●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.II.5:1 ~ T-23.II.6:6

5. Think what this seems to do to the relationship between the Father and the Son.

  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "Think what this seems ~ "「このことが、父なる神と神の子の間の関係性に、どんな影響を与えるか、考えてみなさい」。"this"「このこと」とは、神の子の罪は必然で避けられない、という信念。エゴが神の子に下した宣告である。



Now it appears that They can never be One again. For One must always be condemned, and by the Other. Now are They different, and enemies.
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • again [əgén] : 「再び、かさねて、また」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常に」
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、責める、罵倒する、糾弾する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
❖ "Now it appears ~ "「今や、神と神の子は二度と一体になれないように見えるだろう」。神の子は神を裏切って神から分離した。その裏切りを、神への罪と感じている。それが事実なら、もはや、神の子が神との分離を解消して、再び一体となる道は閉ざされている。少なくとも、神の子はそう信じている。"For One must always be ~ "「なぜなら、一方は常に、他方から、糾弾されるに違いないからだ」。"Now are They ~ "「今や、神と神の子は、異なるものとなってしまったのだ」。神は、神の子の裏切りに激怒して、きっと罰を与えるだろうと信じ込み、そんな支配的、独裁的な神の暴君ぶりを非難するのだ。しかし、これはエゴの筋書きであって、神と神の子が永遠に反目し合うことをエゴは願っているのである。神と神の子が分離している限りは、幻想は存続し、また存在価値をもち、幻想のエゴ自体が安泰だからだ。



And Their relationship is one of opposition, just as the separate aspects of the Son meet only to conflict but not to join.
  • opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、敵、対立」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別々の」
  • aspect [ǽspekt] : 「形勢、局面、状況、側面、外観、様子、様相」
  • meet [míːt] : 「会う、接触する、交わる」
  • conflict [kənflíkt] : 「衝突する、争う、抵触する、対立する」
  • join [dʒɔ́in] : 「交わる、一緒になる」
❖ "And Their relationship ~ "「こうして、神と神の子の関係性は、敵対する関係性になってしまうのだ」。"just as the separate ~ "「ちょうど、神の子の(数々の)分離した側面が、結合し合うためではなく、コンフリクトを起こすために出会うようなものである」。"the separate aspects of the Son"「神の子の分離した側面」とは、そもそも単一存在であった神の子が分離分裂した結果、さまざまな個性を持った多数の人間が出来上がってしまったのだが、その一つ一つ、一人一人が、「分離した側面」である。もし、神の子が、神の住む天の王国に回帰して神と再び結合しようとするなら、まず初めに、神の子同士の再結合が必要とされる。ところが、分離した神の子は、互いに反目し合い、コンフリクトを起こしてばかりいて、少しも再結合への意思を示すことはない。こんな状態では、神との再結合はますます遠のいてしまうのだ。結果、神の子は神と、いつまでも反目し合うことになる。つまり、神の子同士が反目し合っている限り、神との再結合はあり得ないのだ。



One becomes weak, the other strong by his defeat.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある」
  • defeat [difíːt] : 「敗北、負け、打倒、打破」
❖ "One becomes ~ "「一方が弱くなり、打ち負かすことで、他方が強くなる」。ここの「一方」と「他方」は、神と神の子のことではない。神の子同士のことだ。神と神の子が反目し合うと書いたが、そもそも、神の子(エゴ)が神に対して、一方的に敵対心を持っているだけで、神は神の子に対して敵対心はまったく持っていない。事実、その逆で、神は神の子を至上の愛をもって愛しているのだ。



And fear of God and of each other now appears as sensible, made real by what the Son of God has done both to himself and his Creator.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • sensible [sénsəbl] : 「顕著な、理にかなっている、分別のある」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
  • both [bóuθ] : 「両方とも、双方とも」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "And fear of God and ~ "「神の子の、神に対する恐れ、神の子同士が互いにもつ恐れ、それらが、今や顕著になってくる」。"made real by what ~ "分詞構文、頭に"being"を補うとよい、理由、「その恐れは、神の子が、自分自身に対して行ったこと、そして創造主の神に対して行ったことによって、現実味を帯びてくるからだ」。神の子が自分自身に対して行ったこととは、自分は神を裏切った罪深い者だと信じ込んでいること。神の子が神に対して行ったこととは、罪ある神の子を神は罰するに違いなく、出来るだけ神から遠ざかって、出来れば逃げおおしてやろうとすること。どちらも単なる幻想であるが、幻想を完全に信じきっているので、幻想が神の子にとって現実化してしまうのである。神の子にとって罪と罰は現実となる。



6. The arrogance on which the laws of chaos stand could not be more apparent than emerges here.
  • arrogance [ǽrəɡəns] : 「尊大、横柄、傲慢」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱、混沌」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • apparent [əpǽrənt] : 「はっきり見える、明らかな、明白な」
  • emerge [imə́ːrdʒ] : 「現れる、出現する、浮かび出る、明らかになる」
❖ "The arrogance on ~ "「渾沌の法が寄って立つ傲慢さは、ここに表れるほど顕著であることはない」。つまり、ここに、渾沌の法の傲慢さが顕著に表れる、ということ。なぜ傲慢かというと、渾沌の法は、真実を傲慢に歪めてしまうからだ。真実を歪めた上で、傲慢にも幻想を真実に変えてしまおうとするからだ。



Here is a principle that would define what the Creator of reality must be; what He must think and what He must believe; and how He must respond, believing it.
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論、法則、方式」
  • define [difáin] : 「〜を定義する、〜を特徴づける、明確にする、決める、規定する」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える、返答する、応じる」
❖ "Here is a principle that ~ "「ここに、that以下である原理がある」。渾沌の法の傲慢さは、that以下の原理に表れている、ということ。"that would define ~ "「実相の創造主である神はどうあらねばならないかを定義する」原理がある。傲慢にも、神のあらねばならない姿を定義しようとする原理が、渾沌の法の中にある、ということ。その他にも、"what He must think ~ "「神は何を思い、何を信じるべきか、神は、それを信じてどう答えるべきか」等々の定義も、傲慢にも、渾沌の法が規定しようとする。



It is not seen as even necessary that He be asked about the truth of what has been established for His belief.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • ask about : 「〜について尋ねる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
❖ "It is not seen as ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「that以下は,必要とさえ見なされない」。"that He be asked ~ "「神の信じることのために確立されたことの真実性について、神は訊ねられる」ということさえ、必要ないと見なされる。難解であるが、まず、「神の信じることのために確立されたことの真実性」を、解釈しよう。神の信じることとは、もちろん真実である。愛や喜び、平和、静謐、美、慈しみ、等々を、神は信じ、創造したのである。「確立された」とは、したがって、「創造された」と、解釈していいだろう。そこで、本文は「神が信じて創造したことが真実であるかどうかさえ、神は訊ねられる必要性はないと見なされているのだ」ということになる。これは、まさに傲慢である。なぜなら、その答えは、神は真実など創造しなかったに違いないと、初めから決めつけられているからだ。エゴがそう決めつけて、神に反抗しているのだ。



His Son can tell Him this, and He has but the choice whether to take his word for it or be mistaken.
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • whether [hwéðər] : 「〜かどうか、〜であろうとなかろうと」
  • take one's word for it : 「〜の言ったことをその通りに受け止める」
  • mistaken [mistéikən] : 「誤った、間違った、誤解した」
❖ "His Son can ~ "「神の子は、このことを神に伝える」。つまり、エゴ(神の子)は、神はこうあるべきだと神に押し付けるのだ。エゴが、神の像を勝手に作ろうとしているのである。"and He has but ~ "「そして、神は、言われたことに従うか、誤解されたままにするか、その選択をするだけになってしまうのだ」。まるで神は、エゴの発言の前で無力であるかのような記述に見えるだろうが、そうではない。神は、エゴの発言を完全に無視しているのだ。無視するという言うより、エゴの言葉自体が神の耳に届かない、と言った方がいい。そこで、エゴは、勝手に神の反応を思い描くのである。エゴは、神がエゴの発言を受け入れるか、発言を受け入れずに誤解されたままを選ぶか、そのどちらかしかないと思い込んでしまうのだ。



This leads directly to the third preposterous belief that seems to make chaos eternal.
  • lead [líːd] : 「導く、案内する、通じている」
  • directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、そのまま」
  • third [θə́ːrd] : 「三番目の、第三の」
  • preposterous [pripάstərəs] : 「本末転倒の、不合理な、非常識な、ばかげた」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
❖ "This leads directly to ~ "「こうしたことが、第三の本末転倒の信念に直接つながる」。"that seems to ~ "「その本末転倒の信念は、渾沌をいつまでも長引かせることになるのだ」。



For if God cannot be mistaken, He must accept His Son's belief in what he is, and hate him for it.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
❖ "For if God cannot be ~ "「なぜなら、もし神が、誤解され得ないものならば、」"He must accept ~ "「神は、神の姿に対して神の子が信じていることを受け入れなければならず、そのために、神の子を憎むことになるのだ」。非常に難解である。神の子(エゴ)は、神はこうあらねばならないと、神のあるべき姿を突きつける。それに対して、神は、エゴの発言など耳に入らないから、エゴから見れば、エゴの発言を神は無視するのである。その結果、あたかも、神はその発言を受け入れたか、受け入れることなく無視して誤解されたままにするかの、いずれかだとエゴは解釈するのだ。そこで、本文は、もし誤解を神が選択しなかったなら(if God cannot be mistaken)、それは、神が神の子の発言を受け入れたことになり、つまり、神の子の神に対する信念を受け入れたことになり(He must accept His Son's belief)、神が神の本当の姿を歪めてしまうことになるのだ。たとえば、神が、神の子の犯した罪に対して罰をもって臨まなくてはならないと規定されたことを受け入れたなら、罰するために、神は神の子を、罪ゆえに、憎まなくてはならなくなる(hate him for it)。神に反逆する者達は、神の名を持って、征伐すべきものだとする規定を受け入れたなら、神は、神の反逆者達を憎んで(hate him for it)虐殺しなくてはならなくなる。こうなると、神はエゴが作り上げた虚像でしかない。神は怒れる神、復讐する神、裁く神、嫉妬する神、虐殺する神、罰する神、等々、奇っ怪千万な神の虚像が出来上がるのである。その神は、少なくとも、神の子を愛する神とは言えなくなってしまうのだ。もちろん、神はそれを受け入れたのではない。受け入れたに違いないと、エゴが勝手に思い込んだだけである。こうして、エゴは神に勝利したと、エゴは傲慢にも思い込むに違いないのだ。神への愛を凌駕する、神への恐怖が、神の子の心の中に植え付けられるのである。
 
 
 

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