●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-24.II.12:1 ~ T-24.II.13:4

12. Specialness is the seal of treachery upon the gift of love. Whatever serves its purpose must be given to kill.

  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • seal [síːl] : 「印、封印、捺印、押印、印鑑、封鎖」
  • treachery [trétʃəri] : 「不信、裏切り、背信、不実、謀反」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、~に役立つ」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」
❖ "Specialness is the seal ~ "「特別性は、愛の贈り物に貼られた、裏切りのシールである」。せっかく同胞が、あなたを幻想から救い出そうとしてくれるのに、つまり、愛の贈り物を差し出しているのに、あなたは自分は特別だと信じて、同胞の愛を裏切り、幻想の中に留まろうとするのだ。"the seal of treachery"「裏切りのシール」とは、愛を裏切る象徴的なもの、という意味合い。同胞の贈り物に対して、あなたは裏切りのレッテルを貼って突き返すわけだ。"Whatever serves its ~ "「特別性の目的に役立つものは、殺すために与えられているに違いない」と、あなたは思っている。同胞は神によって、あなたを救うためにあなたに与えられた贈り物なのだが、特別性を信仰するあなたは、あなたの特別性を保持するために同胞は与えられたのだと信じ込んでいるのだ。だから、同胞を、その目的のために卑しめ、辱め、攻撃し、卑小な者と判断し、つまりは、同胞を象徴的に徹底的に殺すのである。象徴的に殺すとは、あなたの意識性の中で抹殺する、ということだ。



No gift that bears its seal but offers treachery to giver and receiver. Not one glance from eyes it veils but looks on sight of death.
  • bear [bέər] : 「~を身につける、持つ、有する」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • giver [ɡívər] : 「与える人、贈与者、寄贈者」
  • receiver [risíːvər] : 「受取人、受領者、受信者」
  • glance [glǽns] : 「ひと目、ちらりと見ること、一瞥」
  • veil [véil] : 「ベールで覆う、覆い隠す」
  • look on : 「〜を見る」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "No gift that bears ~ "「特別性のシールを貼られた贈り物は、必ず、与え手と受け手に、裏切りを差し出すのである」。特別性のせいで、同胞の救いの愛は裏切られ、また、同胞をいかに意識の中で抹殺しても、あなたの特別性は少しも満足することはない。つまり、あなたも特別性に裏切られているのだ。幻想によって何かを手に入れようとしても、裏切られるのが関の山なのである。"Not one glance from eyes ~ "意訳する、「特別性が覆い隠している目、そんな目で一瞥すれば、必ず、死の光景が見えてくるのだ」。特別性が覆い隠している目で見る、とあるが、意味合いとしては、特別性という色眼鏡をかけて見る、という感じ。特別性を信じている者の目には、死の光景しか見えてこないのだ。なぜなら、あなたは常に同胞を意識の中で抹殺しようとしているからだ。特別性には、死の臭いが常に付きまとうのである。特別性とは、殺意そのものと思っていいかもしれない。



Not one believer in its potency but seeks for bargains and for compromise that would establish sin love's substitute, and serve it faithfully.
  • believer [bilíːvər] : 「信じる人、信奉者、信者」
  • potency [póutnsi] : 「効能、有効性、可能性、潜在力、権威、権力」
  • seek [síːk] for : 「~を探し求める」
  • bargain [bάːrɡən] : 「駆け引き、取引、安売り」
  • compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩、妥協、歩み寄り、和解、示談」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する」
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代わりのもの、代用品、代替」
  • faithfully [féiθfəli] : 「忠実に、誠実に、きちんと、正確に、堅く」
❖ "Not one believer ~ "「特別性の可能性を信じるものは、必ず、〜するような取引と妥協を追求する」。 "that would establish sin ~ "「愛の代わりに罪の意識をつくり出し、その罪の意識に忠実に仕えるような」取引と妥協を追求する。"its potency"「特別性の可能性」とは、特別であることが、存在の意味を提供し、生きるための救いを与えてくれるだろうという可能性。しかし、特別性は神の子の存在に序列を作りだし、結果、格差と分離をもたらす。分離は罪の象徴であるから、神の子が孤立化すると分離が加速され、罪の意識が重くのしかかるのだ。特別にはなれるが、孤絶するのである。そこで、特別性は、罪と妥協し、罪と取引して、特別性と罪が共存、両立出来るように企てるのだ。



And no relationship that holds its purpose dear but clings to murder as safety's weapon, and the great defender of all illusions from the "threat" of love.
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • dear [díər] : 「愛情こめて、やさしく」
  • cling [klíŋ] to : 「~に固執する、~に粘着する」
  • murder [mə́ːrdər] : 「殺人、謀殺」
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難なもの」
  • weapon [wépn] : 「武器、兵器、凶器、対抗手段」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な、すてきな、素晴らしい」
  • defender [diféndər] : 「擁護者、防衛者」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想m,幻覚、錯覚」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
❖ "And no relationship that ~ "「特別性のもつ目的を大切に保持する関係性は、必ず、安全を守るための武器として、つまり、愛の『脅威』からあらゆる幻想を守る強大な守り手として、殺害に固執していく」。特別性で結ばれた、幻想世界における特別な関係性においては、特別性を信仰する者は、その相手と分離を深め、ひとり孤絶化し、幻覚的な猜疑心を抱き、他者を敵と見なして激しく攻撃し、意識性の中で相手を抹殺していくのだ。確かに、その地獄的な狂気によって特別性の安全は守られるのだが、それによって得られるものは、はたして、どんな平和であろうか? 



13. The hope of specialness makes it seem possible God made the body as the prison house that keeps His Son from Him.
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • make : 「〜に~させる」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • prison [prízn] : 「刑務所、拘置所、監獄、監禁、禁固、幽閉」
  • prison house : 「獄舎」
  • keep A from B : 「AにBを寄せ付けない、AからBを隠す」
❖ "The hope of specialness ~ "「特別性の望む希望は、〜ということが可能なもののように見せかける」。"God made the body ~ "「神は、神の子を神から隔離する牢獄として、肉体を作った」ということが可能なもののように見せかける。神が、あたかも分離を目的として、肉体を創造したかのように、特別性は、希望的観測として思い込んでいる。そうであるなら、特別性の目的と神の目的が一致して、特別性は最強の味方を得たことになるのだ。しかも、神の子は肉体に閉じこめられて、二度と神の手の届かない存在となるのである。もちろん、そんな希望的観測は幻覚に過ぎない。そもそも、肉体を幻想として作ったのは、神から分離した神の子である。



For it demands a special place God cannot enter, and a hiding place where none is welcome but your tiny self.
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • enter [énter] : 「~に入る、~に参加する、~に立ち入る」
  • hiding [háidiŋ] place : 「隠れ場所、隠し場所、隠れ家」
  • none [nʌ́n] : 「誰も〜ない」
  • welcome [wélkəm] : 「歓迎する、喜んで受け入れる」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
❖ "For it demands ~ "「なぜなら、特別性の希望は、神さえ入り込めない(肉体という)特別な場所を、つまり、」"and a hiding ~ "「あなたというちっぽけな自己しか歓迎されない、隠し場所を、要求するからである」。神が、神の子を幽閉するために肉体を作ったのなら、神はその肉体に入り込めない。特別性は、その肉体を自由に使って分離を深め、特別性を加速化していくのだ。



Nothing is sacred here but unto you, and you alone, apart and separate from all your brothers; safe from all intrusions of sanity upon illusions; safe from God and safe for conflict everlasting.
  • sacred [séikrid] : 「神聖な、宗教的な」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • apart from : 「~から離れて、~は別として」
  • separate from : 「~から離れて、~と別れて」
  • safe from : 「〜から安全な、〜の恐れはない」
  • intrusion [intrúːʒən] : 「侵入、介入
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
  • safe for : 「〜にとって安全である」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • everlasting [èvərlǽstiŋ] : 「永遠の、不朽の、永遠に続く、永続的な、恒久の」
❖ "Nothing is sacred ~ "「特別な関係性にあっては、あなただけが神聖であるだけだ」。あなたは、自分は特別性を帯びた神聖な存在だと思っているが、そう思っているのはあなただけだ。つまり、あなたは、自分だけが特別に偉いと思っている裸の王様なのだ。"and you alone ~ "「そんなあなたは、たった独りであり、」孤絶感を深め、 "apart and separate ~ "「同胞すべてから分離し、離れてしまったのだ」。分離分裂が加速されたのだ。"safe from all intrusions ~ "「幻想に向けられる正気さの侵入から安全に守られ、」"safe from God ~ "「神から安全に守られ、」"and safe for ~ "「安心して、永遠のコンフリクトを続けていけるわけである」。裸の王様の幻覚に対して、そこに入り込む正気さはない。神さえも、裸の王様の愚かさを諭すこともなく、まったくもって安全だ。そして、永遠に、裸の王様は、その愚かな裸を続けていくだけなのである。



Here are the gates of hell you closed upon yourself, to rule in madness and in loneliness your special kingdom, apart from God, away from truth and from salvation.
  • gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
  • hell [hél] : 「地獄、修羅場、生き地獄」
  • close [klóuz] : 「閉める、閉ざす」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中s」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • kingdom [kíŋdəm] : 「王国、王領、天国、来世」
  • away from : 「~から離れて」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • salvation[sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "Here are the gates ~ "「ここにきて、あなたは、あなた自身を背にして地獄の扉を閉じるのだ」。特別性を信仰するあなたは、天の王国への道を閉ざし、地獄へと突き進む。後戻りの扉を閉じてしまった。"to rule in madness and ~ "「神から離れ、狂気と孤独の中で、あなたの特別な王国を支配するためにである」。そんな王国は、結局、地獄と変わらないのだ。しかし、その地獄を支配することだけが、あなたの目的になるのであろう。地獄とは、この世界の幻想性である。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター