ちるステップの一段でも踏み出してはいけない」。"For having taken ~ "「なぜなら、一段でも踏み出してしまえば、」"you will not ~ "「あなたは、残りのステップを、そのあるがままに認識することが出来なくなるからだ」。"And they ~ "意訳する、「残りのステップは、(一段目に続いて次々と)連鎖していくのである」。幻想地獄へ墜落していくステップは、いわば、麻薬のようなものである。幻想は、一度それを味わえば、次々に手を出して連鎖は止まらず、結果、幻想中毒になるのだ。金の亡者、権力の亡者、等々、幻想中毒患者は社会にごろごろいる。



Attack in any form has placed your foot upon the twisted stairway that leads from Heaven.
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • in any form : 「いかなる種類のものであれ」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • foot [fút] : 「feet の複数形:足」
  • twisted [twístid] : 「ねじれた、ひん曲がった」
  • stairway [stέərwei] : 「階段、段」
  • lead [líːd] : 「〜を導く、案内する、通じている」
❖ "Attack in any form ~ "「いかなる形の攻撃であれ、それは、天の王国から下へ下りるねじれた階段に、あなたの足を置いたことを示す」。攻撃は、地獄の階段の第一歩である。



Yet any instant it is possible to have all this undone. How can you know whether you chose the stairs to Heaven or the way to hell?
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • have : 「〜を〜の状態にする」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • whether [hwéðər] : 「〜かどうか、〜であろうとなかろうと」
  • chose [tʃóuz] : 「choose の過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • stair [stέər] : 「階段、段」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "Yet any instant ~ "「しかし、いかなる瞬間であれ、このすべてを取り消しにすることは可能なのだ」。幻想地獄から目覚めることは不可能ではない。ちょうど、麻薬中毒から助かる可能性があることに似ている。非常に困難であることは、覚悟しておかなくてはなるまい。大金持ちに、金への執着心を捨てろ、というようなものだからだ。しかし、大金持ちでさえ、その幻想から救われる可能性は十分あるのだ。"How can you know ~ "「どのようにすれば、あなたは、天の王国への階段を選んだのか、地獄への道を選んだのか、知ることが出来るだろうか」。あなたは今、天の王国へ向かっているのか。それとも、地獄へ向かっているのか。ところで、余談になるが、ACIMでは、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住む地獄、悪魔や悪霊の住む地獄という概念はない。ACIMの地獄(hell)は、幻想と混沌の極地のことであって、仏教の言う無明の世界という概念に近い。



Quite easily. How do you feel? Is peace in your awareness? Are you certain which way you go?
  • quite [kwáit] : 「とても、非常に」
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • certain [sə́ːrtn] : 「確信している、確実な、確かな、確信して」
❖ "Quite easily"「いたって、簡単である」。"How do ~ "「あなたは、(何を)どう感じるか」。"Is peace in ~ "「あなたの意識に平和はあるか」。あなたの心が平和を感じているか、ということ。"Are you certain ~ "「どっちに向かって進んでいるか、確信がもてるか」。つまり、地に足がついて、心が平和であるなら、あなたは正しい方向に進んでいるのだ。愛と喜びを感じているなら、あなたは正しい方向に進んでいるのだ。あなたの心に争いの胸騒ぎがし、愛が萎えしぼみ、喜びがその火を消し、不安と憎しみがたぎっているなら、あなたは確実に、天の王国への道の逆方向へ進んでいる。



And are you sure the goal of Heaven can be reached? If not, you walk alone.
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
  • walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "And are you sure ~ "「そして、あなたは、天の王国という目的地が到達可能だと確信を持てるだろうか」。天の王国へ、絶対辿り着くのだ、という固い意思力が必要だ。信じれば、必ず叶うのである。想念が現実化するというのは、神の法である。"If not, you ~ "「もしそうでなかったら、あなたは一人で(幻想世界を)彷徨(さまよ)っているのだ」。



Ask, then, your Friend to join with you, and give you certainty of where you go.
  • ask [ǽsk] : 「〜を頼む、依頼する、〜してほしいと頼む」
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する、交わる、一緒になる」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
❖ "Ask, then, your ~ "「そうなら、あなたの同胞に加わってもらい、あなたがどこに向かっているのか、確信をもてるようにしてもらいなさい」。あなたが一人、幻想世界を彷徨っているのなら、同胞の助けを借りて、天の王国へ向かう道を教えてもらい、その道を確信をもって進みなさい。"your Friend"を「あなたの同胞」と訳したが、「あなたの友」ということなので、ホーリー・スピリット自身と考えてもいい。むしろ、その方がこの場では意味が通じやすい。つまり、幻想世界で道に迷ったら、ためらうことなくホーリー・スピリットの力を借りて、天の王国へ続く道へと導いてもらいなさい、という意味合いになる。
 
 
 

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